遺言は、自筆証書、公正証書 又は秘密証書によってしなければならない。
ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
遺言は、自筆証書、公正証書 又は秘密証書によってしなければならない。
ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付 及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部 又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。
この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除 その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
証人二人以上の立会いがあること。
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者 及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
遺言者 及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。
ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人 及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。
この場合における同条第三号の規定の適用については、
同号中
「口述」とあるのは、
「通訳人の通訳による申述 又は自書」と
する。
前条の遺言者 又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者 又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
遺言者が、公証人一人 及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨 並びにその筆者の氏名 及び住所を申述すること。
公証人が、その証書を提出した日付 及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者 及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。
口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人 及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨 並びにその筆者の氏名 及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第九百七十条第一項第三号の申述に代えなければならない。
前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
第一項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第九百七十条第一項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。
ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
次に掲げる者は、遺言の証人 又は立会人となることができない。
推定相続人 及び受遺者 並びにこれらの配偶者 及び直系血族
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記 及び使用人
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
疾病 その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。
この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者 及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
第一項後段の遺言者 又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授 又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者 又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人 又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人 及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。
船舶中に在る者は、船長 又は事務員一人 及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。
船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。
口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳によりこれをしなければならない。
前二項の規定に従ってした遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の一人 又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
第九百七十六条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
第九百七十七条 及び第九百七十八条の場合には、遺言者、筆者、立会人 及び証人は、各自遺言書に署名し、印を押さなければならない。
第九百七十七条から第九百七十九条までの場合において、署名 又は印を押すことのできない者があるときは、立会人 又は証人は、その事由を付記しなければならない。
第九百六十八条第三項 及び第九百七十三条から第九百七十五条までの規定は、第九百七十六条から前条までの規定による遺言について準用する。
第九百七十六条から前条までの規定によりした遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力を生じない。
日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書 又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事が行う。
この場合においては、第九百六十九条第四号 又は第九百七十条第一項第四号の規定にかかわらず、遺言者 及び証人は、第九百六十九条第四号 又は第九百七十条第一項第四号の印を押すことを要しない。