生活保護法

# 昭和二十五年法律第百四十四号 #

第六章 保護施設

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和六年六月十二日 ( 2024年 6月12日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第四十七号による改正
最終編集日 : 2024年 09月02日 11時55分


1項
保護施設の種類は、左の通りとする。
一 号
救護施設
二 号
更生施設
三 号
医療保護施設
四 号
授産施設
五 号
宿所提供施設
2項

救護施設は、身体上 又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。

3項

更生施設は、身体上 又は精神上の理由により養護 及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。

4項

医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設とする。

5項

授産施設は、身体上 若しくは精神上の理由 又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労 又は技能の修得のために必要な機会 及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設とする。

6項

宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設とする。

1項

都道府県は、保護施設の設備 及び運営について、条例で基準を定めなければならない。

2項

都道府県が前項の条例を定めるに当たつては、第一号から第三号までに掲げる事項については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、第四号に掲げる事項については厚生労働省令で定める基準を標準として定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌するものとする。

一 号
保護施設に配置する職員 及びその員数
二 号
保護施設に係る居室の床面積
三 号

保護施設の運営に関する事項であつて、利用者の適切な処遇 及び安全の確保 並びに秘密の保持に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの

四 号
保護施設の利用定員
3項

保護施設の設置者は、第一項の基準を遵守しなければならない。

1項

都道府県は、保護施設を設置することができる。

2項

市町村 及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法平成十五年法律第百十八号第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3項

保護施設を設置した都道府県、市町村 及び地方独立行政法人は、現に入所中の被保護者の保護に支障のない限り、その保護施設を廃止し、又はその事業を縮少し、若しくは休止することができる。

4項

都道府県 及び市町村の行う保護施設の設置 及び廃止は、条例で定めなければならない。

1項

都道府県、市町村 及び地方独立行政法人のほか、保護施設は、社会福祉法人 及び日本赤十字社でなければ設置することができない

2項

社会福祉法人 又は日本赤十字社は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、左に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出して、その認可を受けなければならない。

一 号
保護施設の名称 及び種類
二 号

設置者たる法人の名称 並びに代表者の氏名、住所 及び資産状況

三 号
寄附行為、定款 その他の基本約款
四 号
建物 その他の設備の規模 及び構造
五 号
取扱定員
六 号
事業開始の予定年月日
七 号

経営の責任者 及び保護の実務に当る幹部職員の氏名 及び経歴

八 号
経理の方針
3項

都道府県知事は、前項の認可の申請があつた場合に、その施設が第三十九条第一項の基準のほか、次の各号の基準に適合するものであるときは、これを認可しなければならない。

一 号

設置しようとする者の経済的基礎が確実であること。

二 号

その保護施設の主として利用される地域における要保護者の分布状況からみて、当該保護施設の設置が必要であること。

三 号

保護の実務に当たる幹部職員が厚生労働大臣の定める資格を有するものであること。

4項

第一項の認可をするに当つて、都道府県知事は、その保護施設の存続期間を限り、又は保護の目的を達するために必要と認める条件を附することができる。

5項

第二項の認可を受けた社会福祉法人 又は日本赤十字社は、同項第一号 又は第三号から第八号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の認可を受けなければならない。


この認可の申請があつた場合には、第三項の規定を準用する。

1項

社会福祉法人 又は日本赤十字社は、保護施設を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その理由、現に入所中の被保護者に対する措置 及び財産の処分方法を明らかにし、かつ、第七十条第七十二条 又は第七十四条の規定により交付を受けた交付金 又は補助金に残余額があるときは、これを返還して、休止 又は廃止の時期について都道府県知事の認可を受けなければならない。

1項

都道府県知事は、保護施設の運営について、必要な指導をしなければならない。

2項

社会福祉法人 又は日本赤十字社の設置した保護施設に対する前項の指導については、市町村長が、これを補助するものとする。

1項

都道府県知事は、保護施設の管理者に対して、その業務 若しくは会計の状況 その他必要と認める事項の報告を命じ、又は当該職員に、その施設に立ち入り、その管理者からその設備 及び会計書類、診療録 その他の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)の閲覧 及び説明を求めさせ、若しくはこれを検査させることができる。

2項

第二十八条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

1項

厚生労働大臣は都道府県に対して、都道府県知事は市町村 及び地方独立行政法人に対して、次に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備 若しくは運営の改善、その事業の停止 又はその保護施設の廃止を命ずることができる。

一 号

その保護施設が第三十九条第一項の基準に適合しなくなつたとき。

二 号

その保護施設が存立の目的を失うに至つたとき。

三 号

その保護施設がこの法律 若しくはこれに基づく命令 又はこれらに基づいてする処分に違反したとき。

2項

都道府県知事は、社会福祉法人 又は日本赤十字社に対して、左に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備 若しくは運営の改善 若しくはその事業の停止を命じ、又は第四十一条第二項の認可を取り消すことができる。

一 号

その保護施設が前項各号の一に該当するとき。

二 号

その保護施設が第四十一条第三項各号に規定する基準に適合しなくなつたとき。

三 号

その保護施設の経営につき営利を図る行為があつたとき。

四 号

正当な理由がないのに、第四十一条第二項第六号の予定年月日(同条第五項の規定により変更の認可を受けたときは、その認可を受けた予定年月日)までに事業を開始しないとき。

五 号

第四十一条第五項の規定に違反したとき。

3項

前項の規定による処分に係る行政手続法第十五条第一項 又は第三十条の通知は、聴聞の期日 又は弁明を記載した書面の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)の十四日前までにしなければならない。

4項

都道府県知事は、第二項の規定による認可の取消しに係る行政手続法第十五条第一項の通知をしたときは、聴聞の期日 及び場所を公示しなければならない。

5項

第二項の規定による認可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

1項

保護施設の設置者は、その事業を開始する前に、左に掲げる事項を明示した管理規程を定めなければならない。

一 号
事業の目的 及び方針
二 号

職員の定数、区分 及び職務内容

三 号

その施設を利用する者に対する処遇方法

四 号

その施設を利用する者が守るべき規律

五 号

入所者に作業を課する場合には、その作業の種類、方法、時間 及び収益の処分方法

六 号

その他施設の管理についての重要事項

2項

都道府県以外の者は、前項の管理規程を定めたときは、すみやかに、これを都道府県知事に届け出なければならない。


届け出た管理規程を変更しようとするときも、同様とする。

3項

都道府県知事は、前項の規定により届け出られた管理規程の内容が、その施設を利用する者に対する保護の目的を達するために適当でないと認めるときは、その管理規程の変更を命ずることができる。

1項

保護施設は、保護の実施機関から保護のための委託を受けたときは、正当の理由なくして、これを拒んではならない。

2項

保護施設は、要保護者の入所 又は処遇に当たり、人種、信条、社会的身分 又は門地により、差別的 又は優先的な取扱いをしてはならない。

3項

保護施設は、これを利用する者に対して、宗教上の行為、祝典、儀式 又は行事に参加することを強制してはならない。

4項

保護施設は、当該職員が第四十四条の規定によつて行う立入検査を拒んではならない。

1項

保護施設の長は、常に、その施設を利用する者の生活の向上及び更生を図ることに努めなければならない。

2項

保護施設の長は、その施設を利用する者に対して、管理規程に従つて必要な指導をすることができる。

3項

都道府県知事は、必要と認めるときは、前項の指導を制限し、又は禁止することができる。

4項

保護施設の長は、その施設を利用する被保護者について、保護の変更、停止 又は廃止を必要とする事由が生じたと認めるときは、すみやかに、保護の実施機関に、これを届け出なければならない。