この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
生活保護法
第一章 総則
すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。
この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力 その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養 及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。
前四条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈 及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。
この法律において「被保護者」とは、現に保護を受けている者をいう。
この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。
この法律において「保護金品」とは、保護として給与し、又は貸与される金銭 及び物品をいう。
この法律において「金銭給付」とは、金銭の給与 又は貸与によつて、保護を行うことをいう。
この法律において「現物給付」とは、物品の給与 又は貸与、医療の給付、役務の提供 その他金銭給付以外の方法で保護を行うことをいう。
第二章 保護の原則
保護は、要保護者、その扶養義務者 又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。
但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭 又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別 その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。
保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等 その個人 又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。
保護は、世帯を単位としてその要否 及び程度を定めるものとする。
但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。
第三章 保護の種類及び範囲
前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給 又は併給として行われる。
生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
衣食 その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
義務教育に伴つて必要な教科書 その他の学用品
学校給食 その他義務教育に伴つて必要なもの
住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
医学的処置、手術 及びその他の治療 並びに施術
居宅における療養上の管理 及びその療養に伴う世話 その他の看護
病院 又は診療所への入院 及びその療養に伴う世話 その他の看護
介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第三項に規定する要介護者をいう。第三項において同じ。)に対して、第一号から第四号まで 及び第九号に掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要支援者(同条第四項に規定する要支援者をいう。以下この項 及び第六項において同じ。)に対して、第五号から第九号までに掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない居宅要支援被保険者等(同法第百十五条の四十五第一項第一号に規定する居宅要支援被保険者等をいう。)に相当する者(要支援者を除く。)に対して、第八号 及び第九号に掲げる事項の範囲内において行われる。
居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る。)
介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る。)
介護予防・日常生活支援(介護予防支援計画 又は介護保険法第百十五条の四十五第一項第一号ニに規定する第一号介護予防支援事業による援助に相当する援助に基づき行うものに限る。)
前項第一号に規定する居宅介護とは、介護保険法第八条第二項に規定する訪問介護、同条第三項に規定する訪問入浴介護、同条第四項に規定する訪問看護、同条第五項に規定する訪問リハビリテーション、同条第六項に規定する居宅療養管理指導、同条第七項に規定する通所介護、同条第八項に規定する通所リハビリテーション、同条第九項に規定する短期入所生活介護、同条第十項に規定する短期入所療養介護、同条第十一項に規定する特定施設入居者生活介護、同条第十二項に規定する福祉用具貸与、同条第十五項に規定する定期巡回・随時対応型訪問介護看護、同条第十六項に規定する夜間対応型訪問介護、同条第十七項に規定する地域密着型通所介護、同条第十八項に規定する認知症対応型通所介護、同条第十九項に規定する小規模多機能型居宅介護、同条第二十項に規定する認知症対応型共同生活介護、同条第二十一項に規定する地域密着型特定施設入居者生活介護 及び同条第二十三項に規定する複合型サービス 並びにこれらに相当するサービスをいう。
第一項第一号に規定する居宅介護支援計画とは、居宅において生活を営む要介護者が居宅介護 その他居宅において日常生活を営むために必要な保健医療サービス 及び福祉サービス(以下この項において「居宅介護等」という。)の適切な利用等をすることができるようにするための当該要介護者が利用する居宅介護等の種類、内容等を定める計画をいう。
第一項第四号に規定する施設介護とは、介護保険法第八条第二十二項に規定する地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、同条第二十七項に規定する介護福祉施設サービス、同条第二十八項に規定する介護保健施設サービス 及び同条第二十九項に規定する介護医療院サービスをいう。
第一項第五号に規定する介護予防とは、介護保険法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問入浴介護、同条第三項に規定する介護予防訪問看護、同条第四項に規定する介護予防訪問リハビリテーション、同条第五項に規定する介護予防居宅療養管理指導、同条第六項に規定する介護予防通所リハビリテーション、同条第七項に規定する介護予防短期入所生活介護、同条第八項に規定する介護予防短期入所療養介護、同条第九項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護、同条第十項に規定する介護予防福祉用具貸与、同条第十三項に規定する介護予防認知症対応型通所介護、同条第十四項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護 及び同条第十五項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護 並びにこれらに相当するサービスをいう。
第一項第五号 及び第八号に規定する介護予防支援計画とは、居宅において生活を営む要支援者が介護予防 その他身体上又は精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部 若しくは一部について常時介護を要し、又は日常生活を営むのに支障がある状態の軽減 又は悪化の防止に資する保健医療サービス 及び福祉サービス(以下この項において「介護予防等」という。)の適切な利用等をすることができるようにするための当該要支援者が利用する介護予防等の種類、内容等を定める計画であつて、介護保険法第百十五条の四十六第一項に規定する地域包括支援センターの職員 及び同法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援を行う事業所の従業者のうち同法第八条の二第十六項の厚生労働省令で定める者が作成したものをいう。
第一項第八号に規定する介護予防・日常生活支援とは、介護保険法第百十五条の四十五第一項第一号イに規定する第一号訪問事業、同号ロに規定する第一号通所事業 及び同号ハに規定する第一号生活支援事業による支援に相当する支援をいう。
出産扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
脱脂綿、ガーゼ その他の衛生材料
生業扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者 又はそのおそれのある者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
但し、これによつて、その者の収入を増加させ、又はその自立を助長することのできる見込のある場合に限る。
葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
死者に対し その葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。
第四章 保護の機関及び実施
都道府県知事、市長 及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事 又は市町村長が行うものとする。
第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を救護施設、更生施設 若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託した場合 又は第三十四条の二第二項の規定により被保護者に対する次の各号に掲げる介護扶助を当該各号に定める者 若しくは施設に委託して行う場合においては、当該入所 又は委託の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者に係る入所 又は委託前の居住地 又は現在地によつて定めるものとする。
居宅介護(第十五条の二第二項に規定する居宅介護をいう。以下同じ。)(特定施設入居者生活介護(同項に規定する特定施設入居者生活介護をいう。)に限る。)
居宅介護を行う者
施設介護(第十五条の二第四項に規定する施設介護をいう。以下同じ。)
介護老人福祉施設(介護保険法第八条第二十七項に規定する介護老人福祉施設をいう。以下同じ。)
介護予防(第十五条の二第五項に規定する介護予防をいう。以下同じ。)(介護予防特定施設入居者生活介護(同項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護をいう。)に限る。)
介護予防を行う者
前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定 及び実施に関する事務の全部 又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
保護の実施機関は、保護の決定 及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。
町村長は、保護の実施機関 又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、次に掲げる事項を行うものとする。
要保護者を発見し、又は被保護者の生計 その他の状況の変動を発見した場合において、速やかに、保護の実施機関 又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
第二十四条第十項の規定により保護の開始 又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
保護の実施機関 又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
保護の実施機関 又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。
都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。
社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事 又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。
民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長 又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
厚生労働大臣は都道府県知事 及び市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、都道府県知事は市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、その指定する職員に、その監査を行わせなければならない。
前項の規定により指定された職員は、都道府県知事 又は市町村長に対し、必要と認める資料の提出 若しくは説明を求め、又は必要と認める指示をすることができる。
第一項の規定により指定すべき職員の資格については、政令で定める。
保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。
ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名 及び住所 又は居所 並びに要保護者との関係
要保護者の資産 及び収入の状況(生業 若しくは就労 又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況 及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
その他要保護者の保護の要否、種類、程度 及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度 及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度 及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。
前項の書面には決定の理由を付さなければならない。
第三項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。
ただし、扶養義務者の資産 及び収入の状況の調査に日時を要する場合 その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。
保護の実施機関は、前項ただし書の規定により同項本文に規定する期間内に第三項の通知をしなかつたときは、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
保護の申請をしてから三十日以内に 第三項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。
保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
第一項から第七項までの規定は、第七条に規定する者からの保護の変更の申請について準用する。
保護の開始 又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。
町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産 及び収入の状況 その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。
保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度 及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。
保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。
前条第四項の規定は、この場合に準用する。
町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。
保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止 又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。
第二十八条第五項 又は第六十二条第三項の規定により保護の停止 又は廃止をするときも、同様とする。
保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上 その他保護の目的達成に必要な指導 又は指示をすることができる。
前項の指導 又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導 又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
保護の実施機関は、第五十五条の七第一項に規定する被保護者就労支援事業 及び第五十五条の八第一項に規定する被保護者健康管理支援事業を行うほか、要保護者から求めがあつたときは、要保護者の自立を助長するために、要保護者からの相談に応じ、必要な助言をすることができる。
保護の実施機関は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条(第三項を除く。次項 及び次条第一項において同じ。)の規定の施行のため必要があると認めるときは、要保護者の資産 及び収入の状況、健康状態 その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師 若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。
保護の実施機関は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始 又は変更の申請書 及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者 若しくはその他の同居の親族 又は保護の開始 若しくは変更の申請の当時要保護者 若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。
第一項の規定によつて立入調査を行う当該職員は、厚生労働省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
保護の実施機関は、要保護者が第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師 若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始 若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止 若しくは廃止をすることができる。
保護の実施機関 及び福祉事務所長は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構 若しくは国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三条第二項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧 若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主 その他の関係人に、報告を求めることができる。
要保護者 又は被保護者であつた者
氏名 及び住所 又は居所、資産 及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定 及び実施の状況 その他政令で定める事項(被保護者であつた者にあつては、氏名 及び住所 又は居所、健康状態 並びに他の保護の実施機関における保護の決定 及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
前号に掲げる者の扶養義務者
氏名 及び住所 又は居所、資産 及び収入の状況 その他政令で定める事項(被保護者であつた者の扶養義務者にあつては、氏名 及び住所 又は居所を除き、当該被保護者であつた者が保護を受けていた期間における事項に限る。)
別表第一の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構 又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関 又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。
この章の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条 及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
第五章 保護の方法
生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。
ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設(社会福祉法第二条第三項第八号に規定する事業の用に供する施設 その他の施設であつて、被保護者に対する日常生活上の支援の実施に必要なものとして厚生労働省令で定める要件に該当すると都道府県知事が認めたものをいう。第六十二条第一項 及び第七十条第一号ハにおいて同じ。)若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる。
前項ただし書の規定は、被保護者の意に反して、入所 又は養護を強制することができるものと解釈してはならない。
保護の実施機関は、被保護者の親権者 又は後見人がその権利を適切に行わない場合においては、その異議があつても、家庭裁判所の許可を得て、第一項但書の措置をとることができる。
生活扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
生活扶助のための保護金品は、一月分以内を限度として前渡するものとする。
但し、これによりがたいときは、一月分をこえて前渡することができる。
居宅において生活扶助を行う場合の保護金品は、世帯単位に計算し、世帯主 又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。
但し、これによりがたいときは、被保護者に対して個々に交付することができる。
地域密着型介護老人福祉施設(介護保険法第八条第二十二項に規定する地域密着型介護老人福祉施設をいう。以下同じ。)、介護老人福祉施設、介護老人保健施設(同条第二十八項に規定する介護老人保健施設をいう。以下同じ。)又は介護医療院(同条第二十九項に規定する介護医療院をいう。以下同じ。)であつて第五十四条の二第一項の規定により指定を受けたもの(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)において施設介護を受ける被保護者に対して生活扶助を行う場合の保護金品を前項に規定する者に交付することが適当でないとき その他保護の目的を達するために必要があるときは、同項の規定にかかわらず、当該地域密着型介護老人福祉施設 若しくは介護老人福祉施設の長 又は当該介護老人保健施設 若しくは介護医療院の管理者に対して交付することができる。
前条第一項ただし書の規定により生活扶助を行う場合の保護金品は、被保護者 又は施設の長 若しくは養護の委託を受けた者に対して交付するものとする。
教育扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
教育扶助のための保護金品は、被保護者、その親権者 若しくは未成年後見人 又は被保護者の通学する学校の長に対して交付するものとする。
住宅扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
住宅扶助のうち、住居の現物給付は、宿所提供施設を利用させ、又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとする。
第三十条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
住宅扶助のための保護金品は、世帯主 又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。
医療扶助は、現物給付によつて行うものとする。
ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。
前項に規定する現物給付のうち、医療の給付は、医療保護施設を利用させ、又は医療保護施設 若しくは第四十九条の規定により指定を受けた医療機関(以下「指定医療機関」という。)にこれを委託して行うものとする。
前項に規定する医療の給付のうち、医療を担当する医師 又は歯科医師が医学的知見に基づき 後発医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条 又は第十九条の二の規定による製造販売の承認を受けた医薬品のうち、同法第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能 及び効果が同一性を有すると認められたものであつて厚生労働省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする。
第二項に規定する医療の給付のうち、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)又は柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の規定によりあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師 又は柔道整復師(以下「施術者」という。)が行うことのできる範囲の施術については、第五十五条第一項の規定により指定を受けた施術者に委託してその給付を行うことを妨げない。
被保護者は、第二項に規定する医療の給付のうち、指定医療機関に委託して行うものを受けるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該指定医療機関から、電子資格確認 その他厚生労働省令で定める方法により、医療扶助を受給する被保護者であることの確認を受けるものとする。
前項の「電子資格確認」とは、被保護者が、保護の実施機関に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法 その他の厚生労働省令で定める方法により、被保護者の医療扶助の受給資格に係る情報(医療の給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法により、保護の実施機関から回答を受けて当該情報を医療の給付を受ける医療機関に提供し、当該医療機関から医療扶助を受給する被保護者であることの確認を受けることをいう。
急迫した事情 その他やむを得ない事情がある場合においては、被保護者は、第二項 及び第四項の規定にかかわらず、指定を受けない医療機関について医療の給付を受け、又は指定を受けない施術者について施術の給付を受けることができる。
介護扶助は、現物給付によつて行うものとする。
ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。
前項に規定する現物給付のうち、居宅介護、福祉用具の給付、施設介護、介護予防、介護予防福祉用具 及び介護予防・日常生活支援(第十五条の二第七項に規定する介護予防・日常生活支援をいう。第五十四条の二第一項において同じ。)の給付は、介護機関(その事業として居宅介護を行う者 及びその事業として居宅介護支援計画(第十五条の二第三項に規定する居宅介護支援計画をいう。第五十四条の二第一項 及び別表第二において同じ。)を作成する者、その事業として介護保険法第八条第十三項に規定する特定福祉用具販売を行う者(第五十四条の二第一項 及び別表第二において「特定福祉用具販売事業者」という。)、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設 及び介護医療院、その事業として介護予防を行う者 及びその事業として介護予防支援計画(第十五条の二第六項に規定する介護予防支援計画をいう。第五十四条の二第一項 及び別表第二において同じ。)を作成する者、その事業として同法第八条の二第十一項に規定する特定介護予防福祉用具販売を行う者(第五十四条の二第一項 及び別表第二において「特定介護予防福祉用具販売事業者」という。)並びに介護予防・日常生活支援事業者(その事業として同法第百十五条の四十五第一項第一号に規定する第一号事業を行う者をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)であつて、第五十四条の二第一項の規定により指定を受けたもの(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)にこれを委託して行うものとする。
前条第七項 及び第八項の規定は、介護扶助について準用する。
出産扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
前項ただし書に規定する現物給付のうち、助産の給付は、第五十五条第一項の規定により指定を受けた助産師に委託して行うものとする。
第三十四条第七項 及び第八項の規定は、出産扶助について準用する。
生業扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
前項但書に規定する現物給付のうち、就労のために必要な施設の供用 及び生業に必要な技能の授与は、授産施設 若しくは訓練を目的とするその他の施設を利用させ、又はこれらの施設にこれを委託して行うものとする。
生業扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。
但し、施設の供用 又は技能の授与のために必要な金品は、授産施設の長に対して交付することができる。
葬祭扶助は、金銭給付によつて行うものとする。
但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行う者に対して交付するものとする。
保護の実施機関は、保護の目的を達するために必要があるときは、第三十一条第三項本文 若しくは第三十三条第四項の規定により世帯主 若しくはこれに準ずる者に対して交付する保護金品、第三十一条第三項ただし書 若しくは第五項、第三十四条第八項(第三十四条の二第三項 及び第三十五条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第三十六条第三項の規定により被保護者に対して交付する保護金品、第三十二条第二項の規定により被保護者 若しくはその親権者 若しくは未成年後見人に対して交付する保護金品(以下この条において「教育扶助のための保護金品」という。)又は前条第二項の規定により葬祭を行う者に対して交付する保護金品のうち、介護保険料(介護保険法第百二十九条第一項に規定する保険料をいう。)その他の被保護者(教育扶助のための保護金品にあつては、その親権者 又は未成年後見人を含む。以下この条において同じ。)が支払うべき費用であつて政令で定めるものの額に相当する金銭について、被保護者に代わり、政令で定める者に支払うことができる。
この場合において、当該支払があつたときは、これらの規定により交付すべき者に対し当該保護金品の交付があつたものとみなす。
第六章 保護施設
救護施設は、身体上 又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。
更生施設は、身体上 又は精神上の理由により養護 及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。
医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設とする。
授産施設は、身体上 若しくは精神上の理由 又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労 又は技能の修得のために必要な機会 及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設とする。
宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設とする。
都道府県は、保護施設の設備 及び運営について、条例で基準を定めなければならない。
都道府県が前項の条例を定めるに当たつては、第一号から第三号までに掲げる事項については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、第四号に掲げる事項については厚生労働省令で定める基準を標準として定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌するものとする。
保護施設の運営に関する事項であつて、利用者の適切な処遇 及び安全の確保 並びに秘密の保持に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるもの
保護施設の設置者は、第一項の基準を遵守しなければならない。
都道府県は、保護施設を設置することができる。
市町村 及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
保護施設を設置した都道府県、市町村 及び地方独立行政法人は、現に入所中の被保護者の保護に支障のない限り、その保護施設を廃止し、又はその事業を縮少し、若しくは休止することができる。
都道府県 及び市町村の行う保護施設の設置 及び廃止は、条例で定めなければならない。
都道府県、市町村 及び地方独立行政法人のほか、保護施設は、社会福祉法人 及び日本赤十字社でなければ設置することができない。
社会福祉法人 又は日本赤十字社は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、左に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出して、その認可を受けなければならない。
設置者たる法人の名称 並びに代表者の氏名、住所 及び資産状況
経営の責任者 及び保護の実務に当る幹部職員の氏名 及び経歴
都道府県知事は、前項の認可の申請があつた場合に、その施設が第三十九条第一項の基準のほか、次の各号の基準に適合するものであるときは、これを認可しなければならない。
設置しようとする者の経済的基礎が確実であること。
その保護施設の主として利用される地域における要保護者の分布状況からみて、当該保護施設の設置が必要であること。
保護の実務に当たる幹部職員が厚生労働大臣の定める資格を有するものであること。
第一項の認可をするに当つて、都道府県知事は、その保護施設の存続期間を限り、又は保護の目的を達するために必要と認める条件を附することができる。
第二項の認可を受けた社会福祉法人 又は日本赤十字社は、同項第一号 又は第三号から第八号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の認可を受けなければならない。
この認可の申請があつた場合には、第三項の規定を準用する。
社会福祉法人 又は日本赤十字社は、保護施設を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その理由、現に入所中の被保護者に対する措置 及び財産の処分方法を明らかにし、かつ、第七十条、第七十二条 又は第七十四条の規定により交付を受けた交付金 又は補助金に残余額があるときは、これを返還して、休止 又は廃止の時期について都道府県知事の認可を受けなければならない。
都道府県知事は、保護施設の運営について、必要な指導をしなければならない。
社会福祉法人 又は日本赤十字社の設置した保護施設に対する前項の指導については、市町村長が、これを補助するものとする。
都道府県知事は、保護施設の管理者に対して、その業務 若しくは会計の状況 その他必要と認める事項の報告を命じ、又は当該職員に、その施設に立ち入り、その管理者からその設備 及び会計書類、診療録 その他の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)の閲覧 及び説明を求めさせ、若しくはこれを検査させることができる。
第二十八条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
厚生労働大臣は都道府県に対して、都道府県知事は市町村 及び地方独立行政法人に対して、次に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備 若しくは運営の改善、その事業の停止 又はその保護施設の廃止を命ずることができる。
その保護施設が第三十九条第一項の基準に適合しなくなつたとき。
その保護施設が存立の目的を失うに至つたとき。
その保護施設がこの法律 若しくはこれに基づく命令 又はこれらに基づいてする処分に違反したとき。
都道府県知事は、社会福祉法人 又は日本赤十字社に対して、左に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備 若しくは運営の改善 若しくはその事業の停止を命じ、又は第四十一条第二項の認可を取り消すことができる。
その保護施設が前項各号の一に該当するとき。
その保護施設が第四十一条第三項各号に規定する基準に適合しなくなつたとき。
その保護施設の経営につき営利を図る行為があつたとき。
正当な理由がないのに、第四十一条第二項第六号の予定年月日(同条第五項の規定により変更の認可を受けたときは、その認可を受けた予定年月日)までに事業を開始しないとき。
第四十一条第五項の規定に違反したとき。
前項の規定による処分に係る行政手続法第十五条第一項 又は第三十条の通知は、聴聞の期日 又は弁明を記載した書面の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)の十四日前までにしなければならない。
都道府県知事は、第二項の規定による認可の取消しに係る行政手続法第十五条第一項の通知をしたときは、聴聞の期日 及び場所を公示しなければならない。
第二項の規定による認可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
保護施設の設置者は、その事業を開始する前に、左に掲げる事項を明示した管理規程を定めなければならない。
職員の定数、区分 及び職務内容
その施設を利用する者に対する処遇方法
その施設を利用する者が守るべき規律
入所者に作業を課する場合には、その作業の種類、方法、時間 及び収益の処分方法
その他施設の管理についての重要事項
都道府県以外の者は、前項の管理規程を定めたときは、すみやかに、これを都道府県知事に届け出なければならない。
届け出た管理規程を変更しようとするときも、同様とする。
都道府県知事は、前項の規定により届け出られた管理規程の内容が、その施設を利用する者に対する保護の目的を達するために適当でないと認めるときは、その管理規程の変更を命ずることができる。
保護施設は、保護の実施機関から保護のための委託を受けたときは、正当の理由なくして、これを拒んではならない。
保護施設は、要保護者の入所 又は処遇に当たり、人種、信条、社会的身分 又は門地により、差別的 又は優先的な取扱いをしてはならない。
保護施設は、これを利用する者に対して、宗教上の行為、祝典、儀式 又は行事に参加することを強制してはならない。
保護施設は、当該職員が第四十四条の規定によつて行う立入検査を拒んではならない。
保護施設の長は、常に、その施設を利用する者の生活の向上及び更生を図ることに努めなければならない。
保護施設の長は、その施設を利用する者に対して、管理規程に従つて必要な指導をすることができる。
都道府県知事は、必要と認めるときは、前項の指導を制限し、又は禁止することができる。
保護施設の長は、その施設を利用する被保護者について、保護の変更、停止 又は廃止を必要とする事由が生じたと認めるときは、すみやかに、保護の実施機関に、これを届け出なければならない。
第七章 医療機関、介護機関及び助産機関
厚生労働大臣は、国の開設した病院 若しくは診療所 又は薬局について、都道府県知事は、その他の病院 若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)又は薬局について、この法律による医療扶助のための医療を担当させる機関を指定する。
厚生労働大臣による前条の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、病院 若しくは診療所 又は薬局の開設者の申請により行う。
厚生労働大臣は、前項の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、前条の指定をしてはならない。
当該申請に係る病院 若しくは診療所 又は薬局が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関 又は保険薬局でないとき。
申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
申請者が、この法律 その他国民の保健医療 若しくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
申請者が、第五十一条第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日前 六十日以内に当該指定を取り消された病院 若しくは診療所 又は薬局の管理者であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)であるとき。
ただし、当該指定の取消しの処分の理由となつた事実に関して申請者が有していた責任の程度を考慮して、この号本文に該当しないこととすることが相当であると認められるものとして厚生労働省令で定めるものに該当する場合を除く。
申請者が、第五十一条第二項の規定による指定の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日 又は処分をしないことを決定する日までの間に第五十一条第一項の規定による指定の辞退の申出をした者(当該指定の辞退について相当の理由がある者を除く。)で、当該申出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
申請者が、第五十四条第一項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき 第五十一条第二項の規定による指定の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣が当該申請者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第五十一条第一項の規定による指定の辞退の申出をした者(当該指定の辞退について相当の理由がある者を除く。)で、当該申出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
第五号に規定する期間内に第五十一条第一項の規定による指定の辞退の申出があつた場合において、申請者(当該指定の辞退について相当の理由がある者を除く。)が、同号の通知の日前 六十日以内に当該申出に係る病院 若しくは診療所 又は薬局の管理者であつた者で、当該申出の日から起算して五年を経過しないものであるとき。
申請者が、指定の申請前五年以内に被保護者の医療に関し不正 又は著しく不当な行為をした者であるとき。
当該申請に係る病院 若しくは診療所 又は薬局の管理者が第二号から前号までのいずれかに該当する者であるとき。
厚生労働大臣は、第一項の申請があつた場合において、当該申請に係る病院 若しくは診療所 又は薬局が次の各号のいずれかに該当するときは、前条の指定をしないことができる。
被保護者の医療について、その内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて第五十条第二項の規定による指導を受けたものであるとき。
前号のほか、医療扶助のための医療を担当させる機関として著しく不適当と認められるものであるとき。
前三項の規定は、都道府県知事による前条の指定について準用する。
この場合において、
第一項中
「診療所」とあるのは
「診療所(前条の政令で定めるものを含む。次項 及び第三項において同じ。)」と、
第二項第一号中
「又は保険薬局」とあるのは
「若しくは保険薬局 又は厚生労働省令で定める事業所 若しくは施設」と
読み替えるものとする。
第四十九条の指定は、六年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この条において「指定の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の指定は、指定の有効期間の満了後も その処分がされるまでの間は、なお その効力を有する。
前項の場合において、指定の更新がされたときは、その指定の有効期間は、従前の指定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
前条 及び健康保険法第六十八条第二項の規定は、第一項の指定の更新について準用する。
この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、懇切丁寧に被保護者の医療を担当しなければならない。
指定医療機関は、被保護者の医療について、厚生労働大臣 又は都道府県知事の行う指導に従わなければならない。
指定医療機関は、当該指定医療機関の名称 その他厚生労働省令で定める事項に変更があつたとき、又は当該指定医療機関の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を第四十九条の指定をした厚生労働大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。
指定医療機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
指定医療機関が、次の各号のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣の指定した医療機関については厚生労働大臣が、都道府県知事の指定した医療機関については都道府県知事が、その指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部 若しくは一部の効力を停止することができる。
指定医療機関が、第四十九条の二第二項第一号から第三号まで 又は第九号のいずれかに該当するに至つたとき。
指定医療機関が、第四十九条の二第三項各号のいずれかに該当するに至つたとき。
指定医療機関が、第五十条 又は次条の規定に違反したとき。
指定医療機関の診療報酬の請求に関し不正があつたとき。
指定医療機関が、第五十四条第一項の規定により報告 若しくは診療録、帳簿書類 その他の物件の提出 若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
指定医療機関の開設者 又は従業者が、第五十四条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
ただし、当該指定医療機関の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定医療機関の開設者が相当の注意 及び監督を尽くしたときを除く。
指定医療機関が、不正の手段により第四十九条の指定を受けたとき。
前各号に掲げる場合のほか、指定医療機関が、この法律 その他国民の保健医療 若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令 若しくは処分に違反したとき。
前各号に掲げる場合のほか、指定医療機関が、被保護者の医療に関し不正 又は著しく不当な行為をしたとき。
指定医療機関の管理者が指定の取消し 又は指定の全部 若しくは一部の効力の停止をしようとするとき前五年以内に被保護者の医療に関し不正 又は著しく不当な行為をした者であるとき。
指定医療機関の診療方針 及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針 及び診療報酬の例による。
前項に規定する診療方針 及び診療報酬によることのできないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針 及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。
都道府県知事は、指定医療機関の診療内容 及び診療報酬の請求を随時審査し、且つ、指定医療機関が前条の規定によつて請求することのできる診療報酬の額を決定することができる。
指定医療機関は、都道府県知事の行う前項の決定に従わなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定により指定医療機関の請求することのできる診療報酬の額を決定するに当つては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会 又は医療に関する審査機関で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
都道府県、市 及び福祉事務所を設置する町村は、指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金 又は厚生労働省令で定める者に委託することができる。
第一項の規定による診療報酬の額の決定については、審査請求をすることができない。
都道府県知事(厚生労働大臣の指定に係る指定医療機関については、厚生労働大臣 又は都道府県知事)は、医療扶助に関して必要があると認めるときは、指定医療機関 若しくは指定医療機関の開設者 若しくは管理者、医師、薬剤師 その他の従業者であつた者(以下この項において「開設者であつた者等」という。)に対して、必要と認める事項の報告 若しくは診療録、帳簿書類 その他の物件の提出 若しくは提示を命じ、指定医療機関の開設者 若しくは管理者、医師、薬剤師 その他の従業者(開設者であつた者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは当該指定医療機関について実地に、その設備 若しくは診療録、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。
第二十八条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による検査について準用する。
厚生労働大臣は、国の開設した地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設 又は介護医療院について、都道府県知事は、その他の地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設 若しくは介護医療院、その事業として居宅介護を行う者 若しくはその事業として居宅介護支援計画を作成する者、特定福祉用具販売事業者、その事業として介護予防を行う者 若しくはその事業として介護予防支援計画を作成する者、特定介護予防福祉用具販売事業者 又は介護予防・日常生活支援事業者について、この法律による介護扶助のための居宅介護 若しくは居宅介護支援計画の作成、福祉用具の給付、施設介護、介護予防 若しくは介護予防支援計画の作成、介護予防福祉用具 又は介護予防・日常生活支援の給付を担当させる機関を指定する。
介護機関について、別表第二の第一欄に掲げる介護機関の種類に応じ、それぞれ同表の第二欄に掲げる指定 又は許可があつたときは、その介護機関は、その指定 又は許可の時に前項の指定を受けたものとみなす。
ただし、当該介護機関(地域密着型介護老人福祉施設 及び介護老人福祉施設を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、別段の申出をしたときは、この限りではない。
前項の規定により第一項の指定を受けたものとみなされた別表第二の第一欄に掲げる介護機関に係る同項の指定は、当該介護機関が同表の第三欄に掲げる場合に該当するときは、その効力を失う。
第二項の規定により第一項の指定を受けたものとみなされた別表第二の第一欄に掲げる介護機関に係る同項の指定は、当該介護機関が同表の第四欄に掲げる場合に該当するときは、その該当する期間、その効力(それぞれ同欄に掲げる介護保険法の規定による指定 又は許可の効力が停止された部分に限る。)を停止する。
第四十九条の二(第二項第一号を除く。)の規定は、第一項の指定(介護予防・日常生活支援事業者に係るものを除く。)について、第五十条から前条までの規定は、同項の規定により指定を受けた介護機関(第二項本文の規定により第一項の指定を受けたものとみなされたものを含み、同項の指定を受けた介護予防・日常生活支援事業者(第二項本文の規定により第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)を除く。)について準用する。
この場合において、
第五十条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「第五十四条の二第一項の規定により指定を受けた介護機関(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含み、同項の指定を受けた介護予防・日常生活支援事業者(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)を除く。以下この章において「指定介護機関」という。)」と、
同条第二項 及び第五十条の二中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
第五十一条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関(地域密着型介護老人福祉施設 及び介護老人福祉施設に係るものを除く。)」と、
同条第二項、第五十二条第一項 及び第五十三条第一項から第三項までの規定中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
同項中
「社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会 又は医療に関する審査機関で政令で定めるもの」とあるのは
「介護保険法に定める介護給付費等審査委員会」と、
同条第四項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
「社会保険診療報酬支払基金 又は厚生労働省令で定める者」とあるのは
「国民健康保険団体連合会」と、
前条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第四十九条の二第一項 及び第三項の規定は、第一項の指定(介護予防・日常生活支援事業者に係るものに限る。)について、第五十条、第五十条の二、第五十一条(第二項第一号、第八号 及び第十号を除く。)、第五十二条から前条までの規定は、第一項の規定により指定を受けた介護機関(同項の指定を受けた介護予防・日常生活支援事業者(第二項本文の規定により第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)に限る。)について準用する。
この場合において、
第四十九条の二第一項 及び第三項中
「厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
第五十条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「第五十四条の二第一項の規定により指定を受けた介護機関(同項の指定を受けた介護予防・日常生活支援事業者(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)に限る。以下この章において「指定介護機関」という。)」と、
同条第二項 及び第五十条の二中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
「厚生労働大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「都道府県知事」と、
第五十一条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
同条第二項中
「指定医療機関が、次の」とあるのは
「指定介護機関が、次の」と、
「厚生労働大臣の指定した医療機関については厚生労働大臣が、都道府県知事の指定した医療機関については都道府県知事が」とあるのは
「都道府県知事は」と、
同項第二号から第七号まで 及び第九号、第五十二条第一項 並びに第五十三条第一項から第三項までの規定中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
同項中
「社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会 又は医療に関する審査機関で政令で定めるもの」とあるのは
「介護保険法に定める介護給付費等審査委員会」と、
同条第四項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関」と、
「社会保険診療報酬支払基金 又は厚生労働省令で定める者」とあるのは
「国民健康保険団体連合会」と、
前条第一項中
「都道府県知事(厚生労働大臣の指定に係る指定医療機関については、厚生労働大臣 又は都道府県知事)」とあるのは
「都道府県知事」と、
「指定医療機関 若しくは指定医療機関」とあるのは
「指定介護機関 若しくは指定介護機関」と、
「命じ、指定医療機関」とあるのは
「命じ、指定介護機関」と、
「当該指定医療機関」とあるのは
「当該指定介護機関」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
都道府県知事は、助産師 又はあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師 若しくは柔道整復師について、この法律による出産扶助のための助産 又はこの法律による医療扶助のための施術を担当させる機関を指定する。
第四十九条の二第一項、第二項(第一号、第四号ただし書、第七号 及び第九号を除く。)及び第三項の規定は、前項の指定について、第五十条、第五十条の二、第五十一条(第二項第四号、第六号ただし書 及び第十号を除く。)及び第五十四条の規定は、前項の規定により指定を受けた助産師 並びにあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師 及び柔道整復師について準用する。
この場合において、
第四十九条の二第一項 及び第二項中
「厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
同項第四号中
「者(当該取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該指定を取り消された病院 若しくは診療所 又は薬局の管理者であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)」とあるのは
「者」と、
同条第三項中
「厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県知事」と、
第五十条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「第五十五条第一項の規定により指定を受けた助産師 又はあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師 若しくは柔道整復師(以下この章においてそれぞれ「指定助産機関」又は「指定施術機関」という。)」と、
同条第二項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関」と、
「厚生労働大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「都道府県知事」と、
第五十条の二中
「指定医療機関は」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関は」と、
「指定医療機関の」とあるのは
「指定助産機関 若しくは指定施術機関の」と、
「厚生労働大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「都道府県知事」と、
第五十一条第一項中
「指定医療機関」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関」と、
同条第二項中
「指定医療機関が、次の」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関が、次の」と、
「厚生労働大臣の指定した医療機関については厚生労働大臣が、都道府県知事の指定した医療機関については都道府県知事が」とあるのは
「都道府県知事は」と、
同項第一号から第三号まで 及び第五号中
「指定医療機関」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関」と、
同項第六号中
「指定医療機関の開設者 又は従業者」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関」と、
同項第七号から第九号までの規定中
「指定医療機関」とあるのは
「指定助産機関 又は指定施術機関」と、
第五十四条第一項中
「都道府県知事(厚生労働大臣の指定に係る指定医療機関については、厚生労働大臣 又は都道府県知事)」とあるのは
「都道府県知事」と、
「指定医療機関 若しくは指定医療機関の開設者 若しくは管理者、医師、薬剤師 その他の従業者であつた者(以下この項において「開設者であつた者等」という。)」とあり、及び「指定医療機関の開設者 若しくは管理者、医師、薬剤師 その他の従業者(開設者であつた者等を含む。)」とあるのは
「指定助産機関 若しくは指定施術機関 若しくはこれらであつた者」と、
「当該指定医療機関」とあるのは
「当該指定助産機関 若しくは指定施術機関」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第五十二条 及び第五十三条の規定は、医療保護施設について準用する。
厚生労働大臣 又は都道府県知事は、次に掲げる場合には、その旨を告示しなければならない。
第四十九条、第五十四条の二第一項 又は第五十五条第一項の指定をしたとき。
第五十条の二(第五十四条の二第四項 及び第五項 並びに第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出があつたとき。
第五十一条第一項(第五十四条の二第四項 及び第五項 並びに第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による第四十九条、第五十四条の二第一項 又は第五十五条第一項の指定の辞退があつたとき。
第五十一条第二項(第五十四条の二第四項 及び第五項 並びに第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定により第四十九条、第五十四条の二第一項 又は第五十五条第一項の指定を取り消したとき。
第八章 就労自立給付金及び進学・就職準備給付金
都道府県知事、市長 及び福祉事務所を管理する町村長は、被保護者の自立の助長を図るため、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する(居住地がないか、又は明らかでないときは、当該所管区域内にある)被保護者であつて、厚生労働省令で定める安定した職業に就いたこと その他厚生労働省令で定める事由により保護を必要としなくなつたと認めたものに対して、厚生労働省令で定めるところにより、就労自立給付金を支給する。
前項の規定により就労自立給付金を支給する者は、就労自立給付金の支給に関する事務の全部 又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
第一項の規定により就労自立給付金を支給する者は、就労自立給付金の支給に関する事務の一部を、政令で定めるところにより、他の就労自立給付金を支給する者に委託して行うことを妨げない。
都道府県知事、市長 及び福祉事務所を管理する町村長は、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する(居住地がないか、又は明らかでないときは当該所管区域内にある)被保護者(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者 その他厚生労働省令で定める者に限る。)であつて、次の各号のいずれかに該当するものに対して、厚生労働省令で定めるところにより、進学・就職準備給付金を支給する。
教育訓練施設のうち教育訓練の内容 その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるもの(次条において「特定教育訓練施設」という。)に確実に入学すると見込まれる者
前条第二項 及び第三項の規定は、進学・就職準備給付金の支給について準用する。
第五十五条の四第一項の規定により就労自立給付金を支給する者 又は前条第一項の規定により進学・就職準備給付金を支給する者(第六十九条において「支給機関」という。)は、就労自立給付金 若しくは進学・就職準備給付金の支給 又は第七十八条第三項の規定の施行のために必要があると認めるときは、被保護者 若しくは被保護者であつた者 又はこれらの者に係る雇主(被保護者を雇用しようとする者を含む。)若しくは特定教育訓練施設の長 その他の関係人に、報告を求めることができる。
第九章 被保護者就労支援事業及び被保護者健康管理支援事業
保護の実施機関は、就労の支援に関する問題につき、被保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言を行う事業(以下「被保護者就労支援事業」という。)を実施するものとする。
保護の実施機関は、被保護者就労支援事業の事務の全部 又は一部を当該保護の実施機関以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる。
前項の規定による委託を受けた者 若しくはその役員 若しくは職員 又はこれらの者であつた者は、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
保護の実施機関は、被保護者に対する必要な情報の提供、保健指導、医療の受診の勧奨 その他の被保護者の健康の保持 及び増進を図るための事業(以下「被保護者健康管理支援事業」という。)を実施するものとする。
保護の実施機関は、被保護者健康管理支援事業の実施に関し必要があると認めるときは、市町村長 その他厚生労働省令で定める者に対し、被保護者に対する健康増進法(平成十四年法律第百三号)による健康増進事業の実施に関する情報 その他厚生労働省令で定める必要な情報の提供を求めることができる。
前条第二項 及び第三項の規定は、被保護者健康管理支援事業を行う場合について準用する。
厚生労働大臣は、被保護者健康管理支援事業の実施に資するため、被保護者の年齢別 及び地域別の疾病の動向 その他被保護者の医療に関する情報について調査 及び分析を行い、保護の実施機関に対して、当該調査 及び分析の結果を提供するものとする。
保護の実施機関は、厚生労働大臣に対して、前項の規定による調査 及び分析の実施に必要な情報を、厚生労働省令で定めるところにより提供しなければならない。
厚生労働大臣は、第一項の規定による調査 及び分析に係る事務の一部を厚生労働省令で定める者に委託することができる。
この場合において、厚生労働大臣は、委託を受けた者に対して、当該調査 及び分析の実施に必要な範囲内において、当該調査 及び分析に必要な情報を提供することができる。
前項の規定による委託を受けた者 若しくはその役員 若しくは職員 又はこれらの者であつた者は、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第十章 被保護者の権利及び義務
被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない。
被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持 及び増進に努め、収入、支出 その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持 及び向上に努めなければならない。
被保護者は、収入、支出 その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地 若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関 又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。
被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設 若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導 又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
保護施設を利用する被保護者は、第四十六条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。
保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止 又は廃止をすることができる。
保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止 又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。
この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時 及び場所を通知しなければならない。
第三項の規定による処分については、行政手続法第三章(第十二条 及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県 又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
第十一章 不服申立て
第十九条第四項の規定により市町村長が保護の決定 及び実施に関する事務の全部 又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分 並びに第五十五条の四第二項(第五十五条の五第二項において準用する場合を含む。第六十六条第一項において同じ。)の規定により市町村長が就労自立給付金 又は進学・就職準備給付金の支給に関する事務の全部 又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。
厚生労働大臣 又は都道府県知事は、保護の決定 及び実施に関する処分 又は就労自立給付金 若しくは進学・就職準備給付金の支給に関する処分についての審査請求がされたときは、当該審査請求がされた日(行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じた場合にあつては、当該不備が補正された日)から次の各号に掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該各号に定める期間内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
行政不服審査法第四十三条第一項の規定による諮問をする場合
七十日
前号に掲げる場合以外の場合
五十日
審査請求人は、審査請求をした日(行政不服審査法第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあつては、当該不備を補正した日。第一号において同じ。)から次の各号に掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該各号に定める期間内に裁決がないときは、厚生労働大臣 又は都道府県知事が当該審査請求を棄却したものとみなすことができる。
当該審査請求をした日から五十日以内に行政不服審査法第四十三条第三項の規定により通知を受けた場合
七十日
前号に掲げる場合以外の場合
五十日
市町村長がした保護の決定 及び実施に関する処分 若しくは第十九条第四項の規定による委任に基づいて行政庁がした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決 又は市町村長がした就労自立給付金 若しくは進学・就職準備給付金の支給に関する処分 若しくは第五十五条の四第二項の規定による委任に基づいて行政庁がした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。
前条第一項(各号を除く。)の規定は、再審査請求の裁決について準用する。
この場合において、
同項中
「当該審査請求」とあるのは
「当該再審査請求」と、
「第二十三条」とあるのは
「第六十六条第一項において読み替えて準用する同法第二十三条」と、
「次の各号に掲げる場合の区分に応じそれぞれ当該各号に定める期間内」とあるのは
「七十日以内」と
読み替えるものとする。
この法律の規定に基づき保護の実施機関 又は支給機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。
第十二章 費用
市町村は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する次に掲げる費用
保護の実施に要する費用(以下「保護費」という。)
第三十条第一項ただし書、第三十三条第二項 又は第三十六条第二項の規定により被保護者を保護施設に入所させ、若しくは入所を委託し、又は保護施設を利用させ、若しくは保護施設にこれを委託する場合に、これに伴い必要な保護施設の事務費(以下「保護施設事務費」という。)
第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を日常生活支援住居施設 若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはその入所をこれらの施設に委託し、又は私人の家庭に養護を委託する場合に、これに伴い必要な事務費(以下「委託事務費」という。)
その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、都道府県知事 又は他の市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費
その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費
その設置する保護施設の設備に要する費用(以下「設備費」という。)
その長が第五十五条の四第一項の規定により行う就労自立給付金の支給(同条第三項の規定により委託を受けて行うものを含む。)及び第五十五条の五第一項の規定により行う進学・就職準備給付金の支給(同条第二項において準用する第五十五条の四第三項の規定により委託を受けて行うものを含む。)に要する費用
その長が第五十五条の七の規定により行う被保護者就労支援事業 及び第五十五条の八の規定により行う被保護者健康管理支援事業の実施に要する費用
この法律の施行に伴い必要なその人件費
この法律の施行に伴い必要なその事務費(以下「行政事務費」という。)
都道府県は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費
その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の都道府県知事 又は市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費
その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有する者(その所管区域外に居住地を有する者を除く。)に対して、町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費
その長が第五十五条の四第一項の規定により行う就労自立給付金の支給(同条第三項の規定により委託を受けて行うものを含む。)及び第五十五条の五第一項の規定により行う進学・就職準備給付金の支給(同条第二項において準用する第五十五条の四第三項の規定により委託を受けて行うものを含む。)に要する費用
その長が第五十五条の七の規定により行う被保護者就労支援事業 及び第五十五条の八の規定により行う被保護者健康管理支援事業の実施に要する費用
この法律の施行に伴い必要なその人件費
この法律の施行に伴い必要なその行政事務費
都道府県、市 及び福祉事務所を設置する町村は、政令の定めるところにより、その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内の保護施設、指定医療機関 その他これらに準ずる施設で厚生労働大臣の指定するものにある被保護者につき 他の都道府県 又は市町村が支弁すべき保護費 及び保護施設事務費を一時繰替支弁しなければならない。
都道府県、市 及び福祉事務所を設置する町村は、その長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
町村は、その長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費 及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
都道府県は、政令で定めるところにより、次に掲げる費用を負担しなければならない。
居住地がないか、又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費 及び委託事務費の四分の一
宿所提供施設 又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十八条に規定する母子生活支援施設(第四号において「母子生活支援施設」という。)にある被保護者(これらの施設を利用するに至る前からその施設の所在する市町村の区域内に居住地を有していた被保護者を除く。同号において同じ。)につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した保護費、保護施設事務費 及び委託事務費の四分の一
居住地がないか、又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した就労自立給付金費(就労自立給付金の支給に要する費用をいう。以下同じ。)及び進学・就職準備給付金費(進学・就職準備給付金の支給に要する費用をいう。以下同じ。)の四分の一
宿所提供施設 又は母子生活支援施設にある被保護者につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した就労自立給付金費 及び進学・就職準備給付金費の四分の一
都道府県は、左に掲げる場合においては、第四十一条の規定により設置した保護施設の修理、改造、拡張 又は整備に要する費用の四分の三以内を補助することができる。
その保護施設を利用することがその地域における被保護者の保護のため極めて効果的であるとき。
その地域に都道府県 又は市町村の設置する同種の保護施設がないか、又はあつても これに収容 若しくは供用の余力がないとき。
第四十三条から第四十五条までに規定するものの外、前項の規定により補助を受けた保護施設に対する監督については、左の各号による。
厚生労働大臣は、その保護施設に対して、その業務 又は会計の状況について必要と認める事項の報告を命ずることができる。
厚生労働大臣 及び都道府県知事は、その保護施設の予算が、補助の効果を上げるために不適当と認めるときは、その予算について、必要な変更をすべき旨を指示することができる。
厚生労働大臣 及び都道府県知事は、その保護施設の職員が、この法律 若しくはこれに基く命令 又はこれらに基いてする処分に違反したときは、当該職員を解職すべき旨を指示することができる。
社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第一号の規定 又は同法第三条第一項第四号 及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡 又は貸付を受けた保護施設に準用する。
国は、政令で定めるところにより、次に掲げる費用を負担しなければならない。
市町村 及び都道府県が支弁した保護費、保護施設事務費 及び委託事務費の四分の三
市町村 及び都道府県が支弁した就労自立給付金費 及び進学・就職準備給付金費の四分の三
市町村が支弁した被保護者就労支援事業 及び被保護者健康管理支援事業に係る費用のうち、当該市町村における人口、被保護者の数 その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額の四分の三
都道府県が支弁した被保護者就労支援事業 及び被保護者健康管理支援事業に係る費用のうち、当該都道府県の設置する福祉事務所の所管区域内の町村における人口、被保護者の数 その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額の四分の三
国は、政令の定めるところにより、都道府県が第七十四条第一項の規定により保護施設の設置者に対して補助した金額の三分の二以内を補助することができる。
第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭 及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
都道府県 又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。
都道府県 又は市町村は、被保護者の医療扶助 又は介護扶助を受けた事由が第三者の行為によつて生じたときは、その支弁した保護費の限度において、被保護者が当該第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
就労自立給付金 又は進学・就職準備給付金の支給を受ける権利は、これを行うことができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県 又は市町村の長は、その費用の全部 又は一部を、その者から徴収することができる。
前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。
急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けた者があるとき(徴収することが適当でないときとして厚生労働省令で定めるときを除く。)は、保護に要する費用を支弁した都道府県 又は市町村の長は、第六十三条の保護の実施機関の定める額の全部 又は一部をその者から徴収することができる。
前項の規定による徴収金は、この法律に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収することができる。
不実の申請 その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県 又は市町村の長は、その費用の額の全部 又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
偽り その他不正の行為によつて医療、介護 又は助産 若しくは施術の給付に要する費用の支払を受けた指定医療機関、第五十四条の二第一項の規定により指定を受けた介護機関(同条第二項本文の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされたものを含む。)又は第五十五条第一項の規定により指定を受けた助産師 若しくはあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師 若しくは柔道整復師(以下この項において「指定医療機関等」という。)があるときは、当該費用を支弁した都道府県 又は市町村の長は、その支弁した額のうち返還させるべき額をその指定医療機関等から徴収するほか、その返還させるべき額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
偽り その他不正な手段により就労自立給付金 若しくは進学・就職準備給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、就労自立給付金費 又は進学・就職準備給付金費を支弁した都道府県 又は市町村の長は、その費用の額の全部 又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
前条第二項の規定は、前三項の規定による徴収金について準用する。
保護の実施機関は、被保護者が、保護金品(金銭給付によつて行うものに限る。)の交付を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護金品の一部を、第七十七条の二第一項 又は前条第一項の規定により保護費を支弁した都道府県 又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出た場合において、保護の実施機関が当該被保護者の生活の維持に支障がないと認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して保護金品を交付する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。
第五十五条の四第一項の規定により就労自立給付金を支給する者は、被保護者が、就労自立給付金の支給を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該就労自立給付金の額の全部 又は一部を、第七十七条の二第一項 又は前条第一項の規定により保護費を支弁した都道府県 又は市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者に対して就労自立給付金を支給する際に当該申出に係る徴収金を徴収することができる。
前二項の規定により第七十七条の二第一項 又は前条第一項の規定による徴収金が徴収されたときは、当該被保護者に対して当該保護金品(第一項の申出に係る部分に限る。)の交付 又は当該就労自立給付金(前項の申出に係る部分に限る。)の支給があつたものとみなす。
国 又は都道府県は、左に掲げる場合においては、補助金 又は負担金の交付を受けた保護施設の設置者に対して、既に交付した補助金 又は負担金の全部 又は一部の返還を命ずることができる。
補助金 又は負担金の交付条件に違反したとき。
詐偽 その他不正な手段をもつて、補助金 又は負担金の交付を受けたとき。
保護施設の経営について、営利を図る行為があつたとき。
保護施設が、この法律 若しくはこれに基く命令 又はこれらに基いてする処分に違反したとき。
保護の実施機関は、保護の変更、廃止 又は停止に伴い、前渡した保護金品の全部 又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返還させないことができる。
第十三章 雑則
厚生労働大臣、保護の実施機関、都道府県知事、市町村長、指定医療機関 その他の保護の決定 若しくは実施に関する事務 若しくは被保護者健康管理支援事業の実施に関する事務 又はこれらに関連する事務(以下この項 及び次項において「保護の決定・実施に関する事務等」という。)の遂行のため受給者番号等(公費負担者番号(厚生労働大臣が保護の決定・実施に関する事務等において保護の実施機関を識別するための番号として、保護の実施機関ごとに定めるものをいう。)及び受給者番号(保護の実施機関が被保護者に係る情報を管理するための番号として、被保護者ごとに定めるものをいう。)をいう。以下この条において同じ。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該保護の決定・実施に関する事務等の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者 又はその者以外の者に係る受給者番号等を告知することを求めてはならない。
厚生労働大臣等以外の者は、保護の決定・実施に関する事務等の遂行のため受給者番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者 又はその者以外の者に係る受給者番号等を告知することを求めてはならない。
何人も、次に掲げる場合を除き、その者が業として行う行為に関し、その者に対し売買、貸借、雇用 その他の契約(以下この項において「契約」という。)の申込みをしようとする者 若しくは申込みをする者 又はその者と契約の締結をした者に対し、当該者 又は当該者以外の者に係る受給者番号等を告知することを求めてはならない。
厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、受給者番号等を告知することを求めるとき。
厚生労働大臣等以外の者が、前項に規定する厚生労働省令で定める場合に、受給者番号等を告知することを求めるとき。
何人も、次に掲げる場合を除き、業として、受給者番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る受給者番号等を含む情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であつて、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。
厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、提供データベースを構成するとき。
厚生労働大臣等以外の者が、第二項に規定する厚生労働省令で定める場合に、提供データベースを構成するとき。
厚生労働大臣は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。
厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。
厚生労働大臣は、前条第五項 及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項 若しくは第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対し、必要な事項に関し報告を求め、又は当該職員に当該者の事務所 若しくは事業所に立ち入つて質問させ、若しくは帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。
第二十八条第三項の規定は前項の規定による質問 又は検査について、同条第四項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。
保護の実施機関は、前項の規定により事務を委託する場合は、他の保護の実施機関、社会保険診療報酬支払基金法第一条に規定する保険者 及び法令の規定により医療に関する給付 その他の事務を行う者であつて厚生労働省令で定めるものと共同して委託するものとする。
国、都道府県 及び市町村 並びに指定医療機関 その他の関係者は、第三十四条第六項に規定する電子資格確認の仕組みの導入 その他手続における情報通信の技術の利用の推進により、医療保険各法等(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第七条第一項に規定する医療保険各法 及び高齢者の医療の確保に関する法律をいう。)その他医療に関する給付を定める法令の規定により行われる事務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。
被保護者が未成年者 又は成年被後見人である場合において、親権者 及び後見人の職務を行う者がないときは、保護の実施機関は、すみやかに、後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
都道府県知事は、前項に規定するもののほか、市町村長に対し、被保護者就労支援事業 及び被保護者健康管理支援事業の効果的かつ効率的な実施のため、必要な助言 その他の援助を行うことができる。
保護の実施機関は、第二十六条の規定により保護の廃止を行うに際しては、当該保護を廃止される者が生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)第三条第一項に規定する生活困窮者に該当する場合には、当該者に対して、同法に基づく事業 又は給付金についての情報の提供、助言 その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
町村が一部事務組合 又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合 又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その一部事務組合の管理者(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十七条の三第二項の規定により管理者に代えて理事会を置く同法第二百八十五条の一部事務組合にあつては、理事会)又は広域連合の長(同法第二百九十一条の十三において準用する同法第二百八十七条の三第二項の規定により長に代えて理事会を置く広域連合にあつては、理事会)を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
町村の福祉事務所の設置 又は廃止により保護の実施機関に変更があつた場合においては、変更前の保護の実施機関がした保護の開始 又は変更の申請の受理 及び保護に関する決定は、変更後の保護の実施機関がした申請の受理 又は決定とみなす。
但し、変更前に行われ、又は行われるべきであつた保護に関する費用の支弁 及び負担については、変更がなかつたものとする。
都道府県知事は、指定医療機関について第五十一条第二項の規定によりその指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部 若しくは一部の効力を停止した場合において、健康保険法第八十条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、その事実を通知しなければならない。
この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続 その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。
この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市 又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。
この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。
第六十六条第一項の規定は、前項の規定により指定都市等の長がした処分に係る審査請求について準用する。
身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十八条第二項の規定により障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下この条において「障害者支援施設」という。)に入所している者、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第十六条第一項第二号の規定により障害者支援施設 若しくは独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下この条において「のぞみの園」という。)に入所している者、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第一号の規定により養護老人ホームに入所し、若しくは同項第二号の規定により特別養護老人ホームに入所している者 又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十九条第一項 若しくは第三十条第一項の規定により同法第十九条第一項に規定する介護給付費等の支給を受けて障害者支援施設、のぞみの園 若しくは同法第五条第一項の主務省令で定める施設に入所している者に対する保護については、その者がこれらの施設に引き続き入所している間、その者は、第三十条第一項ただし書の規定により入所しているものとみなして、第十九条第三項の規定を適用する。
第五十四条第一項(第五十四条の二第五項 及び第六項 並びに第五十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、被保護者の利益を保護する緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣 又は都道府県知事が行うものとする。
この場合においては、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るものに限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。
前項の場合において、厚生労働大臣 又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。
別表第三の上欄に掲げる地方公共団体がそれぞれ同表の下欄に掲げる規定により処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
不実の申請 その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
偽りその他不正な手段により就労自立給付金 若しくは進学・就職準備給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
ただし、刑法に正条があるときは、刑法による。
第五十五条の七第三項(第五十五条の八第三項において準用する場合を含む。)及び第五十五条の九第四項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
第八十条の二第六項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
正当な理由がなくて第四十四条第一項、第五十四条第一項(第五十四条の二第五項 及び第六項 並びに第五十五条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)、第五十五条の六、第七十四条第二項第一号 若しくは第八十条の三第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、正当な理由がなくて第五十四条第一項の規定による物件の提出 若しくは提示をせず、若しくは虚偽の物件の提出 若しくは提示をし、同項 若しくは第八十条の三第一項の規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は正当な理由がなくて第二十八条第一項(要保護者が違反した場合を除く。)、第四十四条第一項、第五十四条第一項 若しくは第八十条の三第一項の規定による当該職員の調査 若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
法人(法人でない社団 又は財団で代表者 又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者 又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人 又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。