相続財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、被相続人の相続開始の時の住所 又は相続財産に属する財産が日本国内にあるときに限り、することができる。
破産法
第一節 相続財産の破産
前項の規定による管轄裁判所がないときは、相続財産に関する破産事件は、相続財産に属する財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
相続財産に関する破産事件に対する第五条第八項 及び第九項 並びに第七条第五号の規定の適用については、
第五条第八項 及び第九項中
「第一項 及び第二項」とあるのは
「第二百二十二条第二項 及び第三項」と、
第七条第五号中
「同条第一項 又は第二項」とあるのは
「第二百二十二条第二項 又は第三項」と
する。
前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、相続財産に関する破産事件は、先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
相続財産に対する第三十条第一項の規定の適用については、
同項中
「破産手続開始の原因となる事実があると認めるとき」とあるのは、
「相続財産をもって相続債権者 及び受遺者に対する債務を完済することができないと認めるとき」と
する。
相続財産については、相続債権者 又は受遺者のほか、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人 又は遺言執行者(相続財産の管理に必要な行為をする権利を有する遺言執行者に限る。以下 この節において同じ。)も、破産手続開始の申立てをすることができる。
次の各号に掲げる者が相続財産について破産手続開始の申立てをするときは、それぞれ当該各号に定める事実を疎明しなければならない。
相続債権者 又は受遺者
その有する債権の存在 及び当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人 又は遺言執行者
当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
相続財産については、民法第九百四十一条第一項の規定により財産分離の請求をすることができる間に限り、破産手続開始の申立てをすることができる。
ただし、限定承認 又は財産分離があったときは、相続債権者 及び受遺者に対する弁済が完了するまでの間も、破産手続開始の申立てをすることができる。
裁判所は、破産手続開始の申立て後破産手続開始の決定前に債務者について相続が開始したときは、相続債権者、受遺者、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人 又は遺言執行者の申立てにより、当該相続財産についてその破産手続を続行する旨の決定をすることができる。
前項に規定する続行の申立ては、相続が開始した後一月以内にしなければならない。
第一項に規定する破産手続は、前項の期間内に第一項に規定する続行の申立てがなかった場合はその期間が経過した時に、前項の期間内に第一項に規定する続行の申立てがあった場合で当該申立てを却下する裁判が確定したときはその時に、それぞれ終了する。
第一項に規定する続行の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判所は、破産手続開始の決定後に破産者について相続が開始したときは、当該相続財産についてその破産手続を続行する。
相続財産についての破産手続開始の決定は、限定承認 又は財産分離を妨げない。
ただし、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認 又は財産分離の手続は、中止する。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
この場合においては、被相続人が相続人に対して有していた権利は、消滅しなかったものとみなす。
前項に規定する場合において、相続人が既に同項の反対給付を受けているときは、相続人は、当該反対給付を破産財団に返還しなければならない。
ただし、相続人が当該反対給付を受けた当時、破産手続開始の原因となる事実 又は破産手続開始の申立てがあったことを知らなかったときは、その現に受けている利益を返還すれば足りる。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人 若しくは債権者委員会の請求 又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。
前項の規定は、同項第二号 又は第三号に掲げる者であった者について準用する。
第三十七条 及び第三十八条の規定は、相続財産について破産手続開始の決定があった場合における相続人 並びにその法定代理人 及び支配人について準用する。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続債権者 及び受遺者は、相続人について破産手続開始の決定があったときでも、その債権の全額について破産手続に参加することができる。
相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続債権者の債権は、受遺者の債権に優先する。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続人が被相続人に対して有していた権利は、消滅しなかったものとみなす。
この場合においては、相続人は、被相続人に対して有していた債権について、相続債権者と同一の権利を有する。
前項に規定する場合において、相続人が相続債権者に対して自己の固有財産をもって弁済 その他の債務を消滅させる行為をしたときは、相続人は、その出えんの額の範囲内において、当該相続債権者が被相続人に対して有していた権利を行使することができる。
相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人の債権者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合における第六章第二節の規定の適用については、被相続人、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人 又は遺言執行者が相続財産に関してした行為は、破産者がした行為とみなす。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合において、受遺者に対する担保の供与 又は債務の消滅に関する行為がその債権に優先する債権を有する破産債権者を害するときは、当該行為を否認することができる。
第百六十七条第二項の規定は、前項の行為が同項の規定により否認された場合について準用する。
この場合において、
同条第二項中
「破産債権者を害すること」とあるのは、
「第二百三十五条第一項の破産債権者を害すること」と
読み替えるものとする。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合において、被相続人、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人 又は遺言執行者が相続財産に関してした行為が否認されたときは、破産管財人は、相続債権者に弁済をした後、否認された行為の相手方にその権利の価額に応じて残余財産を分配しなければならない。
相続財産の破産についての第二百十八条第一項の申立ては、相続人がする。
相続人が数人あるときは、前項の申立ては、各相続人がすることができる。