第二十一条 又は第二十三条第一項に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権等保有者」という。)は、その著作物について、文書 若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書 又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項 及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送 又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項 及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
著作権法
第三章 出版権
複製権等保有者は、その複製権 又は公衆送信権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。
出版権者は、設定行為で定めるところにより、その出版権の目的である著作物について、次に掲げる権利の全部 又は一部を専有する。
頒布の目的をもつて、原作のまま印刷 その他の機械的 又は化学的方法により文書 又は図画として複製する権利(原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む。)
原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利
出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、出版権の設定後最初の出版行為 又は公衆送信行為(第八十三条第二項 及び第八十四条第三項において「出版行為等」という。)があつた日から三年を経過したときは、複製権等保有者は、前項の規定にかかわらず、当該著作物について、全集 その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)に収録して複製し、又は公衆送信を行うことができる。
出版権者は、複製権等保有者の承諾を得た場合に限り、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製 又は公衆送信を許諾することができる。
第六十三条第二項、第三項 及び第六項 並びに第六十三条の二の規定は、前項の場合について準用する。
この場合において、
第六十三条第三項中
「著作権者」とあるのは
「第七十九条第一項の複製権等保有者 及び出版権者」と、
同条第六項中
「第二十三条第一項」とあるのは
「第八十条第一項(第二号に係る部分に限る。)」と
読み替えるものとする。
出版権者は、次の各号に掲げる区分に応じ、その出版権の目的である著作物につき当該各号に定める義務を負う。
ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
前条第一項第一号に掲げる権利に係る出版権者(次条において「第一号出版権者」という。)
次に掲げる義務
複製権等保有者からその著作物を複製するために必要な原稿 その他の原品 若しくはこれに相当する物の引渡し 又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について出版行為を行う義務
当該著作物について慣行に従い継続して出版行為を行う義務
前条第一項第二号に掲げる権利に係る出版権者(次条第一項第二号 及び第百四条の十の三第二号ロにおいて「第二号出版権者」という。)
次に掲げる義務
複製権等保有者からその著作物について公衆送信を行うために必要な原稿 その他の原品 若しくはこれに相当する物の引渡し 又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について公衆送信行為を行う義務
当該著作物について慣行に従い継続して公衆送信行為を行う義務
著作者は、次に掲げる場合には、正当な範囲内において、その著作物に修正 又は増減を加えることができる。
その著作物を第一号出版権者が改めて複製する場合
その著作物について第二号出版権者が公衆送信を行う場合
第一号出版権者は、その出版権の目的である著作物を改めて複製しようとするときは、その都度、あらかじめ著作者にその旨を通知しなければならない。
出版権の存続期間は、設定行為で定めるところによる。
出版権は、その存続期間につき設定行為に定めがないときは、その設定後最初の出版行為等があつた日から三年を経過した日において消滅する。
出版権者が第八十一条第一号(イに係る部分に限る。)又は第二号(イに係る部分に限る。)の義務に違反したときは、複製権等保有者は、出版権者に通知してそれぞれ第八十条第一項第一号 又は第二号に掲げる権利に係る出版権を消滅させることができる。
出版権者が第八十一条第一号(ロに係る部分に限る。)又は第二号(ロに係る部分に限る。)の義務に違反した場合において、複製権等保有者が三月以上の期間を定めてその履行を催告したにもかかわらず、その期間内にその履行がされないときは、複製権等保有者は、出版権者に通知してそれぞれ第八十条第一項第一号 又は第二号に掲げる権利に係る出版権を消滅させることができる。
複製権等保有者である著作者は、その著作物の内容が自己の確信に適合しなくなつたときは、その著作物の出版行為等を廃絶するために、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。
ただし、当該廃絶により出版権者に通常生ずべき損害をあらかじめ賠償しない場合は、この限りでない。
第三十条の二から第三十条の四まで、第三十一条第一項 及び第七項(第一号に係る部分に限る。)、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項 及び第四項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条、第三十七条の二、第三十九条第一項、第四十条第一項 及び第二項、第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条第一項 及び第三項、第四十七条の二、第四十七条の四 並びに第四十七条の五の規定は、出版権の目的となつている著作物の複製について準用する。
この場合において、
第三十条の二第一項ただし書 及び第二項ただし書、第三十条の三、第三十条の四ただし書、第三十一条第一項第一号、第三十五条第一項ただし書、第四十一条の二第一項ただし書、第四十二条ただし書、第四十二条の二第一項ただし書、第四十七条第一項ただし書 及び第三項ただし書、第四十七条の二、第四十七条の四第一項ただし書 及び第二項ただし書 並びに第四十七条の五第一項ただし書 及び第二項ただし書中
「著作権者」とあるのは
「出版権者」と、
同条第一項ただし書中
「著作権を」とあるのは
「出版権を」と、
「著作権の」とあるのは
「出版権の」と
読み替えるものとする。
次に掲げる者は、第八十条第一項第一号の複製を行つたものとみなす。
第三十条第一項に定める私的使用の目的 又は第三十一条第四項 若しくは第九項第一号に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて原作のまま印刷 その他の機械的 若しくは化学的方法により文書 若しくは図画として複製することにより作成された著作物の複製物(原作のまま第七十九条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製することにより作成されたものを含む。)を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物の公衆への提示を行つた者
前項において準用する第三十条の三、第三十一条第一項第一号 若しくは第七項第一号、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項 若しくは第四項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二本文(同条第二号に係る場合にあつては、同号)、第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十七条第一項 若しくは第三項、第四十七条の二 又は第四十七条の五第一項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物の公衆への提示を行つた者
前項において準用する第三十条の四の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を用いて、当該著作物に表現された思想 又は感情を自ら享受し 又は他人に享受させる目的のために、いずれの方法によるかを問わず、当該著作物を利用した者
第三十条の二から第三十条の四まで、第三十一条第二項(第二号に係る部分に限る。)、第五項、第七項前段 及び第八項、第三十二条第一項、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第四項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第二項 及び第三項、第三十七条の二(第二号を除く。)、第四十条第一項、第四十一条、第四十一条の二第二項、第四十二条、第四十二条の二第二項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条第二項 及び第三項、第四十七条の二、第四十七条の四 並びに第四十七条の五の規定は、出版権の目的となつている著作物の公衆送信について準用する。
この場合において、
第三十条の二第一項ただし書 及び第二項ただし書、第三十条の三、第三十条の四ただし書、第三十一条第五項、第三十五条第一項ただし書、第三十六条第一項ただし書、第四十一条の二第二項ただし書、第四十二条ただし書、第四十二条の二第二項ただし書、第四十七条第二項ただし書 及び第三項ただし書、第四十七条の二、第四十七条の四第一項ただし書 及び第二項ただし書 並びに第四十七条の五第一項ただし書 及び第二項ただし書中
「著作権者」とあるのは
「出版権者」と、
第三十一条第二項中
「著作権者の」とあるのは
「出版権者の」と、
「著作権者 若しくはその許諾を得た者 又は第七十九条の出版権の設定を受けた者 若しくは」とあるのは
「第七十九条の出版権の設定を受けた者 又は」と、
第四十七条の五第一項ただし書中
「著作権を」とあるのは
「出版権を」と、
「著作権の」とあるのは
「出版権の」と
読み替えるものとする。
出版権は、複製権等保有者の承諾を得た場合に限り、その全部 又は一部を譲渡し、又は質権の目的とすることができる。
次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
出版権の設定、移転、変更 若しくは消滅(混同 又は複製権 若しくは公衆送信権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
出版権を目的とする質権の設定、移転、変更 若しくは消滅(混同 又は出版権 若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
第七十八条(第三項を除く。)の規定は、前項の登録について準用する。
この場合において、
同条第一項、第二項、第四項、第八項 及び第九項中
「著作権登録原簿」とあるのは、
「出版権登録原簿」と
読み替えるものとする。