アルコール健康障害対策基本法

# 平成二十五年法律第百九号 #
略称 : アル法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成三十年法律第五十九号による改正
最終編集日 : 2022年 12月08日 08時00分


1項

この法律は、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことに鑑み、アルコール健康障害対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、アルコール健康障害対策の基本となる事項を定めること等により、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進して、アルコール健康障害の発生、進行 及び再発の防止を図り、あわせてアルコール健康障害を有する者等に対する支援の充実を図り、もって国民の健康を保護するとともに、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「アルコール健康障害」とは、アルコール依存症 その他の多量の飲酒、二十歳未満の者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害をいう。

1項

アルコール健康障害対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 号

アルコール健康障害の発生、進行 及び再発の各段階に応じた防止対策を適切に実施するとともに、アルコール健康障害を有し、又は有していた者と その家族が日常生活 及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること。

二 号

アルコール健康障害対策を実施するに当たっては、アルコール健康障害が、飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に密接に関連することに鑑み、アルコール健康障害に関連して生ずるこれらの問題の根本的な解決に資するため、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとすること。

1項

国は、前条の基本理念にのっとり、アルコール健康障害対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、アルコール健康障害対策に関し、 国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた 施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

酒類の製造 又は販売(飲用に供することを含む。以下同じ。)を行う事業者は、国 及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、アルコール健康障害の発生、進行 及び再発の防止に配慮するよう努めるものとする。

1項

国民は、アルコール関連問題(アルコール健康障害 及びこれに関連して生ずる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題をいう。以下同じ。)に関する関心と理解を深め、アルコール健康障害の予防に必要な注意を払うよう 努めなければならない。

1項

医師 その他の医療関係者は、国 及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力し、アルコール健康障害の発生、進行 及び再発の防止に寄与するよう努めるとともに、アルコール健康障害に係る良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。

1項

健康増進事業実施者(健康増進法平成十四年法律第百三号第六条に規定する健康増進事業実施者をいう。)は、国 及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するよう 努めなければならない。

1項

国民の間に広く アルコール関連問題に関する関心と理解を深めるため、アルコール関連問題啓発週間を設ける。

2項

アルコール関連問題啓発週間は、十一月十日から 同月十六日までとする。

3項

国 及び地方公共団体は、アルコール関連問題啓発週間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう 努めるものとする。

1項

政府は、アルコール健康障害対策を実施するため必要な法制上、財政上 又は税制上の措置 その他の措置を講じなければならない。