アレルギー疾患対策基本法

# 平成二十六年法律第九十八号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   厚生
最終編集日 : 2023年 07月21日 09時06分


1項

この法律は、アレルギー疾患を有する者が多数存在すること、アレルギー疾患には急激な症状の悪化を繰り返し生じさせるものがあること、アレルギー疾患を有する者の生活の質が著しく損なわれる場合が多いこと等アレルギー疾患が国民生活に多大な影響を及ぼしている現状 及びアレルギー疾患が生活環境に係る多様かつ複合的な要因によって発生し、かつ、重症化することに鑑み、アレルギー疾患対策の一層の充実を図るため、アレルギー疾患対策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民、医師 その他の医療関係者 及び学校等の設置者 又は管理者の責務を明らかにし、並びにアレルギー疾患対策の推進に関する指針の策定等について定めるとともに、アレルギー疾患対策の基本となる事項を定めることにより、アレルギー疾患対策を総合的に推進することを目的とする。

1項

この法律において「アレルギー疾患」とは、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギー その他アレルゲンに起因する免疫反応による人の生体に有害な局所的 又は全身的反応に係る疾患であって政令で定めるものをいう。

1項

アレルギー疾患対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 号

アレルギー疾患が生活環境に係る多様かつ複合的な要因によって発生し、かつ、重症化することに鑑み、アレルギー疾患の重症化の予防 及び症状の軽減に資するため、第三章に定める基本的施策 その他のアレルギー疾患対策に関する施策の総合的な実施により生活環境の改善を図ること。

二 号

アレルギー疾患を有する者が、その居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく適切なアレルギー疾患に係る医療(以下「アレルギー疾患医療」という。)を受けることができるようにすること。

三 号

国民が、アレルギー疾患に関し、適切な情報を入手することができるとともに、アレルギー疾患にかかった場合には、その状態 及び置かれている環境に応じ、生活の質の維持向上のための支援を受けることができるよう体制の整備がなされること。

四 号

アレルギー疾患に関する専門的、学際的 又は総合的な研究を推進するとともに、アレルギー疾患の重症化の予防、診断、治療等に係る技術の向上 その他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。

1項

国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、アレルギー疾患対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、アレルギー疾患対策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。

1項

医療保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。)は、国 及び地方公共団体が講ずるアレルギー疾患の重症化の予防 及び症状の軽減に関する啓発 及び知識の普及等の施策に協力するよう努めなければならない。

1項

国民は、アレルギー疾患に関する正しい知識を持ち、アレルギー疾患の重症化の予防 及び症状の軽減に必要な注意を払うよう努めるとともに、アレルギー疾患を有する者について正しい理解を深めるよう努めなければならない。

1項

医師 その他の医療関係者は、国 及び地方公共団体が講ずるアレルギー疾患対策に協力し、アレルギー疾患の重症化の予防 及び症状の軽減に寄与するよう努めるとともに、アレルギー疾患を有する者の置かれている状況を深く認識し、科学的知見に基づく良質かつ適切なアレルギー疾患医療を行うよう努めなければならない。

1項

学校、児童福祉施設、老人福祉施設、障害者支援施設 その他自ら十分に療養に関し必要な行為を行うことができない児童、高齢者 又は障害者が居住し 又は滞在する施設(以下「学校等」という。)の設置者 又は管理者は、国 及び地方公共団体が講ずるアレルギー疾患の重症化の予防 及び症状の軽減に関する啓発 及び知識の普及等の施策に協力するよう努めるとともに、その設置し 又は管理する学校等において、アレルギー疾患を有する児童、高齢者 又は障害者に対し、適切な医療的、福祉的 又は教育的配慮をするよう努めなければならない。

1項

政府は、アレルギー疾患対策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。