不動産登記法

# 平成十六年法律第百二十三号 #
略称 : 新不動産登記法  不登法 

第一款 通則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月19日 04時01分

1項

権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

一 号

登記の目的

二 号

申請の受付の年月日 及び受付番号

三 号
登記原因 及びその日付
四 号

登記に係る権利の権利者の氏名 又は名称 及び住所 並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分

五 号

登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め

六 号

共有物分割禁止の定め(共有物 若しくは所有権以外の財産権について民法明治二十九年法律第八十九号第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)若しくは第九百八条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合 若しくは同条第一項の規定により被相続人が遺言で共有物 若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物 若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同条第四項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物 若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め

七 号

民法第四百二十三条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名 又は名称 及び住所 並びに代位原因

八 号

第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの

1項

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者 及び登記義務者が共同してしなければならない。

1項

権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

1項

登記権利者、登記義務者 又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者 又は登記名義人について相続 その他の一般承継があったときは、相続人 その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。

1項

第六十条第六十五条 又は第八十九条第一項同条第二項第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

2項

相続 又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

3項

遺贈(相続人に対する遺贈に限る)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

1項

登記名義人の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

2項

抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名 若しくは名称 又は住所についての変更の登記 又は更正の登記は、債務者が単独で申請することができる。

1項

共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。

1項

権利の変更の登記 又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記 又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合 及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。

1項

登記官は、権利に関する登記に錯誤 又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者 及び登記義務者(登記権利者 及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人。第三項 及び第七十一条第一項において同じ。)に通知しなければならない。


ただし、登記権利者、登記義務者 又は登記名義人がそれぞれ二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。

2項

登記官は、前項の場合において、登記の錯誤 又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局 又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。


ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る

3項

登記官が前項の登記の更正をしたときは、その旨を登記権利者 及び登記義務者に通知しなければならない。


この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。

4項

第一項 及び前項の通知は、代位者にもしなければならない。


この場合においては、第一項ただし書の規定を準用する。

1項

権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

1項

権利が人の死亡 又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡 又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。

1項

買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

1項

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法平成二十三年法律第五十一号第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

2項

前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権 若しくは採石権に関する登記 又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間 又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

3項

前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。

4項

第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権 又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。


同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息 及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

1項

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなお その法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権 又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

1項

登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで 又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者 及び登記義務者 並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。

2項

登記官は、通知を受けるべき者の住所 又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。

3項

登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。

4項

登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。

1項

抹消された登記(権利に関する登記に限る)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人 又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

1項

敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権(一般の先取特権、質権 又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。


ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。

一 号

敷地権付き区分建物についての所有権 又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日 及び受付番号 並びに登記原因 及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く

二 号

敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの

三 号

敷地権付き区分建物についての質権 又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの

四 号

敷地権付き区分建物についての所有権 又は質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と その専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く

2項

第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記 又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない


ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く)又は敷地権についての仮登記 若しくは質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

3項

敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記 又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない


ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く)又は当該建物のみの所有権についての仮登記 若しくは当該建物のみを目的とする質権 若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。