この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
不動産登記法
第一節 総則
筆界
表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点 及びこれらを結ぶ直線をいう。
筆界特定
一筆の土地 及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。
対象土地
筆界特定の対象となる筆界で相互に隣接する一筆の土地 及び他の土地をいう。
関係土地
対象土地以外の土地(表題登記がない土地を含む。)であって、筆界特定の対象となる筆界上の点を含む 他の筆界で対象土地の一方 又は双方と接するものをいう。
所有権登記名義人等
所有権の登記がある一筆の土地にあっては所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地にあっては表題部所有者、表題登記がない土地にあっては所有者をいい、所有権の登記名義人 又は表題部所有者の相続人 その他の一般承継人を含む。
筆界特定の事務は、対象土地の所在地を管轄する法務局 又は地方法務局がつかさどる。
第六条第二項 及び第三項の規定は、筆界特定の事務について準用する。
この場合において、
同条第二項中
「不動産」とあるのは
「対象土地」と、
「登記所」とあるのは
「法務局 又は地方法務局」と、
「法務局 若しくは地方法務局」とあるのは
「法務局」と、
同条第三項中
「登記所」とあるのは
「法務局 又は地方法務局」と
読み替えるものとする。
筆界特定は、筆界特定登記官(登記官のうちから、法務局 又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が行う。
筆界特定登記官が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、当該筆界特定登記官は、対象土地について筆界特定を行うことができない。
対象土地 又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者 若しくは所有者 又は所有権以外の権利の登記名義人 若しくは当該権利を有する者
前号に掲げる者の配偶者 又は四親等内の親族(配偶者 又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)
第一号に掲げる者の代理人 若しくは代表者(代理人 又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者 若しくは四親等内の親族
法務局 及び地方法務局に、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員 若干人を置く。
筆界調査委員は、前項の職務を行うのに必要な専門的知識 及び経験を有する者のうちから、法務局 又は地方法務局の長が任命する。
筆界調査委員の任期は、二年とする。
筆界調査委員は、再任されることができる。
筆界調査委員は、非常勤とする。
次の各号のいずれかに該当する者は、筆界調査委員となることができない。
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)又は土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名 又は司法書士 若しくは土地家屋調査士の業務の禁止の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの
公務員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
筆界調査委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。
法務局 又は地方法務局の長は、筆界調査委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その筆界調査委員を解任することができる。
心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
職務上の義務違反 その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるとき。
法務局 又は地方法務局の長は、筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局 又は地方法務局における備付け その他の適当な方法により公にしておかなければならない。