仲裁地が日本国内にある仲裁手続 及び仲裁手続に関して裁判所が行う手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
仲裁法
第一章 総則
この法律において「仲裁合意」とは、既に生じた民事上の紛争 又は将来において生ずる一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部 又は一部の解決を一人 又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。
この法律において「仲裁廷」とは、仲裁合意に基づき、その対象となる民事上の紛争について審理し、仲裁判断を行う一人の仲裁人 又は二人以上の仲裁人の合議体をいう。
この法律において「主張書面」とは、仲裁手続において当事者が作成して仲裁廷に提出する書面であって、当該当事者の主張が記載されているものをいう。
次章から第七章まで、第九章 及び第十章の規定は、次項 及び第八条に定めるものを除き、仲裁地が日本国内にある場合について適用する。
第十四条第一項 及び第十五条の規定は、仲裁地が日本国内にある場合、仲裁地が日本国外にある場合 及び仲裁地が定まっていない場合に適用する。
第八章の規定は、仲裁地が日本国内にある場合 及び仲裁地が日本国外にある場合に適用する。
仲裁手続に関しては、裁判所は、この法律に規定する場合に限り、その権限を行使することができる。
この法律の規定により裁判所が行う手続に係る事件は、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
当事者が合意により定めた地方裁判所
仲裁地(一の地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所
当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
前項の規定にかかわらず、仲裁地が日本国内にあるときは、この法律の規定により裁判所が行う手続に係る申立ては、東京地方裁判所 及び大阪地方裁判所にもすることができる。
この法律の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、先に申立てがあった裁判所が管轄する。
裁判所は、この法律の規定により裁判所が行う手続に係る事件の全部 又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより 又は職権で、これを管轄裁判所に移送しなければならない。
裁判所は、第三項の規定により管轄する事件について、相当と認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該事件の全部 又は一部を同項の規定により管轄権を有しないこととされた裁判所に移送することができる。
この法律の規定により裁判所が行う手続に係る裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
この法律の規定により裁判所が行う手続に係る裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
裁判所に対する次の各号に掲げる申立ては、仲裁地が定まっていない場合であって、仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ、申立人 又は被申立人の普通裁判籍(最後の住所により定まるものを除く。)の所在地が日本国内にあるときも、することができる。
この場合においては、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める規定を適用する。
第十六条第三項の申立て
同条
第十七条第二項から第五項までの申立て
同条
第十九条第四項の申立て
第十八条 及び第十九条
第二十条の申立て
同条
前項の場合における同項各号に掲げる申立てに係る事件は、第五条第一項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
前項に規定する普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
この法律の規定により裁判所が行う手続について利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、次に掲げる事項を請求することができる。
事件の記録中の電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録の複製
事件の記録の正本、謄本 又は抄本の交付
事件に関する事項の証明書の交付
特別の定めがある場合を除き、この法律の規定により裁判所が行う手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編から第四編までの規定(同法第八十七条の二の規定を除く。)を準用する。
この法律に定めるもののほか、この法律の規定により裁判所が行う手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
仲裁手続における通知を書面によってするときは、当事者間に別段の合意がない限り、名宛人が直接当該書面を受領した時 又は名宛人の住所、常居所、営業所、事務所 若しくは配達場所(名宛人が発信人からの書面の配達を受けるべき場所として指定した場所をいう。以下この条において同じ。)に当該書面が配達された時に、通知がされたものとする。
裁判所は、仲裁手続における書面によってする通知について、当該書面を名宛人の住所、常居所、営業所、事務所 又は配達場所に配達することが可能であるが、発信人が当該配達の事実を証明する資料を得ることが困難である場合において、必要があると認めるときは、発信人の申立てにより、裁判所が当該書面の送達をする旨の決定をすることができる。
この場合における送達については、民事訴訟法第百四条 及び第百十条から第百十三条までの規定は適用しない。
前項の規定は、当事者間に同項の送達を行わない旨の合意がある場合には、適用しない。
第二項の申立てに係る事件は、第五条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、同条第一項第一号 及び第二号に掲げる裁判所 並びに名宛人の住所、常居所、営業所、事務所 又は配達場所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
仲裁手続における通知を書面によってする場合において、名宛人の住所、常居所、営業所、事務所 及び配達場所の全てが相当の調査をしても分からないときは、当事者間に別段の合意がない限り、発信人は、名宛人の最後の住所、常居所、営業所、事務所 又は配達場所にあてて当該書面を書留郵便 その他配達を試みたことを証明することができる方法により発送すれば足りる。
この場合においては、当該書面が通常到達すべきであった時に通知がされたものとする。
第一項 及び前項の規定は、この法律の規定により裁判所が行う手続において通知を行う場合については、適用しない。