会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第二款 清算株式会社の機関

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月18日 20時57分

第一目 株主総会以外の機関の設置

1項

清算株式会社には、一人 又は二人以上の清算人を置かなければならない。

2項

清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役 又は監査役会を置くことができる。

3項

監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。

4項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社 又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。

5項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査等委員である取締役が監査役となる。

6項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社であって、第四項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。

7項

第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない

第二目 清算人の就任及び解任並びに監査役の退任

1項

次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。

一 号

取締役(次号 又は第三号に掲げる者がある場合を除く

二 号
定款で定める者
三 号

株主総会の決議によって選任された者

2項

前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。

3項

前二項の規定にかかわらず第四百七十一条第六号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人 若しくは法務大臣の申立てにより 又は職権で、清算人を選任する。

4項

第一項 及び第二項の規定にかかわらず第四百七十五条第二号 又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。

5項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、

同号
取締役」とあるのは、
「監査等委員である取締役以外の取締役」と

する。

6項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、

同号
取締役」とあるのは、
「監査委員以外の取締役」と

する。

7項

第三百三十五条第三項の規定にかかわらず第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社であった清算株式会社である監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない。

一 号

その就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。次号において同じ。) 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと

二 号

その就任の前十年内いずれかの時において当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の社外取締役 又は監査役であったことがある者にあっては、当該社外取締役 又は監査役への就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く)、会計参与 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと

三 号

第二条第十六号ハからホまでに掲げる要件

8項

第三百三十条第三百三十一条第一項 及び第三百三十一条の二の規定は清算人について、第三百三十一条第五項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社 又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。


この場合において、

同項
取締役は」とあるのは、
「清算人は」と

読み替えるものとする。

1項

清算人(前条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

2項

重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる。

一 号

総株主(次に掲げる株主を除く)の議決権の百分の三これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上の議決権を六箇月これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く

清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主

当該申立てに係る清算人である株主
二 号

発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く)の百分の三これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上の数の株式を六箇月これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く

当該清算株式会社である株主

当該申立てに係る清算人である株主

3項

公開会社でない清算株式会社における前項各号の規定の適用については、

これらの規定中
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と

する。

4項

第三百四十六条第一項から第三項までの規定は、清算人について準用する。

1項

清算株式会社の監査役は、当該清算株式会社が次に掲げる定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に退任する。

一 号

監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更

二 号

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

2項

第三百三十六条の規定は、清算株式会社の監査役については、適用しない

第三目 清算人の職務等

1項

清算人は、次に掲げる職務を行う。

一 号
現務の結了
二 号
債権の取立て及び債務の弁済
三 号
残余財産の分配
1項

清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下 この条において同じ。)の業務を執行する。

2項

清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。

3項

前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない

一 号
支配人の選任 及び解任
二 号
支店の設置、移転 及び廃止
三 号

第二百九十八条第一項各号第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項

四 号

清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

4項

第三百五十三条から第三百五十七条第三項除く)まで、第三百六十条 並びに第三百六十一条第一項 及び第四項の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く)について準用する。


この場合において、

第三百五十三条
第三百四十九条第四項」とあるのは
第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、

第三百五十四条
代表取締役」とあるのは
「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、

第三百六十条第三項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と

読み替えるものとする。

1項

清算人は、清算株式会社を代表する。


ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2項

前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。

3項

清算株式会社(清算人会設置会社を除く)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下 この項において同じ。)の互選 又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。

4項

第四百七十八条第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。

5項

裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。

6項

第三百四十九条第四項 及び第五項 並びに第三百五十一条の規定は代表清算人について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人 又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。

1項

清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

2項

清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3項

前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

1項

裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任した場合には、清算株式会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。

1項

清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2項

清算人が第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引により清算人 又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3項

第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号 又は第三号の取引によって清算株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。

一 号

第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の清算人

二 号

清算株式会社が当該取引をすることを決定した清算人

三 号

当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人

4項

第四百二十四条 及び第四百二十八条第一項の規定は、清算人の第一項の責任について準用する。


この場合において、

同条第一項
第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは、
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号」と

読み替えるものとする。

1項

清算人がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2項

清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項同様とする。


ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときはこの限りでない。

一 号

株式、新株予約権、社債 若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知 又は当該募集のための当該清算株式会社の事業 その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載 若しくは記録

二 号

第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録

三 号
虚偽の登記
四 号
虚偽の公告
1項

清算人 又は監査役が清算株式会社 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人 又は監査役も 当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

2項

前項の場合には、第四百三十条の規定は、適用しない

第四目 清算人会

1項

清算人会は、すべての清算人で組織する。

2項

清算人会は、次に掲げる職務を行う。

一 号

清算人会設置会社の業務執行の決定

二 号
清算人の職務の執行の監督
三 号
代表清算人の選定 及び解職
3項

清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。


ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。

4項

清算人会は、その選定した代表清算人 及び第四百八十三条第四項の規定により代表清算人となった者を解職することができる。

5項

第四百八十三条第五項の規定により裁判所が代表清算人を定めたときは、清算人会は、代表清算人を選定し、又は解職することができない

6項

清算人会は、次に掲げる事項 その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない

一 号
重要な財産の処分 及び譲受け
二 号
多額の借財
三 号

支配人 その他の重要な使用人の選任 及び解任

四 号

支店 その他の重要な組織の設置、変更 及び廃止

五 号

第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項

六 号

清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

7項

次に掲げる清算人は、清算人会設置会社の業務を執行する。

一 号
代表清算人
二 号

代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置会社の業務を執行する清算人として選定されたもの

8項

第三百六十三条第二項第三百六十四条 及び第三百六十五条の規定は、清算人会設置会社について準用する。


この場合において、

第三百六十三条第二項
前項各号」とあるのは
第四百八十九条第七項各号」と、

取締役は」とあるのは
「清算人は」と、

取締役会」とあるのは
「清算人会」と、

第三百六十四条
第三百五十三条」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十三条」と、

取締役会は」とあるのは
「清算人会は」と、

第三百六十五条第一項
第三百五十六条」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条」と、

「取締役会」とあるのは
「「清算人会」と、

同条第二項
第三百五十六条第一項各号」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項各号」と、

取締役は」とあるのは
「清算人は」と、

取締役会に」とあるのは
「清算人会に」と

読み替えるものとする。

1項

清算人会は、各清算人が招集する。


ただし、清算人会を招集する清算人を定款 又は清算人会で定めたときは、その清算人が招集する。

2項

前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた清算人(以下 この項において「招集権者」という。以外の清算人は、招集権者に対し、清算人会の目的である事項を示して、清算人会の招集を請求することができる。

3項

前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を清算人会の日とする清算人会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした清算人は、清算人会を招集することができる。

4項

第三百六十七条 及び第三百六十八条の規定は、清算人会設置会社における清算人会の招集について準用する。


この場合において、

第三百六十七条第一項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、

取締役が」とあるのは
「清算人が」と、

同条第二項
取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)」とあるのは
「清算人(第四百九十条第一項ただし書に規定する場合にあっては、同条第二項に規定する招集権者)」と、

同条第三項 及び第四項中前条第三項」とあるのは
第四百九十条第三項」と、

第三百六十八条第一項
各取締役」とあるのは
「各清算人」と、

同条第二項
取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と

読み替えるものとする。

5項

第三百六十九条から第三百七十一条までの規定は、清算人会設置会社における清算人会の決議について準用する。


この場合において、

第三百六十九条第一項
取締役の」とあるのは
「清算人の」と、

同条第二項
取締役」とあるのは
「清算人」と、

同条第三項
取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、

同条第五項
取締役であって」とあるのは
「清算人であって」と、

第三百七十条
取締役が」とあるのは
「清算人が」と、

取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

第三百七十一条第三項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、

同条第四項
役員 又は執行役」とあるのは
「清算人 又は監査役」と

読み替えるものとする。

6項

第三百七十二条第一項 及び第二項の規定は、清算人会設置会社における清算人会への報告について準用する。


この場合において、

同条第一項
取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人」とあるのは
「清算人 又は監査役」と、

取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、

同条第二項
第三百六十三条第二項」とあるのは
第四百八十九条第八項において準用する第三百六十三条第二項」と

読み替えるものとする。

第五目 取締役等に関する規定の適用

1項

清算株式会社については、第二章第百五十五条除く)、第三章第四章第一節第三百三十五条第二項第三百四十三条第一項 及び第二項第三百四十五条第四項において準用する同条第三項第三百五十九条同章第七節 及び第八節 並びに第七章の規定中取締役、代表取締役、取締役会 又は取締役会設置会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に適用があるものとする。