児童福祉法

# 昭和二十二年法律第百六十四号 #
略称 : 児福法 

第七節 保育士

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月21日 10時37分


1項

この法律で、保育士とは、第十八条の十八第一項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識 及び技術をもつて、児童の保育 及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、保育士となることができない

一 号
心身の故障により保育士の業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの
二 号
禁錮以上の刑に処せられた者
三 号

この法律の規定 その他児童の福祉に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過しない者

四 号

第十八条の十九第一項第二号 若しくは第三号 又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して三年を経過しない者

五 号

国家戦略特別区域法平成二十五年法律第百七号第十二条の五第八項において準用する第十八条の十九第一項第二号 若しくは第三号 又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して三年を経過しない者

1項

次の各号いずれかに該当する者は、保育士となる資格を有する。

一 号

都道府県知事の指定する保育士を養成する学校 その他の施設(以下「指定保育士養成施設」という。)を卒業した者(学校教育法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。

二 号

保育士試験に合格した者

1項

都道府県知事は、保育士の養成の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、指定保育士養成施設の長に対し、教育方法、設備 その他の事項に関し報告を求め、若しくは指導をし、又は当該職員に、その帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

○2項

前項の規定による検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

○3項

第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項
保育士試験は、内閣総理大臣の定める基準により、保育士として必要な知識 及び技能について行う。
○2項

保育士試験は、毎年一回以上、都道府県知事が行う。

○3項

保育士として必要な知識 及び技能を有するかどうかの判定に関する事務を行わせるため、都道府県に保育士試験委員(次項において「試験委員」という。)を置く。


ただし次条第一項の規定により指定された者に当該事務を行わせることとした場合は、この限りでない。

○4項

試験委員 又は試験委員であつた者は、前項に規定する事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県知事は、内閣府令で定めるところにより、一般社団法人 又は一般財団法人であつて、保育士試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして当該都道府県知事が指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験事務の全部 又は一部を行わせることができる。

○2項

都道府県知事は、前項の規定により指定試験機関に試験事務の全部 又は一部を行わせることとしたときは、当該試験事務の全部 又は一部を行わないものとする。

○3項

都道府県は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百二十七条の規定に基づき保育士試験に係る手数料を徴収する場合においては、第一項の規定により指定試験機関が行う保育士試験を受けようとする者に、条例で定めるところにより、当該手数料の全部 又は一部を当該指定試験機関へ納めさせ、その収入とすることができる。

1項

指定試験機関の役員の選任 及び解任は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

○2項

都道府県知事は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令 又は処分を含む。)若しくは第十八条の十三第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、当該指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。

1項

指定試験機関は、試験事務を行う場合において、保育士として必要な知識 及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、保育士試験委員(次項 及び次条第一項において「試験委員」という。)に行わせなければならない。

○2項

前条第一項の規定は試験委員の選任 及び解任について、同条第二項の規定は試験委員の解任について、それぞれ準用する。

1項

指定試験機関の役員 若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

○2項

試験事務に従事する指定試験機関の役員 又は職員は、刑法明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

1項

指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

○2項

都道府県知事は、前項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

1項

指定試験機関は、毎事業年度、事業計画 及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、都道府県知事の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

1項

都道府県知事は、試験事務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

1項

都道府県知事は、試験事務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、指定試験機関に対し、報告を求め、又は当該職員に、関係者に対し質問させ、若しくは指定試験機関の事務所に立ち入り、その帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

○2項

前項の規定による質問 又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

○3項

第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

指定試験機関が行う試験事務に係る処分 又はその不作為について不服がある者は、都道府県知事に対し、審査請求をすることができる。


この場合において、都道府県知事は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二十五条第二項 及び第三項第四十六条第一項 及び第二項第四十七条 並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。

1項
保育士となる資格を有する者が保育士となるには、保育士登録簿に、氏名、生年月日 その他内閣府令で定める事項の登録を受けなければならない。
○2項

保育士登録簿は、都道府県に備える。

○3項

都道府県知事は、保育士の登録をしたときは、申請者に第一項に規定する事項を記載した保育士登録証を交付する。

1項

都道府県知事は、保育士が次の各号いずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 号

第十八条の五各号第四号除く)のいずれかに該当するに至つた場合

二 号

虚偽 又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

三 号

第一号に掲げる場合のほか、児童生徒性暴力等(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律令和三年法律第五十七号第二条第三項に規定する児童生徒性暴力等をいう。以下同じ。)を行つたと認められる場合

○2項

都道府県知事は、保育士が第十八条の二十一 又は第十八条の二十二の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて保育士の名称の使用の停止を命ずることができる。

1項

都道府県知事は、保育士の登録がその効力を失つたときは、その登録を消除しなければならない。

1項

都道府県知事は、次に掲げる者(第十八条の五各号いずれかに該当する者を除く。以下この条において「特定登録取消者」という。)については、その行つた児童生徒性暴力等の内容等を踏まえ、当該特定登録取消者の改善更生の状況 その他その後の事情により保育士の登録を行うのが適当であると認められる場合に限り、保育士の登録を行うことができる。

一 号

児童生徒性暴力等を行つたことにより保育士 又は国家戦略特別区域限定保育士(国家戦略特別区域法第十二条の五第二項に規定する国家戦略特別区域限定保育士をいう。次号 及び第三項において同じ。)の登録を取り消された者

二 号

前号に掲げる者以外の者であつて、保育士 又は国家戦略特別区域限定保育士の登録を取り消されたもののうち、保育士 又は国家戦略特別区域限定保育士の登録を受けた日以後の行為が児童生徒性暴力等に該当していたと判明した者

2項

都道府県知事は、前項の規定により保育士の登録を行うに当たつては、あらかじめ、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による保育士の登録を行おうとする際に必要があると認めるときは、第十八条の十九の規定により保育士の登録を取り消した都道府県知事(国家戦略特別区域法第十二条の五第八項において準用する第十八条の十九の規定により国家戦略特別区域限定保育士の登録を取り消した都道府県知事を含む。)その他の関係機関に対し、当該特定登録取消者についてその行つた児童生徒性暴力等の内容等を調査し、保育士の登録を行うかどうかを判断するために必要な情報の提供を求めることができる。

1項

保育士を任命し、又は雇用する者は、その任命し、又は雇用する保育士について、第十八条の五第二号 若しくは第三号に該当すると認めたとき、又は当該保育士が児童生徒性暴力等を行つたと思料するときは、速やかにその旨を都道府県知事に報告しなければならない。

1項

刑法の秘密漏示罪の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、前項の規定による報告(虚偽であるもの 及び過失によるものを除く)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

1項
国は、次に掲げる者について、その氏名、保育士の登録の取消しの事由、行つた児童生徒性暴力等に関する情報 その他の内閣総理大臣が定める事項に係るデータベースを整備するものとする。
一 号
児童生徒性暴力等を行つたことにより保育士の登録を取り消された者
二 号

前号に掲げる者以外の者であつて、保育士の登録を取り消されたもののうち、保育士の登録を受けた日以後の行為が児童生徒性暴力等に該当していたと判明した者

2項

都道府県知事は、保育士が児童生徒性暴力等を行つたことによりその登録を取り消したとき、又は保育士の登録を取り消された者(児童生徒性暴力等を行つたことにより保育士の登録を取り消された者を除く)の保育士の登録を受けた日以後の行為が児童生徒性暴力等に該当していたことが判明したときは、前項の情報を同項のデータベースに迅速に記録すること その他必要な措置を講ずるものとする。

3項

保育士を任命し、又は雇用する者は、保育士を任命し、又は雇用しようとするときは、第一項のデータベース(国家戦略特別区域法第十二条の五第八項において準用する第一項のデータベースを含む。)を活用するものとする。

1項

保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

1項

保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。


保育士でなくなつた後においても、同様とする。

1項

保育士でない者は、保育士 又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

1項

この法律に定めるもののほか、指定保育士養成施設、保育士試験、指定試験機関、保育士の登録 その他保育士に関し必要な事項は、政令でこれを定める。