公認会計士法

# 昭和二十三年法律第百三号 #

第五章の三 有限責任監査法人の登録に関する特則

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和五年十一月二十九日 ( 2023年 11月29日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第八十号による改正
最終編集日 : 2024年 05月08日 08時48分


1項

有限責任監査法人は、内閣総理大臣の登録(次条から第三十四条の三十一までにおいて単に「登録」という。)を受けなければ、第二条第一項の業務 又は第三十四条の五各号に掲げる業務を行つてはならない。

1項

登録を受けようとする有限責任監査法人(第三十四条の二十二第八項の規定による定款の変更をしようとする無限責任監査法人を含む。第三十四条の二十七第一項第二号ロにおいて同じ。)は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 号
名称
二 号
事務所の所在地
三 号
社員の氏名 及び住所
四 号
資本金の額
五 号
その他内閣府令で定める事項
2項

前項の申請書には、定款 その他の内閣府令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

1項

内閣総理大臣は、登録の申請があつた場合においては、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を有限責任監査法人登録簿に登録しなければならない。

一 号

前条第一項各号に掲げる事項

二 号
登録年月日 及び登録番号
2項

内閣総理大臣は、前項の規定により登録をした場合においては、遅滞なく、その旨を登録の申請者に通知しなければならない。

3項

内閣総理大臣は、有限責任監査法人登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

1項

内閣総理大臣は、登録の申請者が次の各号いずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。

一 号

第三十四条の二十九第二項の規定により申請者が登録を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない場合

二 号

社員のうちに次のいずれかに該当する者がいる場合

第三十四条の四第二項各号いずれかに該当する者

第三十四条の二十九第二項の規定により他の登録を受けた有限責任監査法人(以下「登録有限責任監査法人」という。)が登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内に当該他の登録有限責任監査法人の社員であつた者でその処分の日から三年を経過しないもの

三 号
資本金の額が公益 又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない場合
四 号

申請者の社員のうちに公認会計士である社員の占める割合が百分の五十を下らない内閣府令で定める割合を下回る場合

2項

内閣総理大臣は、前項の規定により登録の拒否をした場合においては、遅滞なく、理由を付して、その旨を申請者に通知しなければならない。

1項

登録有限責任監査法人は、登録を受けた事項に変更を生じたときは、直ちに変更の登録を申請しなければならない。

2項

登録有限責任監査法人が、第三十四条の十八第一項 若しくは第二項の規定により解散したとき、第三十四条の二十二第八項の規定による定款の変更をしようとする場合において、登録を受けた後、二週間以内に、その定款の変更の効力が生じないとき、又は同条第九項に規定する定款の変更をしたときは、当該登録有限責任監査法人の登録は、その効力を失う。

1項

内閣総理大臣は、登録有限責任監査法人が第三十四条の十の五 若しくはこの章の規定 又はこれらの規定に基づく命令に違反したときは、当該登録有限責任監査法人に対し、必要な指示をすること(次項第三号に該当した場合において、同項の規定により業務管理体制の改善を命ずること 及び第三項の規定により社員が監査法人の業務 又は意思決定の全部 又は一部に関与することを禁止することを除く)ができる。

2項

内閣総理大臣は、登録有限責任監査法人が次の各号いずれかに該当する場合には、その登録有限責任監査法人に対し、戒告し、第三十四条の十三第一項に規定する業務管理体制の改善を命じ、二年以内の期間を定めて業務の全部 若しくは一部の停止を命じ、又は登録を取り消すことができる。

一 号

第三十四条の二十七第一項各号第一号除く)のいずれかに該当することとなつたとき。

二 号
不正の手段により登録を受けたとき。
三 号

第三十四条の十の五 若しくはこの章の規定 又はこれらの規定に基づく命令に違反したとき。

四 号

前項の規定による指示に従わないとき。

3項

内閣総理大臣は、登録有限責任監査法人が前項第三号 又は第四号に該当するときは、その登録有限責任監査法人に対し、二年以内の期間を定めて、同項第三号 又は第四号に該当することとなつたことに重大な責任を有すると認められる社員が当該登録有限責任監査法人の業務 又は意思決定の全部 又は一部に関与することを禁止することができる。

4項

第三十二条から第三十四条までの規定は、前二項の処分について準用する。

5項

第二項 及び第三項の規定による処分の手続に付された登録有限責任監査法人は、清算が結了した後においても、この条の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。

6項

第二項 及び第三項の規定は、これらの規定により登録有限責任監査法人を処分する場合において、当該監査法人の社員である公認会計士につき第三十条 又は第三十一条に該当する事実があるときは、その社員である公認会計士に対し、懲戒の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。

7項

第二項 及び第三項の規定は、これらの規定により登録有限責任監査法人を処分する場合において、当該監査法人の特定社員につき第三十四条の十の十七第二項に該当する事実があるときは、当該特定社員に対し、同項の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。

1項

内閣総理大臣は、第三十四条の二十八第二項の規定により登録がその効力を失つたとき、又は前条第二項の規定により登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。

1項

この章に定めるもののほか、登録の手続、登録の抹消、有限責任監査法人登録簿 その他登録に関して必要な事項は、内閣府令で定める。

1項

登録有限責任監査法人は、その計算書類について、内閣府令で定めるところにより、当該登録有限責任監査法人と政令で定める特別の利害関係のない公認会計士 又は監査法人の監査報告書を添付しなければならない。


ただし、当該計算書類に係る会計年度における当該登録有限責任監査法人の収益の額 その他の政令で定める勘定の額が政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。

2項

前項の監査報告書については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録の添付をもつて、監査報告書の添付に代えることができる。

1項

登録有限責任監査法人は、第三十四条の二十一第二項第一号 又は第二号に該当することによつて生ずる損害の賠償を請求する権利(以下この条において「優先還付対象債権」という。)を有する者(以下この条 及び次条において「優先還付対象債権者」という。)に対する債務の履行を確保するため必要かつ適当なものとして政令で定める額の金銭を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

2項

内閣総理大臣は、優先還付対象債権者に対する債務の履行を確保するため必要があると認めるときは、登録有限責任監査法人に対し、その業務を開始する前に、前項の政令で定める額のほか、相当と認める額の金銭の供託を命ずることができる。

3項

登録有限責任監査法人は、政令で定めるところにより、当該登録有限責任監査法人のために所要の供託金が内閣総理大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなつている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前二項の規定により供託する供託金の全部 又は一部を供託しないことができる。

4項

内閣総理大臣は、優先還付対象債権者に対する債務の履行を確保するため必要があると認めるときは、登録有限責任監査法人と前項の契約を締結した者 又は当該登録有限責任監査法人に対し、契約金額に相当する金額の全部 又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

5項

登録有限責任監査法人(第三十四条の二十二第八項の規定による定款の変更の効力が生じていないものを除く)は、第一項の規定により供託する供託金(第二項の規定により同項の金銭の供託を命ぜられた場合には、その供託金を含む。)につき供託 又は第三項の契約の締結を行い、その旨を内閣総理大臣に届け出た後でなければ、その業務を行つてはならない。

6項

優先還付対象債権者は、優先還付対象債権に関し、当該登録有限責任監査法人に係る供託金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

7項

前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。

8項

登録有限責任監査法人は、第六項の権利の実行 その他の理由により、供託金の額(契約金額を含む。)が第一項の政令で定める額に不足することとなつたときは、内閣府令で定める日から政令で定める期間以内にその不足額につき供託 又は第三項の契約の締結(第五十二条の四において単に「供託」という。)を行い、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

9項

第一項第二項 又は前項の規定により供託する供託金は、国債証券、地方債証券 その他の内閣府令で定める有価証券をもつてこれに充てることができる。

10項

第一項第二項第四項 又は第八項の規定により供託した供託金は、次の各号いずれかに該当することとなつたときは、内閣総理大臣の承認を受けて、その全部 又は一部を取り戻すことができる。

一 号

第三十四条の十八第一項各号いずれかに該当することとなつたとき。

二 号

第三十四条の十八第二項に該当することとなつたとき。

三 号

第三十四条の二十二第九項に規定する定款の変更を行い、同条第十項の規定によりその旨を内閣総理大臣に届け出たとき。

四 号

業務の状況の変化 その他の理由により供託金の額が第一項の政令で定める額を超えることとなつたとき。

11項

内閣総理大臣は、前項の承認をするときは、優先還付対象債権の弁済を確保するために必要と認める限度において、取り戻すことができる時期 及び取り戻すことができる供託金の額を指定することができる。

12項

前各項に定めるもののほか、供託金に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

1項

登録有限責任監査法人は、政令で定めるところにより、その業務を行うに当たり生ずる責任に関する保険契約(次項 及び第三項において「有限責任監査法人責任保険契約」という。)を締結し、内閣総理大臣の承認を受けたときは、当該契約の効力の存する間、当該契約の保険金の額に応じて前条第一項第二項 若しくは第八項の規定により供託する供託金の全部 若しくは一部の供託 又は同条第三項の契約の締結をしないことができる。

2項

内閣総理大臣は、優先還付対象債権者に対する債務の履行を確保するため必要があると認めるときは、有限責任監査法人責任保険契約を締結した登録有限責任監査法人に対し、前条第一項第二項 又は第八項の規定により供託する供託金につき供託 又は同条第三項の契約の締結をしないことができるとされた金額の全部 又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

3項

前二項に定めるもののほか、有限責任監査法人責任保険契約に関し必要な事項は、内閣府令で定める。