国の債権の管理等に関する法律

# 昭和三十一年法律第百十四号 #
略称 : 債権管理法 

第三章 債権の管理の準則

分類 法律
カテゴリ   財務通則
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成二十九年法律第四十五号による改正
最終編集日 : 2023年 06月28日 18時15分


1項

債権の管理に関する事務は、法令の定めるところに従い、債権の発生原因 及び内容に応じて、財政上もつとも国の利益に適合するように処理しなければならない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属すべき債権が発生し、又は国に帰属したとき(政令で定める債権については、政令で定めるとき)は、政令で定める場合を除き、遅滞なく、債務者の住所 及び氏名、債権金額 並びに履行期限 その他政令で定める事項を調査し、確認の上、これを帳簿に記載し、又は記録しなければならない。


当該確認に係る事項について変更があつた場合も、また同様とする。

2項

歳入徴収官等は、前項に規定するもののほか、政令で定めるところにより、その所掌に属する債権の管理に関する事務の処理につき必要な事項を帳簿に記載し、又は記録しなければならない。

1項

次の各号に掲げる者は、当該各号に掲げる場合には、遅滞なく、債権が発生し、又は国に帰属したことを、当該債権に係る歳入徴収官等に通知しなければならない。

一 号

法令の規定に基き国のために債権が発生し、又は国に帰属する原因となる契約 その他の行為をする者

当該行為をしたとき(債権の発生 又は帰属につき停止条件 又は不確定の始期があるときは、当該行為に基き、条件の成就 又は期限の到来により債権が発生し、又は国に帰属したとき。)。

二 号

法令の規定に基き国のために支出負担行為(財政法第三十四条の二第一項に規定する支出負担行為をいう。以下同じ。)をする者

当該支出負担行為の結果返納金に係る債権が発生したことを知つたとき。

三 号

法令の規定に基き国のために契約をする者

当該契約に関して債権が発生し、又は国に帰属したことを知つたとき(前二号に該当する場合を除く)。

四 号

現金出納職員、物品管理法第八条 若しくは第十一条の規定に基き物品の管理に関する事務を行う者(同法第十条 若しくは第十一条の規定に基き当該物品の供用に関する事務を行う者があるときは、その者) 又は国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第九条第一項 若しくは第三項の規定に基き国有財産に関する事務を行う者

その取扱に係る財産に関して債権が発生したことを知つたとき(前各号に該当する場合を除く)。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権(申告納付に係る債権 その他の政令で定める債権を除く)について、履行を請求するため、会計法第六条の規定によるもののほか、政令で定めるところにより、債務者に対して納入の告知をしなければならない。

2項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、その全部 又は一部が前項に規定する納入の告知で指定された期限(納入の告知を要しない債権については、履行期限)を経過しても なお履行されていない場合には、債務者に対してその履行を督促しなければならない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権で履行期限を経過してもなおその全部 又は一部が履行されていないものについて、債務者が証券をもつてする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)により歳入の納付に使用することができる証券以外の有価証券を提供して、その取立て 及び取り立てた金銭による当該債権に係る弁済金の納付の委託を申し出た場合には、その証券が最近において確実に取り立てることができるものであり、かつ、その委託に応ずることが徴収上有利であると認められるときに限り、政令で定めるところにより、その委託に応ずることができる。


この場合において、その証券の取立てにつき費用を要するときは、その委託をしようとする者から当該費用の額に相当する金額をあわせて提供させなければならない。

2項

歳入徴収官等は、前項の委託があつた場合において、必要があるときは、確実と認める金融機関に当該証券の取立て及び納付の再委託をすることができる。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権(国税徴収 又は国税滞納処分の例によつて徴収する債権 その他政令で定める債権を除く)で履行期限を経過したものについて、その全部 又は一部が第十三条第二項の規定による督促があつた後、相当の期間を経過してもなお履行されない場合には、次に掲げる措置をとらなければならない。


ただし第二十一条第一項の措置をとる場合 又は第二十四条第一項の規定により履行期限を延長する場合(他の法律の規定に基きこれらに準ずる措置をとる場合を含む。)その他各省各庁の長が財務大臣と協議して定める特別の事情がある場合は、この限りでない。

一 号

担保の附されている債権(保証人の保証がある債権を含む。以下同じ。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは法務大臣に対して競売 その他の担保権の実行の手続をとることを求め、又は保証人に対して履行を請求すること。

二 号

債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、法務大臣に対し、強制執行の手続をとることを求めること。

三 号

前二号に該当しない債権(第一号に該当する債権で同号の措置をとつてなお履行されないものを含む。)については、法務大臣に対し、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求することを求めること。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、第十三条第一項の措置をとらなければならない。


ただし第二十四条第一項各号の一に該当する場合 その他特に支障がある場合は、この限りでない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、次に掲げる理由が生じたことを知つた場合において、法令の規定により国が債権者として配当の要求 その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。

一 号
債務者が強制執行を受けたこと。
二 号

債務者が租税 その他の公課について滞納処分を受けたこと。

三 号

債務者の財産について競売の開始があつたこと。

四 号

債務者が破産手続開始の決定を受けたこと。

五 号

債務者の財産について企業担保権の実行手続の開始があつたこと。

六 号
債務者である法人が解散したこと。
七 号

債務者について相続の開始があつた場合において、相続人が限定承認をしたこと。

八 号

第四号から前号までに定める場合のほか、債務者の総財産についての清算が開始されたこと。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権を保全するため、法令 又は契約の定めるところに従い、債務者に対し、担保の提供 若しくは保証人の保証を求め、又は必要に応じ増担保の提供 若しくは保証人の変更 その他担保の変更を求めなければならない。

2項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権を保全するため必要があるときは、法務大臣に対し、仮差押 又は仮処分の手続をとることを求めなければならない。

3項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権を保全するため必要がある場合において、法令の規定により国が債権者として債務者に属する権利を行うことができるときは、債務者に代位して当該権利を行うため必要な措置をとらなければならない。

4項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、債務者が国の利益を害する行為をしたことを知つた場合において、法令の規定により国が債権者として当該行為の取消を求めることができるときは、遅滞なく、法務大臣に対し、その取消を裁判所に請求することを求めなければならない。

5項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権が時効によつて消滅することとなるおそれがあるときは、時効を更新するため必要な措置をとらなければならない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について担保が提供されたときは、遅滞なく、担保権の設定について、登記、登録 その他の第三者に対抗することができる要件を備えるため必要な措置をとらなければならない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、国が債権者として占有すべき金銭以外の担保物(債務者に属する権利を代位して行うことにより受領する物を含む。以下この条において同じ。)及び もつぱら債権 又は債権の担保に係る事項の立証に供すべき書類 その他の物件を、善良な管理者の注意をもつて、整備し、かつ、保存しなければならない。

2項

前項の場合において、有価証券の取扱は、会計法 及びこれに基く命令の定めるところによる。

3項

第一項の場合において、担保物が物品管理法第三十五条の規定により同法の規定を準用する動産であるときは、同法第九条 又は第十一条の規定に基き物品の保管に関する事務を行う者がこれを保管するものとし、同法第二十三条の出納命令は、歳入徴収官等が行うものとする。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権(国税徴収 又は国税滞納処分の例によつて徴収する債権 その他政令で定める債権を除く次項において同じ。)で履行期限(履行期限の定めのない債権にあつては、第十一条第一項前段の規定による記載 又は記録をした日)後 相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号の一に該当し、これを履行させることが著しく困難 又は不適当であると認められるときは、政令で定めるところにより、以後当該債権について、保全 及び取立に関する事務(前条に規定するものを除く)をすることを要しないものとして整理することができる。

一 号

法人である債務者がその事業を休止し、将来 その事業を再開する見込が全くなく、かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の費用をこえないと認められる場合(当該法人の債務につき弁済の責に任ずべき他の者があり、その者について次号に掲げる事情がない場合を除く

二 号

債務者の所在が不明であり、かつ、差し押えることができる財産の価額が強制執行の費用をこえないと認められる場合 その他これに類する政令で定める場合

三 号

債権金額が少額で、取立に要する費用に満たないと認められる場合

2項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、第十一条第一項前段の規定による記載 又は記録をした後相当の期間を経過しても なお その債務者が明らかでなく、かつ、将来これを取り立てることができる見込みがないと認められるときは、政令で定めるところにより、前項の措置をとることができる。

3項

歳入徴収官等は、前二項の措置をとつた後、事情の変更等によりその措置を維持することが不適当となつたことを知つたときは、直ちに、その措置を取りやめなければならない。

1項

歳入徴収官等は、その所掌に属する債権について、法令の規定により当該債権と相殺し、又はこれに充当することができる国の債務があることを知つたときは、直ちに、当該債務に係る支払事務担当職員(会計法第二十四条に規定する支出官 その他の法令の規定により国の支払事務を行う者をいう。以下同じ。)に対し、相殺 又は充当をすべきことを請求しなければならない。

2項

支払事務担当職員は、その所掌に属する支払金に係る債務について、前項の請求があつたときその他法令の規定により当該債務と相殺し、又はこれを充当することができる国の債権があることを知つたときは、政令で定める場合を除き、遅滞なく、相殺 又は充当をするとともに、その旨を当該債権に係る歳入徴収官等に通知しなければならない。

3項

歳入徴収官等は、前項の通知を受けた場合を除き、その所掌に属する債権と国の債務との間に相殺が行われたことを知つたときは、直ちに、その旨を当該債務に係る支払事務担当職員に通知しなければならない。

1項

法令の規定に基き国のために弁済の受領をする者、第十二条第一号に掲げる者 その他政令で定める者は、会計法第四十七条第二項の規定によるもののほか、政令で定めるところにより、その職務上債権が消滅したことを知つたときは、遅滞なく、その旨を当該債権に係る歳入徴収官等に通知しなければならない。