都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、次に掲げる区域を、期間を定めて、規制区域として指定するものとする。
国土利用計画法
第四章 土地に関する権利の移転等の許可
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域にあつては、その全部 又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの
都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域以外の区域にあつては、前号の事態が生ずると認められる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域
規制区域の指定の期間は、次項の規定による公告があつた日から起算して五年以内で定めるものとする。
都道府県知事は、規制区域を指定する場合には、その旨 並びにその区域 及び期間を公告しなければならない。
規制区域の指定は、前項の規定による公告によつてその効力を生ずる。
都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、速やかに、指定された区域 及び期間 その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告し、かつ、関係市町村長に通知するとともに、当該事項を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、その公告の日から起算して二週間以内に、関係市町村長の意見を付して規制区域の指定が相当であることについて土地利用審査会の確認を求めなければならない。
土地利用審査会は、前項の規定により確認を求められたときは、二週間以内に、規制区域の指定が相当であるかどうかの決定をし、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
都道府県知事は、規制区域の指定について第六項の確認を受けられなかつたときは、その旨を公告するとともに、国土交通大臣に報告しなければならない。
規制区域の指定は、前項の規定による公告があつたときは、その指定の時にさかのぼつて、その効力を失う。
都道府県知事は、規制区域を指定した場合には、当該区域を含む周辺の地域における地価の動向、土地取引の状況等を常時は握するため、これらに関する調査を行わなければならない。
都道府県知事は、規制区域の指定期間が満了する場合において、前項の規定による調査の結果、指定の事由がなくなつていないと認めるときは、第一項の規定により規制区域の指定を行うものとする。
都道府県知事は、第十項の規定による調査の結果、規制区域についてその指定の事由がなくなつたと認めるときは、その旨を公告して、当該規制区域の指定を解除するものとする。
都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、その旨を関係市町村長に通知し、当該関係市町村長の意見を付して規制区域の指定の解除が相当であることについて土地利用審査会の確認を受けなければならない。
第五項の規定は、第十二項の規定による公告について準用する。
この場合において、
第五項中
「指定された区域 及び期間 その他国土交通省令で定める事項」及び「当該事項」とあるのは、
「その旨」と
読み替えるものとする。
前三項の規定は、規制区域に係る区域の減少 及びその公告について準用する。
国土交通大臣は、土地の投機的取引 及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、国の立場から特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、期限を定めて、規制区域の指定 若しくは指定の解除 又はその区域の減少を指示することができる。
この場合においては、都道府県知事は、正当な理由がない限り、その指示に従わなければならない。
国土交通大臣は、都道府県知事が所定の期限までに正当な理由がなく前項の規定により指示された措置を講じないときは、正当な理由がないことについて国土審議会の確認を受けて、自ら当該措置を講ずることができるものとする。
規制区域に所在する土地について、土地に関する所有権 若しくは地上権 その他の政令で定める使用 及び収益を目的とする権利 又は これらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)の移転 又は設定(対価を得て行われる移転 又は設定に限る。以下同じ。)をする契約(予約を含む。以下「土地売買等の契約」という。)を締結しようとする場合には、当事者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
その許可に係る事項のうち、土地に関する権利の移転 若しくは設定の予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額。以下同じ。)の変更(その額を減額する場合を除く。)をして、又は土地に関する権利の移転 若しくは設定後における土地の利用目的の変更をして、当該契約を締結しようとするときも、同様とする。
前項の規定は、民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による調停に基づく場合 その他政令で定める場合には、適用しない。
第一項の許可を受けないで締結した土地売買等の契約は、その効力を生じない。
前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、国土交通省令で定めるところにより、申請に係る土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に提出しなければならない。
前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項
市町村長は、前項の規定により申請書を受理したときは、遅滞なく、これを都道府県知事に送付しなければならない。
この場合において、市町村長は、当該申請書の内容について意見があるときは、その意見を付さなければならない。
都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請が次の各号の一に該当すると認めるときは、許可してはならない。
申請に係る土地に関する権利の移転 又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その申請に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第二条第一項に規定する公示区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その申請に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に政令で定める方法により算定した当該申請の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(同項の規定による公告の時以後当該申請の時までの間に、当該申請をした者で当該土地に関する権利を有しているもの(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転 又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転 又は設定をした者を含む。)が当該申請に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)に照らし、適正を欠くこと。
申請に係る土地に関する権利の移転 又は設定後における土地の利用目的が次のいずれにも該当しないものであること。
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業を施行する者がその事業の用に供するためのものであるとき。
規制区域が指定された際 現にその区域内において事業を行つている者がその事業の用に供するためのものであるとき、又は その者の事業と密接な関連を有する事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
規制区域内に居住する者の福祉 又は利便のために必要な施設で申請に係る土地が所在する市町村の長が認定したものを設置しようとする者がその施設を設置するためのものであるとき。
規制区域を含む地域の健全な発展を図るために必要であり、かつ、当該規制区域における土地利用上適切であると認められる事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
イからホまでに定めるもののほか、政令で定める場合に該当するものであるとき。
申請に係る土地に関する権利の移転 又は設定後における土地の利用目的が土地利用基本計画 その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。
申請に係る土地に関する権利の移転 又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道 その他の公共施設 若しくは学校 その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。
都道府県知事は、前項第二号ホ 又はヘに該当するものについて許可する場合においては、あらかじめ、土地利用審査会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請があつたときは、その申請があつた日から起算して六週間以内に、許可 又は不許可の処分をしなければならない。
前項の期間内に同項の処分がされなかつたときは、当該期間の満了の日の翌日において第十四条第一項の許可があつたものとみなす。
第十四条第一項に規定する場合において、その当事者の一方 又は双方が国、地方公共団体 その他政令で定める法人(以下「国等」という。)であるときは、当該国等の機関が都道府県知事と協議し、その協議が成立することをもつて、同項の許可があつたものとみなす。
規制区域に所在する土地について土地に関する権利を有している者は、第十四条第一項の許可の申請をした場合において、不許可の処分を受けたときは、都道府県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。
都道府県知事は、前項の規定による請求があつたときは、当該土地に関する権利を、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その請求に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法第二条第一項に規定する公示区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その請求に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に第十六条第一項第一号の政令で定める方法により算定した当該請求の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(第十二条第三項の規定による公告の時以後当該請求の時までの間に、当該請求をした者(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転 又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転 又は設定をした者を含む。)が当該請求に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)で買い取るものとする。
第十四条第一項の規定に基づく処分に不服がある者は、土地利用審査会に対して審査請求をすることができる。
土地利用審査会は、前項の規定による審査請求がされた場合においては、当該審査請求がされた日(行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じた場合にあつては、当該不備が補正された日)から起算して二月以内に、裁決をしなければならない。
土地利用審査会は、前項の裁決を行う場合においては、行政不服審査法第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、あらかじめ、審査請求人、処分をした行政庁 その他の関係人 又は これらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行わなければならない。
第一項の規定による審査請求については、行政不服審査法第三十一条の規定は適用せず、前項の口頭審理については、同法第九条第三項の規定により読み替えられた同法第三十一条第二項から第五項までの規定を準用する。
土地利用審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。
都道府県知事は、規制区域を指定したときは、速やかに、都市計画 その他の土地利用に関する計画の決定 又は土地利用に関する計画に係る事業の実施等の措置を講ずることにより、当該規制区域の指定の期間が経過し、又は その指定を解除した後のその区域の適正かつ合理的な土地利用が図られるよう努めなければならない。