国税徴収法

# 昭和三十四年法律第百四十七号 #

第一款 通則

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 22時26分

1項

次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。

一 号

滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

二 号

納税者が国税通則法第三十七条第一項各号督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

2項

国税の納期限後 前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項各号繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。

3項

第二次納税義務者 又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、

同項
督促状」とあるのは、
「納付催告書」と

する。

1項

国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない

2項

差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費 及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税 その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない

1項

徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条第七十六条 及び第七十八条差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。

1項

質権、抵当権、先取特権(第十九条第一項各号不動産保存の先取特権等)又は第二十条第一項各号不動産賃貸の先取特権等)に掲げる先取特権に限るこの項除き、以下同じ。)、留置権、賃借権 その他第三者の権利(これらの先取特権以外の先取特権を除く。以下同じ。)の目的となつている財産が差し押えられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価の容易な財産で他の第三者の権利の目的となつていないものを有し、かつ、その財産によりその滞納者の国税の全額を徴収することができることを理由として、その財産の公売公告の日(随意契約による売却をする場合には、その売却の日)までに、その差押換を請求することができる。

2項

税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその第三者に通知しなければならない。

3項

前項の通知があつた場合において、その通知を受けた第三者が、その通知を受けた日から起算して七日を経過した日までに、第一項の規定により差し押えるべきことを請求した財産の換価をすべきことを申し立てたときは、その財産が換価の著しく困難なものであり、又は 他の第三者の権利の目的となつているものであるときを除き、これを差し押え、かつ、換価に付した後でなければ、同項に規定する第三者の権利の目的となつている財産を換価することができない

4項

税務署長は、前項の場合において、同項の申立があつた日から二月以内にその申立に係る財産を差し押え、かつ、換価に付さないときは、第一項に規定する第三者の権利の目的となつている財産の差押を解除しなければならない。


ただし、国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。

5項

第二項 又は前項の差押は、国税に関する法律の規定で新たに滞納処分の執行をすることができないこととするものにかかわらず、することができる。

1項
徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。
2項
被相続人の国税につき相続人の固有財産が差し押えられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産により当該国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換を請求することができる。
3項

税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を当該相続人に通知しなければならない。


この場合においては、前条第五項の規定を準用する。

1項

差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。


ただし、滞納者 又は第三者が差押財産の使用 又は収益をすることができる場合には、その財産から生ずる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く)については、この限りでない。

2項

差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実に及ばない。


ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。

1項

仮登記担保契約に関する法律第十五条強制競売等の場合の担保仮登記)(同法第二十条土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定は、担保のための仮登記がある財産が差し押さえられた場合について準用する。


この場合において、

同法第十五条
その決定」とあるのは
「その差押え」と、

申立てに基づく」とあるのは
「ものである」と

読み替えるものとする。

1項

差押財産が損害保険に付され、又は中小企業等協同組合法昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の七の二第一項(火災共済事業)の規定による共済 その他法律の規定による共済でこれに類するものの目的となつているときは、その差押えの効力は、保険金 又は共済金の支払を受ける権利に及ぶ。


ただし、財産を差し押さえた旨を保険者 又は共済事業者に通知しなければ、その差押えをもつてこれらの者に対抗することができない

2項

徴収職員が差押に係る前項の保険金 又は共済金の支払を受けた場合において、その財産がその保険 又は共済に係る事故が生じた時に先取特権、質権 又は抵当権の目的となつていたときは、その先取特権者、質権者 又は抵当権者は、民法第三百四条第一項ただし書(先取特権の物上代位)その他 これらの権利の行使のためその保険金 又は共済金の支払を受ける権利をその支払前に差し押えることを必要とする規定の適用については、その支払前にその差押をしたものとみなす。

1項

徴収職員は、滞納者の財産を差し押さえたときは、差押調書を作成し、その財産が次に掲げる財産であるときは、その謄本を滞納者に交付しなければならない。

一 号
動産 又は有価証券
二 号

債権(電話加入権、賃借権、第七十三条の二振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産 その他取り立てることができない債権を除く。以下この章において同じ。

三 号

第七十三条電話加入権等の差押え)又は第七十三条の二振替社債等の差押え)の規定の適用を受ける財産

1項

次の各号に掲げる財産を差し押さえたときは、税務署長は、当該各号に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨 その他必要な事項を通知しなければならない。

一 号

質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権 その他の第三者の権利(担保のための仮登記に係る権利を除く)の目的となつている財産

これらの権利を有する者

二 号

仮登記がある財産

仮登記の権利者

三 号

仮差押え 又は仮処分がされている財産

仮差押え 又は仮処分をした保全執行裁判所 又は執行官