内閣総理大臣は、我が国として国際平和協力業務を実施することが適当であると認める場合であって、次に掲げる同意があるとき(国際連合平和維持活動 又は国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務であって第三条第五号トに掲げるもの若しくはこれに類するものとして同号ナの政令で定めるもの又は同号ラに掲げるものを実施する場合にあっては、同条第一号イからハまで 又は第二号イからハまでに規定する同意 及び第一号 又は第二号に掲げる同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められるときに限り、人道的な国際救援活動のために実施する国際平和協力業務であって同条第五号ラに掲げるものを実施する場合にあっては、同条第三号に規定する同意 及び第三号に掲げる同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持され、並びに当該活動が行われる地域の属する国が紛争当事者であるときは、紛争当事者の当該活動 及び当該業務が行われることについての同意があり、かつ、その同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められるときに限る。)は、国際平和協力業務を実施すること 及び実施計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
第一節 国際平和協力業務
国際連合平和維持活動のために実施する国際平和協力業務については、紛争当事者 及び当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意(第三条第一号ロ又はハに該当する活動にあっては、当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意(同号ハに該当する活動にあっては、当該地域において当該業務の実施に支障となる明確な反対の意思を示す者がいない場合に限る。))
国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務については、紛争当事者 及び当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意(第三条第二号ロ 又はハに該当する活動にあっては、当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意(同号ハに該当する活動にあっては、当該地域において当該業務の実施に支障となる明確な反対の意思を示す者がいない場合に限る。))
人道的な国際救援活動のために実施する国際平和協力業務については、当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意
国際的な選挙監視活動のために実施する国際平和協力業務については、当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意
実施計画に定める事項は、次のとおりとする。
当該国際平和協力業務の実施に関する基本方針
協力隊の設置 その他 当該国際平和協力業務の実施に関する次に掲げる事項
実施すべき国際平和協力業務の種類 及び内容
派遣先国 及び国際平和協力業務を行うべき期間
協力隊の規模 及び構成 並びに装備
海上保安庁の船舶 又は航空機を用いて当該国際平和協力業務を行う場合における次に掲げる事項
海上保安庁の船舶 又は航空機を用いて行う国際平和協力業務の種類 及び内容
国際平和協力業務を行う海上保安庁の職員の規模 及び構成 並びに装備
自衛隊の部隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)が当該国際平和協力業務を行う場合における次に掲げる事項
自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務の種類 及び内容
国際平和協力業務を行う自衛隊の部隊等の規模 及び構成 並びに装備
第二十一条第一項の規定に基づき海上保安庁長官 又は防衛大臣に委託することができる輸送の範囲
関係行政機関の協力に関する重要事項
その他 当該国際平和協力業務の実施に関する重要事項
外務大臣は、国際平和協力業務を実施することが適当であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、第一項の閣議の決定を求めるよう要請することができる。
第二項第二号に掲げる装備は、第二条第二項 及び第三条第一号から第四号までの規定の趣旨に照らし、この節の規定を実施するのに必要な範囲内で実施計画に定めるものとする。
この場合において、国際連合平和維持活動のために実施する国際平和協力業務に係る装備は、事務総長が必要と認める限度で定めるものとする。
海上保安庁の船舶 又は航空機を用いて行われる国際平和協力業務は、第三条第五号リ 若しくはルに掲げる業務(海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第五条に規定する事務に係るものに限る。)、同号ワからツまでに掲げる業務 又は これらの業務に類するものとして同号ナの政令で定める業務であって、同法第二十五条の趣旨に鑑み海上保安庁の船舶 又は航空機を用いて行うことが適当であると認められるもののうちから、海上保安庁の任務遂行に支障を生じない限度において、実施計画に定めるものとする。
自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務は、第三条第五号イからトまでに掲げる業務、同号ヲからネまでに掲げる業務、これらの業務に類するものとして同号ナの政令で定める業務 又は同号ラに掲げる業務であって自衛隊の部隊等が行うことが適当であると認められるもののうちから、自衛隊の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、実施計画に定めるものとする。
自衛隊の部隊等が行う国際連合平和維持活動 又は国際連携平和安全活動のために実施される国際平和協力業務であって第三条第五号イからトまでに掲げるもの 又はこれらの業務に類するものとして同号ナの政令で定めるものについては、内閣総理大臣は、当該国際平和協力業務に従事する自衛隊の部隊等の海外への派遣の開始前に、我が国として国際連合平和維持隊に参加し、又は他国と連携して国際連携平和安全活動を実施するに際しての基本的な五つの原則(第三条第一号 及び第二号、本条第一項(第三号 及び第四号を除く。)及び第十三項(第一号から第六号まで、第九号 及び第十号に係る部分に限る。)、第八条第一項第六号 及び第七号、第二十五条 並びに第二十六条の規定の趣旨をいう。)及びこの法律の目的に照らし、当該国際平和協力業務を実施することにつき、実施計画を添えて国会の承認を得なければならない。
ただし、国会が閉会中の場合 又は衆議院が解散されている場合には、当該国際平和協力業務に従事する自衛隊の部隊等の海外への派遣の開始後最初に召集される国会において、遅滞なく、その承認を求めなければならない。
前項本文の規定により内閣総理大臣から国会の承認を求められた場合には、先議の議院にあっては内閣総理大臣が国会の承認を求めた後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、後議の議院にあっては先議の議院から議案の送付があった後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。
政府は、第七項ただし書の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、同項の国際平和協力業務を終了させなければならない。
第七項の国際平和協力業務については、同項の規定による国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続きこれを行おうとするときは、内閣総理大臣は、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該国際平和協力業務を引き続き行うことにつき、実施計画を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならない。
ただし、国会が閉会中の場合 又は衆議院が解散されている場合には、その後 最初に召集される国会においてその承認を求めなければならない。
政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、第七項の国際平和協力業務を終了させなければならない。
前二項の規定は、国会の承認を得て第七項の国際平和協力業務を継続した後、更に二年を超えて当該国際平和協力業務を引き続き行おうとする場合について準用する。
内閣総理大臣は、実施計画の変更(第一号から第八号までに掲げる場合に行うべき国際平和協力業務に従事する者の海外への派遣の終了 及び第九号から第十一号までに掲げる場合に行うべき当該各号に規定する業務の終了に係る変更を含む。次項において同じ。)をすることが必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、実施計画の変更の案につき閣議の決定を求めなければならない。
国際連合平和維持活動(第三条第一号イに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号イに規定する合意 若しくは同意 若しくは第一項第一号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合 又は当該活動がいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されなくなったと認められる場合
国際連合平和維持活動(第三条第一号ロに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号ロに規定する同意 若しくは第一項第一号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合 又は紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在すると認められる場合
国際連合平和維持活動(第三条第一号ハに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号ハに規定する同意 若しくは第一項第一号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合、当該活動が特定の立場に偏ることなく実施されなくなったと認められる場合 又は武力紛争の発生を防止することが困難となった場合
国際連携平和安全活動(第三条第二号イに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号イに規定する合意 若しくは同意 若しくは第一項第二号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合 又は当該活動がいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されなくなったと認められる場合
国際連携平和安全活動(第三条第二号ロに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号ロに規定する同意 若しくは第一項第二号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合 又は紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在すると認められる場合
国際連携平和安全活動(第三条第二号ハに該当するものに限る。)のために実施する国際平和協力業務については、同号ハに規定する同意 若しくは第一項第二号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合、当該活動が特定の立場に偏ることなく実施されなくなったと認められる場合 又は武力紛争の発生を防止することが困難となった場合
人道的な国際救援活動のために実施する国際平和協力業務については、第三条第三号に規定する同意 若しくは合意 又は第一項第三号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合
国際的な選挙監視活動のために実施する国際平和協力業務については、第三条第四号に規定する同意 若しくは合意 又は第一項第四号に掲げる同意が存在しなくなったと認められる場合
国際連合平和維持活動のために実施する国際平和協力業務であって第三条第五号トに掲げるもの若しくはこれに類するものとして同号ナの政令で定めるもの又は同号ラに掲げるものについては、同条第一号イに規定する合意の遵守の状況 その他の事情を勘案して、同号イからハまでに規定する同意 又は第一項第一号に掲げる同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められなくなった場合
国際連携平和安全活動のために実施する国際平和協力業務であって第三条第五号トに掲げるもの若しくはこれに類するものとして同号ナの政令で定めるもの又は同号ラに掲げるものについては、同条第二号イに規定する合意の遵守の状況 その他の事情を勘案して、同号イからハまでに規定する同意 又は第一項第二号に掲げる同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められなくなった場合
人道的な国際救援活動のために実施する国際平和協力業務であって第三条第五号ラに掲げるものについては、同条第三号に規定する合意がある場合におけるその遵守の状況 その他の事情を勘案して、同号に規定する同意 若しくは第一項第三号に掲げる同意 又は当該活動が行われる地域の属する国が紛争当事者である場合における紛争当事者の当該活動 若しくは当該業務が行われることについての同意が当該活動 及び当該業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められなくなった場合
外務大臣は、実施計画の変更をすることが必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、前項の閣議の決定を求めるよう要請することができる。
内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
実施計画の決定 又は変更があったとき
当該決定 又は変更に係る実施計画の内容
実施計画に定める国際平和協力業務が終了したとき
当該国際平和協力業務の実施の結果
実施計画に定める国際平和協力業務を行う期間に係る変更があったとき
当該変更前の期間における当該国際平和協力業務の実施の状況
本部長は、実施計画に従い、国際平和協力業務を実施するため、次の第一号から第五号までに掲げる事項についての具体的内容 及び第六号から第九号までに掲げる事項を定める実施要領を作成し、及び必要に応じこれを変更するものとする。
当該国際平和協力業務が行われるべき地域 及び期間
前号に掲げる地域 及び期間ごとの当該国際平和協力業務の種類 及び内容
第一号に掲げる地域 及び期間ごとの当該国際平和協力業務の実施の方法(当該国際平和協力業務に使用される装備に関する事項を含む。)
第一号に掲げる地域 及び期間ごとの当該国際平和協力業務に従事すべき者に関する事項
派遣先国の関係当局 及び住民との関係に関する事項
第六条第十三項第一号から第八号までに掲げる場合において国際平和協力業務に従事する者が行うべき国際平和協力業務の中断に関する事項
第六条第十三項第九号から第十一号までに掲げる場合において第三条第五号トに掲げる業務 若しくはこれに類するものとして同号ナの政令で定める業務 又は同号ラに掲げる業務に従事する者が行うべき当該業務の中断に関する事項
危険を回避するための国際平和協力業務の一時休止 その他の協力隊の隊員の安全を確保するための措置に関する事項
その他本部長が当該国際平和協力業務の実施のために必要と認める事項
実施要領の作成 及び変更は、国際連合平和維持活動として実施される国際平和協力業務に関しては、前項第六号 及び第七号に掲げる事項に関し本部長が必要と認める場合を除き、事務総長 又は派遣先国において事務総長の権限を行使する者が行う指図に適合するように行うものとする。
本部長は、必要と認めるときは、その指定する協力隊の隊員に対し、実施要領の作成 又は変更に関する権限の一部を委任することができる。
協力隊は、実施計画 及び実施要領に従い、国際平和協力業務を行う。
協力隊の隊員は、第二条第一項の規定の趣旨にかんがみ、第四条第二項第三号に掲げる事務に従事するに当たり、国際平和協力業務が行われる現地の状況の変化に応じ、同号の事務が適切に実施される上で有益であると思われる情報 及び資料の収集に積極的に努めるものとする。
海上保安庁長官は、実施計画に定められた第六条第五項の国際平和協力業務について本部長から要請があった場合には、実施計画 及び実施要領に従い、海上保安庁の船舶又は航空機の乗組員たる海上保安庁の職員に、当該船舶 又は航空機を用いて国際平和協力業務を行わせることができる。
防衛大臣は、実施計画に定められた第六条第六項の国際平和協力業務について本部長から要請があった場合には、実施計画 及び実施要領に従い、自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせることができる。
前二項の規定に基づいて国際平和協力業務が実施される場合には、第三項の海上保安庁の職員 又は前項の自衛隊の部隊等に所属する自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。以下同じ。)は、それぞれ、実施計画 及び実施要領に従い、当該国際平和協力業務に従事するものとする。
協力隊は、外務大臣の指定する在外公館と密接に連絡を保つものとする。
外務大臣の指定する在外公館長は、外務大臣の命を受け、国際平和協力業務の実施のため必要な協力を行うものとする。
本部長は、国際平和協力業務の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、協力隊の隊員(以下「隊員」という。)の安全の確保に配慮しなければならない。
本部長は、隊員の任免を行う。
本部長は、第三条第五号ニ 若しくはチからネまでに掲げる業務 又は これらの業務に類するものとして同号ナの政令で定める業務に係る国際平和協力業務に従事させるため、当該国際平和協力業務に従事することを志望する者のうちから、選考により、任期を定めて隊員を採用することができる。
本部長は、前項の規定による採用に当たり、関係行政機関 若しくは地方公共団体 又は民間の団体の協力を得て、広く人材の確保に努めるものとする。
本部長は、関係行政機関の長に対し、実施計画に従い、国際平和協力業務(第三条第五号ラに掲げる業務を除く。)であって協力隊が行うものを実施するため必要な技術、能力等を有する職員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第三項各号(第十六号を除く。)に掲げる者を除く。)を協力隊に派遣するよう要請することができる。
ただし、第三条第五号イからハまで 及びホからトまでに掲げる業務 並びにこれらの業務に類するものとして同号ナの政令で定める業務に係る国際平和協力業務については自衛隊員以外の者の派遣を要請することはできず、同号チに掲げる業務 及びこれに類するものとして同号ナの政令で定める業務に係る国際平和協力業務については自衛隊員の派遣を要請することはできない。
関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の職員に該当する職員を期間を定めて協力隊に派遣するものとする。
前項の規定により派遣された職員のうち自衛隊員以外の者は、従前の官職を保有したまま、同項の期間を任期として隊員に任用されるものとする。
第二項の規定により派遣された自衛隊員は、同項の期間を任期として隊員に任用されるものとし、隊員の身分 及び自衛隊員の身分を併せ有することとなるものとする。
第三項の規定により従前の官職を保有したまま隊員に任用される者 又は前項の規定により隊員の身分 及び自衛隊員の身分を併せ有する者は、本部長の指揮監督の下に国際平和協力業務に従事する。
本部長は、第二項の規定に基づき防衛大臣により派遣された隊員(以下この条において「自衛隊派遣隊員」という。)についてその派遣の必要がなくなった場合 その他政令で定める場合には、当該自衛隊派遣隊員の隊員としての身分を失わせるものとする。
この場合には、当該自衛隊員は、自衛隊に復帰するものとする。
自衛隊派遣隊員は、自衛隊員の身分を失ったときは、同時に隊員の身分を失うものとする。
第四項の規定により隊員の身分 及び自衛隊員の身分を併せ有することとなる者に対する給与等(第十七条に規定する国際平和協力手当以外の給与、災害補償 及び退職手当 並びに共済組合の制度をいう。)に関する法令の適用については、その者は、自衛隊のみに所属するものとみなす。
第四項から前項までに定めるもののほか、同項に規定する者の身分取扱いに関し必要な事項は、政令で定める。
海上保安庁長官は、第九条第三項の規定に基づき同項の海上保安庁の職員に国際平和協力業務を行わせるときは、当該職員を、期間を定めて協力隊に派遣するものとする。
この場合において、派遣された海上保安庁の職員は、従前の官職を保有したまま当該期間を任期として隊員に任用されるものとし、隊員として第四条第二項第三号に掲げる事務に従事する。
防衛大臣は、第九条第四項の規定に基づき自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせるときは、当該自衛隊の部隊等に所属する自衛隊員を、期間を定めて協力隊に派遣するものとする。
この場合において、派遣された自衛隊員は、当該期間を任期として隊員に任用され、自衛隊員の身分 及び隊員の身分を併せ有することとなるものとし、隊員として第四条第二項第三号に掲げる事務に従事する。
前項に定めるもののほか、同項の規定により自衛隊員の身分 及び隊員の身分を併せ有することとなる者の身分取扱いについては、前条第六項から第九項までの規定を準用する。
第十二条第一項の規定により採用される隊員については、隊員になる前に、国家公務員法第百三条第一項に規定する営利企業(以下この条において「営利企業」という。)を営むことを目的とする団体の役員、顧問 若しくは評議員(以下この条において「役員等」という。)の職に就き、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等の職に就き、若しくは事業に従事し、若しくは事務を行っていた場合においても、同項 及び同法第百四条の規定は、適用しない。
隊員は、本部長の定めるところにより行われる国際平和協力業務の適切かつ効果的な実施のための研修を受けなければならない。
国際平和協力業務に従事する者には、国際平和協力業務が行われる派遣先国の勤務環境 及び国際平和協力業務の特質に鑑み、国際平和協力手当を支給することができる。
前項の国際平和協力手当に関し必要な事項は、政令で定める。
内閣総理大臣は、前項の政令の制定 又は改廃に際しては、人事院の意見を聴かなければならない。
隊員の服制は、政令で定める。
隊員には、政令で定めるところにより、その職務遂行上必要な被服を支給し、又は貸与することができる。
国際平和協力業務に従事する者の総数は、二千人を超えないものとする。
隊員の定員は、実施計画に従って行われる国際平和協力業務の実施に必要な定員で個々の協力隊ごとに政令で定めるものとする。
本部長は、実施計画に基づき、海上保安庁長官 又は防衛大臣に対し、第三条第五号カに規定する国際平和協力業務の実施のための船舶 若しくは航空機による被災民の輸送 又は同号ワからソまでに規定する国際平和協力業務の実施のための船舶 若しくは航空機による物品の輸送(派遣先国の国内の地域間 及び一の派遣先国と隣接する他の派遣先国との間で行われる被災民の輸送 又は物品の輸送を除く。)を委託することができる。
海上保安庁長官は、前項の規定による委託があった場合には、海上保安庁の任務遂行に支障を生じない限度において、当該委託を受け、及びこれを実施することができる。
防衛大臣は、第一項の規定による委託があった場合には、自衛隊の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、当該委託を受け、及びこれを実施することができる。
本部長は、協力隊が行う国際平和協力業務を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、その所管に属する物品の管理換え その他の協力を要請することができる。
関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の協力を行うものとする。
本部は、隊員の安全保持のために必要な政令で定める種類の小型武器を保有することができる。
本部長は、第九条第一項の規定により協力隊が派遣先国において行う国際平和協力業務(第三条第五号チに掲げる業務 及びこれに類するものとして同号ナの政令で定める業務を除く。)に隊員を従事させるに当たり、現地の治安の状況等を勘案して特に必要と認める場合には、当該隊員が派遣先国に滞在する間、前条の小型武器であって第六条第二項第二号ハ 及び第四項の規定により実施計画に定める装備であるものを当該隊員に貸与することができる。
小型武器を管理する責任を有する者として本部の職員のうちから本部長により指定された者は、前項の規定により隊員に貸与するため、小型武器を保管することができる。
小型武器の貸与の基準、管理等に関し必要な事項は、政令で定める。
前条第一項の規定により小型武器の貸与を受け、派遣先国において国際平和協力業務に従事する隊員は、自己 又は自己と共に現場に所在する他の隊員 若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命 又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、当該小型武器を使用することができる。
第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務に従事する海上保安官 又は海上保安官補(以下この条において「海上保安官等」という。)は、自己 又は自己と共に現場に所在する他の海上保安庁の職員、隊員 若しくは その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命 又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ニ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である第二十三条の政令で定める種類の小型武器で、当該海上保安官等が携帯するものを使用することができる。
第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務に従事する自衛官は、自己 又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員、隊員 若しくは その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命 又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
前二項の規定による小型武器 又は武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。
ただし、生命 又は身体に対する侵害 又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。
第二項 又は第三項の場合において、当該現場に在る上官は、統制を欠いた小型武器 又は武器の使用によりかえって生命 若しくは身体に対する危険 又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該小型武器 又は武器の使用がこれらの規定 及び次項の規定に従い その目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。
第一項から第三項までの規定による小型武器 又は武器の使用に際しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条 又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務に従事する自衛官は、その宿営する宿営地(宿営のために使用する区域であって、囲障が設置されることにより他と区別されるものをいう。以下この項において同じ。)であって当該国際平和協力業務に係る国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動 又は人道的な国際救援活動に従事する外国の軍隊の部隊の要員が共に宿営するものに対する攻撃があったときは、当該宿営地に所在する者の生命 又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、第三項の規定による武器の使用をすることができる。
この場合において、同項から第五項までの規定の適用については、
第三項中
「現場に所在する他の自衛隊員、隊員 若しくは その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」とあるのは
「その宿営する宿営地(第七項に規定する宿営地をいう。次項 及び第五項において同じ。)に所在する者」と、
「その事態」とあるのは
「第七項に規定する外国の軍隊の部隊の要員による措置の状況をも踏まえ、その事態」と、
第四項 及び第五項中
「現場」とあるのは
「宿営地」と
する。
海上保安庁法第二十条の規定は、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務に従事する海上保安官等については、適用しない。
自衛隊法第九十六条第三項の規定は、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務に従事する自衛官については、自衛隊員以外の者の犯した犯罪に関しては適用しない。
第一項の規定は第八条第一項第六号に規定する国際平和協力業務の中断(以下 この項において「業務の中断」という。)がある場合における当該国際平和協力業務に係る隊員について、第二項 及び第八項の規定は業務の中断がある場合における当該国際平和協力業務に係る海上保安官等について、第三項、第七項 及び前項の規定は業務の中断がある場合における当該国際平和協力業務に係る自衛官について、第四項 及び第五項の規定は この項において準用する第二項の規定 及びこの項において準用する第三項(第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による小型武器 又は武器の使用について、第六項の規定はこの項において準用する第一項 及び第二項の規定 並びにこの項において準用する第三項(第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による小型武器 又は武器の使用について、それぞれ準用する。
前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号トに掲げるもの 又はこれに類するものとして同号ナの政令で定めるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己 若しくは他人の生命、身体 若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号ラに掲げるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己 又はその保護しようとする活動関係者の生命 又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法第三十六条 又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
自衛隊法第八十九条第二項の規定は、第一項 又は第二項の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。