地方公共団体の財政の健全化に関する法律

# 平成十九年法律第九十四号 #
略称 : 地方公共団体財政健全化法  地方自治体財政健全化法  財政健全化法 

第三章 財政の再生

分類 法律
カテゴリ   地方財政
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成二十九年法律第二十九号による改正
最終編集日 : 2023年 07月04日 17時52分


1項

地方公共団体は、実質赤字比率、連結実質赤字比率 及び実質公債費比率(以下「再生判断比率」という。)のいずれかが財政再生基準以上である場合には、当該再生判断比率を公表した年度の末日までに、当該年度を初年度とする財政の再生のための計画(以下「財政再生計画」という。)を定めなければならない。


ただしこの項の規定により既に財政再生計画を定めている場合は、この限りでない。

2項

財政健全化団体が前項の規定により財政再生計画を定めたときは、当該財政健全化団体の財政健全化計画は、その効力を失う。

3項

財政再生計画は、財政の状況が著しく悪化した要因の分析の結果を踏まえ、財政の再生を図るため必要な最小限度の期間内に、実質赤字額がある場合にあっては一般会計等における歳入と歳出との均衡を実質的に回復することを、連結実質赤字比率、実質公債費比率 又は将来負担比率が早期健全化基準以上である場合にあってはそれぞれの比率を早期健全化基準未満とすることを、第十二条第二項に規定する再生振替特例債を起こす場合にあっては当該再生振替特例債の償還を完了することを目標として、次に掲げる事項について定めるものとする。


ただし第四号ホに掲げる事項については、財政の再生のため特に必要と認められる地方公共団体に限る

一 号
再生判断比率が財政再生基準以上となった要因の分析
二 号
計画期間
三 号
財政の再生の基本方針
四 号

次に掲げる計画( 及びに掲げる計画にあっては、実施の要領を含む。次号において同じ。)及びこれに伴う歳入 又は歳出の増減額

事務 及び事業の見直し、組織の合理化 その他の歳出の削減を図るための措置に関する計画
当該年度以降の年度分の地方税 その他の収入について、その徴収成績を通常の成績以上に高めるための計画
当該年度の前年度以前の年度分の地方税 その他の収入で滞納に係るものの徴収計画
使用料 及び手数料の額の変更、財産の処分 その他の歳入の増加を図るための措置に関する計画

地方税法昭和二十五年法律第二百二十六号)第四条第二項 若しくは第五条第二項に掲げる普通税について標準税率を超える税率で課し、又は同法第四条第三項 若しくは第五条第三項の規定による普通税を課することによる地方税の増収計画

五 号

前号の計画 及びこれに伴う歳入 又は歳出の増減額を含む各年度ごとの歳入 及び歳出に関する総合的な計画

六 号

第十二条第二項に規定する再生振替特例債を起こす場合には、当該再生振替特例債の各年度ごとの償還額

七 号
各年度ごとの健全化判断比率の見通し
八 号

前各号に掲げるもののほか、財政の再生に必要な事項

4項
財政再生計画は、その達成に必要な各会計ごとの取組が明らかになるよう定めなければならない。
1項

財政再生計画は、地方公共団体の長が作成し、議会の議決を経て定めなければならない。


財政再生計画を変更する場合も、同様とする。

2項

地方公共団体は、財政再生計画を定めたときは、速やかに、これを公表するとともに、総務大臣に(市町村 及び特別区にあっては、都道府県知事を経由して総務大臣に報告しなければならない。

3項

前項の規定は、財政再生計画を変更した場合(政令で定める軽微な変更をした場合を除く)について準用する。

4項

財政再生計画を定めている地方公共団体(以下「財政再生団体」という。)の長は、財政再生計画に基づいて予算を調製しなければならない。

1項

地方公共団体は、財政再生計画について、議会の議決を経て、総務大臣に(市町村 及び特別区にあっては、都道府県知事を通じて総務大臣に)協議し、その同意を求めることができる。

2項
総務大臣は、財政再生計画について同意をするかどうかを判断するための基準を定め、これを公表するものとする。
3項

総務大臣は、第一項の規定による協議を受けた財政再生計画が、前項の基準に照らして適当なものであると認められるときは、これに同意するものとする。

4項

総務大臣は、第二項の基準の作成 及び前項の同意については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

5項

地方公共団体は、第三項の同意を得たときは、速やかに、その旨を公表しなければならない。

6項

地方公共団体は、第三項の同意を得ている財政再生計画を変更しようとするときは、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。


ただし、災害 その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得る時間的余裕がないときは、事後において、遅滞なく、その変更について総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。

7項

第二項から第五項までの規定は、前項の変更の同意について準用する。

1項

地方公共団体は、再生判断比率のいずれかが財政再生基準以上であり、かつ、前条第三項同条第七項において準用する場合を含む。以下同じ。)の同意を得ていないときは、地方財政法 その他の法律の規定にかかわらず地方債をもってその歳出の財源とすることができない


ただし、災害復旧事業費の財源とする場合 その他の政令で定める場合においては、この限りでない。

1項

財政再生団体は、その財政再生計画につき第十条第三項の同意を得ている場合に限り、収支不足額(標準財政規模の額に、実質赤字比率と連結実質赤字比率から連結実質赤字比率について早期健全化基準として定める数値を控除して得た数値とのいずれか大きい数値を乗じて得た額を基準として総務省令で定める額をいう。)を地方債に振り替えることによって、当該収支不足額を財政再生計画の計画期間内に計画的に解消するため、地方財政法第五条の規定にかかわらず、当該収支不足額の範囲内で、地方債を起こすことができる。

2項

前項の地方債(当該地方債の借換えのために要する経費の財源に充てるために起こす地方債を含む。次項において「再生振替特例債」という。)は、財政再生計画の計画期間内に償還しなければならない。

3項
国は、再生振替特例債については、法令の範囲内において、資金事情の許す限り、適切な配慮をするものとする。
1項

財政再生団体 及び財政再生計画を定めていない地方公共団体であって再生判断比率のいずれかが財政再生基準以上である地方公共団体は、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率 若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣の許可を受けなければならない。


この場合においては、地方財政法第五条の三第一項の規定による協議をすること 及び同条第六項の規定による届出をすること 並びに同法第五条の四第一項 及び第三項から第五項までに規定する許可を受けることを要しない。

2項

財政再生計画につき第十条第三項の同意を得ている財政再生団体についての前項の許可は、当該財政再生計画に定める各年度ごとの歳入に関する計画 その他の地方債に関連する事項 及び当該財政再生計画の実施状況を勘案して行うものとする。

3項

地方財政法第五条の三第七項第一号に係る部分に限る)の規定は、第一項に規定する許可を得た地方債について、同条第八項の規定は、第一項に規定する許可を得た地方債に係る元利償還に要する経費について、それぞれ準用する。

4項

総務大臣は、第一項の総務大臣の許可については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

1項

総務大臣は、第九条第二項の規定により財政再生計画の報告を受けたときは、速やかに、当該財政再生計画を定めた地方公共団体の名称を各省各庁の長(財政法昭和二十二年法律第三十四号第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。

2項

各省各庁の長は、土木事業 その他の政令で定める事業を財政再生団体に負担金を課して国が直轄で行おうとするときは、当該事業の実施に着手する前(年度を分けて実施する場合にあっては、年度ごとの事業の実施に着手する前)に、あらかじめ、当該事業に係る経費の総額 及び当該財政再生団体の負担額を総務大臣に通知しなければならない。


当該事業の事業計画の変更により財政再生団体の負担額に著しい変更を生ずる場合も、同様とする。

3項

総務大臣は、前項の規定による通知を受けた場合において当該通知に係る事項が財政再生計画に与える影響を勘案して必要と認めるときは、各省各庁の長に対し、意見を述べることができる。

1項

総務大臣は、毎年度、第九条第二項同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により報告を受けた財政再生計画の内容 並びに第十条第一項 及び第六項の規定による協議の結果を公表するものとする。

1項

財政再生団体は、財政再生計画で定めるところにより、当該財政再生団体の長の補助機関である職員を、当該財政再生団体の議会 若しくは当該財政再生団体に執行機関として置かれる委員会 及び委員 並びに当該委員会の管理に属する機関(以下この条において「委員会等」という。)の事務を補助する職員と兼ねさせ、若しくは当該議会 若しくは委員会等の事務を補助する職員に充て、又は当該議会 若しくは委員会等の事務に従事させることができる。

1項

地方公共団体の議会の議決が次に掲げる場合に該当するときは、当該地方公共団体の長は、地方自治法第百七十六条 及び第百七十七条の規定によるもののほか、それぞれ当該議決があった日から起算して十日以内に、理由を示してこれを再議に付することができる。

一 号
財政再生計画の策定 又は変更に関する議案を否決したとき。
二 号

第十条第一項の規定による協議に関する議案を否決したとき。

三 号
財政再生計画の達成ができなくなると認められる議決をしたとき。
1項

財政再生団体の長は、毎年九月三十日までに、前年度における決算との関係を明らかにした財政再生計画の実施状況を議会に報告し、かつ、これを公表するとともに、総務大臣に(市町村 及び特別区の長にあっては、都道府県知事を経由して総務大臣に)当該財政再生計画の実施状況を報告しなければならない。

2項

総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

1項
総務大臣は、必要に応じ、財政再生計画の実施状況について調査し、又は報告を求めることができる。
1項
総務大臣は、財政再生団体の財政の運営がその財政再生計画に適合しないと認められる場合 その他財政再生団体の財政の再生が困難であると認められる場合においては、当該財政再生団体の長に対し、予算の変更、財政再生計画の変更 その他必要な措置を講ずることを勧告することができる。
2項

財政再生団体の長は、前項の規定による勧告を受けたときは、速やかに、当該勧告の内容を当該財政再生団体の議会に報告するとともに、監査委員(包括外部監査対象団体である財政再生団体にあっては、監査委員 及び包括外部監査人)に通知しなければならない。

3項

第一項の規定による勧告を受けた財政再生団体の長は、当該勧告に基づいて講じた措置について、総務大臣に報告しなければならない。

4項

総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、当該報告の内容を公表するものとする。

1項

国 及び他の地方公共団体は、財政再生団体が財政再生計画を円滑に実施することができるよう配慮するものとする。