家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第一章の二 日本の裁判所の管轄権

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分


1項

裁判所は、不在者の財産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の五十五の項の事項についての審判事件をいう。第百四十五条において同じ。)について、不在者の財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、失踪の宣告の取消しの審判事件(別表第一の五十七の項の事項についての審判事件をいう。第百四十九条第一項 及び第二項において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

日本において失踪の宣告の審判があったとき。

二 号

失踪者の住所が日本国内にあるとき 又は失踪者が日本の国籍を有するとき。

三 号

失踪者が生存していたと認められる最後の時点において、失踪者が日本国内に住所を有していたとき 又は日本の国籍を有していたとき。

1項

裁判所は、嫡出否認の訴えについて日本の裁判所が管轄権を有するときは、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件(別表第一の五十九の項の事項についての審判事件をいう。第百五十九条第一項 及び第二項において同じ。)について、管轄権を有する。

1項

裁判所は、養子縁組をするについての許可の審判事件(別表第一の六十一の項の事項についての審判事件をいう。第百六十一条第一項 及び第二項において同じ。)及び特別養子縁組の成立の審判事件(同表の六十三の項の事項についての審判事件をいう。第百六十四条において同じ。)(特別養子適格の確認の審判事件(同条第二項に規定する特別養子適格の確認についての審判事件をいう。第百六十四条の二第二項 及び第四項において同じ。)を含む。)について、養親となるべき者 又は養子となるべき者の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、死後離縁をするについての許可の審判事件(別表第一の六十二の項の事項についての審判事件をいう。第百六十二条第一項 及び第二項において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

養親 又は養子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

養親 又は養子がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

三 号

養親 又は養子の一方が日本の国籍を有する場合であって、他の一方がその死亡の時に日本の国籍を有していたとき。

1項

裁判所は、特別養子縁組の離縁の審判事件(別表第一の六十四の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

養親の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

養子の実父母 又は検察官からの申立てであって、養子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 号

養親 及び養子が日本の国籍を有するとき。

四 号

日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親 及び養子が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

五 号

日本国内に住所がある養子からの申立てであって、養親が行方不明であるとき、養親の住所がある国においてされた離縁に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないとき その他の日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが養親と養子との間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

1項

裁判所は、親権に関する審判事件(別表第一の六十五の項から六十九の項まで 並びに別表第二の七の項 及び八の項の事項についての審判事件をいう。第百六十七条において同じ。)、子の監護に関する処分の審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第四号 及び第百五十一条第二号において同じ。)(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く)及び親権を行う者につき破産手続が開始された場合における管理権喪失の審判事件(別表第一の百三十二の項の事項についての審判事件をいう。第二百四十二条第一項第二号 及び第三項において同じ。)について、子の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、養子の離縁後に未成年後見人となるべき者の選任の審判事件(別表第一の七十の項の事項についての審判事件をいう。第百七十六条 及び第百七十七条第一号において同じ。)又は未成年後見人の選任の審判事件(同表の七十一の項の事項についての審判事件をいう。同条第二号において同じ。)について、未成年被後見人となるべき者 若しくは未成年被後見人(以下この条において「未成年被後見人となるべき者等」という。)の住所 若しくは居所が日本国内にあるとき 又は未成年被後見人となるべき者等が日本の国籍を有するときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、夫婦、親子 その他の親族関係から生ずる扶養の義務に関する審判事件(別表第一の八十四の項 及び八十五の項 並びに別表第二の一の項から三の項まで、九の項 及び十の項の事項についての審判事件(同表の三の項の事項についての審判事件にあっては、子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る)をいう。)について、扶養義務者(別表第一の八十四の項の事項についての審判事件にあっては、扶養義務者となるべき者)であって申立人でないもの又は扶養権利者(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件にあっては、子の監護者 又は子)の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

1項

裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで 及び百三十三の項 並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合 又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合 又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く)は、管轄権を有する。

2項

相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項 及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、

同項
相続開始の時における被相続人」とあるのは
「被相続人」と、

相続開始の前」とあるのは
「申立て前」と

する。

3項

裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判 又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項 及び第二項において同じ。)、相続財産の保存に関する処分の審判事件(同表の八十九の項の事項についての審判事件をいう。第百九十条の二において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号 及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

4項

当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四 及び第百九十一条第一項において同じ。) 及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四 及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。

5項

民事訴訟法平成八年法律第百九号第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。

1項

裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件(別表第二の四の項の事項についての審判事件をいう。第百五十条第五号において同じ。)について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

夫であった者 及び妻であった者の双方が日本の国籍を有するとき。

三 号

日本国内に住所がある夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、夫であった者 及び妻であった者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

四 号

日本国内に住所がある夫 又は妻であった者の一方からの申立てであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた財産の分与に関する処分に係る確定した裁判が日本国で効力を有しないとき その他の日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

1項

裁判所は、家事調停事件について、次の各号いずれかに該当するときは、管轄権を有する。

一 号

当該調停を求める事項についての訴訟事件 又は家事審判事件について日本の裁判所が管轄権を有するとき。

二 号

相手方の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 号

当事者が日本の裁判所に家事調停の申立てをすることができる旨の合意をしたとき。

2項

民事訴訟法第三条の七第二項 及び第三項の規定は、前項第三号の合意について準用する。

3項

人事訴訟法平成十五年法律第百九号第二条に規定する人事に関する訴え(離婚 及び離縁の訴えを除く)を提起することができる事項についての調停事件については、第一項第二号 及び第三号に係る部分に限る)の規定は、適用しない

1項

裁判所は第三条の二から前条までに規定する事件について日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合(遺産の分割に関する審判事件 又は特別の寄与に関する処分の審判事件について、日本の裁判所にのみ申立てをすることができる旨の合意に基づき申立てがされた場合を除く)においても、事案の性質、申立人以外の事件の関係人の負担の程度、証拠の所在地、未成年者である子の利益 その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが適正かつ迅速な審理の実現を妨げ、又は相手方がある事件について申立人と相手方との間の衡平を害することとなる特別の事情があると認めるときは、その申立ての全部 又は一部を却下することができる。

1項

日本の裁判所の管轄権は、家事審判 若しくは家事調停の申立てがあった時 又は裁判所が職権で家事事件の手続を開始した時を標準として定める。