民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第三節 代理

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 21時20分


1項

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

2項

前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

1項

代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。


ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

1項

代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫 又はある事情を知っていたこと 若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

2項

相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと 又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

3項

特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。


本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

1項

制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない


ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

1項

権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。

一 号
保存行為
二 号

代理の目的である物 又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用 又は改良を目的とする行為

1項

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない

1項

法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。


この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任 及び監督についての責任のみを負う。

1項

復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。

2項

復代理人は、本人 及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

1項

代理人が自己 又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

1項

同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。


ただし、債務の履行 及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

2項

前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。


ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

1項

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。


ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

2項

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

1項

前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

1項

代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。

一 号
本人の死亡
二 号

代理人の死亡 又は代理人が破産手続開始の決定 若しくは後見開始の審判を受けたこと。

2項

委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

1項

他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。


ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

2項

他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

1項

代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

2項

追認 又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。


ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

1項

前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。


この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

1項

代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。


ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

1項

追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。


ただし、第三者の権利を害することはできない。

1項

他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行 又は損害賠償の責任を負う。

2項

前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない

一 号

他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。

二 号

他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。


ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。

三 号

他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

1項

単独行為については、その行為の時において、相手方が、代理人と称する者が代理権を有しないで行為をすることに同意し、又はその代理権を争わなかったときに限り、第百十三条から前条までの規定を準用する。


代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも、同様とする。