民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第二款 売買の効力

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時49分

1項

売主は、買主に対し、登記、登録 その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。

1項

他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

1項

引き渡された目的物が種類、品質 又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し 又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。


ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2項

前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない

1項

前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2項

前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

一 号

履行の追完が不能であるとき。

二 号

売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 号

契約の性質 又は当事者の意思表示により、特定の日時 又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 号

前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3項

第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない

1項

前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求 並びに第五百四十一条 及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

1項

前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。

1項

売主が種類 又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求 及び契約の解除をすることができない


ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

1項

売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失 又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求 及び契約の解除をすることができない


この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない

2項

売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。

1項

民事執行法 その他の法律の規定に基づく競売(以下この条において単に「競売」という。)における買受人は、第五百四十一条 及び第五百四十二条の規定 並びに第五百六十三条第五百六十五条において準用する場合を含む。)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。

2項

前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部 又は一部の返還を請求することができる。

3項

前二項の場合において、債務者が物 若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。

4項

前三項の規定は、競売の目的物の種類 又は品質に関する不適合については、適用しない

1項

債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。

2項

弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。

1項

買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権 又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

1項

売主は、第五百六十二条第一項本文 又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実 及び自ら第三者のために設定し 又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない

1項

売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。

1項

売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。

1項

まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。

2項

買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。


ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。

1項

売買の目的について権利を主張する者があること その他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部 若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部 又は一部の支払を拒むことができる。


ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。

1項

買い受けた不動産について契約の内容に適合しない抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。


この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。

2項

前項の規定は、買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権 又は質権の登記がある場合について準用する。

1項

前二条の場合においては、売主は、買主に対して代金の供託を請求することができる。