津波防災地域づくりに関する法律

# 平成二十三年法律第百二十三号 #

第一節 津波防護施設の管理

分類 法律
カテゴリ   都市計画
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成二十九年六月二日公布(平成二十九年法律第四十五号)改正
最終編集日 : 2023年 08月05日 12時41分


1項

津波防護施設の新設、改良その他の管理は、都道府県知事が行うものとする。

2項

前項の規定にかかわらず、市町村長が管理することが適当であると認められる津波防護施設で都道府県知事が指定したものについては、当該津波防護施設の存する市町村の長がその管理を行うものとする。

3項

都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ当該市町村長の意見を聴かなければならない。

4項

都道府県知事は、第二項の規定により指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、これを公示しなければならない。


これを変更するときも、同様とする。

1項

津波防護施設の新設 又は改良は、推進計画区域内において、推進計画に即して行うものとする。

1項

都府県の境界に係る津波防護施設については、関係都府県知事は、協議して別にその管理の方法を定めることができる。

2項

前項の規定による協議が成立した場合においては、関係都府県知事は、国土交通省令で定めるところにより、その成立した協議の内容を公示しなければならない。

3項

第一項の規定による協議に基づき、一の都府県知事が他の都府県の区域内に存する津波防護施設について管理を行う場合においては、その都府県知事は、政令で定めるところにより、当該 他の都府県知事に代わってその権限を行うものとする。

1項

津波防護施設管理者は、次に掲げる土地の区域を津波防護施設区域として指定するものとする。

一 号

津波防護施設の敷地である土地の区域

二 号

前号の土地の区域に隣接する土地の区域であって、当該津波防護施設を保全するため必要なもの

2項

前項第二号に掲げる土地の区域についての津波防護施設区域の指定は、当該津波防護施設を保全するため必要な最小限度の土地の区域に限ってするものとする。

3項

津波防護施設管理者は、津波防護施設区域を指定するときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。


これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。

4項

津波防護施設区域の指定、変更 又は廃止は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

1項

津波防護施設区域内の土地(津波防護施設管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。

2項

津波防護施設管理者は、前項の許可の申請があった場合において、その申請に係る事項が津波防護施設の保全に著しい支障を及ぼす おそれがあると認めるときは、これを許可してはならない。

1項

津波防護施設区域内の土地において、次に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。


ただし、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定める行為については、この限りでない。

一 号

津波防護施設以外の施設 又は工作物(以下この章において「他の施設等」という。)の新築 又は改築

二 号

土地の掘削、盛土 又は切土

三 号

前二号に掲げるもののほか、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める行為

2項

前条第二項の規定は、前項の許可について準用する。

1項

津波防護施設区域の指定の際 現に権原に基づき、第二十二条第一項 若しくは前条第一項の規定により許可を要する行為を行っている者 又は同項の規定によりその設置について許可を要する他の施設等を設置している者は、従前と同様の条件により、当該行為 又は他の施設等の設置について当該規定による許可を受けたものとみなす。


同項ただし書 若しくは同項第三号の政令 又はこれを改廃する政令の施行の際現に権原に基づき、当該政令の施行に伴い新たに許可を要することとなる行為を行い、又は他の施設等を設置している者についても、同様とする。

1項

国 又は地方公共団体が行う事業についての第二十二条第一項 及び第二十三条第一項の規定の適用については、国 又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、これらの規定による許可があったものとみなす。

1項

津波防護施設管理者は、国土交通省令で定める基準に従い、第二十二条第一項の許可を受けた者から占用料を徴収することができる。

1項

津波防護施設管理者は、次の各号いずれかに該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転 若しくは除却、他の施設等により生ずべき津波防護施設の保全上の障害を予防するために必要な施設の設置 若しくは原状回復を命ずることができる。

一 号

第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の規定に違反した者

二 号

第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可に付した条件に違反した者

三 号

偽りその他不正な手段により第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可を受けた者

2項

津波防護施設管理者は、次の各号いずれかに 該当する場合においては、第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。

一 号

津波防護施設に関する工事のためやむを得ない必要が生じたとき。

二 号

津波防護施設の保全上 著しい支障が生じたとき。

三 号

津波防護施設の保全上の理由以外の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じたとき。

3項

前二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、津波防護施設管理者は、当該措置を自ら行い、又はその命じた者 若しくは委任した者にこれを行わせることができる。


この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨 及びその期限までに当該措置を行わないときは、津波防護施設管理者 又はその命じた者 若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。

4項

津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を除却し、又は除却させたときは、当該他の施設等を保管しなければならない。

5項

津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を保管したときは、当該他の施設等の所有者、占有者 その他当該他の施設等について権原を有する者(第九項において「所有者等」という。)に対し当該他の施設等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。

6項

津波防護施設管理者は、第四項の規定により保管した他の施設等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該他の施設等を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該他の施設等の価額に比し、その保管に不相当な費用 若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該 他の施設等を売却し、その売却した代金を保管することができる。

7項

津波防護施設管理者は、前項の規定による他の施設等の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該 他の施設等を廃棄することができる。

8項

第六項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。

9項

第三項から第六項までに規定する他の施設等の除却、保管、売却、公示 その他の措置に要した費用は、当該他の施設等の返還を受けるべき所有者等 その他第三項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。

10項

第五項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第四項の規定により保管した他の施設等(第六項の規定により売却した代金を含む。以下 この項において同じ。)を返還することができないときは、当該他の施設等の所有権は、都道府県知事が保管する他の施設等にあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が保管する他の施設等にあっては当該市町村長が統括する市町村に帰属する。

1項

津波防護施設管理者は、前条第二項の規定による処分 又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2項

前項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。

3項

前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。


この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。

4項

津波防護施設管理者は、第一項の規定による補償の原因となった損失が前条第二項第三号に該当する場合における同項の規定による処分 又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。

1項

津波防護施設は、地形、地質、地盤の変動 その他の状況を考慮し、自重、水圧 及び波力 並びに地震の発生、漂流物の衝突 その他の事由による振動 及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。

2項

前項に定めるもののほか、津波防護施設の形状、構造 及び位置について、津波による人的災害の防止 又は軽減のため必要とされる技術上の基準は、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県(第十八条第二項の規定により市町村長が津波防護施設を管理する場合にあっては、当該市町村長が統括する市町村)の条例で定める。

1項

津波防護施設と他の施設等とが相互に効用を兼ねる場合においては、津波防護施設管理者 及び他の施設等の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該津波防護施設 及び他の施設等の工事、維持 又は操作を行うことができる。

2項

津波防護施設管理者は、前項の規定による協議に基づき、他の施設等の管理者が津波防護施設の工事、維持 又は操作を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

1項

津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事以外の工事(以下この章において「他の工事」という。)又は津波防護施設に関する工事 若しくは津波防護施設の維持の必要を生じさせた行為(以下この章において「他の行為」という。)により必要を生じた津波防護施設に関する工事 又は津波防護施設の維持を当該 他の工事の施行者 又は他の行為の行為者に施行させることができる。

2項

前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)、道路(道路法昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事、地すべり防止工事(地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二条第四項に規定する地すべり防止工事をいう。以下同じ。)、急傾斜地崩壊防止工事(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第二条第三項に規定する急傾斜地崩壊防止工事をいう。第四十三条第二項において同じ。)又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事については、河川法第十九条、道路法第二十三条第一項、地すべり等防止法第十五条第一項、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第十六条第一項 又は海岸法第十七条第一項の規定を適用する。

1項

津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事により必要を生じた他の工事 又は津波防護施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事をその津波防護施設に関する工事と併せて施行することができる。

2項

前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事(砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防工事をいう。第四十四条第二項において同じ。)、地すべり防止工事 又は海岸保全施設等(海岸法第八条の二第一項第一号に規定する海岸保全施設等をいう。第四十四条第二項において同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十八条、道路法第二十二条第一項、砂防法第八条、地すべり等防止法第十四条第一項 又は海岸法第十六条第一項の規定を適用する。

1項

津波防護施設管理者以外の者は、第二十条第一項第三十条第一項 及び第三十一条の規定による場合のほか、あらかじめ、政令で定めるところにより津波防護施設管理者の承認を受けて、津波防護施設に関する工事 又は津波防護施設の維持を行うことができる。


ただし、政令で定める軽易なものについては、津波防護施設管理者の承認を受けることを要しない。

2項

国 又は地方公共団体が行う事業についての前項の規定の適用については、国 又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、同項の規定による承認があったものとみなす。

1項

津波防護施設管理者 又はその命じた者 若しくは委任した者は、津波防護施設区域に関する調査 若しくは測量 又は津波防護施設に関する工事のためにやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場 若しくは作業場として一時使用することができる。

2項

第七条第一項を除く)の規定は、前項の規定による立入り 及び一時使用について準用する。


この場合において、

同条第八項から第十項までの規定中
都道府県 又は国」とあるのは、
「津波防護施設管理者」と

読み替えるものとする。

1項

土地収用法第九十三条第一項の規定による場合を除き、津波防護施設管理者が津波防護施設を新設し、又は改良したことにより、当該津波防護施設に面する土地について、通路、溝、垣、柵 その他の施設 若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土 若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、津波防護施設管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部 又は一部を補償しなければならない。


この場合において、津波防護施設管理者 又は損失を受けた者は、補償金の全部 又は一部に代えて、津波防護施設管理者が当該工事を施行することを要求することができる。

2項

前項の規定による損失の補償は、津波防護施設に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない

3項

第一項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。

4項

前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。

1項

津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳を調製し、これを保管しなければならない。

2項

津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない

3項

津波防護施設台帳の記載事項その他その調製 及び保管に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

1項

津波防護施設管理者は、第二十二条第一項 若しくは第二十三条第一項の許可 又は第三十三条第一項の承認には、津波防護施設の保全上必要な条件を付することができる。