消費者教育の推進に関する法律

# 平成二十四年法律第六十一号 #
略称 : 消費者教育法  消費者教育推進法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   商業
@ 施行日 : 平成二十八年四月一日
@ 最終更新 : 平成二十六年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2023年 01月28日 10時07分


1項

この法律は、消費者教育が、消費者と事業者との間の情報の質 及び量 並びに交渉力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護 及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう その自立を支援する上で重要であることに鑑み、消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利であることを踏まえ、消費者教育に関し、基本理念を定め、並びに国 及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定 その他の消費者教育の推進に関し必要な事項を定めることにより、消費者教育を総合的かつ一体的に推進し、もって国民の消費生活の安定 及び向上に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「消費者教育」とは、消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解 及び関心を深めるための教育を含む。)及び これに準ずる啓発活動をいう。

2項

この法律において「消費者市民社会」とは、消費者が、個々の消費者の特性 及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在 及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢 及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会をいう。

1項

消費者教育は、消費生活に関する知識を修得し、これを適切な行動に結び付けることができる実践的な能力が育まれることを旨として行われなければならない。

2項

消費者教育は、消費者が消費者市民社会を構成する一員として主体的に消費者市民社会の形成に参画し、その発展に寄与することができるよう、その育成を積極的に支援することを旨として行われなければならない。

3項

消費者教育は、幼児期から高齢期までの各段階に応じて体系的に行われるとともに、年齢、障害の有無 その他の消費者の特性に配慮した適切な方法で行われなければならない。

4項

消費者教育は、学校、地域、家庭、職域 その他の様々な場の特性に応じた適切な方法により、かつ、それぞれの場における消費者教育を推進する多様な主体の連携 及び 他の消費者政策(消費者の利益の擁護 及び増進に関する総合的な施策をいう。第九条第二項第三号において同じ。)との有機的な連携を確保しつつ、効果的に行われなければならない。

5項

消費者教育は、消費者の消費生活に関する行動が現在 及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢 及び地球環境に与える影響に関する情報 その他の多角的な視点に立った情報を提供することを旨として行われなければならない。

6項

消費者教育は、災害 その他非常の事態においても消費者が合理的に行動することができるよう、非常の事態における消費生活に関する知識と理解を深めることを旨として行われなければならない。

7項

消費者教育に関する施策を講ずるに当たっては、環境教育、食育、国際理解教育 その他の消費生活に関連する教育に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされなければならない。

1項

国は、自らの利益の擁護 及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができる自立した消費者の育成が極めて重要であることに鑑み、前条の基本理念(以下この章において「基本理念」という。)にのっとり、消費者教育の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2項

内閣総理大臣 及び文部科学大臣は、前項の施策が適切かつ効率的に策定され、及び実施されるよう、相互に又は関係行政機関の長との間の緊密な連携協力を図りつつ、それぞれの所掌に係る消費者教育の推進に関する施策を推進しなければならない。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、消費生活センター(消費者安全法平成二十一年法律第五十号第十条の二第一項第一号に規定する消費生活センターをいう。第十三条第二項 及び第二十条第一項において同じ。)、教育委員会 その他の関係機関相互間の緊密な連携の下に、消費者教育の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の社会的、経済的状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

消費者団体は、基本理念にのっとり、消費者教育の推進のための自主的な活動に努めるとともに、学校、地域、家庭、職域 その他の様々な場において行われる消費者教育に協力するよう努めるものとする。

1項

事業者 及び事業者団体は、事業者が商品 及び役務を供給する立場において消費者の消費生活に密接に関係していることに鑑み、基本理念にのっとり、国 及び地方公共団体が実施する消費者教育の推進に関する施策に協力するよう努めるとともに、消費者教育の推進のための自主的な活動に努めるものとする。

1項

政府は、消費者教育の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。

2項

地方公共団体は、消費者教育の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置 その他の措置を講ずるよう努めなければならない。