災害対策基本法

# 昭和三十六年法律第二百二十三号 #

第三節 事前措置及び避難

分類 法律
カテゴリ   災害対策
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 10月07日 15時19分


1項

市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、法令 又は市町村地域防災計画の定めるところにより、消防機関 若しくは水防団に出動の準備をさせ、若しくは出動を命じ、又は消防吏員(当該市町村の職員である者を除く)、警察官 若しくは海上保安官の出動を求める等災害応急対策責任者に対し、応急措置の実施に必要な準備をすることを要請し、若しくは求めなければならない。

1項

市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、災害が発生した場合においてその災害を拡大させるおそれがあると認められる設備 又は物件の占有者、所有者 又は管理者に対し、災害の拡大を防止するため必要な限度において、当該設備 又は物件の除去、保安 その他必要な措置をとることを指示することができる。

2項

警察署長 又は政令で定める管区海上保安本部の事務所の長(以下 この項第六十四条 及び第六十六条において「警察署長等」という。)は、市町村長から要求があつたときは、前項に規定する指示を行なうことができる。


この場合において、同項に規定する指示を行なつたときは、警察署長等は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

1項

災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命 又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退きを指示することができる。

2項

前項の規定により避難のための立退きを指示する場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その立退き先として指定緊急避難場所 その他の避難場所を指示することができる。

3項

災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえつて人の生命 又は身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避 その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示することができる。

4項

市町村長は、第一項の規定により避難のための立退きを指示し、若しくは立退き先を指示し、又は前項の規定により緊急安全確保措置を指示したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。

5項

市町村長は、避難の必要がなくなつたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。


前項の規定は、この場合について準用する。

6項

都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第一項から第三項まで 及び前項前段の規定により実施すべき措置の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。

7項

都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。

8項

第六項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

前条第一項 又は第三項の場合において、市町村長が同条第一項に規定する避難のための立退き若しくは緊急安全確保措置を指示することができないと認めるとき、又は市町村長から要求があつたときは、警察官 又は海上保安官は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退き又は緊急安全確保措置を指示することができる。

2項

前条第二項の規定は、警察官 又は海上保安官が前項の規定により避難のための立退きを指示する場合について準用する。

3項

警察官 又は海上保安官は、第一項の規定により避難のための立退き又は緊急安全確保措置を指示したときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。

4項

前条第四項 及び第五項の規定は、前項の通知を受けた市町村長について準用する。

1項

市町村長は、第六十条第一項の規定により避難のための立退きを指示し、又は同条第三項の規定により緊急安全確保措置を指示しようとする場合において、必要があると認めるときは、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事に対し、当該指示に関する事項について、助言を求めることができる。


この場合において、助言を求められた指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事は、その所掌事務に関し、必要な助言をするものとする。

1項

第五十七条の規定は、市町村長が第六十条第一項の規定により避難のための立退きを指示し、又は同条第三項の規定により緊急安全確保措置を指示する場合(同条第六項の規定により都道府県知事が市町村長の事務を代行する場合を含む。)について準用する。

1項

市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生するおそれがある場合において、予想される災害の事態に照らし、第六十条第一項に規定する避難のための立退きを指示した場合におけるその立退き先を当該市町村内の指定緊急避難場所 その他の避難場所とすることが困難であり、かつ、居住者等の生命 又は身体を災害から保護するため当該居住者等を一定期間 他の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、当該居住者等の受入れについて、同一都道府県内の他の市町村の市町村長に協議することができる。

2項

市町村長は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。


ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。

3項

第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「協議先市町村長」という。)は、同項の居住者等(以下「要避難者」という。)を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。


この場合において、協議先市町村長は、同項の規定による滞在(以下「広域避難」という。)の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。

4項

前項の場合において、協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

5項

協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知しなければならない。

6項

協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

7項

協議元市町村長は、広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議先市町村長 及び前項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

8項

協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第四項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

1項

前条第一項に規定する場合において、市町村長は、要避難者を一定期間 他の都道府県内の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該 他の都道府県の知事と当該要避難者の受入れについて協議することを求めることができる。

2項

前項の規定による要求があつたときは、都道府県知事は、要避難者の受入れについて、当該 他の都道府県の知事に協議しなければならない。

3項

都道府県知事は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。


ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。

4項

第二項の場合において、協議を受けた都道府県知事(以下この条において「協議先都道府県知事」という。)は、要避難者の受入れについて、関係市町村長と協議しなければならない。

5項

前項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、要避難者を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。


この場合において、都道府県外協議先市町村長は、第一項の規定による滞在(以下「都道府県外広域避難」という。)の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。

6項

前項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

7項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を協議先都道府県知事に報告しなければならない。

8項

協議先都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を第二項の規定により協議した都道府県知事(以下この条において「協議元都道府県知事」という。)に通知しなければならない。

9項

協議元都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。

10項

協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示するとともに、内閣府令で定める者に通知しなければならない。

11項

協議元市町村長は、都道府県外広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議元都道府県知事に報告し、及び公示するとともに、前項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

12項

協議元都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その旨を協議先都道府県知事に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。

13項

協議先都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長に通知しなければならない。

14項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第六項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

1項

前条第一項に規定する場合において、市町村長は、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、要避難者の受入れについて、他の都道府県内の市町村の市町村長に協議することができる。

2項

市町村長は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。


ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。

3項

前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。

4項

第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、同項の要避難者を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。


この場合において、都道府県外協議先市町村長は、都道府県外広域避難の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。

5項

前項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

6項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

7項

協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

8項

前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。

9項

協議元市町村長は、都道府県外広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長 及び第七項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

10項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第五項の内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

11項

第九項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。

1項

都道府県知事は、市町村長から求められたときは、第六十一条の四第一項の規定による協議の相手方 その他広域避難に関する事項について助言をしなければならない。

2項

内閣総理大臣は、都道府県知事から求められたときは、第六十一条の五第二項の規定による協議の相手方 その他都道府県外広域避難に関する事項 又は広域避難に関する事項について助言をしなければならない。

1項

都道府県知事は、都道府県の地域に係る災害が発生するおそれがある場合であつて、居住者等の生命 又は身体を当該災害から保護するため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を示して、居住者等の運送を要請することができる。

2項

指定公共機関 又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、居住者等の生命 又は身体を災害から保護するため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、居住者等の運送を行うべきことを指示することができる。


この場合においては、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を書面で示さなければならない。