この法律は、国土 並びに国民の生命、身体 及び財産を災害から保護するため、防災に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体 及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧 及び防災に関する財政金融措置 その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備 及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。
災害対策基本法
第一章 総則
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
災害
暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象 又は大規模な火事 若しくは爆発 その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。
防災
災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。
指定行政機関
次に掲げる機関で内閣総理大臣が指定するものをいう。
内閣府、宮内庁 並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項に規定する機関、デジタル庁 並びに国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関
内閣府設置法第三十七条 及び第五十四条 並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第一項 並びに国家行政組織法第八条に規定する機関
内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法第十六条第二項 並びに国家行政組織法第八条の二に規定する機関
内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 並びに国家行政組織法第八条の三に規定する機関
指定地方行政機関
指定行政機関の地方支分部局(内閣府設置法第四十三条 及び第五十七条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第十七条第一項 並びに国家行政組織法第九条の地方支分部局をいう。)その他の国の地方行政機関で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
指定公共機関
独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会 その他の公共的機関 及び電気、ガス、輸送、通信 その他の公益的事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
指定地方公共機関
地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)及び港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の港務局(第八十二条第一項において「港務局」という。)、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第五条第一項の土地改良区 その他の公共的施設の管理者 並びに都道府県の地域において電気、ガス、輸送、通信 その他の公益的事業を営む法人で、当該都道府県の知事が指定するものをいう。
防災計画
防災基本計画 及び防災業務計画 並びに地域防災計画をいう。
防災基本計画
中央防災会議が作成する防災に関する基本的な計画をいう。
防災業務計画
指定行政機関の長(当該指定行政機関が内閣府設置法第四十九条第一項 若しくは第二項 若しくは国家行政組織法第三条第二項の委員会 若しくは第三号ロに掲げる機関 又は同号ニに掲げる機関のうち合議制のものである場合にあつては、当該指定行政機関。第十二条第八項、第二十五条第六項第二号、第二十八条第二項、第二十八条の三第六項第三号 及び第二十八条の六第二項を除き、以下同じ。)又は指定公共機関(指定行政機関の長 又は指定公共機関から委任された事務 又は業務については、当該委任を受けた指定地方行政機関の長 又は指定地方公共機関)が防災基本計画に基づきその所掌事務 又は業務について作成する防災に関する計画をいう。
地域防災計画
一定地域に係る防災に関する計画で、次に掲げるものをいう。
都道府県地域防災計画
都道府県の地域につき、当該都道府県の都道府県防災会議が作成するもの
市町村地域防災計画
市町村の地域につき、当該市町村の市町村防災会議 又は市町村長が作成するもの
都道府県相互間地域防災計画
二以上の都道府県の区域の全部 又は一部にわたる地域につき、都道府県防災会議の協議会が作成するもの
市町村相互間地域防災計画
二以上の市町村の区域の全部 又は一部にわたる地域につき、市町村防災会議の協議会が作成するもの
災害対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われるものとする。
我が国の自然的特性に鑑み、人口、産業 その他の社会経済情勢の変化を踏まえ、災害の発生を常に想定するとともに、災害が発生した場合における被害の最小化 及びその迅速な回復を図ること。
国、地方公共団体 及びその他の公共機関の適切な役割分担 及び相互の連携協力を確保するとともに、これと併せて、住民一人一人が自ら行う防災活動 及び自主防災組織(住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織をいう。以下同じ。)その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること。
災害に備えるための措置を適切に組み合わせて一体的に講ずること 並びに科学的知見 及び過去の災害から得られた教訓を踏まえて絶えず改善を図ること。
災害の発生直後 その他必要な情報を収集することが困難なときであつても、できる限り的確に災害の状況を把握し、これに基づき人材、物資 その他の必要な資源を適切に配分することにより、人の生命 及び身体を最も優先して保護すること。
被災者による主体的な取組を阻害することのないよう配慮しつつ、被災者の年齢、性別、障害の有無 その他の被災者の事情を踏まえ、その時期に応じて適切に被災者を援護すること。
災害が発生したときは、速やかに、施設の復旧 及び被災者の援護を図り、災害からの復興を図ること。
国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、国土 並びに国民の生命、身体 及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織 及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
国は、前項の責務を遂行するため、災害予防、災害応急対策 及び災害復旧の基本となるべき計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務 又は業務の実施の推進と その総合調整を行ない、及び災害に係る経費負担の適正化を図らなければならない。
指定行政機関 及び指定地方行政機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する国の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による都道府県 及び市町村の地域防災計画の作成 及び実施が円滑に行なわれるように、その所掌事務について、当該都道府県 又は市町村に対し、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。
都道府県は、基本理念にのつとり、当該都道府県の地域 並びに当該都道府県の住民の生命、身体 及び財産を災害から保護するため、関係機関 及び他の地方公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村 及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務 又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有する。
都道府県の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、前項に規定する都道府県の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
市町村は、基本理念にのつとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域 並びに当該市町村の住民の生命、身体 及び財産を災害から保護するため、関係機関 及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。
市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団 その他の組織の整備 並びに当該市町村の区域内の公共的団体 その他の防災に関する組織 及び自主防災組織の充実を図るほか、住民の自発的な防災活動の促進を図り、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならない。
消防機関、水防団 その他市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
地方公共団体は、第四条第一項 及び前条第一項に規定する責務を十分に果たすため必要があるときは、相互に協力するように努めなければならない。
国 及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない。
指定公共機関 及び指定地方公共機関は、基本理念にのつとり、その業務に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、この法律の規定による国、都道府県 及び市町村の防災計画の作成 及び実施が円滑に行われるように、その業務について、当該都道府県 又は市町村に対し、協力する責務を有する。
指定公共機関 及び指定地方公共機関は、その業務の公共性 又は公益性にかんがみ、それぞれその業務を通じて防災に寄与しなければならない。
地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者 その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、基本理念にのつとり、法令 又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
災害応急対策 又は災害復旧に必要な物資 若しくは資材 又は役務の供給 又は提供を業とする者は、基本理念にのつとり、災害時においてもこれらの事業活動を継続的に実施するとともに、当該事業活動に関し、国 又は地方公共団体が実施する防災に関する施策に協力するように努めなければならない。
前二項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、基本理念にのつとり、食品、飲料水 その他の生活必需物資の備蓄 その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、防災訓練 その他の自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承 その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。
国 及び地方公共団体は、その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として国土 並びに国民の生命、身体 及び財産の災害をなくすることに寄与することとなるように意を用いなければならない。
国 及び地方公共団体は、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するため、特に次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
災害 及び災害の防止に関する科学的研究と その成果の実現に関する事項
治山、治水 その他の国土の保全に関する事項
建物の不燃堅牢化 その他都市の防災構造の改善に関する事項
交通、情報通信等の都市機能の集積に対応する防災対策に関する事項
防災上必要な気象、地象 及び水象の観測、予報、情報 その他の業務に関する施設 及び組織 並びに防災上必要な通信に関する施設 及び組織の整備に関する事項
災害の予報 及び警報の改善に関する事項
地震予知情報(大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)第二条第三号の地震予知情報をいう。)を周知させるための方法の改善に関する事項
気象観測網の充実についての国際的協力に関する事項
台風に対する人為的調節 その他防災上必要な研究、観測 及び情報交換についての国際的協力に関する事項
火山現象等による長期的災害に対する対策に関する事項
水防、消防、救助 その他災害応急措置に関する施設 及び組織の整備に関する事項
地方公共団体の相互応援、第六十一条の四第三項に規定する広域避難 及び第八十六条の八第一項に規定する広域一時滞在に関する協定 並びに民間の団体の協力の確保に関する協定の締結に関する事項
自主防災組織の育成、ボランティアによる防災活動の環境の整備、過去の災害から得られた教訓を伝承する活動の支援 その他国民の自発的な防災活動の促進に関する事項
被災者の心身の健康の確保、居住の場所の確保 その他被災者の保護に関する事項
高齢者、障害者、乳幼児 その他の特に配慮を要する者(以下「要配慮者」という。)に対する防災上必要な措置に関する事項
海外からの防災に関する支援の受入れに関する事項
被災者に対する的確な情報提供 及び被災者からの相談に関する事項
防災上必要な教育 及び訓練に関する事項
防災思想の普及に関する事項
政府は、この法律の目的を達成するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。
政府は、毎年、政令で定めるところにより、防災に関する計画 及び防災に関してとつた措置の概況を国会に報告しなければならない。
防災に関する事務の処理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
第二章 防災に関する組織
第一節 中央防災会議
内閣府に、中央防災会議を置く。
中央防災会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
防災基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。
内閣総理大臣 又は内閣府設置法第九条の二に規定する特命担当大臣(以下「防災担当大臣」という。)の諮問に応じて防災に関する重要事項を審議すること。
前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣 又は防災担当大臣に意見を述べること。
前三号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
内閣総理大臣は、次に掲げる事項については、中央防災会議に諮問しなければならない。
防災の基本方針
防災に関する施策の総合調整で重要なもの
内閣総理大臣は、次に掲げる事項については、中央防災会議に諮問しなければならない。
災害緊急事態の布告
その他内閣総理大臣が必要と認める防災に関する重要事項
中央防災会議は、会長 及び委員をもつて組織する。
会長は、内閣総理大臣をもつて充てる。
会長は、会務を総理する。
会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。
委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
防災担当大臣
防災担当大臣以外の国務大臣、内閣危機管理監、指定公共機関の代表者 及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する者
中央防災会議に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。
専門委員は、関係行政機関 及び指定公共機関の職員 並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
中央防災会議に、幹事を置き、内閣官房の職員 又は指定行政機関の長(国務大臣を除く。)若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
幹事は、中央防災会議の所掌事務について、会長 及び委員を助ける。
前各項に定めるもののほか、中央防災会議の組織 及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
中央防災会議は、その所掌事務に関し、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
中央防災会議は、その所掌事務の遂行について、地方防災会議(都道府県防災会議 又は市町村防災会議をいう。以下同じ。)又は地方防災会議の協議会(都道府県防災会議の協議会 又は市町村防災会議の協議会をいう。以下同じ。)に対し、必要な勧告をすることができる。
第二節 地方防災会議
都道府県に、都道府県防災会議を置く。
都道府県防災会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
都道府県地域防災計画を作成し、及びその実施を推進すること。
都道府県知事の諮問に応じて当該都道府県の地域に係る防災に関する重要事項を審議すること。
前号に規定する重要事項に関し、都道府県知事に意見を述べること。
当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害に係る災害復旧に関し、当該都道府県 並びに関係指定地方行政機関、関係市町村、関係指定公共機関 及び関係指定地方公共機関相互間の連絡調整を図ること。
前各号に掲げるもののほか、法律 又はこれに基づく政令によりその権限に属する事務
都道府県防災会議は、会長 及び委員をもつて組織する。
会長は、当該都道府県の知事をもつて充てる。
会長は、会務を総理する。
会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。
委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
当該都道府県の区域の全部 又は一部を管轄する指定地方行政機関の長 又はその指名する職員
当該都道府県を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監 又はその指名する部隊 若しくは機関の長
当該都道府県の教育委員会の教育長
警視総監 又は当該道府県の道府県警察本部長
当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから指名する者
当該都道府県の区域内の市町村の市町村長 及び消防機関の長のうちから当該都道府県の知事が任命する者
当該都道府県の地域において業務を行う指定公共機関 又は指定地方公共機関の役員 又は職員のうちから当該都道府県知事が任命する者
自主防災組織を構成する者 又は学識経験のある者のうちから当該都道府県の知事が任命する者
都道府県防災会議に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。
専門委員は、関係地方行政機関の職員、当該都道府県の職員、当該都道府県の区域内の市町村の職員、関係指定公共機関の職員、関係指定地方公共機関の職員 及び学識経験のある者のうちから、当該都道府県の知事が任命する。
前各項に定めるもののほか、都道府県防災会議の組織 及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、当該都道府県の条例で定める。
市町村に、当該市町村の地域に係る地域防災計画を作成し、及びその実施を推進するほか、市町村長の諮問に応じて当該市町村の地域に係る防災に関する重要事項を審議するため、市町村防災会議を置く。
前項に規定するもののほか、市町村は、協議により規約を定め、共同して市町村防災会議を設置することができる。
市町村は、前項の規定により市町村防災会議を共同して設置したときその他市町村防災会議を設置することが不適当 又は困難であるときは、第一項の規定にかかわらず、市町村防災会議を設置しないことができる。
市町村は、前項の規定により市町村防災会議を設置しないこととしたとき(第二項の規定により市町村防災会議を共同して設置したときを除く。)は、速やかにその旨を都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、都道府県防災会議の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、当該市町村に対し、必要な助言 又は勧告をすることができる。
市町村防災会議の組織 及び所掌事務は、都道府県防災会議の組織 及び所掌事務の例に準じて、当該市町村の条例(第二項の規定により設置された市町村防災会議にあつては、規約)で定める。
都道府県相互の間 又は市町村相互の間において、当該都道府県 又は市町村の区域の全部 又は一部にわたり都道府県相互間地域防災計画 又は市町村相互間地域防災計画を作成することが必要かつ効果的であると認めるときは、当該都道府県 又は市町村は、協議により規約を定め、都道府県防災会議の協議会 又は市町村防災会議の協議会を設置することができる。
前項の規定により協議会を設置したときは、都道府県防災会議の協議会にあつては内閣総理大臣に、市町村防災会議の協議会にあつては都道府県知事にそれぞれ届け出なければならない。
第十七条に規定するもののほか、地方防災会議の協議会に関し必要な事項は、政令で定める。
都道府県防災会議 及び市町村防災会議(地方防災会議の協議会を含む。以下次条において「地方防災会議等」という。)は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料 又は情報の提供、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
地方防災会議等は、それぞれその所掌事務の遂行について相互に協力しなければならない。
都道府県防災会議は、その所掌事務の遂行について、市町村防災会議に対し、必要な勧告をすることができる。
都道府県の地域について災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、都道府県知事は、都道府県地域防災計画の定めるところにより、都道府県災害対策本部を設置することができる。
都道府県災害対策本部の長は、都道府県災害対策本部長とし、都道府県知事をもつて充てる。
都道府県災害対策本部に、都道府県災害対策副本部長、都道府県災害対策本部員 その他の職員を置き、当該都道府県の職員のうちから、当該都道府県の知事が任命する。
都道府県災害対策本部は、都道府県地域防災計画の定めるところにより、次に掲げる事務を行う。
当該都道府県の地域に係る災害に関する情報を収集すること。
当該都道府県の地域に係る災害予防 及び災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針を作成し、並びに当該方針に沿つて災害予防 及び災害応急対策を実施すること。
当該都道府県の地域に係る災害予防 及び災害応急対策に関し、当該都道府県 並びに関係指定地方行政機関、関係地方公共団体、関係指定公共機関 及び関係指定地方公共機関相互間の連絡調整を図ること。
都道府県知事は、都道府県地域防災計画の定めるところにより、都道府県災害対策本部に、災害地にあつて当該都道府県災害対策本部の事務の一部を行う組織として、都道府県現地災害対策本部を置くことができる。
都道府県災害対策本部長は、当該都道府県警察 又は当該都道府県の教育委員会に対し、当該都道府県の地域に係る災害予防 又は災害応急対策を実施するため必要な限度において、必要な指示をすることができる。
都道府県災害対策本部長は、当該都道府県の地域に係る災害予防 又は災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料 又は情報の提供、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
前各項に規定するもののほか、都道府県災害対策本部に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
市町村の地域について災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、市町村長は、市町村地域防災計画の定めるところにより、市町村災害対策本部を設置することができる。
市町村災害対策本部の長は、市町村災害対策本部長とし、市町村長をもつて充てる。
市町村災害対策本部に、市町村災害対策副本部長、市町村災害対策本部員 その他の職員を置き、当該市町村の職員又は当該市町村の区域を管轄する消防長 若しくはその指名する消防吏員のうちから、当該市町村の市町村長が任命する。
市町村災害対策本部は、市町村地域防災計画の定めるところにより、次に掲げる事務を行う。
この場合において、市町村災害対策本部は、必要に応じ、関係指定地方行政機関、関係地方公共団体、関係指定公共機関 及び関係指定地方公共機関との連携の確保に努めなければならない。
当該市町村の地域に係る災害に関する情報を収集すること。
当該市町村の地域に係る災害予防 及び災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針を作成し、並びに当該方針に沿つて災害予防 及び災害応急対策を実施すること。
市町村長は、市町村地域防災計画の定めるところにより、市町村災害対策本部に、災害地にあつて当該市町村災害対策本部の事務の一部を行う組織として、市町村現地災害対策本部を置くことができる。
市町村災害対策本部長は、当該市町村の教育委員会に対し、当該市町村の地域に係る災害予防 又は災害応急対策を実施するため必要な限度において、必要な指示をすることができる。
前条第七項の規定は、市町村災害対策本部長について準用する。
この場合において、
同項中
「当該都道府県の」とあるのは、
「当該市町村の」と
読み替えるものとする。
前各項に規定するもののほか、市町村災害対策本部に関し必要な事項は、市町村の条例で定める。
第三節 特定災害対策本部、非常災害対策本部及び緊急災害対策本部
災害(その規模が非常災害に該当するに至らないと認められるものに限る。以下この項において同じ。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該災害が、人の生命 又は身体に急迫した危険を生じさせ、かつ、当該災害に係る地域の状況 その他の事情を勘案して当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるもの(以下「特定災害」という。)であるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に特定災害対策本部を設置することができる。
内閣総理大臣は、特定災害対策本部を置いたときは当該本部の名称、所管区域 並びに設置の場所 及び期間を、当該本部を廃止したときはその旨を、直ちに、告示しなければならない。
特定災害対策副本部長は、特定災害対策本部長を助け、特定災害対策本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
特定災害対策副本部長が二人以上置かれている場合にあつては、あらかじめ特定災害対策本部長が定めた順序で、その職務を代理する。
特定災害対策副本部長、特定災害対策本部員 その他の職員は、内閣官房 若しくは内閣府 その他の指定行政機関の職員 又は指定地方行政機関の長 若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
特定災害対策本部に、当該特定災害対策本部の所管区域にあつて当該特定災害対策本部長の定めるところにより当該特定災害対策本部の事務の一部を行う組織として、特定災害現地対策本部を置くことができる。
この場合においては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十六条第四項の規定は、適用しない。
内閣総理大臣は、前項の規定により特定災害現地対策本部を置いたときは、これを国会に報告しなければならない。
前条第二項の規定は、特定災害現地対策本部について準用する。
特定災害現地対策本部長 及び特定災害現地対策本部員 その他の職員は、特定災害対策副本部長、特定災害対策本部員 その他の職員のうちから、特定災害対策本部長が指名する者をもつて充てる。
所管区域において指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関が防災計画に基づいて実施する災害応急対策の総合調整に関すること。
第二十三条の七の規定により特定災害対策本部長の権限に属する事務
前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
指定行政機関の長は、特定災害対策本部が設置されたときは、災害応急対策に必要な権限の全部 又は一部を当該特定災害対策本部員である当該指定行政機関の職員 又は当該指定地方行政機関の長 若しくはその職員に委任することができる。
指定行政機関の長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
特定災害対策本部長は、前条の規定により権限を委任された職員の当該特定災害対策本部の所管区域における権限の行使について調整をすることができる。
特定災害対策本部長は、当該特定災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、関係指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関 並びに指定公共機関 及び指定地方公共機関に対し、必要な指示をすることができる。
特定災害対策本部長は、当該特定災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料 又は情報の提供、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
特定災害対策本部長は、特定災害現地対策本部が置かれたときは、前三項の規定による権限の一部を特定災害現地対策本部長に委任することができる。
特定災害対策本部長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
非常災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該災害の規模 その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる。
第二十三条の三第二項の規定は、非常災害対策本部について準用する。
第一項の規定により非常災害対策本部が設置された場合において、当該災害に係る特定災害対策本部が既に設置されているときは、当該特定災害対策本部は廃止されるものとし、非常災害対策本部が当該特定災害対策本部の所掌事務を承継するものとする。
非常災害対策本部の長は、非常災害対策本部長とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもつて充てる。
非常災害対策本部長は、非常災害対策本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
非常災害対策本部に、非常災害対策副本部長、非常災害対策本部員 その他の職員を置く。
非常災害対策副本部長は、非常災害対策本部長を助け、非常災害対策本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
非常災害対策副本部長が二人以上置かれている場合にあつては、あらかじめ非常災害対策本部長が定めた順序で、その職務を代理する。
非常災害対策副本部長 及び非常災害対策本部員以外の非常災害対策本部の職員は、内閣官房 若しくは内閣府 その他の指定行政機関の職員 又は指定地方行政機関の長 若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
非常災害対策本部に、当該非常災害対策本部の所管区域にあつて当該非常災害対策本部長の定めるところにより当該非常災害対策本部の事務の一部を行う組織として、非常災害現地対策本部を置くことができる。
第二十三条の四第六項後段、第七項 及び第八項の規定は、非常災害現地対策本部について準用する。
非常災害現地対策本部長 及び非常災害現地対策本部員 その他の職員は、非常災害対策副本部長、非常災害対策本部員 その他の職員のうちから、非常災害対策本部長が指名する者をもつて充てる。
非常災害対策本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針の作成に関すること。
所管区域において指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関が防災計画に基づいて実施する災害応急対策の総合調整に関すること。
非常災害に際し必要な緊急の措置の実施に関すること。
第二十八条の規定により非常災害対策本部長の権限に属する事務
前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
指定行政機関の長は、非常災害対策本部が設置されたときは、災害応急対策に必要な権限の全部 又は一部を当該非常災害対策本部の職員である当該指定行政機関の職員 又は当該指定地方行政機関の長 若しくはその職員に委任することができる。
指定行政機関の長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
非常災害対策本部長は、前条の規定により権限を委任された職員の当該非常災害対策本部の所管区域における権限の行使について調整をすることができる。
非常災害対策本部長は、当該非常災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、関係指定行政機関の長 及び関係指定地方行政機関の長 並びに前条の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員 及び当該指定地方行政機関の職員、地方公共団体の長 その他の執行機関 並びに指定公共機関 及び指定地方公共機関に対し、必要な指示をすることができる。
非常災害対策本部長は、当該非常災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料 又は情報の提供、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
非常災害対策本部長は、前三項の規定による権限の全部 又は一部を非常災害対策副本部長に委任することができる。
非常災害対策本部長は、非常災害現地対策本部が置かれたときは、第一項から第三項までの規定による権限(第二項の規定による関係指定行政機関の長に対する指示を除く。)の一部を非常災害現地対策本部長に委任することができる。
非常災害対策本部長は、前二項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
著しく異常かつ激甚な非常災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣府に緊急災害対策本部を設置することができる。
第二十三条の三第二項の規定は、緊急災害対策本部について準用する。
第一項の規定により緊急災害対策本部が設置された場合において、当該災害に係る特定災害対策本部 又は非常災害対策本部が既に設置されているときは、当該特定災害対策本部 又は非常災害対策本部は廃止されるものとし、緊急災害対策本部が当該特定災害対策本部 又は非常災害対策本部の所掌事務を承継するものとする。
緊急災害対策本部の長は、緊急災害対策本部長とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもつて充てる。
緊急災害対策本部長は、緊急災害対策本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
緊急災害対策本部に、緊急災害対策副本部長、緊急災害対策本部員 その他の職員を置く。
緊急災害対策副本部長は、緊急災害対策本部長を助け、緊急災害対策本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
緊急災害対策副本部長が二人以上置かれている場合にあつては、あらかじめ緊急災害対策本部長が定めた順序で、その職務を代理する。
緊急災害対策本部員は、次に掲げる者をもつて充てる。
緊急災害対策本部長 及び緊急災害対策副本部長以外のすべての国務大臣
内閣危機管理監
副大臣 又は国務大臣以外の指定行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する者
緊急災害対策副本部長 及び緊急災害対策本部員以外の緊急災害対策本部の職員は、内閣官房 若しくは内閣府 その他の指定行政機関の職員 又は指定地方行政機関の長 若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
緊急災害対策本部に、当該緊急災害対策本部の所管区域にあつて当該緊急災害対策本部長の定めるところにより当該緊急災害対策本部の事務の一部を行う組織として、閣議にかけて、緊急災害現地対策本部を置くことができる。
第二十三条の四第六項後段、第七項 及び第八項の規定は、緊急災害現地対策本部について準用する。
緊急災害現地対策本部に、緊急災害現地対策本部長 及び緊急災害現地対策本部員 その他の職員を置く。
緊急災害現地対策本部長は、緊急災害対策本部長の命を受け、緊急災害現地対策本部の事務を掌理する。
緊急災害現地対策本部長 及び緊急災害現地対策本部員 その他の職員は、緊急災害対策副本部長、緊急災害対策本部員 その他の職員のうちから、緊急災害対策本部長が指名する者をもつて充てる。
緊急災害対策本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針の作成に関すること。
所管区域において指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関が防災計画に基づいて実施する災害応急対策の総合調整に関すること。
非常災害に際し必要な緊急の措置の実施に関すること。
第二十八条の六の規定により緊急災害対策本部長の権限に属する事務
前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務
指定行政機関の長は、緊急災害対策本部が設置されたときは、災害応急対策に必要な権限の全部 又は一部を当該緊急災害対策本部の職員である当該指定行政機関の職員 又は当該指定地方行政機関の長 若しくはその職員に委任することができる。
指定行政機関の長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
緊急災害対策本部長は、前条の規定により権限を委任された職員の当該緊急災害対策本部の所管区域における権限の行使について調整をすることができる。
緊急災害対策本部長は、当該緊急災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、関係指定行政機関の長 及び関係指定地方行政機関の長 並びに前条の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員 及び当該指定地方行政機関の職員、地方公共団体の長 その他の執行機関 並びに指定公共機関 及び指定地方公共機関に対し、必要な指示をすることができる。
緊急災害対策本部長は当該緊急災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長 及び関係地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 並びにその他の関係者に対し、資料 又は情報の提供、意見の表明 その他必要な協力を求めることができる。
緊急災害対策本部長は、前三項の規定による権限の全部 又は一部を緊急災害対策副本部長に委任することができる。
緊急災害対策本部長は、緊急災害現地対策本部が置かれたときは、第一項から第三項までの規定による権限(第二項の規定による関係指定行政機関の長に対する指示を除く。)の一部を緊急災害現地対策本部長に委任することができる。
緊急災害対策本部長は、前二項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
第四節 災害時における職員の派遣
都道府県知事 又は都道府県の委員会 若しくは委員(以下「都道府県知事等」という。)は、災害応急対策 又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、指定行政機関の長、指定地方行政機関の長 又は指定公共機関(独立行政法人通則法第二条第四項に規定する行政執行法人に限る。以下この節において同じ。)に対し、当該指定行政機関、指定地方行政機関 又は指定公共機関の職員の派遣を要請することができる。
市町村長 又は市町村の委員会 若しくは委員(以下「市町村長等」という。)は、災害応急対策 又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、指定地方行政機関の長 又は指定公共機関(その業務の内容 その他の事情を勘案して市町村の地域に係る災害応急対策 又は災害復旧に特に寄与するものとしてそれぞれ地域を限つて内閣総理大臣が指定するものに限る。次条において「特定公共機関」という。)に対し、当該指定地方行政機関 又は指定公共機関の職員の派遣を要請することができる。
都道府県 又は市町村の委員会 又は委員は、前二項の規定により職員の派遣を要請しようとするときは、あらかじめ、当該都道府県の知事 又は当該市町村の市町村長に協議しなければならない。
都道府県知事等 又は市町村長等は、災害応急対策 又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣 又は都道府県知事に対し、それぞれ、指定行政機関、指定地方行政機関 若しくは指定公共機関 又は指定地方行政機関 若しくは特定公共機関の職員の派遣についてあつせんを求めることができる。
都道府県知事等 又は市町村長等は、災害応急対策 又は災害復旧のため必要があるときは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣 又は都道府県知事に対し、それぞれ、地方自治法第二百五十二条の十七の規定による職員の派遣について、又は同条の規定による職員の派遣 若しくは地方独立行政法人法第百二十四条第一項の規定による職員(指定地方公共機関である同法第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人(次条において「特定地方公共機関」という。)の職員に限る。)の派遣についてあつせんを求めることができる。
前条第三項の規定は、前二項の規定によりあつせんを求めようとする場合について準用する。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、都道府県知事等 及び市町村長等 並びに指定公共機関 及び特定地方公共機関は、前二条の規定による要請 又はあつせんがあつたときは、その所掌事務 又は業務の遂行に著しい支障のない限り、適任と認める職員を派遣しなければならない。
都道府県 又は市町村は、前条 又は他の法律の規定により災害応急対策 又は災害復旧のため派遣された職員に対し、政令で定めるところにより、災害派遣手当を支給することができる。
前項に規定するもののほか、前条の規定により指定行政機関、指定地方行政機関 又は指定公共機関から派遣された職員の身分取扱いに関し必要な事項は、政令で定める。
指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長、都道府県知事 又は指定公共機関は、内閣総理大臣に対し、第三十一条の規定による職員の派遣が円滑に行われるよう、定期的に、災害応急対策 又は災害復旧に必要な技術、知識 又は経験を有する職員の職種別現員数 及びこれらの者の技術、知識 又は経験の程度を記載した資料を提出するとともに、当該資料を相互に交換しなければならない。
第三章 防災計画
中央防災会議は、防災基本計画を作成するとともに、災害 及び災害の防止に関する科学的研究の成果 並びに発生した災害の状況 及びこれに対して行なわれた災害応急対策の効果を勘案して毎年防災基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
中央防災会議は、前項の規定により防災基本計画を作成し、又は修正したときは、すみやかにこれを内閣総理大臣に報告し、並びに指定行政機関の長、都道府県知事 及び指定公共機関に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。
防災基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
防災に関する総合的かつ長期的な計画
防災業務計画 及び地域防災計画において重点をおくべき事項
前各号に掲げるもののほか、防災業務計画 及び地域防災計画の作成の基準となるべき事項で、中央防災会議が必要と認めるもの
防災基本計画には、次に掲げる事項に関する資料を添付しなければならない。
国土の現況 及び気象の概況
防災上必要な施設 及び設備の整備の概況
防災業務に従事する人員の状況
防災上必要な物資の需給の状況
防災上必要な運輸 又は通信の状況
前各号に掲げるもののほか、防災に関し中央防災会議が必要と認める事項
指定行政機関の長は、防災基本計画に基づき、その所掌事務に関し、防災業務計画を作成し、及び毎年防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
指定行政機関の長は、前項の規定により防災業務計画を作成し、又は修正したときは、すみやかにこれを内閣総理大臣に報告し、並びに都道府県知事 及び関係指定公共機関に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。
第二十一条の規定は、指定行政機関の長が第一項の規定により防災業務計画を作成し、又は修正する場合について準用する。
防災業務計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
所掌事務について、防災に関しとるべき措置
前号に掲げるもののほか、所掌事務に関し地域防災計画の作成の基準となるべき事項
指定行政機関の長は、防災業務計画の作成 及び実施にあたつては、他の指定行政機関の長が作成する防災業務計画との間に調整を図り、防災業務計画が一体的かつ有機的に作成され、及び実施されるように努めなければならない。
指定行政機関の長が他の法令の規定に基づいて作成する次に掲げる防災に関連する計画の防災に関する部分は、防災基本計画 及び防災業務計画と矛盾し、又は抵触するものであつてはならない。
国土形成計画法(昭和二十五年法律第二百五号)第二条第一項に規定する国土形成計画
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四条第一項に規定する全国森林計画 及び同条第五項に規定する森林整備保全事業計画
特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法(昭和二十七年法律第九十六号)第三条第一項に規定する災害防除に関する事業計画
保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)第二条第一項に規定する保安林整備計画
首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第二項に規定する首都圏整備計画
特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項に規定する多目的ダムの建設に関する基本計画
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)第二条第二項に規定する災害防除事業五箇年計画
豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第三条第一項に規定する豪雪地帯対策基本計画
近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)第二条第二項に規定する近畿圏整備計画
中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)第二条第二項に規定する中部圏開発整備計画
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第四十三条の五第一項に規定する排出油等の防除に関する計画
社会資本整備重点計画法(平成十五年法律第二十号)第二条第一項に規定する社会資本整備重点計画
前各号に掲げるもののほか、政令で定める計画
指定公共機関は、防災基本計画に基づき、その業務に関し、防災業務計画を作成し、及び毎年防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
指定公共機関は、前項の規定により防災業務計画を作成し、又は修正したときは、速やかに当該指定公共機関を所管する大臣を経由して内閣総理大臣に報告し、及び関係都道府県知事に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。
第二十一条の規定は、指定公共機関が第一項の規定により防災業務計画を作成し、又は修正する場合について準用する。
都道府県防災会議は、防災基本計画に基づき、当該都道府県の地域に係る都道府県地域防災計画を作成し、及び毎年都道府県地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
この場合において、当該都道府県地域防災計画は、防災業務計画に抵触するものであつてはならない。
都道府県地域防災計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
当該都道府県の地域に係る防災に関し、当該都道府県の区域の全部 又は一部を管轄する指定地方行政機関、当該都道府県、当該都道府県の区域内の市町村、指定公共機関、指定地方公共機関 及び当該都道府県の区域内の公共的団体 その他防災上重要な施設の管理者(次項において「管轄指定地方行政機関等」という。)の処理すべき事務 又は業務の大綱
当該都道府県の地域に係る防災施設の新設 又は改良、防災のための調査研究、教育 及び訓練 その他の災害予防、情報の収集 及び伝達、災害に関する予報 又は警報の発令 及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生 その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画
当該都道府県の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画
都道府県防災会議は、都道府県地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において管轄指定地方行政機関等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。
都道府県防災会議は、第一項の規定により都道府県地域防災計画を作成し、又は修正したときは、速やかにこれを内閣総理大臣に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定により都道府県地域防災計画について報告を受けたときは、中央防災会議の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、当該都道府県防災会議に対し、必要な助言 又は勧告をすることができる。
都道府県が他の法令の規定に基づいて作成し、又は協議する次に掲げる防災に関する計画 又は防災に関連する計画の防災に関する部分は、防災基本計画、防災業務計画 又は都道府県地域防災計画と矛盾し、又は抵触するものであつてはならない。
水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第七条第一項 及び第六項に規定する都道府県の水防計画 並びに同法第三十三条第一項に規定する指定管理団体の水防計画
離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第四条第一項に規定する離島振興計画
海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条の三第一項の海岸保全基本計画
地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第九条に規定する地すべり防止工事に関する基本計画
活動火山対策特別措置法(昭和四十八年法律第六十一号)第十四条第一項に規定する避難施設緊急整備計画 並びに同法第十九条第一項に規定する防災営農施設整備計画、同条第二項に規定する防災林業経営施設整備計画 及び同条第三項に規定する防災漁業経営施設整備計画
地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和五十五年法律第六十三号)第二条第一項に規定する地震対策緊急整備事業計画
半島振興法(昭和六十年法律第六十三号)第三条第一項に規定する半島振興計画
前各号に掲げるもののほか、政令で定める計画
市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下この条において同じ。)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
この場合において、当該市町村地域防災計画は、防災業務計画 又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。
市町村地域防災計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村 及び当該市町村の区域内の公共的団体 その他防災上重要な施設の管理者(第四項において「当該市町村等」という。)の処理すべき事務 又は業務の大綱
当該市町村の地域に係る防災施設の新設 又は改良、防災のための調査研究、教育 及び訓練 その他の災害予防、情報の収集 及び伝達、災害に関する予報 又は警報の発令 及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生 その他の災害応急対策 並びに災害復旧に関する事項別の計画
当該市町村の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画
市町村地域防災計画は、前項各号に掲げるもののほか、市町村内の一定の地区内の居住者 及び当該地区に事業所を有する事業者(以下この項 及び次条において「地区居住者等」という。)が共同して行う防災訓練、地区居住者等による防災活動に必要な物資 及び資材の備蓄、災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援 その他の当該地区における防災活動に関する計画(同条において「地区防災計画」という。)について定めることができる。
市町村防災会議は、市町村地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において当該市町村等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。
市町村防災会議は、第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正したときは、速やかにこれを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により市町村地域防災計画について報告を受けたときは、都道府県防災会議の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、当該市町村防災会議に対し、必要な助言 又は勧告をすることができる。
第二十一条の規定は、市町村長が第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正する場合について準用する。
地区居住者等は、共同して、市町村防災会議に対し、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めることを提案することができる。
この場合においては、当該提案に係る地区防災計画の素案を添えなければならない。
前項の規定による提案(以下この条において「計画提案」という。)は、当該計画提案に係る地区防災計画の素案の内容が市町村地域防災計画に抵触するものでない場合に、内閣府令で定めるところにより行うものとする。
市町村防災会議は、計画提案が行われたときは、遅滞なく、当該計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要があるかどうかを判断し、その必要があると認めるときは、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めなければならない。
市町村防災会議は、前項の規定により同項の判断をした結果、計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要がないと決定したときは、遅滞なく、その旨 及びその理由を、当該計画提案をした地区居住者等に通知しなければならない。
市町村地域防災計画に地区防災計画が定められた場合においては、当該地区防災計画に係る地区居住者等は、当該地区防災計画に従い、防災活動を実施するように努めなければならない。
都道府県防災会議の協議会は、防災基本計画に基づき、当該地域に係る都道府県相互間地域防災計画を作成し、及び毎年都道府県相互間地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
この場合において、当該都道府県相互間地域防災計画は、防災業務計画に抵触するものであつてはならない。
都道府県相互間地域防災計画は、第四十条第二項各号に掲げる事項の全部 又は一部について定めるものとする。
第四十条第三項から第五項までの規定は、都道府県相互間地域防災計画について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「都道府県防災会議」とあるのは、
「都道府県防災会議の協議会」と
読み替えるものとする。
市町村防災会議の協議会は、防災基本計画に基づき、当該地域に係る市町村相互間地域防災計画を作成し、及び毎年 市町村相互間地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。
この場合において、当該市町村相互間地域防災計画は、防災業務計画 又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。
市町村相互間地域防災計画は、第四十二条第二項各号に掲げる事項の全部 又は一部について定めるものとする。
第四十二条第四項から第六項までの規定は、市町村相互間地域防災計画について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「市町村防災会議」とあるのは、
「市町村防災会議の協議会」と
読み替えるものとする。
地方防災会議の会長 又は地方防災会議の協議会の代表者は、地域防災計画の的確かつ円滑な実施を推進するため必要があると認めるときは、都道府県防災会議 又はその協議会にあつては当該都道府県の区域の全部 又は一部を管轄する指定地方行政機関の長、当該都道府県 及びその区域内の市町村の長 その他の執行機関、指定地方公共機関、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者 その他の関係者に対し、市町村防災会議 又はその協議会にあつては当該市町村の長 その他の執行機関 及び当該市町村の区域内の公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者 その他の関係者に対し、これらの者が当該防災計画に基づき処理すべき事務 又は業務について、それぞれ、必要な要請、勧告 又は指示をすることができる。
地方防災会議の会長 又は地方防災会議の協議会の代表者は、都道府県防災会議 又はその協議会にあつては当該都道府県の区域の全部 又は一部を管轄する指定地方行政機関の長、当該都道府県 及びその区域内の市町村の長 その他の執行機関、指定地方公共機関、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者 その他の関係者に対し、市町村防災会議 又はその協議会にあつては当該市町村の長 その他の執行機関 及び当該市町村の区域内の公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者 その他の関係者に対し、それぞれ、地域防災計画の実施状況について、報告 又は資料の提出を求めることができる。
第四章 災害予防
第一節 通則
災害予防は、次に掲げる事項について、災害の発生 又は拡大を未然に防止するために行うものとする。
防災に関する組織の整備に関する事項
防災に関する教育 及び訓練に関する事項
防災に関する物資 及び資材の備蓄、整備 及び点検に関する事項
防災に関する施設 及び設備の整備 及び点検に関する事項
災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における相互応援の円滑な実施 及び民間の団体の協力の確保のためにあらかじめ講ずべき措置に関する事項
要配慮者の生命 又は身体を災害から保護するためにあらかじめ講ずべき措置に関する事項
前各号に掲げるもののほか、災害が発生した場合における災害応急対策の実施の支障となるべき状態等の改善に関する事項
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 その他法令の規定により災害予防の実施について責任を有する者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、災害予防を実施しなければならない。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者(以下この章において「災害予防責任者」という。)は、法令 又は防災計画の定めるところにより、それぞれ、その所掌事務 又は業務について、災害を予測し、予報し、又は災害に関する情報を迅速に伝達するため必要な組織を整備するとともに、絶えず その改善に努めなければならない。
前項に規定するもののほか、災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、それぞれ、防災業務計画 又は地域防災計画を的確かつ円滑に実施するため、防災に関する組織を整備するとともに、防災に関する事務 又は業務に従事する職員の配置 及び服務の基準を定めなければならない。
災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、それぞれ又は他の災害予防責任者と共同して、その所掌事務 又は業務について、防災教育の実施に努めなければならない。
災害予防責任者は、前項の防災教育を行おうとするときは、教育機関 その他の関係のある公私の団体に協力を求めることができる。
災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、それぞれ又は他の災害予防責任者と共同して、防災訓練を行なわなければならない。
都道府県公安委員会は、前項の防災訓練の効果的な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該防災訓練の実施に必要な限度で、区域 又は道路の区間を指定して、歩行者 又は車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
災害予防責任者の属する機関の職員 その他の従業員 又は災害予防責任者の使用人 その他の従業者は、防災計画 及び災害予防責任者の定めるところにより、第一項の防災訓練に参加しなければならない。
災害予防責任者は、第一項の防災訓練を行おうとするときは、住民 その他関係のある公私の団体に協力を求めることができる。
災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務 又は業務に係る災害応急対策 又は災害復旧に必要な物資 及び資材を備蓄し、整備し、若しくは点検し、又はその管理に属する防災に関する施設 及び設備を整備し、若しくは点検しなければならない。
災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務 又は業務について、災害応急対策 又は災害復旧の実施に際し他の者の応援を受け、又は他の者を応援することを必要とする事態に備え、相互応援に関する協定の締結、共同防災訓練の実施 その他円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
災害予防責任者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務 又は業務について、災害応急対策 又は災害復旧の実施に際し物資供給事業者等(災害応急対策 又は災害復旧に必要な物資 若しくは資材 又は役務の供給 又は提供を業とする者 その他災害応急対策 又は災害復旧に関する活動を行う民間の団体をいう。以下この条において同じ。)の協力を得ることを必要とする事態に備え、協定の締結 その他円滑に物資供給事業者等の協力を得るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 指定緊急避難場所及び指定避難所の指定等
市町村長は、防災施設の整備の状況、地形、地質 その他の状況を総合的に勘案し、必要があると認めるときは、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における円滑かつ迅速な避難のための立退きの確保を図るため、政令で定める基準に適合する施設 又は場所を、洪水、津波 その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定緊急避難場所として指定しなければならない。
市町村長は、前項の規定により指定緊急避難場所を指定しようとするときは、当該指定緊急避難場所の管理者(当該市町村を除く。次条において同じ。)の同意を得なければならない。
市町村長は、第一項の規定による指定をしたときは、その旨を、都道府県知事に通知するとともに、公示しなければならない。
指定緊急避難場所の管理者は、当該指定緊急避難場所を廃止し、又は改築 その他の事由により当該指定緊急避難場所の現状に政令で定める重要な変更を加えようとするときは、内閣府令で定めるところにより市町村長に届け出なければならない。
市町村長は、当該指定緊急避難場所が廃止され、又は第四十九条の四第一項の政令で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは、同項の規定による指定を取り消すものとする。
市町村長は、前項の規定により第四十九条の四第一項の規定による指定を取り消したときは、その旨を、都道府県知事に通知するとともに、公示しなければならない。
市町村長は、想定される災害の状況、人口の状況 その他の状況を勘案し、災害が発生した場合における適切な避難所(避難のための立退きを行つた居住者、滞在者 その他の者(以下「居住者等」という。)を避難のために必要な間滞在させ、又は自ら居住の場所を確保することが困難な被災した住民(以下「被災住民」という。)その他の被災者を一時的に滞在させるための施設をいう。以下同じ。)の確保を図るため、政令で定める基準に適合する公共施設 その他の施設を指定避難所として指定しなければならない。
第四十九条の四第二項 及び第三項 並びに前二条の規定は、指定避難所について準用する。
この場合において、
第四十九条の四第二項中
「前項」とあり、
及び同条第三項中
「第一項」とあるのは
「第四十九条の七第一項」と、
前条中
「第四十九条の四第一項」とあるのは
「次条第一項」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、前項において準用する第四十九条の四第三項 又は前条第二項の規定による通知を受けたときは、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
指定緊急避難場所と指定避難所とは、相互に兼ねることができる。
市町村長は、居住者等の円滑な避難のための立退きに資するよう、内閣府令で定めるところにより、災害に関する情報の伝達方法、指定緊急避難場所 及び避難路 その他の避難経路に関する事項 その他円滑な避難のための立退きを確保する上で必要な事項を居住者等に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布 その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第三節 避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等
市町村長は、当該市町村に居住する要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの(以下「避難行動要支援者」という。)の把握に努めるとともに、地域防災計画の定めるところにより、避難行動要支援者について避難の支援、安否の確認 その他の避難行動要支援者の生命 又は身体を災害から保護するために必要な措置(以下「避難支援等」という。)を実施するための基礎とする名簿(以下この条 及び次条第一項において「避難行動要支援者名簿」という。)を作成しておかなければならない。
避難行動要支援者名簿には、避難行動要支援者に関する次に掲げる事項を記載し、又は記録するものとする。
氏名
生年月日
性別
住所 又は居所
電話番号 その他の連絡先
避難支援等を必要とする事由
前各号に掲げるもののほか、避難支援等の実施に関し市町村長が必要と認める事項
市町村長は、第一項の規定による避難行動要支援者名簿の作成に必要な限度で、その保有する要配慮者の氏名 その他の要配慮者に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
市町村長は、第一項の規定による避難行動要支援者名簿の作成のため必要があると認めるときは、関係都道府県知事 その他の者に対して、要配慮者に関する情報の提供を求めることができる。
市町村長は、避難支援等の実施に必要な限度で、前条第一項の規定により作成した避難行動要支援者名簿に記載し、又は記録された情報(以下「名簿情報」という。)を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
市町村長は、災害の発生に備え、避難支援等の実施に必要な限度で、地域防災計画の定めるところにより、消防機関、都道府県警察、民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第百九条第一項に規定する市町村社会福祉協議会、自主防災組織 その他の避難支援等の実施に携わる関係者(次項、第四十九条の十四第三項第一号 及び第四十九条の十五において「避難支援等関係者」という。)に対し、名簿情報を提供するものとする。
ただし、当該市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、名簿情報を提供することについて本人(当該名簿情報によつて識別される特定の個人をいう。次項において同じ。)の同意が得られない場合は、この限りでない。
市町村長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難行動要支援者の生命 又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときは、避難支援等の実施に必要な限度で、避難支援等関係者 その他の者に対し、名簿情報を提供することができる。
この場合においては、名簿情報を提供することについて本人の同意を得ることを要しない。
市町村長は、前条第二項 又は第三項の規定により名簿情報を提供するときは、地域防災計画の定めるところにより、名簿情報の提供を受ける者に対して名簿情報の漏えいの防止のために必要な措置を講ずるよう求めること その他の当該名簿情報に係る避難行動要支援者 及び第三者の権利利益を保護するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第四十九条の十一第二項 若しくは第三項の規定により名簿情報の提供を受けた者(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員 その他の当該名簿情報を利用して避難支援等の実施に携わる者 又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、当該名簿情報に係る避難行動要支援者に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
市町村長は、地域防災計画の定めるところにより、名簿情報に係る避難行動要支援者ごとに、当該避難行動要支援者について避難支援等を実施するための計画(以下「個別避難計画」という。)を作成するよう努めなければならない。
ただし、個別避難計画を作成することについて当該避難行動要支援者の同意が得られない場合は、この限りでない。
市町村長は、前項ただし書に規定する同意を得ようとするときは、当該同意に係る避難行動要支援者に対し次条第二項 又は第三項の規定による同条第一項に規定する個別避難計画情報の提供に係る事項について説明しなければならない。
個別避難計画には、第四十九条の十第二項第一号から第六号までに掲げる事項のほか、避難行動要支援者に関する次に掲げる事項を記載し、又は記録するものとする。
避難支援等実施者(避難支援等関係者のうち当該個別避難計画に係る避難行動要支援者について避難支援等を実施する者をいう。次条第二項において同じ。)の氏名 又は名称、住所 又は居所 及び電話番号 その他の連絡先
前二号に掲げるもののほか、避難支援等の実施に関し市町村長が必要と認める事項
市町村長は、第一項の規定による個別避難計画の作成に必要な限度で、その保有する避難行動要支援者の氏名 その他の避難行動要支援者に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
市町村長は、第一項の規定による個別避難計画の作成のため必要があると認めるときは、関係都道府県知事 その他の者に対して、避難行動要支援者に関する情報の提供を求めることができる。
市町村長は、避難支援等の実施に必要な限度で、前条第一項の規定により作成した個別避難計画に記載し、又は記録された情報(以下「個別避難計画情報」という。)を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
市町村長は、災害の発生に備え、避難支援等の実施に必要な限度で、地域防災計画の定めるところにより、避難支援等関係者に対し、個別避難計画情報を提供するものとする。
ただし、当該市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、個別避難計画情報を提供することについて当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者 及び避難支援等実施者(次項、次条 及び第四十九条の十七において「避難行動要支援者等」という。)の同意が得られない場合は、この限りでない。
市町村長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難行動要支援者の生命 又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときは、避難支援等の実施に必要な限度で、避難支援等関係者 その他の者に対し、個別避難計画情報を提供することができる。
この場合においては、個別避難計画情報を提供することについて当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者等の同意を得ることを要しない。
前二項に定めるもののほか、市町村長は、個別避難計画情報に係る避難行動要支援者以外の避難行動要支援者について避難支援等が円滑かつ迅速に実施されるよう、避難支援等関係者に対する必要な情報の提供 その他の必要な配慮をするものとする。
市町村長は、前条第二項 又は第三項の規定により個別避難計画情報を提供するときは、地域防災計画の定めるところにより、個別避難計画情報の提供を受ける者に対して個別避難計画情報の漏えいの防止のために必要な措置を講ずるよう求めること その他の当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者等 及び第三者の権利利益を保護するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第四十九条の十五第二項 若しくは第三項の規定により個別避難計画情報の提供を受けた者(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員 その他の当該個別避難計画情報を利用して避難支援等の実施に携わる者 又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者等に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第五章 災害応急対策
第一節 通則
災害応急対策は、次に掲げる事項について、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に災害の発生を防御し、又は応急的救助を行う等災害の拡大を防止するために行うものとする。
警報の発令 及び伝達 並びに避難の勧告 又は指示に関する事項
消防、水防 その他の応急措置に関する事項
被災者の救難、救助 その他保護に関する事項
災害を受けた児童 及び生徒の応急の教育に関する事項
施設 及び設備の応急の復旧に関する事項
廃棄物の処理 及び清掃、防疫 その他の生活環境の保全 及び公衆衛生に関する事項
犯罪の予防、交通の規制 その他災害地における社会秩序の維持に関する事項
緊急輸送の確保に関する事項
前各号に掲げるもののほか、災害の発生の防御 又は拡大の防止のための措置に関する事項
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 の他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 その他法令の規定により災害応急対策の実施の責任を有する者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、災害応急対策に従事する者の安全の確保に十分に配慮して、災害応急対策を実施しなければならない。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者(以下「災害応急対策責任者」という。)は、法令 又は防災計画の定めるところにより、災害に関する情報の収集 及び伝達に努めなければならない。
災害応急対策責任者は、前項の災害に関する情報の収集 及び伝達に当たつては、地理空間情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項に規定する地理空間情報をいう。)の活用に努めなければならない。
災害応急対策責任者は、災害に関する情報を共有し、相互に連携して災害応急対策の実施に努めなければならない。
内閣総理大臣は、非常災害 又は特定災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難のため緊急の必要があると認めるときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、予想される災害の事態 及びこれに対してとるべき措置について、国民に対し周知させる措置をとらなければならない。
市町村長が災害に関する警報の発令 及び伝達、警告 並びに避難の指示のため使用する防災に関する信号の種類、内容 及び様式 又は方法については、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、内閣府令で定める。
何人も、みだりに前項の信号 又はこれに類似する信号を使用してはならない。
市町村は、当該市町村の区域内に災害が発生したときは、政令で定めるところにより、速やかに、当該災害の状況 及びこれに対して執られた措置の概要を都道府県(都道府県に報告ができない場合にあつては、内閣総理大臣)に報告しなければならない。
都道府県は、当該都道府県の区域内に災害が発生したときは、政令で定めるところにより、速やかに、当該災害の状況 及びこれに対して執られた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
指定公共機関の代表者は、その業務に係る災害が発生したときは、政令で定めるところにより、すみやかに、当該災害の状況 及びこれに対してとられた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
指定行政機関の長は、その所掌事務に係る災害が発生したときは、政令で定めるところにより、すみやかに、当該災害の状況 及びこれに対してとられた措置の概要を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第一項から前項までの規定による報告に係る災害が非常災害 又は特定災害であると認められるときは、市町村、都道府県、指定公共機関の代表者 又は指定行政機関の長は、当該災害の規模の把握のため必要な情報の収集に特に意を用いなければならない。
市町村の区域内に災害が発生した場合において、当該災害の発生により当該市町村が第一項の規定による報告を行うことができなくなつたときは、都道府県は、当該災害に関する情報の収集に特に意を用いなければならない。
都道府県の区域内に災害が発生した場合において、当該災害の発生により当該都道府県が第二項の規定による報告を行うことができなくなつたときは、指定行政機関の長は、その所掌事務に係る災害に関する情報の収集に特に意を用いなければならない。
内閣総理大臣は、第一項から第四項までの規定による報告を受けたときは、当該報告に係る事項を中央防災会議に通報するものとする。
第二節 警報の伝達等
災害が発生するおそれがある異常な現象を発見した者は、遅滞なく、その旨を市町村長 又は警察官 若しくは海上保安官に通報しなければならない。
何人も、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。
第一項の通報を受けた警察官 又は海上保安官は、その旨をすみやかに市町村長に通報しなければならない。
第一項 又は前項の通報を受けた市町村長は、地域防災計画の定めるところにより、その旨を気象庁 その他の関係機関に通報しなければならない。
都道府県知事は、法令の規定により、気象庁 その他の国の機関から災害に関する予報 若しくは警報の通知を受けたとき、又は自ら災害に関する警報をしたときは、法令 又は地域防災計画の定めるところにより、予想される災害の事態 及びこれに対してとるべき措置について、関係指定地方行政機関の長、指定地方公共機関、市町村長 その他の関係者に対し、必要な通知 又は要請をするものとする。
市町村長は、法令の規定により災害に関する予報 若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報 若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報をしたとき、又は前条の通知を受けたときは、地域防災計画の定めるところにより、当該予報 若しくは警報 又は通知に係る事項を関係機関 及び住民 その他関係のある公私の団体に伝達しなければならない。
この場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、住民 その他関係のある公私の団体に対し、予想される災害の事態 及びこれに対してとるべき避難のための立退きの準備 その他の措置について、必要な通知 又は警告をすることができる。
市町村長は、前項の規定により必要な通知 又は警告をするに当たつては、要配慮者に対して、その円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう必要な情報の提供 その他の必要な配慮をするものとする。
前二条の規定による通知、要請、伝達 又は警告が緊急を要するものである場合において、その通信のため特別の必要があるときは、都道府県知事 又は市町村長は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、政令で定めるところにより、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、若しくは有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第四項第四号に掲げる者が設置する有線電気通信設備 若しくは無線設備を使用し、又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者に放送を行うことを求め、若しくはインターネットを利用した情報の提供に関する事業活動であつて政令で定めるものを行う者にインターネットを利用した情報の提供を行うことを求めることができる。
第三節 事前措置及び避難
市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、法令 又は市町村地域防災計画の定めるところにより、消防機関 若しくは水防団に出動の準備をさせ、若しくは出動を命じ、又は消防吏員(当該市町村の職員である者を除く。)、警察官 若しくは海上保安官の出動を求める等災害応急対策責任者に対し、応急措置の実施に必要な準備をすることを要請し、若しくは求めなければならない。
市町村長は、災害が発生するおそれがあるときは、災害が発生した場合においてその災害を拡大させるおそれがあると認められる設備 又は物件の占有者、所有者 又は管理者に対し、災害の拡大を防止するため必要な限度において、当該設備 又は物件の除去、保安 その他必要な措置をとることを指示することができる。
警察署長 又は政令で定める管区海上保安本部の事務所の長(以下この項、第六十四条 及び第六十六条において「警察署長等」という。)は、市町村長から要求があつたときは、前項に規定する指示を行なうことができる。
この場合において、同項に規定する指示を行なつたときは、警察署長等は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命 又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退きを指示することができる。
前項の規定により避難のための立退きを指示する場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その立退き先として指定緊急避難場所 その他の避難場所を指示することができる。
災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえつて人の生命 又は身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避 その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示することができる。
市町村長は、第一項の規定により避難のための立退きを指示し、若しくは立退き先を指示し、又は前項の規定により緊急安全確保措置を指示したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
市町村長は、避難の必要がなくなつたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。
前項の規定は、この場合について準用する。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第一項から第三項まで 及び前項前段の規定により実施すべき措置の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
第六項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。
前条第一項 又は第三項の場合において、市町村長が同条第一項に規定する避難のための立退き若しくは緊急安全確保措置を指示することができないと認めるとき、又は市町村長から要求があつたときは、警察官 又は海上保安官は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退き又は緊急安全確保措置を指示することができる。
前条第二項の規定は、警察官 又は海上保安官が前項の規定により避難のための立退きを指示する場合について準用する。
警察官 又は海上保安官は、第一項の規定により避難のための立退き 又は緊急安全確保措置を指示したときは、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
前条第四項 及び第五項の規定は、前項の通知を受けた市町村長について準用する。
市町村長は、第六十条第一項の規定により避難のための立退きを指示し、又は同条第三項の規定により緊急安全確保措置を指示しようとする場合において、必要があると認めるときは、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事に対し、当該指示に関する事項について、助言を求めることができる。
この場合において、助言を求められた指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事は、その所掌事務に関し、必要な助言をするものとする。
第五十七条の規定は、市町村長が第六十条第一項の規定により避難のための立退きを指示し、又は同条第三項の規定により緊急安全確保措置を指示する場合(同条第六項の規定により都道府県知事が市町村長の事務を代行する場合を含む。)について準用する。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生するおそれがある場合において、予想される災害の事態に照らし、第六十条第一項に規定する避難のための立退きを指示した場合におけるその立退き先を当該市町村内の指定緊急避難場所 その他の避難場所とすることが困難であり、かつ、居住者等の生命 又は身体を災害から保護するため当該居住者等を一定期間 他の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、当該居住者等の受入れについて、同一都道府県内の他の市町村の市町村長に協議することができる。
市町村長は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「協議先市町村長」という。)は、同項の居住者等(以下「要避難者」という。)を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。
この場合において、協議先市町村長は、同項の規定による滞在(以下「広域避難」という。)の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。
前項の場合において、協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知しなければならない。
協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
協議元市町村長は、広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議先市町村長 及び前項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第四項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
前条第一項に規定する場合において、市町村長は、要避難者を一定期間 他の都道府県内の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都道府県の知事と当該要避難者の受入れについて協議することを求めることができる。
前項の規定による要求があつたときは、都道府県知事は、要避難者の受入れについて、当該他の都道府県の知事に協議しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
第二項の場合において、協議を受けた都道府県知事(以下この条において「協議先都道府県知事」という。)は、要避難者の受入れについて、関係市町村長と協議しなければならない。
前項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、要避難者を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。
この場合において、都道府県外協議先市町村長は、第一項の規定による滞在(以下「都道府県外広域避難」という。)の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。
前項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を協議先都道府県知事に報告しなければならない。
協議先都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を第二項の規定により協議した都道府県知事(以下この条において「協議元都道府県知事」という。)に通知しなければならない。
協議元都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示するとともに、内閣府令で定める者に通知しなければならない。
協議元市町村長は、都道府県外広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議元都道府県知事に報告し、及び公示するとともに、前項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
協議元都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その旨を協議先都道府県知事に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
協議先都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長に通知しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第六項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
前条第一項に規定する場合において、市町村長は、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、要避難者の受入れについて、他の都道府県内の市町村の市町村長に協議することができる。
市町村長は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、同項の要避難者を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。
この場合において、都道府県外協議先市町村長は、都道府県外広域避難の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所 その他の避難場所を提供しなければならない。
前項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。
協議元市町村長は、都道府県外広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長 及び第七項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第五項の内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
第九項の規定による報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その内容を内閣総理大臣に報告しなければならない。
都道府県知事は、市町村長から求められたときは、第六十一条の四第一項の規定による協議の相手方 その他広域避難に関する事項について助言をしなければならない。
内閣総理大臣は、都道府県知事から求められたときは、第六十一条の五第二項の規定による協議の相手方 その他都道府県外広域避難に関する事項 又は広域避難に関する事項について助言をしなければならない。
都道府県知事は、都道府県の地域に係る災害が発生するおそれがある場合であつて、居住者等の生命 又は身体を当該災害から保護するため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を示して、居住者等の運送を要請することができる。
指定公共機関 又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、居住者等の生命 又は身体を災害から保護するため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、居住者等の運送を行うべきことを指示することができる。
この場合においては、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を書面で示さなければならない。
第四節 応急措置等
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令 又は地域防災計画の定めるところにより、消防、水防、救助 その他災害の発生を防禦し、又は災害の拡大を防止するために必要な応急措置(以下「応急措置」という。)をすみやかに実施しなければならない。
市町村の委員会 又は委員、市町村の区域内の公共的団体 及び防災上重要な施設の管理者 その他法令の規定により応急措置の実施の責任を有する者は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、地域防災計画の定めるところにより、市町村長の所轄の下にその所掌事務 若しくは所掌業務に係る応急措置を実施し、又は市町村長の実施する応急措置に協力しなければならない。
災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命 又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
前項の場合において、市町村長 若しくはその委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の職員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、警察官 又は海上保安官は、同項に規定する市町村長の職権を行なうことができる。
この場合において、同項に規定する市町村長の職権を行なつたときは、警察官 又は海上保安官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
第一項の規定は、市町村長 その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた同法第八条に規定する部隊等の自衛官(以下「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」という。)の職務の執行について準用する。
この場合において、第一項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
第六十一条の二の規定は、第一項の規定により警戒区域を設定しようとする場合について準用する。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物 その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木 その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、現場の災害を受けた工作物 又は物件で当該応急措置の実施の支障となるもの(以下この条において「工作物等」という。)の除去 その他必要な措置をとることができる。
この場合において、工作物等を除去したときは、市町村長は、当該工作物等を保管しなければならない。
市町村長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者 その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
市町村長は、第二項後段の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又はその保管に不相当な費用 若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
前三項に規定する工作物等の保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条 及び第六条の規定を準用する。
第三項に規定する公示の日から起算して六月を経過してもなお第二項後段の規定により保管した工作物等(第四項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該市町村長の統轄する市町村に帰属する。
前条第二項の規定は、第一項 及び第二項前段の場合について準用する。
第一項 及び第二項前段の規定は、市町村長 その他第一項 又は第二項前段に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等自衛官の職務の執行について準用する。
この場合において、第一項 又は第二項前段に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
警察官、海上保安官 又は災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、第七項において準用する前条第二項 又は前項において準用する第二項前段の規定により工作物等を除去したときは、当該工作物等を当該工作物等が設置されていた場所を管轄する警察署長等 又は内閣府令で定める自衛隊法第八条に規定する部隊等の長(以下この条において「自衛隊の部隊等の長」という。)に差し出さなければならない。
この場合において、警察署長等 又は自衛隊の部隊等の長は、当該工作物等を保管しなければならない。
前項の規定により警察署長等 又は自衛隊の部隊等の長が行う工作物等の保管については、第三項から第六項までの規定の例によるものとする。
ただし、第三項の規定の例により公示した日から起算して六月を経過してもなお返還することができない工作物等の所有権は、警察署長が保管する工作物等にあつては当該警察署の属する都道府県に、政令で定める管区海上保安本部の事務所の長 又は自衛隊の部隊等の長が保管する工作物等にあつては国に、それぞれ帰属するものとする。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、当該市町村の区域内の住民 又は当該応急措置を実施すべき現場にある者を当該応急措置の業務に従事させることができる。
第六十三条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
第一項の規定は、市町村長 その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。
この場合において、同項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
災害が発生した場合において、水難救護法(明治三十二年法律第九十五号)第二十九条第一項に規定する漂流物 又は沈没品を取り除いたときは、警察署長等は、同項の規定にかかわらず、当該物件を保管することができる。
水難救護法第二章の規定は、警察署長等が前項の規定により漂流物 又は沈没品を保管した場合について準用する。
市町村長等は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害応急対策を実施するため必要があると認めるときは、他の市町村の市町村長等に対し、応援を求めることができる。
この場合において、応急措置を実施するための応援を求められた市町村長等は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない。
前項の応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を求めた市町村長等の指揮の下に行動するものとする。
市町村長等は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害応急対策を実施するため必要があると認めるときは、都道府県知事等に対し、応援を求め、又は災害応急対策の実施を要請することができる。
この場合において、応援を求められ、又は災害応急対策の実施を要請された都道府県知事等は、正当な理由がない限り、応援 又は災害応急対策の実施を拒んではならない。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、自衛隊法第八十三条第一項の規定による要請(次項において「要請」という。)をするよう求めることができる。
この場合において、市町村長は、その旨 及び当該市町村の地域に係る災害の状況を防衛大臣 又はその指定する者に通知することができる。
市町村長は、前項の要求ができない場合には、その旨 及び当該市町村の地域に係る災害の状況を防衛大臣 又はその指定する者に通知することができる。
この場合において、当該通知を受けた防衛大臣 又はその指定する者は、その事態に照らし特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるときは、人命 又は財産の保護のため、要請を待たないで、自衛隊法第八条に規定する部隊等を派遣することができる。
市町村長は、前二項の通知をしたときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
市町村は、当該市町村の地域に係る災害が発生した場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、地方自治法第二百五十二条の十四 及び第二百五十二条の十五の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その事務 又は市町村長等の権限に属する事務の一部を他の地方公共団体に委託して、当該地方公共団体の長 その他の執行機関にこれを管理し、及び執行させることができる。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令 又は地域防災計画の定めるところにより、その所掌事務に係る応急措置をすみやかに実施しなければならない。
この場合において、都道府県知事は、その区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれることとなるように努めなければならない。
都道府県の委員会 又は委員は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令 又は地域防災計画の定めるところにより、都道府県知事の所轄の下にその所掌事務に係る応急措置を実施しなければならない。
第一項の場合において、応急措置を実施するため、又はその区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われるようにするため必要があると認めるときは、都道府県知事は、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は当該都道府県の他の執行機関、指定公共機関 若しくは指定地方公共機関に対し、応急措置の実施を要請し、又は求めることができる。
この場合において、応急措置の実施を要請された指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長は、正当な理由がない限り、応急措置の実施を拒んではならない。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第七条から第十条までの規定の例により、従事命令、協力命令 若しくは保管命令を発し、施設、土地、家屋 若しくは物資を管理し、使用し、若しくは収用し、又はその職員に施設、土地、家屋 若しくは物資の所在する場所 若しくは物資を保管させる場所に立ち入り検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を取ることができる。
前項の規定による都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その一部を市町村長が行うこととすることができる。
都道府県知事は、当該都道府県の区域内の市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるようにするため特に必要があると認めるときは、市町村長に対し、応急措置の実施について必要な指示をし、又は他の市町村長を応援すべきことを指示することができる。
都道府県知事は、当該都道府県の区域内の市町村の実施する災害応急対策(応急措置を除く。以下この項において同じ。)が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、市町村長に対し、災害応急対策の実施を求め、又は他の市町村長を応援することを求めることができる。
前二項の規定による都道府県知事の指示 又は要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行なうことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第六十三条第一項、第六十四条第一項 及び第二項 並びに第六十五条第一項の規定により実施すべき応急措置の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
第一項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。
都道府県知事等は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害応急対策を実施するため必要があると認めるときは、他の都道府県の都道府県知事等に対し、応援を求めることができる。
この場合において、応急措置を実施するための応援を求められた都道府県知事等は、正当な理由がない限り、応援を拒んではならない。
前項の応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を求めた都道府県知事等の指揮の下に行動するものとする。
この場合において、警察官にあつては、当該応援を求めた都道府県の公安委員会の管理の下にその職権を行うものとする。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、第七十二条第一項の規定による指示 又は同条第二項の規定による要求のみによつては当該都道府県の区域内の市町村の実施する災害応急対策に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、他の都道府県知事に対し、当該災害が発生し又は発生するおそれがある市町村の市町村長(次項 及び次条において「災害発生市町村長」という。)を応援することを求めることができる。
前項の規定による要求を受けた都道府県知事は、当該要求に応じ応援をする場合において、災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の市町村長に対し、当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
前二項の規定による都道府県知事の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、第七十二条第一項の規定による指示 又は同条第二項、第七十四条第一項 若しくは前条第一項の規定による要求のみによつては災害応急対策に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、内閣総理大臣に対し、他の都道府県の知事に対し当該災害が発生し 又は発生するおそれがある都道府県の知事(以下この条において「災害発生都道府県知事」という。)又は災害発生市町村長を応援することを求めるよう求めることができる。
内閣総理大臣は、前項の規定による要求があつた場合において、災害発生都道府県知事 及び災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該災害発生都道府県知事以外の都道府県知事に対し、当該災害発生都道府県知事 又は当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
内閣総理大臣は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合であつて、災害発生都道府県知事 及び災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認める場合において、その事態に照らし特に緊急を要し、第一項の規定による要求を待ついとまがないと認められるときは、当該要求を待たないで、当該災害発生都道府県知事以外の都道府県知事に対し、当該災害発生都道府県知事 又は当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
この場合において、内閣総理大臣は、当該災害発生都道府県知事に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
災害発生都道府県知事以外の都道府県知事は、前二項の規定による内閣総理大臣の要求に応じ応援をする場合において、災害発生市町村長の実施する災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村の市町村長に対し、当該災害発生市町村長を応援することを求めることができる。
第二項 又は第三項の規定による内閣総理大臣の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける都道府県知事の指揮の下に行動するものとする。
第四項の規定による都道府県知事の要求に係る応援に従事する者は、災害応急対策の実施については、当該応援を受ける市町村長の指揮の下に行動するものとする。
第七十条第三項に規定するもののほか、都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、災害応急対策を実施するため必要があると認めるときは、指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長に対し、応援を求め、又は災害応急対策の実施を要請することができる。
この場合において、応援を求められ、又は災害応急対策の実施を要請された指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長は、正当な理由がない限り、応援 又は災害応急対策の実施を拒んではならない。
都道府県は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、地方自治法第二百五十二条の十四 及び第二百五十二条の十五の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その事務 又は都道府県知事等の権限に属する事務の一部を他の都道府県に委託して、当該都道府県の都道府県知事等にこれを管理し、及び執行させることができる。
都道府県公安委員会は、当該都道府県 又はこれに隣接し若しくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、道路の区間(災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場所 及びこれらの周辺の地域にあつては、区域 又は道路の区間)を指定して、緊急通行車両(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第三十九条第一項の緊急自動車 その他の車両で災害応急対策の的確かつ円滑な実施のためその通行を確保することが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。
前項の規定による通行の禁止 又は制限(以下「通行禁止等」という。)が行われたときは、当該通行禁止等を行つた都道府県公安委員会 及び当該都道府県公安委員会と管轄区域が隣接し又は近接する都道府県公安委員会は、直ちに、それぞれの都道府県の区域内に在る者に対し、通行禁止等に係る区域 又は道路の区間(次条第四項 及び第七十六条の三第一項において「通行禁止区域等」という。)その他必要な事項を周知させる措置をとらなければならない。
道路の区間に係る通行禁止等が行われたときは、当該道路の区間に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を当該道路の区間以外の場所へ移動しなければならない。
この場合において、当該車両を速やかに当該道路の区間以外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
区域に係る通行禁止等が行われたときは、当該区域に在る通行禁止等の対象とされる車両の運転者は、速やかに、当該車両を道路外の場所へ移動しなければならない。
この場合において、当該車両を速やかに道路外の場所へ移動することが困難なときは、当該車両をできる限り道路の左側端に沿つて駐車する等緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車しなければならない。
前二項の規定による駐車については、道路交通法第三章第九節 及び第七十五条の八の規定は、適用しない。
第一項 及び第二項の規定にかかわらず、通行禁止区域等に在る車両の運転者は、警察官の指示を受けたときは、その指示に従つて車両を移動し、又は駐車しなければならない。
第一項、第二項 又は前項の規定による車両の移動 又は駐車については、前条第一項の規定による車両の通行の禁止 及び制限は、適用しない。
警察官は、通行禁止区域等において、車両 その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときは、当該車両 その他の物件の占有者、所有者 又は管理者に対し、当該車両 その他の物件を付近の道路外の場所へ移動すること その他当該通行禁止区域等における緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。
前項の場合において、同項の規定による措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき又はその命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないときは、警察官は、自ら当該措置をとることができる。
この場合において、警察官は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両 その他の物件を破損することができる。
前二項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。
この場合において、
第一項中
「緊急通行車両の通行」とあるのは
「自衛隊用緊急通行車両(自衛隊の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、
「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは
「自衛隊用緊急通行車両の円滑な通行」と
読み替えるものとする。
第一項 及び第二項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、消防吏員の職務の執行について準用する。
この場合において、
第一項中
「緊急通行車両の通行」とあるのは
「消防用緊急通行車両(消防機関の使用する緊急通行車両で災害応急対策の実施のため運転中のものをいう。以下この項において同じ。)の通行」と、
「緊急通行車両の円滑な通行」とあるのは
「消防用緊急通行車両の円滑な通行」と
読み替えるものとする。
第一項(前二項において準用する場合を含む。)の規定による命令に従つて行う措置 及び第二項(前二項において準用する場合を含む。)の規定により行う措置については、第七十六条第一項の規定による車両の通行の禁止 及び制限 並びに前条第一項、第二項 及び第四項の規定は、適用しない。
災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官 又は消防吏員は、第三項 若しくは第四項において準用する第一項の規定による命令をし、又は第三項 若しくは第四項において準用する第二項の規定による措置をとつたときは、直ちに、その旨を、当該命令をし、又は措置をとつた場所を管轄する警察署長に通知しなければならない。
都道府県公安委員会は、通行禁止等を行うため必要があると認めるときは、道路管理者等に対し、当該通行禁止等を行おうとする道路の区間において、第七十六条の六第一項の規定による指定 若しくは命令をし、又は同条第三項 若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを要請することができる。
前項の「道路管理者等」とは、道路管理者(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道にあつては国土交通大臣、その他の道路にあつては道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。以下同じ。)、港湾管理者(港湾法第二条第一項に規定する港湾管理者をいい、同条第五項第四号の道路(同条第六項の規定により同号の道路とみなされたものを含む。)を管理している者に限る。第七十六条の七第二項において同じ。)又は漁港管理者(漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第二十五条の規定により決定された地方公共団体をいい、同法第三条第二号イの道路(同法第六十六条第一項 又は第三項の規定により同号イの道路とみなされたものを含む。)を管理している者に限る。第七十六条の七第三項において同じ。)をいう。
会社管理高速道路(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二条第四項に規定する会社(第七十六条の六第六項 及び第七項において「会社」という。)が同法第四条の規定により維持、修繕 及び災害復旧を行う高速道路(高速道路株式会社法(平成十六年法律第九十九号)第二条第二項に規定する高速道路をいう。)をいう。第七十六条の六において同じ。)の区間について第一項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、
同項中 「道路管理者等」とあるのは「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下この項において「機構」という。)」と、
「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて機構が行う同条第一項」と
する。
公社管理道路(地方道路公社(地方道路公社法(昭和四十五年法律第八十二号)第一条の地方道路公社をいう。以下同じ。)が道路整備特別措置法第十四条の規定により維持、修繕 及び災害復旧を行い、又は同法第十五条第一項の許可を受けて維持、修繕 及び災害復旧を行う道路をいう。第七十六条の六第八項 及び第九項において同じ。)の区間について第一項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、
同項中 「道路管理者等」とあるのは「地方道路公社(第四項に規定する地方道路公社をいう。以下この項において同じ。)」と、
「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第八項の規定により公社管理道路の道路管理者に代わつて地方道路公社が行う同条第一項」と
する
国家公安委員会は、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、関係都道府県公安委員会に対し、通行禁止等に関する事項について指示することができる。
第七十六条の四第二項に規定する道路管理者等(以下この条において「道路管理者等」という。)は、その管理する道路の存する都道府県 又はこれに隣接し若しくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、道路における車両の通行が停止し、又は著しく停滞し、車両 その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあり、かつ、緊急通行車両の通行を確保するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その管理する道路についてその区間を指定して、当該車両 その他の物件の占有者、所有者 又は管理者(第三項第三号において「車両等の占有者等」という。)に対し、当該車両 その他の物件を付近の道路外の場所へ移動すること その他当該指定をした道路の区間における緊急通行車両の通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。
道路管理者等は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、当該指定をした道路の区間(以下この項において「指定道路区間」という。)内に在る者に対し、当該指定道路区間を周知させる措置をとらなければならない。
次に掲げる場合においては、道路管理者等は、自ら第一項の規定による措置をとることができる。
この場合において、道路管理者等は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両 その他の物件を破損することができる。
第一項の規定による措置をとることを命ぜられた者が、当該措置をとらない場合
道路管理者等が、第一項の規定による命令の相手方が現場にいないために同項の規定による措置をとることを命ずることができない場合
道路管理者等が、道路の状況 その他の事情により車両等の占有者等に第一項の規定による措置をとらせることができないと認めて同項の規定による命令をしないこととした場合
道路管理者等は、第一項 又は前項の規定による措置をとるためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の土地を一時使用し、又は竹木 その他の障害物を処分することができる。
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)は、会社管理高速道路の道路管理者に代わつて、第一項から前項までの規定による権限を行うものとする。
機構は、前項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつてその権限を行つた場合においては、遅滞なく、その旨を会社に通知しなければならない。
機構は、第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限に係る事務の一部を会社に委託しようとするときは、その委託する事務の円滑かつ効率的な実施を確保するため、あらかじめ、会社と協議し、当該委託する事務の内容 及びこれに要する費用の負担の方法を定めておかなければならない。
地方道路公社は、公社管理道路の道路管理者に代わつて、第一項から第四項までの規定による権限を行うものとする。
第五項の規定により機構が会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限は、道路整備特別措置法第二十五条第一項の規定により公告する料金の徴収期間の満了の日までに限り行うことができるものとする。
前項の規定により地方道路公社が公社管理道路の道路管理者に代わつて行う権限についても、同様とする。
国土交通大臣は道路法第十三条第一項に規定する指定区間外の国道(同法第三条第二号に掲げる一般国道をいう。)、都道府県道(同法第三条第三号に掲げる都道府県道をいう。)及び市町村道(同法第三条第四号に掲げる市町村道をいう。以下この項において同じ。)に関し、都道府県知事は地方自治法第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の市道以外の市町村道に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、それぞれ当該道路の道路管理者に対し、前条第一項の規定による指定 若しくは命令をし、又は同条第三項 若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
国土交通大臣は、港湾管理者が管理する道路に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該港湾管理者に対し、前条第一項の規定による指定 若しくは命令をし、又は同条第三項 若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
農林水産大臣は、漁港管理者が管理する道路に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該漁港管理者に対し、前条第一項の規定による指定 若しくは命令をし、又は同条第三項 若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。
第七十六条の六に規定する道路管理者である国土交通大臣の権限 並びに前条第一項 及び第二項に規定する国土交通大臣の権限は、政令で定めるところにより、その全部 又は一部を地方整備局長 又は北海道開発局長に委任することができる。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務に係る応急措置をすみやかに実施するとともに、都道府県 及び市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるようにするため、必要な施策を講じなければならない。
前項の場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、都道府県知事、市町村長 又は指定公共機関 若しくは指定地方公共機関に対し、応急措置の実施を要請し、又は指示することができる。
災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、防災業務計画の定めるところにより、当該応急措置の実施に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管 若しくは輸送を業とする者に対し、その取り扱う物資の保管を命じ、又は当該応急措置の実施に必要な物資を収用することができる。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、前項の規定により物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があると認めるときは、その職員に物資を保管させる場所 又は物資の所在する場所に立ち入り検査をさせることができる。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長は、第一項の規定により物資を保管させた者から、必要な報告を取り、又はその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り検査をさせることができる。
指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長は、災害の発生により市町村 及び当該市町村を包括する都道府県がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、当該市町村の市町村長が第六十四条第一項 及び第二項 並びに第六十五条第一項の規定により実施すべき応急措置の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
第一項の規定による指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長の代行に関し必要な事項は、政令で定める。
災害が発生した場合において、その応急措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるときは、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事 若しくは市町村長は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法第三条第四項第四号に掲げる者が設置する有線電気通信設備 若しくは無線設備を使用することができる。
指定公共機関 及び指定地方公共機関は、災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、その所掌業務に係る応急措置をすみやかに実施するとともに、指定地方行政機関の長、都道府県知事等 及び市町村長等の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるようにするため、必要な措置を講じなければならない。
指定公共機関 及び指定地方公共機関は、その所掌業務に係る応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事 若しくは市町村長に対し、労務、施設、設備 又は物資の確保について応援を求めることができる。
この場合において、応援を求められた指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事 若しくは市町村長は、正当な理由がない限り応援を拒んではならない。
第七十一条 又は第七十八条第一項の規定による処分については、都道府県知事 若しくは市町村長 又は指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長は、それぞれ公用令書を交付して行なわなければならない。
前項の公用令書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
公用令書の交付を受ける者の氏名 及び住所(法人にあつては、その名称 及び主たる事務所の所在地)
当該処分の根拠となつた法律の規定
従事命令にあつては従事すべき業務、場所 及び期間、保管命令にあつては保管すべき物資の種類、数量、保管場所 及び期間、施設等の管理、使用 又は収用にあつては管理、使用 又は収用する施設等の所在する場所 及び当該処分に係る期間 又は期日
前二項に規定するもののほか、公用令書の様式 その他公用令書について必要な事項は、政令で定める。
国 又は地方公共団体(港務局を含む。)は、第六十四条第一項(同条第八項において準用する場合を含む。)、同条第七項において同条第一項の場合について準用する第六十三条第二項、第七十一条、第七十六条の三第二項後段(同条第三項 及び第四項において準用する場合を含む。)、第七十六条の六第三項後段 若しくは第四項 又は第七十八条第一項の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
機構 又は地方道路公社は、第七十六条の六第五項 又は第八項の規定により同条第三項後段 又は第四項の規定による処分が行われたときは、前項の規定にかかわらず、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
都道府県は、第七十一条の規定による従事命令により応急措置の業務に従事した者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。
第七十一条の規定により都道府県 若しくは市町村の職員が立ち入る場合 又は第七十八条第二項 若しくは第三項の規定により指定行政機関 若しくは指定地方行政機関の職員が立ち入る場合においては、当該職員は、あらかじめ、その旨をその場所の管理者に通知しなければならない。
前項の場合においては、その職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
市町村長 又は警察官、海上保安官 若しくは災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、第六十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定 又は同条第二項において準用する第六十三条第二項の規定により、当該市町村の区域内の住民 又は応急措置を実施すべき現場にある者を応急措置の業務に従事させた場合において、当該業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、当該市町村は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者 又はその者の遺族 若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
都道府県は、第七十一条の規定による従事命令により応急措置の業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者 又はその者の遺族 若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
国は、別に法律で定めるところにより、被災者の国税 その他国の徴収金について、軽減 若しくは免除 又は徴収猶予 その他必要な措置をとることができる。
地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、又は当該地方公共団体の条例で定めるところにより、被災者の地方税 その他地方公共団体の徴収金について、軽減 若しくは免除 又は徴収猶予 その他必要な措置をとることができる。
国は、災害が発生した場合における応急措置を実施するため必要があると認める場合において、国有財産 又は国有の物品を貸し付け、又は使用させるときは、別に法律で定めるところにより、その貸付け 又は使用の対価を無償とし、若しくは時価より低く定めることができる。
地方公共団体は、災害が発生した場合における応急措置を実施するため必要があると認める場合において、その所有に属する財産 又は物品を貸し付け、又は使用させるときは、別に法律で定めるところにより、その貸付け 又は使用の対価を無償とし、若しくは時価より低く定めることができる。
著しく異常かつ激甚な非常災害であつて、当該災害に係る避難所 又は応急仮設住宅(以下この条において「避難所等」という。)が著しく不足し、被災者に対して住居を迅速に提供することが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を政令で指定するものとする。
前項の規定による指定があつたときは、政令で定める区域 及び期間において地方公共団体の長が設置する避難所等については、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条の規定は、適用しない。
地方公共団体の長は、前項の規定にかかわらず、消防法に準拠して、同項に規定する避難所等についての消防の用に供する設備、消防用水 及び消火活動上必要な施設の設置 及び維持に関する基準を定め、その他当該避難所等における災害を防止し、及び公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
著しく異常かつ激甚な非常災害であつて、当該災害に係る臨時の医療施設(被災者に対する医療の提供を行うための臨時の施設をいう。以下この条において同じ。)が著しく不足し、被災者に対して医療を迅速に提供することが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を政令で指定するものとする。
前項の規定による指定があつたときは、政令で定める区域 及び期間において地方公共団体の長が開設する臨時の医療施設については、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四章の規定は、適用しない。
前条第二項 及び第三項の規定は、第一項の規定による指定があつた場合において、前項に規定する臨時の医療施設について準用する。
著しく異常かつ激甚な非常災害であつて、当該災害により埋葬 又は火葬を円滑に行うことが困難となつたため、公衆衛生上の危害の発生を防止するため緊急の必要があると認められるものが発生した場合には、当該災害を政令で指定するものとする。
厚生労働大臣は、前項の規定による指定があつたときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める期間に限り、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第五条 及び第十四条に規定する手続の特例を定めることができる。
著しく異常かつ激甚な非常災害であつて、当該災害による生活環境の悪化を防止することが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該災害を政令で指定するものとする。
環境大臣は、前項の規定による指定があつたときは、その指定を受けた災害により生じた廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下この条において「廃棄物処理法」という。)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。以下この条において同じ。)(以下この条において「指定災害廃棄物」という。)の円滑かつ迅速な処理を図るため、廃棄物処理法第五条の二第一項に規定する基本方針にのつとり、指定災害廃棄物の処理に関する基本的な指針(以下この条において「処理指針」という。)を定め、これを公表するものとする。
処理指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
指定災害廃棄物の処理の基本的な方向
指定災害廃棄物の処理についての国、地方公共団体、事業者 その他の関係者の適切な役割分担 及び相互の連携協力の確保に関する事項
前二号に掲げるもののほか、指定災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理の確保に関し必要な事項
環境大臣は、第一項の規定による指定があつたときは、期間を限り、廃棄物の処理を迅速に行わなければならない地域を廃棄物処理特例地域として指定することができる。
環境大臣は、前項の規定により廃棄物処理特例地域を指定したときは、廃棄物処理特例地域において適用する廃棄物の収集、運搬 及び処分(再生を含む。以下この条において同じ。)に関する基準 並びに廃棄物の収集、運搬 又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準を定めるものとする。
この場合において、これらの基準(以下この条において「廃棄物処理特例基準」という。)は、廃棄物処理法第六条の二第二項 及び第三項、第十二条第一項 並びに第十二条の二第一項に規定する基準とみなす。
廃棄物処理特例地域において地方公共団体の委託を受けて廃棄物の収集、運搬 又は処分を業として行う者は、廃棄物処理法第七条第一項 若しくは第六項、第十四条第一項 若しくは第六項 又は第十四条の四第一項 若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該委託に係る廃棄物の収集、運搬 又は処分を業として行うことができる。
前項の場合において、地方公共団体の長は、同項の規定により廃棄物の収集、運搬 又は処分を業として行う者により廃棄物処理特例基準に適合しない廃棄物の収集、運搬 又は処分が行われたときは、その者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の収集、運搬 又は処分の方法の変更 その他必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
環境大臣は、第四項の規定により廃棄物処理特例地域を指定し、又は第五項の規定により廃棄物処理特例基準を定めたときは、その旨を公示しなければならない。
環境大臣は、廃棄物処理特例地域内の市町村の長から要請があり、かつ、次に掲げる事項を勘案して指定災害廃棄物を円滑かつ迅速に処理するため必要があると認めるときは、その事務の遂行に支障のない範囲内で、処理指針に基づき、当該市町村に代わつて自ら当該市町村の指定災害廃棄物の収集、運搬 及び処分を行うことができる。
当該市町村における指定災害廃棄物の処理の実施体制
当該指定災害廃棄物の処理に関する専門的な知識 及び技術の必要性
当該指定災害廃棄物の広域的な処理の重要性
第六項 及び第七項の規定は、前項の規定により指定災害廃棄物の収集、運搬 又は処分を行う環境大臣が当該収集、運搬 又は処分を他の者に委託する場合について準用する。
この場合において、
第六項中
「若しくは第六項、第十四条第一項 若しくは第六項 又は第十四条の四第一項 若しくは」とあるのは、
「又は」と
読み替えるものとする。
第九項の規定により指定災害廃棄物の収集、運搬 又は処分を行つた環境大臣については、廃棄物処理法第十九条の四第一項の規定は、適用しない。
第九項の規定により環境大臣が行う指定災害廃棄物の収集、運搬 及び処分に要する費用は、国の負担とする。
この場合において、同項の市町村は、当該費用の額から、自ら当該指定災害廃棄物の収集、運搬 及び処分を行うこととした場合に国が当該市町村に交付すべき補助金の額に相当する額を控除した額を負担する。
国は、前項後段の規定により市町村が負担する費用について、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第五節 被災者の保護
⤏ 第一款 生活環境の整備
災害応急対策責任者は、災害が発生したときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、遅滞なく、避難所を供与するとともに、当該避難所に係る必要な安全性 及び良好な居住性の確保、当該避難所における食糧、衣料、医薬品 その他の生活関連物資の配布 及び保健医療サービスの提供 その他避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
災害応急対策責任者は、やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者に対しても、必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供 その他これらの者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
⤏ 第二款 広域一時滞在
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について同一都道府県内の他の市町村の区域における一時的な滞在(以下「広域一時滞在」という。)の必要があると認めるときは、当該被災住民の受入れについて、当該他の市町村の市町村長に協議することができる。
市町村長は、前項の規定により協議しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「協議先市町村長」という。)は、被災住民を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、被災住民を受け入れるものとする。
この場合において、協議先市町村長は、広域一時滞在の用に供するため、受け入れた被災住民に対し避難所を提供しなければならない。
第一項の場合において、協議先市町村長は、当該市町村の区域において被災住民を受け入れるべき避難所を決定し、直ちに、その内容を当該避難所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知しなければならない。
協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
第一項の場合において、協議元市町村長は、広域一時滞在の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議先市町村長 及び前項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。
協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第四項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
前条第一項に規定する場合において、市町村長は、都道府県知事と協議を行い、被災住民について他の都道府県の区域における一時的な滞在(以下「都道府県外広域一時滞在」という。)の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都道府県の知事と当該被災住民の受入れについて協議することを求めることができる。
前項の規定による要求があつたときは、都道府県知事は、被災住民の受入れについて、当該他の都道府県の知事に協議しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により協議しようとするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
第二項の場合において、協議を受けた都道府県知事(以下この条において「協議先都道府県知事」という。)は、被災住民の受入れについて、関係市町村長と協議しなければならない。
前項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、被災住民を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、被災住民を受け入れるものとする。
この場合において、都道府県外協議先市町村長は、都道府県外広域一時滞在の用に供するため、受け入れた被災住民に対し避難所を提供しなければならない。
第四項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において被災住民を受け入れるべき避難所を決定し、直ちに、その内容を当該避難所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を協議先都道府県知事に報告しなければならない。
協議先都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を第二項の規定により協議した都道府県知事(以下この条において「協議元都道府県知事」という。)に通知しなければならない。
協議元都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「都道府県外協議元市町村長」という。)に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
都道府県外協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示するとともに、内閣府令で定める者に通知しなければならない。
第一項の場合において、都道府県外協議元市町村長は、都道府県外広域一時滞在の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議元都道府県知事に報告し、及び公示するとともに、前項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
協議元都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その旨を協議先都道府県知事に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
協議先都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長に通知しなければならない。
都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第六項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について広域一時滞在の必要があると認めるときは、当該市町村の市町村長が第八十六条の八第一項 及び第五項から第七項までの規定により実施すべき措置(同条第六項 及び第七項の規定による報告を除く。)の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。
第一項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。
都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について都道府県外広域一時滞在の必要があると認めるときは、第八十六条の九第一項の規定による要求がない場合であつても、同条第二項の規定による協議をすることができる。
この場合において、
同条第九項中
「第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「都道府県外協議元市町村長」という。)」とあるのは
「公示し、及び内閣府令で定める者」と、
同条第十一項中
「第一項」とあるのは
「第八十六条の十一前段」と、
「都道府県外協議元市町村長」とあるのは
「協議元都道府県知事」と、
「協議元都道府県知事に報告し、及び」とあるのは
「協議先都道府県知事 及び同条後段の規定により読み替えて適用する第九項の内閣府令で定める者に通知し、並びに」と、
「前項の内閣府令で定める者に通知しなければ」とあるのは
「内閣総理大臣に報告しなければ」と、
同条第十三項中
「前項」とあるのは
「第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第十一項」とし、
同条第十項 及び第十二項の規定は、適用しない。
都道府県知事は、市町村長から求められたときは、第八十六条の八第一項の規定による協議の相手方 その他広域一時滞在に関する事項について助言をしなければならない。
内閣総理大臣は、都道府県知事から求められたときは、第八十六条の九第二項の規定による協議の相手方 その他都道府県外広域一時滞在に関する事項 又は広域一時滞在に関する事項について助言をしなければならない。
内閣総理大臣は、災害の発生により市町村 及び当該市町村を包括する都道府県がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について広域一時滞在 又は都道府県外広域一時滞在の必要があると認めるときは、当該市町村の市町村長が第八十六条の八第一項 及び第五項から第七項までの規定により実施すべき措置の全部 若しくは一部を当該市町村長に代わつて実施し、又は当該都道府県の知事が第八十六条の十一前段 並びに第八十六条の九第八項 並びに第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第八十六条の九第九項 及び第十一項の規定により実施すべき措置(第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第八十六条の九第九項 及び第十一項の規定による報告を除く。)の全部 若しくは一部を当該都道府県知事に代わつて実施しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定により市町村長 又は都道府県知事の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を告示しなければならない。
第一項の規定による内閣総理大臣の代行に関し必要な事項は、政令で定める。
⤏ 第三款 被災者の運送
都道府県知事は、被災者の保護の実施のため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を示して、被災者の運送を要請することができる。
指定公共機関 又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、被災者の保護の実施のため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、被災者の運送を行うべきことを指示することができる。
この場合においては、同項の事項を書面で示さなければならない。
⤏ 第四款 安否情報の提供等
都道府県知事 又は市町村長は、当該都道府県 又は市町村の地域に係る災害が発生した場合において、内閣府令で定めるところにより、当該災害の被災者の安否に関する情報(次項において「安否情報」という。)について照会があつたときは、回答することができる。
都道府県知事 又は市町村長は、前項の規定により安否情報を回答するときは、当該安否情報に係る被災者 又は第三者の権利利益を不当に侵害することのないよう配慮するものとする。
都道府県知事 又は市町村長は、第一項の規定による回答を適切に行い、又は当該回答の適切な実施に備えるために必要な限度で、その保有する被災者の氏名 その他の被災者に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
都道府県知事 又は市町村長は、第一項の規定による回答を適切に行い、又は当該回答の適切な実施に備えるため必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長、消防機関、都道府県警察 その他の者に対して、被災者に関する情報の提供を求めることができる。
第六節 物資等の供給及び運送
都道府県知事 又は市町村長は、当該都道府県 又は市町村の地域に係る災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、災害応急対策の実施に当たつて、その備蓄する物資 又は資材が不足し、当該災害応急対策を的確かつ迅速に実施することが困難であると認めるときは、都道府県知事にあつては指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長に対し、市町村長にあつては都道府県知事に対し、それぞれ必要な物資 又は資材の供給について必要な措置を講ずるよう要請し、又は求めることができる。
指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事は、都道府県 又は市町村の地域に係る災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合であつて、当該都道府県の知事 又は当該市町村の市町村長が災害応急対策を実施するに当たつて、その備蓄する物資 又は資材が不足し、当該災害応急対策を的確かつ迅速に実施することが困難であると認める場合において、その事態に照らし緊急を要し、前項の規定による要請 又は要求を待ついとまがないと認められるときは、当該要請 又は要求を待たないで、必要な物資 又は資材の供給について必要な措置を講ずることができる。
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関、公共的団体 並びに防災上重要な施設の管理者は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合において、その備蓄する物資 又は資材の供給に関し、相互に協力するよう努めなければならない。
指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事は、災害応急対策の実施のため緊急の必要があると認めるときは、指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長にあつては運送事業者である指定公共機関に対し、都道府県知事にあつては運送事業者である指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、運送すべき物資 又は資材 並びに運送すべき場所 及び期日を示して、当該災害応急対策の実施に必要な物資 又は資材(次項において「災害応急対策必要物資」という。)の運送を要請することができる。
指定公共機関 又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は都道府県知事は、災害応急対策の実施のため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、災害応急対策必要物資の運送を行うべきことを指示することができる。
この場合においては、同項の事項を書面で示さなければならない。
第六章 災害復旧
指定行政機関の長 及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、指定公共機関 及び指定地方公共機関 その他法令の規定により災害復旧の実施について責任を有する者は、法令 又は防災計画の定めるところにより、災害復旧を実施しなければならない。
国がその費用の全部 又は一部を負担し、又は補助する災害復旧事業について当該事業に関する主務大臣が行う災害復旧事業費の決定は、都道府県知事の報告 その他地方公共団体が提出する資料 及び実地調査の結果等に基づき、適正かつ速やかにしなければならない。
前項の規定による災害復旧事業費を決定するに当たつては、当該事業に関する主務大臣は、再度災害の防止のため災害復旧事業と併せて施行することを必要とする施設の新設 又は改良に関する事業が円滑に実施されるように十分の配慮をしなければならない。
災害復旧事業に関する主務大臣は、災害復旧事業費の決定を行つたとき、又は災害復旧事業の実施に関する基準を定めたときは、政令で定めるところにより、それらの概要を中央防災会議に報告しなければならない。
国は、地方公共団体 又はその機関が実施する災害復旧事業の円滑な施行を図るため必要があると認めるときは、地方交付税の早期交付を行なうほか、政令で定めるところにより、当該災害復旧事業に係る国の負担金 若しくは補助金を早期に交付し、又は所要の資金を融通し、若しくは融通のあつせんをするものとする。
第七章 被災者の援護を図るための措置
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の被災者から申請があつたときは、遅滞なく、住家の被害 その他当該市町村長が定める種類の被害の状況を調査し、当該災害による被害の程度を証明する書面(第四項において「罹災証明書」という。)を交付しなければならない。
市町村長は、前項の規定による調査に必要な限度で、その保有する被災者の住家に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
特別区の区長は、第一項の規定による調査のため必要があると認めるときは、都知事に対して、被災者の住家に関する情報の提供を求めることができる。
市町村長は、災害の発生に備え、罹災証明書の交付に必要な業務の実施体制の確保を図るため、第一項の規定による調査について専門的な知識 及び経験を有する職員の育成、当該市町村と他の地方公共団体 又は民間の団体との連携の確保 その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の被災者の援護を総合的かつ効率的に実施するため必要があると認めるときは、被災者の援護を実施するための基礎とする台帳(以下この条 及び次条第一項において「被災者台帳」という。)を作成することができる。
被災者台帳には、被災者に関する次に掲げる事項を記載し、又は記録するものとする。
氏名
生年月日
性別
住所 又は居所
住家の被害 その他市町村長が定める種類の被害の状況
援護の実施の状況
要配慮者であるときは、その旨 及び要配慮者に該当する事由
前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
市町村長は、第一項の規定による被災者台帳の作成に必要な限度で、その保有する被災者の氏名 その他の被災者に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
市町村長は、第一項の規定による被災者台帳の作成のため必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長 その他の者に対して、被災者に関する情報の提供を求めることができる。
市町村長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、前条第一項の規定により作成した被災者台帳に記載し、又は記録された情報(以下この条において「台帳情報」という。)を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することができる。
本人(台帳情報によつて識別される特定の個人をいう。以下この号において同じ。)の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
市町村が被災者に対する援護の実施に必要な限度で台帳情報を内部で利用するとき。
他の地方公共団体に台帳情報を提供する場合において、台帳情報の提供を受ける者が、被災者に対する援護の実施に必要な限度で提供に係る台帳情報を利用するとき。
前項(第一号 又は第三号に係る部分に限る。)の規定による台帳情報の提供に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
第八章 財政金融措置
法令に特別の定めがある場合 又は予算の範囲内において特別の措置を講じている場合を除くほか、災害予防 及び災害応急対策に要する費用 その他この法律の施行に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担するものとする。
第六十七条第一項、第六十八条、第七十四条第一項 又は第七十四条の四の規定により指定行政機関の長 若しくは指定地方行政機関の長 又は他の地方公共団体の長 若しくは委員会 若しくは委員(以下この条において「地方公共団体の長等」という。)の応援を受けた地方公共団体の長等の属する地方公共団体は、当該応援に要した費用を負担しなければならない。
前項の場合において、当該応援を受けた地方公共団体の長等の属する地方公共団体が当該費用を支弁するいとまがないときは、当該地方公共団体は、国 又は当該応援をする他の地方公共団体の長等の属する地方公共団体に対し、当該費用の一時繰替え支弁を求めることができる。
第七十二条第一項の規定による都道府県知事の指示に基づいて市町村長が実施した応急措置のために要した費用 及び応援のために要した費用のうち、当該指示 又は応援を受けた市町村長の統轄する市町村に負担させることが困難 又は不適当なもので政令で定めるものについては、次条の規定により国がその一部を負担する費用を除き、政令で定めるところにより、当該都道府県知事の統轄する都道府県がその全部 又は一部を負担する。
前項の場合においては、都道府県は、当該市町村に対し、前項の費用を一時繰替え支弁させることができる。
災害応急対策に要する費用は、別に法令で定めるところにより、又は予算の範囲内において、国がその全部 又は一部を負担し、又は補助することができる。
前条に定めるもののほか、第二十三条の七第二項の規定による特定災害対策本部長の指示、第二十八条第二項の規定による非常災害対策本部長の指示 又は第二十八条の六第二項の規定による緊急災害対策本部長の指示に基づいて、地方公共団体の長が実施した応急措置のために要した費用のうち、当該地方公共団体に負担させることが困難 又は不適当なもので政令で定めるものについては、政令で定めるところにより、国は、その全部 又は一部を補助することができる。
災害復旧事業 その他災害に関連して行なわれる事業に要する費用は、別に法令で定めるところにより、又は予算の範囲内において、国がその全部 又は一部を負担し、又は補助することができる。
政府は、著しく激甚である災害(以下「激甚災害」という。)が発生したときは、別に法律で定めるところにより、応急措置 及び災害復旧が迅速かつ適切に行なわれるよう措置するとともに、激甚災害を受けた地方公共団体等の経費の負担の適正を図るため、又は被災者の災害復興の意欲を振作するため、必要な施策を講ずるものとする。
前条に規定する法律は、できる限り激甚災害の発生のつどこれを制定することを避け、また、災害に伴う国の負担に係る制度の合理化を図り、激甚災害に対する前条の施策が円滑に講ぜられるようなものでなければならない。
第九十七条に規定する法律は、次の各号に掲げる事項について規定するものとする。
激甚災害のための施策として、特別の財政援助 及び助成措置を必要とする場合の基準
激甚災害の復旧事業 その他当該災害に関連して行なわれる事業が適切に実施されるための地方公共団体に対する国の特別の財政援助
激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成
政府は、災害が発生した場合において、国の円滑な財政運営をそこなうことなく災害に対処するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めなければならない。
政府は、前項の目的を達成するため、予備費 又は国庫債務負担行為(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第十五条第二項に規定する国庫債務負担行為をいう。)の計上等の措置について、十分な配慮をするものとする。
地方公共団体は、別に法令で定めるところにより、災害対策に要する臨時的経費に充てるため、災害対策基金を積み立てなければならない。
次の各号に掲げる場合においては、政令で定める地方公共団体は、政令で定める災害の発生した日の属する年度 及びその翌年度以降の年度で政令で定める年度に限り、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債をもつてその財源とすることができる。
地方税、使用料、手数料 その他の徴収金で総務省令で定めるものの当該災害のための減免で、その程度 及び範囲が被害の状況に照らし相当と認められるものによつて生ずる財政収入の不足を補う場合
災害予防、災害応急対策 又は災害復旧で総務省令で定めるものに通常要する費用で、当該地方公共団体の負担に属するものの財源とする場合
前項の地方債は、国が、その資金事情の許す限り、財政融資資金をもつて引き受けるものとする。
第一項の規定による地方債を財政融資資金で引き受けた場合における当該地方債の利息の定率、償還の方法 その他地方債に関し必要な事項は、政令で定める。
国 及び地方公共団体は、激甚災害の復旧事業費のうち、国の補助を伴わないものについての当該地方公共団体等の負担が著しく過重であると認めるときは、別に法律で定めるところにより、当該復旧事業費の財源に充てるため特別の措置を講ずることができる。
政府関係金融機関 その他これに準ずる政令で定める金融機関は、政令で定める災害が発生したときは、災害に関する特別な金融を行ない、償還期限 又はすえ置き期間の延長、旧債の借換え、必要がある場合における利率の低減等実情に応じ適切な措置をとるように努めるものとする。
第九章 災害緊急事態
非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済 及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進し、国の経済の秩序を維持し、その他当該災害に係る重要な課題に対応するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部 又は一部について災害緊急事態の布告を発することができる。
前項の布告には、その区域、布告を必要とする事態の概要 及び布告の効力を発する日時を明示しなければならない。
内閣総理大臣は、前条の規定により災害緊急事態の布告を発したときは、これを発した日から二十日以内に国会に付議して、その布告を発したことについて承認を求めなければならない。
ただし、国会が閉会中の場合 又は衆議院が解散されている場合は、その後 最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、国会が災害緊急事態の布告の廃止を議決したとき、又は当該布告の必要がなくなつたときは、すみやかに、当該布告を廃止しなければならない。
内閣総理大臣は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、当該災害に係る緊急災害対策本部が既に設置されている場合を除き、第二十八条の二の規定により、緊急災害対策本部を設置するものとする。
政府は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、災害緊急事態への対処に関する基本的な方針(以下この条において「対処基本方針」という。)を定めるものとする。
対処基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
災害緊急事態への対処に関する全般的な方針
災害応急対策に関する重要事項
国の経済の秩序の維持に関する重要事項
前二号に掲げる事項のほか、当該災害に係る重要な課題への対応に関する重要事項
前三号に掲げる事項に係る事務を的確に遂行するための政府の体制に関する重要事項
内閣総理大臣は、対処基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の閣議の決定があつたときは、直ちに、対処基本方針を告示しなければならない。
内閣総理大臣は、災害緊急事態への対処に当たり、対処基本方針に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
第三項 及び第四項の規定は、対処基本方針の変更について準用する。
対処基本方針は、第百六条第二項の規定により災害緊急事態の布告が廃止された時に、その効力を失う。
内閣総理大臣は、前項の規定により対処基本方針がその効力を失つたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
内閣総理大臣は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告に係る災害について、当該災害の状況、これに対してとられた措置の概要 その他の当該災害に関する情報を新聞、放送、インターネット その他適切な方法により公表しなければならない。
内閣総理大臣は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、国民に対し、必要な範囲において、国民生活との関連性が高い物資 又は国民経済上重要な物資をみだりに購入しないこと その他の必要な協力を求めることができる。
国民は、前項の規定により協力を求められたときは、これに応ずるよう努めなければならない。
第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、第八十六条の二第一項、第八十六条の三第一項、第八十六条の四第一項 及び第八十六条の五第一項の規定により当該災害を指定する政令が定められたものとみなして、第八十六条の二第二項 及び第三項、第八十六条の三第二項 及び第三項、第八十六条の四第二項 並びに第八十六条の五第二項から第十三項までの規定を適用する。
この場合において、
第八十六条の二第二項 及び第八十六条の三第二項中
「政令で定める区域 及び期間」とあるのは、
「当該災害に係る緊急災害対策本部の所管区域 及び当該災害に係る災害緊急事態の布告が発せられた時から当該緊急災害対策本部が定める日までの間」と
する。
第百五条の規定による災害緊急事態の布告が発せられる前に第八十六条の二第一項、第八十六条の三第一項、第八十六条の四第一項 又は第八十六条の五第一項のいずれかの規定により当該災害を指定する政令が定められたときは、前項(当該政令に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成八年法律第八十五号。以下この条において「特定非常災害法」という。)第二条の規定により、当該災害を特定非常災害として指定し、当該災害が発生した日を特定非常災害発生日として定め、及び当該特定非常災害に対し適用すべき措置として特定非常災害法第三条から第六条までに規定する措置を指定する政令が定められたものとみなして、特定非常災害法第三条から第六条まで(特定非常災害法第四条第一項を除く。)の規定を適用する。
この場合において、次の表の上欄に掲げる特定非常災害法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第三条第一項 | 超えない範囲内において政令で定める | 経過する |
第三条第四項 | 延長期日が定められた | 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第百五条の規定による災害緊急事態の布告があった |
第四条第二項 | 免責期限が定められた | 災害対策基本法第百五条の規定による災害緊急事態の布告があった |
免責期限が到来する | 特定非常災害発生日から起算して四月を経過する | |
到来する特定義務 | 到来する特定義務(特定非常災害発生日以後に法令に規定されている履行期限が到来する義務をいう。以下同じ。) | |
責任 | その不履行に係る行政上 及び刑事上の責任(過料に係るものを含む。) | |
第四条第三項 | 免責期限が定められた | 災害対策基本法第百五条の規定による災害緊急事態の布告があった |
前二項 | 前項 | |
免責期限が到来する | 特定非常災害発生日から起算して四月を経過する | |
前項 | 同項 | |
第四条第四項 | 前三項 | 前二項 |
第五条第一項 | 第二条第一項 又は第二項の政令で この条に定める措置を指定するものの施行の | 災害対策基本法第百五条の規定による災害緊急事態の布告があった |
超えない範囲内において政令で定める | 経過する | |
第五条第五項 | 同項に規定する政令で定める | 同日後二年を経過する |
第六条 | 政令で定めるもの | 法務大臣が告示するもの |
超えない範囲内において政令で定める | 経過する | |
当該政令で定める | 特定非常災害発生日から起算して一年を経過する |
第百五条の規定による災害緊急事態の布告が発せられる前に特定非常災害法第二条第一項の規定により当該災害を特定非常災害として指定する政令が定められたときは、前項の規定は、適用しない。
災害緊急事態に際し国の経済の秩序を維持し、及び公共の福祉を確保するため緊急の必要がある場合において、国会が閉会中 又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は、次の各号に掲げる事項について必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
その供給が特に不足している生活必需物資の配給 又は譲渡 若しくは引渡しの制限 若しくは禁止
災害応急対策 若しくは災害復旧 又は国民生活の安定のため必要な物の価格 又は役務 その他の給付の対価の最高額の決定
金銭債務の支払(賃金、災害補償の給付金 その他の労働関係に基づく金銭債務の支払 及びその支払のためにする銀行 その他の金融機関の預金等の支払を除く。)の延期 及び権利の保存期間の延長
前項の規定により制定される政令には、その政令の規定に違反した者に対して二年以下の懲役 若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料 若しくは没収の刑を科し、又はこれを併科する旨の規定、法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者がその法人 又は人の業務に関してその政令の違反行為をした場合に、その行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の罰金、科料 又は没収の刑を科する旨の規定 及び没収すべき物件の全部 又は一部を没収することができない場合にその価額を追徴する旨の規定を設けることができる。
内閣は、第一項の規定により政令を制定した場合において、その必要がなくなつたときは、直ちに、これを廃止しなければならない。
内閣は、第一項の規定により政令を制定したときは、直ちに、国会の臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求め、かつ、そのとつた措置をなお継続すべき場合には、その政令に代わる法律が制定される措置をとり、その他の場合には、その政令を制定したことについて承認を求めなければならない。
第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、前項の国会の臨時会 又は参議院の緊急集会においてその政令に代わる法律が制定されたときは、その法律の施行と同時に、その臨時会 又は緊急集会においてその法律が制定されないこととなつたときは、制定されないこととなつた時に、その効力を失う。
前項の場合を除くほか、第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、第四項の国会の臨時会が開かれた日から起算して二十日を経過した時 若しくはその臨時会の会期が終了した時のいずれか早い時に、又は同項の参議院の緊急集会が開かれた日から起算して十日を経過した時 若しくはその緊急集会が終了した時のいずれか早い時にその効力を失う。
内閣は、前二項の規定により政令がその効力を失つたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
第一項の規定により制定された政令に罰則が設けられたときは、その政令が効力を有する間に行なわれた行為に対する罰則の適用については、その政令が廃止され、若しくはその有効期間が終了し、又は第五項 若しくは第六項の規定によりその効力を失つた後においても、なお従前の例による。
災害緊急事態に際し法律の規定によつては被災者の救助に係る海外からの支援を緊急かつ円滑に受け入れることができない場合において、国会が閉会中 又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは、内閣は、当該受入れについて必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
前条第三項から第七項までの規定は、前項の場合について準用する。
第十章 雑則
この法律の適用については、特別区は、市とみなす。
内閣総理大臣 及び各省大臣は、防災に従事した者で、防災に関し著しい功労があると認められるものに対し、それぞれ内閣府令、デジタル庁令 又は省令で定めるところにより、表彰を行うことができる。
この法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の実施のための手続 その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第十一章 罰則
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
第七十一条第一項の規定による都道府県知事(同条第二項の規定により権限に属する事務の一部を行う市町村長を含む。)の従事命令、協力命令 又は保管命令に従わなかつたとき。
第七十八条第一項の規定による指定行政機関の長 又は指定地方行政機関の長(第二十三条の六第一項、第二十七条第一項 又は第二十八条の五第一項の規定により権限の委任を受けた職員を含む。)の保管命令に従わなかつたとき。
第七十六条第一項の規定による都道府県公安委員会の禁止 又は制限に従わなかつた車両の運転者は、三月以下の懲役 又は二十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第七十一条第一項(同条第二項の規定により権限に属する事務の一部を行う場合を含む。以下この条において同じ。)、第七十八条第二項(第二十三条の六第一項、第二十七条第一項 又は第二十八条の五第一項の規定により権限に属する事務の一部を行う場合を含む。) 又は第七十八条第三項(第二十三条の六第一項、第二十七条第一項 又は第二十八条の五第一項の規定により権限に属する事務の一部を行う場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第七十一条第一項 又は第七十八条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金 又は拘留に処する。
第五十二条第一項の規定に基づく内閣府令によつて定められた防災に関する信号をみだりに使用し、又はこれと類似する信号を使用した者
第六十三条第一項の規定による市町村長(第七十三条第一項の規定により市町村長の事務を代行する都道府県知事を含む。)の、第六十三条第二項の規定による警察官 若しくは海上保安官の又は同条第三項において準用する同条第一項の規定による災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の禁止 若しくは制限 又は退去命令に従わなかつた者
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、第百十三条 又は第百十五条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。