特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律

# 令和二年法律第三十八号 #

第二章 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する措置等

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和四年五月二十五日 ( 2022年 5月25日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

経済産業大臣は、デジタルプラットフォームのうち、デジタルプラットフォームにより提供される場に係る政令で定める事業の区分ごとに、その事業の規模が当該デジタルプラットフォームにおける商品等の売上額の総額、利用者の数 その他の当該事業の規模を示す指標により政令で定める規模以上であるものを提供するデジタルプラットフォーム提供者を、デジタルプラットフォームの透明性 及び公正性の自主的な向上に努めることが特に必要な者として、指定するものとする。

2項

デジタルプラットフォーム提供者は、その提供するデジタルプラットフォームが前項に規定するデジタルプラットフォームに該当するときは、経済産業省令で定めるところにより、当該デジタルプラットフォームに関し、同項の政令で定める事業の区分ごとに経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。


ただし、その提供するデジタルプラットフォームが特定デジタルプラットフォームであるときは、この限りでない。

3項

第一項の政令で定める事業の区分 及び規模は、デジタルプラットフォームが国民生活において広く利用されている状況 及び一部のデジタルプラットフォームに対する利用が集中している状況も踏まえ、デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引の実情 及び動向 並びにこの法律に基づく商品等提供利用者の利益の保護の必要性(他の法律によるデジタルプラットフォームにより提供される場に係る事業の規制 及び適正化のための措置 その他の当該事業に関する施策の実施状況を含む。)を勘案し、前条の基本理念にのっとり、同項の規定による指定が必要な最小限度の範囲に限って行われるよう定めるものとする。

1項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、利用者(特定デジタルプラットフォームを利用するものに限る。以下 この項第九条第四項 並びに第十条第一項 及び第二項において同じ。)に対して特定デジタルプラットフォームを提供する場合の条件(以下 この条 及び次条第一項において「提供条件」という。)を開示するに当たっては、当該提供条件に関する利用者の理解の増進が図られるよう、経済産業省令で定める方法により、これを行わなければならない。

2項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、次の各号に掲げる者に対して特定デジタルプラットフォームを提供するときは、当該者に対し、当該特定デジタルプラットフォームの提供条件として当該各号に定める事項を開示しなければならない。

一 号

商品等提供利用者(特定デジタルプラットフォームを利用するものに限る。以下 この条第七条第一項 及び第三項第十二条第三項 並びに第十三条第一号 及び第二号において同じ。

次に掲げる事項

当該特定デジタルプラットフォームの提供を拒絶することがある場合における拒絶するかどうかを判断するための基準

当該特定デジタルプラットフォームの提供に併せて商品等提供利用者に対して自己の指定する商品 若しくは権利を購入すること 又は自己の指定する他の役務の有償の提供を受けることを要請する場合におけるその内容 及び理由

当該特定デジタルプラットフォームにより提供される場において、一般利用者(特定デジタルプラットフォームを利用するものに限る。以下この条において同じ。)が検索により求める商品等に係る情報 その他の商品等に係る情報に順位を付して表示する場合における、当該順位を決定するために用いられる主要な事項(商品等提供利用者からの当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対する広告宣伝の費用 その他の金銭の支払が、当該順位に影響を及ぼす可能性がある場合には、その旨を含む。

当該特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供データ(商品等提供利用者が提供する商品等の売上額の推移に係るデータ その他の当該商品等提供利用者が提供する商品等に係るデータをいう。以下 この 及びにおいて同じ。)を取得し、又は使用する場合における当該商品等提供データの内容 及び その取得 又は使用に関する条件

商品等提供利用者が当該特定デジタルプラットフォーム提供者の保有する商品等提供データを取得し、又は当該特定デジタルプラットフォーム提供者をして当該商品等提供データを他の者に提供させることの可否 並びに当該商品等提供データの取得 又は提供が可能な場合における当該商品等提供データの内容 並びにその取得 又は提供に関する方法 及び条件

商品等提供利用者が当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対して苦情の申出 又は協議の申入れをするための方法

イから ヘまでに掲げるもののほか、商品等提供利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供条件のうち開示することが特に必要なものとして経済産業省令で定める事項

二 号

一般利用者

次に掲げる事項

前号ハに掲げる事項

当該特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等購入データ(一般利用者による商品等に係る情報の検索 若しくは閲覧 又は商品等の購入に係るデータをいう。以下 このにおいて同じ。)を取得し、又は使用する場合における当該商品等購入データの内容 及び その取得 又は使用に関する条件

及びに掲げるもののほか、一般利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供条件のうち開示することが特に必要なものとして経済産業省令で定める事項

3項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、次の各号に掲げる行為を行うときは、当該行為の相手方に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該各号に定める事項を開示しなければならない。


ただし、開示することにより一般利用者の利益を害する場合 その他の経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

一 号

商品等提供利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供条件によらない取引の実施の要請

その内容 及び理由

二 号

継続して当該特定デジタルプラットフォームを利用する商品等提供利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供の拒絶(当該提供の全部を拒絶する場合を除く

その内容 及び理由

三 号

前号に掲げるもののほか、当該特定デジタルプラットフォームの提供条件により行われる行為のうち、当該行為の相手方の利益を損なうおそれがあるため、その内容、理由 その他の事項を開示することが特に必要であるものとして経済産業省令で定める行為

その内容、理由 その他の経済産業省令で定める事項

4項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、次の各号に掲げる行為を行う場合は、当該行為の相手方に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該行為を行う日以前の経済産業省令で定める日までに、当該各号に定める事項を開示しなければならない。


ただし、開示することにより一般利用者の利益を害する場合 その他の経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

一 号

商品等提供利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供条件の変更

その内容 及び理由

二 号

継続して当該特定デジタルプラットフォームを利用する商品等提供利用者に対する当該特定デジタルプラットフォームの提供の全部の拒絶

その旨 及び理由

5項

経済産業大臣は、第一項第二項第一号ト 若しくは第二号ハ 若しくは第三項第三号の経済産業省令を定め、又は これを変更するときは、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。

1項

経済産業大臣は、特定デジタルプラットフォーム提供者が前条第一項から 第四項までの規定を遵守していないと認めるときは、当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、速やかに同条第一項に規定する方法による提供条件の開示、同条第二項各号第三項各号 又は第四項各号に定める事項の開示 その他の必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

2項

経済産業大臣は、前項の勧告をする場合において、当該勧告の内容が情報の電磁的流通に関わるものであるときは、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。

3項

経済産業大臣は、第一項の勧告をしたときは、その旨を公表しなければならない。

4項

経済産業大臣は、第一項の勧告を受けた特定デジタルプラットフォーム提供者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、当該措置をとるべきことを命ずることができる。

5項

経済産業大臣は、前項の規定による命令をする場合において、当該命令の内容が情報の電磁的流通に関わるものであるときは、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。

6項

経済産業大臣は、第四項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

1項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、特定デジタルプラットフォーム提供者と 商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために必要な措置を講じなければならない。

2項

経済産業大臣は、前項の規定に基づき特定デジタルプラットフォーム提供者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施に資するために必要な指針(以下 この条 及び第九条第二項において単に「指針」という。)を定めるものとする。

3項

指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号

特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図るために必要な措置に関する基本的な事項

二 号

商品等提供利用者に対する特定デジタルプラットフォームの提供が公正に行われることを確保するために必要な体制 及び手続の整備に関する事項

三 号

特定デジタルプラットフォームについての商品等提供利用者からの苦情の処理 及び特定デジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の紛争の解決のために必要な体制 及び手続の整備に関する事項

四 号

特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者 その他の関係者と緊密に連絡を行うために国内において必要な業務の管理を行う者の選任に関する事項

五 号

前各号に掲げるもののほか、特定デジタルプラットフォーム提供者が商品等提供利用者の意見その他の事情を十分に考慮するために必要な措置に関する事項

4項

経済産業大臣は、指針を定めるときは、あらかじめ、特定デジタルプラットフォームにより提供される場に係る事業を所管する大臣、公正取引委員会 及び総務大臣に協議しなければならない。

5項

経済産業大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6項

前二項の規定は、指針の変更について準用する。

1項

経済産業大臣は、前条第一項の規定に基づき特定デジタルプラットフォーム提供者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために特に必要があると認めるときは、当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。

2項

第六条第二項 及び第三項の規定は、前項の勧告について準用する。

1項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、毎年度、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した報告書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号

特定デジタルプラットフォームの事業の概要に関する事項

二 号

特定デジタルプラットフォームについての苦情の処理 及び紛争の解決に関する事項

三 号

第五条第一項から 第四項までの規定に基づく 開示の状況に関する事項

四 号

第七条第一項の規定に基づき講じた措置に関する事項

五 号

前三号に掲げる事項について自ら行った評価に関する事項

2項

経済産業大臣は、前項の規定による報告書の提出を受けたときは、当該報告書の内容 及び次条第一項の規定により申出のあった事実 その他の経済産業大臣が把握する事実に基づき、指針を勘案して、特定デジタルプラットフォームの透明性 及び公正性についての評価を行うものとする。

3項

経済産業大臣は、前項の評価を行うときは、あらかじめ、 総務大臣に協議しなければならない。

4項

経済産業大臣は、第二項の評価を行うときは、あらかじめ、 利用者 又は その組織する団体、 学識経験者その他の経済産業大臣が必要と認める者の意見を聴くことができる。

5項

経済産業大臣は、第二項の規定による評価の結果を第一項報告書の概要とともに公表しなければならない。

6項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、前項の規定により公表された評価の結果を踏まえ、特定デジタルプラットフォームの透明性 及び公正性の自主的な向上に努めなければならない。

1項

利用者は、第五条第一項から 第四項まで 及び第七条第一項の規定に基づき特定デジタルプラットフォーム提供者が講ずべき措置が講じられていないと認めるときは、経済産業大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

2項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、利用者が前項の規定による申出 及び求めをしたことを理由として、当該利用者に対し、特定デジタルプラットフォームの提供の拒絶 その他の不利益な取扱いをしてはならない。

3項

経済産業大臣は、特定デジタルプラットフォーム提供者について、前項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、速やかにその不利益な取扱いをやめるべきことその他 必要な措置をとるべき旨の勧告をするものとする。

4項

第六条第二項 及び第三項の規定は、前項の勧告について準用する。

1項

特定デジタルプラットフォーム提供者は、次の各号いずれかに掲げる事由が生じたときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に、第四条第一項の規定による指定を取り消すべき旨の申出をすることができる。

一 号

特定デジタルプラットフォームの提供を行わなくなったとき。

二 号

特定デジタルプラットフォームの事業の規模が第四条第一項の政令で定める規模を下回った場合において、再び当該規模以上となることがないと 明らかに認められるとき。

2項

経済産業大臣は、前項の申出があった場合において、当該申出に理由があると認めるときは、経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、第四条第一項の規定による指定を取り消すものとする。


前項の申出がない場合において、同項各号いずれかに掲げる事由が生じたと認められるときも、同様とする。

1項

経済産業大臣は、第四条第一項の規定による指定 及び前条第二項の規定による指定の取消しを行うために必要な限度において、デジタルプラットフォーム提供者に対し、デジタルプラットフォームにより提供される場に係る事業の状況に関し報告をさせ、又は その職員に、デジタルプラットフォーム提供者の事務所 その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

経済産業大臣は、第六条第一項 及び第四項第八条第一項 並びに第十条第三項の規定の施行に必要な限度において、特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、その取引に関し報告をさせ、又は その職員に、特定デジタルプラットフォーム提供者の事務所 その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。

3項

経済産業大臣は、第六条第一項 及び第四項第八条第一項 並びに第十条第三項の規定の施行に必要な限度において、商品等提供利用者に対し、その取引に関し報告をさせることができる。

4項

第一項 及び第二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

5項

第一項 及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

経済産業大臣は、特定デジタルプラットフォーム提供者について特定デジタルプラットフォームの透明性 及び公正性を阻害する行為があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。


ただし、次に掲げるときは、当該求めをするものとする。

一 号

当該行為が多数の商品等提供利用者に対して行われていると認められるとき。

二 号

当該行為によって商品等提供利用者が受ける不利益の程度が大きいと認められるとき。

三 号

前二号に掲げるもののほか、特定デジタルプラットフォームの透明性 及び公正性を阻害する重大な事実があると認められるとき。

1項

第四条から 前条までの規定は、デジタルプラットフォームに該当する役務の提供のうち、他の法律の規定によって商品等提供利用者の利益を保護することができると認められるものとして政令で定める役務の提供については、適用しない

1項

経済産業大臣は、第四条第一項の政令の制定 又は改正の立案に必要な限度において、デジタルプラットフォーム提供者 又は商品等提供利用者に対し、必要な資料の提出 及び説明を求めることができる。

2項

経済産業大臣は、前項の規定による資料の提出 及び説明の求めを行うときは、あらかじめ、当該求めに係るデジタルプラットフォームにより提供される場に係る事業を所管する大臣 及び総務大臣に協議しなければならない。

1項

経済産業大臣は、前条第一項の資料 及び説明に基づき、第四条第一項の政令の制定 又は改正の立案を行い、及び この法律の円滑な実施に必要な措置を講ずるものとする。

2項

経済産業大臣は、前項の措置を講ずるときは、あらかじめ、 デジタルプラットフォームにより提供される場に係る事業を所管する大臣及び総務大臣に協議しなければならない。

3項

第一項の場合においては、デジタルプラットフォームに関する国際的動向 並びにデジタルプラットフォーム提供者 及び利用者の意見に十分配慮しなければならない。