相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

# 令和三年法律第二十五号 #

第二章 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続

分類 法律
カテゴリ   土地
最終編集日 : 2024年 04月19日 12時44分


1項

土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部 又は一部を取得した者に限る)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。

2項

土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。


この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部 又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。

3項

承認申請は、その土地が次の各号いずれかに該当するものであるときは、することができない。

一 号
建物の存する土地
二 号
担保権 又は使用 及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 号
通路 その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 号

土壌汚染対策法平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る)により汚染されている土地

五 号
境界が明らかでない土地 その他の所有権の存否、帰属 又は範囲について争いがある土地
1項

承認申請をする者(以下「承認申請者」という。)は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した承認申請書 及び法務省令で定める添付書類を法務大臣に提出しなければならない。

一 号
承認申請者の氏名 又は名称 及び住所
二 号
承認申請に係る土地の所在、地番、地目 及び地積
2項
承認申請者は、法務省令で定めるところにより、物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費 その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
1項

法務大臣は、次に掲げる場合には、承認申請を却下しなければならない。

一 号
承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき。
二 号

承認申請が第二条第三項 又は前条の規定に違反するとき。

三 号

承認申請者が、正当な理由がないのに、第六条の規定による調査に応じないとき。

2項

法務大臣は、前項の規定により承認申請を却下したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を承認申請者に通知しなければならない。

1項

法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号いずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。

一 号

崖(勾配、高さ その他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用 又は労力を要するもの

二 号
土地の通常の管理 又は処分を阻害する工作物、車両 又は樹木 その他の有体物が地上に存する土地
三 号
除去しなければ土地の通常の管理 又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 号
隣接する土地の所有者 その他の者との争訟によらなければ通常の管理 又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 号

前各号に掲げる土地のほか、通常の管理 又は処分をするに当たり過分の費用 又は労力を要する土地として政令で定めるもの

2項

前項の承認は、土地の一筆ごとに行うものとする。

1項
法務大臣は、承認申請に係る審査のため必要があると認めるときは、その職員に事実の調査をさせることができる。
2項

前項の規定により事実の調査をする職員は、承認申請に係る土地 又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をすること、承認申請者 その他の関係者からその知っている事実を聴取し 又は資料の提出を求めること その他承認申請に係る審査のために必要な調査をすることができる。

3項

法務大臣は、その職員が前項の規定により承認申請に係る土地 又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をする場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。

4項

法務大臣は、前項の規定によりその職員を他人の土地に立ち入らせるときは、あらかじめ、その旨 並びにその日時 及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。

5項

第三項の規定により宅地 又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする職員は、その立入りの際、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

6項

日出前 及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き前項に規定する土地に立ち入ってはならない。

7項

第三項の規定による立入りをする場合には、職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

8項

国は、第三項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

1項

法務大臣は、前条第一項の事実の調査のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長、関係のある公私の団体 その他の関係者に対し、資料の提供、説明、事実の調査の援助 その他必要な協力を求めることができる。

1項

法務大臣は、第五条第一項の承認をするときは、あらかじめ、当該承認に係る土地の管理について、財務大臣 及び農林水産大臣の意見を聴くものとする。


ただし、承認申請に係る土地が主に農用地(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地 又は採草放牧地をいう。以下同じ。)又は森林(森林法昭和二十六年法律第二百四十九号第二条第一項に規定する森林をいう。以下同じ。)として利用されている土地ではないと明らかに認められるときは、この限りでない。

1項

法務大臣は、第五条第一項の承認をし、又はしないこととしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨を承認申請者に通知しなければならない。

1項

承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。

2項

法務大臣は、第五条第一項の承認をしたときは、前条の規定による承認の通知の際、法務省令で定めるところにより、併せて負担金の額を通知しなければならない。

3項

承認申請者が前項に規定する負担金の額の通知を受けた日から三十日以内に、法務省令で定める手続に従い、負担金を納付しないときは、第五条第一項の承認は、その効力を失う。

1項

承認申請者が負担金を納付したときは、その納付の時において、第五条第一項の承認に係る土地の所有権は、国庫に帰属する。

2項

法務大臣は、第五条第一項の承認に係る土地の所有権が前項の規定により国庫に帰属したときは、直ちに、その旨を財務大臣(当該土地が主に農用地 又は森林として利用されていると認められるときは、農林水産大臣)に通知しなければならない。