国土交通大臣は、この法律、労働基準法(船員の労働関係について適用される部分に限る。以下同じ。)又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実があると認めるときは、船舶所有者 又は船員に対し、その違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
船員法
第十二章 監督
国土交通大臣は、前項の規定に基づく命令を発したにもかかわらず、船舶所有者 又は船員がその命令に従わない場合において、船舶の航海の安全を確保するため特に必要があると認めるときは、その船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができる。
この場合において、その船舶が航行中であるときは、国土交通大臣は、その船舶の入港すべき港を指定することができる。
国土交通大臣は、前項の規定による処分に係る船舶について、第一項に規定する事実がなくなつたと認めるときは、直ちにその処分を取り消さなければならない。
国土交通大臣は、船舶所有者 及び船員の間に生じた労働関係に関する紛争(労働関係調整法第六条の労働争議 及び個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条第一項の個別労働関係紛争であつて同法第二十一条第一項の規定により読み替えられた同法第五条第一項の規定により地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)が指名するあつせん員があつせんを委任されたものを除く。)の解決について、あつせんすることができる。
この法律によつて国土交通大臣の行うべき事務は、外国にあつては、国土交通省令の定めるところにより、日本の領事官がこれを行う。
行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)に定めるもののほか、領事官の行う前項の事務に係る処分 又はその不作為についての審査請求に関して必要な事項は、政令で定める。
この法律に規定する国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令の定める基準により国土交通大臣の指定する市町村長が行うこととすることができる。
市町村長のした前項の事務(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であるものに限る。)に係る処分についての審査請求は、国土交通大臣に対してするものとする。
市町村長の行う第一項の事務(地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であるものに限る。)に係る処分の不作為についての審査請求は、市町村長、都道府県知事 又は国土交通大臣のいずれかに対してするものとする。
国土交通大臣は、所部の職員の中から船員労務官を命じ、この法律 及び労働基準法の施行に関する事項を掌らせる。
船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者 又は船員に対し、この法律、労働基準法 及びこの法律に基いて発する命令の遵守に関し注意を喚起し、又は勧告をすることができる。
船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者、船員 その他の関係者に出頭を命じ、帳簿書類を提出させ、若しくは報告をさせ、又は船舶 その他の事業場に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査し、若しくは船舶所有者、船員 その他の関係者に質問をすることができる。
船員労務官は、必要があると認めるときは、旅客 その他船内にある者に質問をすることができる。
前二項の場合には、船員労務官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
第一項 又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
船員労務官の服制は、国土交通省令でこれを定める。
船員労務官は、この法律、労働基準法 及びこの法律に基づいて発する命令の違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員の職務を行う。
船員労務官は、第百一条第二項 又は第百十八条の五第三項に規定する場合において、船舶の航海の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、第百一条第二項 又は第百十八条の五第三項に規定する国土交通大臣の権限を即時に行うことができる。
船員労務官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。船員労務官を退職した後においても同様とする。
交通政策審議会等は、国土交通大臣の諮問に応じ、この法律 及び労働基準法の施行 又は改正に関する事項を調査審議する。
交通政策審議会等は、船員の労働条件に関して、関係行政官庁に建議することができる。
船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、左の事項について、国土交通大臣に報告をしなければならない。
給料 その他の報酬の支払状況
船員は、この法律、労働基準法 又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実について、第百十八条の五第一項に規定する特定小型船舶(次項において「特定小型船舶」という。)の乗組員は、この法律 又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実について、それぞれ、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣、地方運輸局長、運輸支局長、地方運輸局、運輸監理部 若しくは運輸支局の事務所の長 又は船員労務官にその事実を申告することができる。
船舶所有者 又は第百十八条の五第一項に規定する特定小型船舶所有者は、前項の申告をしたことを理由として、船員 又は特定小型船舶の乗組員を解雇し その他船員 又は特定小型船舶の乗組員に対して不利益な取扱いをしてはならない。