農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律

平成十八年法律第八十八号
略称 : 担い手経営安定法 
分類 法律
カテゴリ   農業
最終編集日 : 2023年 03月23日 09時43分

· · ·
1項

この法律は、米穀、麦 その他の重要な農産物に係る農業の担い手に対し、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正するための交付金 及び農業収入の減少がその農業経営に及ぼす影響を緩和するための交付金を交付する措置を講ずることにより、その農業経営の安定を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

· · · · ·
· · ·
1項

この法律において「対象農産物」とは、米穀、麦、大豆、てん菜、でん粉の製造の用に供するばれいしょ その他の農産物であって、次の各号いずれにも該当するものをいう。

一 号

国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要なもの

二 号

前号に該当する他の農産物と 組み合わせた生産が広く行われているもの

2項

この法律において「生産条件不利補正対象農産物」とは、対象農産物のうち、我が国における標準的な生産費が標準的な販売価格を超えると認められるものであって、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正する必要があるものとして政令で定めるものをいう。

3項

この法律において「収入減少影響緩和対象農産物」とは、対象農産物のうち、収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要があるものとして政令で定めるものをいう。

4項

この法律において「対象農業者」とは、次に掲げる要件に該当する者をいう。

一 号

次のいずれかに 該当するものであること。

農業経営基盤強化促進法昭和五十五年法律第六十五号) 第十三条第一項に規定する認定農業者

農業経営基盤強化促進法第十四条の五第一項に規定する認定就農者

農業経営基盤強化促進法第二十三条第四項に規定する特定農業団体 その他の委託を受けて農作業を行う組織(地域における農地の利用の集積を確実に行うと見込まれること、農業経営を営む法人となることが確実であると見込まれること その他の農林水産省令で定める要件を満たすものに限り、法人を除く

二 号

環境と調和のとれた農業生産に関して農林水産省令で定める基準を遵守していること。

三 号

その耕作の業務の対象となる農地のうちに、現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地として農林水産省令で定めるものがないこと

· · · · ·
· · ·
1項

政府は、毎年度、予算の範囲内において、生産条件不利補正対象農産物を生産する対象農業者に対し、次に掲げる交付金を交付するものとする。

一 号

当該年度における対象農業者の生産条件不利補正対象農産物の作付面積に応じて交付する交付金

二 号

当該年度において対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の品質 及び生産量に応じて交付する交付金

2項

前項第一号の交付金の金額は、対象農業者ごとに、生産条件不利補正対象農産物についての種類別の面積当たりの単価(以下「面積単価」という。)に、その者の当該年度における当該生産条件不利補正対象農産物の種類別の作付面積として農林水産省令で定めるものをそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額とする。

3項

面積単価は、農林水産大臣が、対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の種類別の標準的な生産費、販売価格 及び単位面積当たりの収穫量を考慮して定めるものとする。

4項

第一項第二号の交付金の金額は、対象農業者ごとに、生産条件不利補正対象農産物についての種類別 及び農林水産省令で定める品質の区分(以下「品質区分」という。)別の数量当たりの単価(以下「数量単価」という。)に、その者の当該年度における当該生産条件不利補正対象農産物の品質区分別の生産量として農林水産省令で定めるものをそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額から、調整額(同項第一号の交付金の金額を基礎として農林水産省令で定めるところにより算定した金額をいう。以下同じ。)を控除して得た金額とする。

5項

数量単価は、農林水産大臣が、対象農業者が生産した生産条件不利補正対象農産物の種類別の標準的な生産費、販売価格 及び単位面積当たりの収穫量 並びに生産条件不利補正対象農産物の種類別 及び品質区分別の需要 及び供給の動向を考慮して定めるものとする。

6項

農林水産大臣は、面積単価 若しくは数量単価(以下「面積単価等」という。)を定め、又は調整額の算定に係る第四項の農林水産省令を制定し、若しくは改正するに当たっては、第一項各号の交付金の交付により生産条件不利補正対象農産物の生産に要する標準的な費用の額と生産条件不利補正対象農産物の販売による標準的な収入の額との差額の補塡を図ることを旨としなければならない。

7項

農林水産大臣は、面積単価等を定め、又は調整額の算定に係る第四項の農林水産省令を制定し、若しくは改正しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。

8項

農林水産大臣は、面積単価等を定めたときは、遅滞なく、これを告示するものとする。

· · · · ·
· · ·
1項

政府は、毎年度、予算の範囲内において、当該年度の前年度における収入減少影響緩和対象農産物に係る収入の額として農林水産省令で定めるところにより対象農業者ごとに算出した額(以下「前年度収入額」という。)が、収入減少影響緩和対象農産物に係る標準的な収入の額として農林水産省令で定めるところにより対象農業者ごとに算出した額(以下「標準的収入額」という。)を下回った場合には、収入減少影響緩和対象農産物を生産する対象農業者(収入減少影響緩和対象農産物に係る収入の減少がその経営に及ぼす影響を緩和するための積立金であってその額 その他の事項が農林水産省令で定める基準に適合するものを積み立てているものに限る)に対し、交付金を交付するものとする。

2項

前項の交付金の金額は、対象農業者ごとに、標準的収入額と前年度収入額との差額、当該差額の発生がその農業経営に及ぼす影響 及び収入の減少に備えて行われる取組の状況を考慮して農林水産省令で定めるところにより算定した金額とする。

3項

農林水産大臣は、前項の農林水産省令を制定し、又は改正しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。

· · · · ·
· · ·
1項

第三条第一項各号 又は前条第一項の交付金の交付を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に交付の申請をしなければならない。

2項

前項に定めるもののほか第三条第一項各号 又は前条第一項の交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

· · · · ·
· · ·
1項

偽りその他不正の手段により第三条第一項各号 又は第四条第一項の交付金の交付を受けた者があるときは、農林水産大臣は、その者に対してその交付を受けた交付金の全部 又は一部の返還を命ずることができる。

2項

前項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しない者があるときは、農林水産大臣は、期限を指定してこれを督促しなければならない。

3項

前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに第一項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しないときは、農林水産大臣は、国税滞納処分の例によりこれを処分することができる。

4項

前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

· · · · ·
· · ·
1項

農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第三条第一項各号 若しくは第四条第一項の交付金の交付を受け、若しくは受けようとする者若しくはこれらの者からその生産した農産物の加工 若しくは販売の委託を受け 若しくは当該農産物の売渡しを受けた者に対し、必要な事項の報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所 その他の事業場に立ち入り、帳簿 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

· · · · ·
· · ·
1項

偽りその他不正の手段により第三条第一項各号 又は第四条第一項の交付金の交付を受けた者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。


ただし刑法明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。

· · · · ·
· · ·
1項

第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。

· · · · ·
· · ·
1項

法人(法人でない団体で代表者 又は管理人の定めのあるものを含む。以下 この項において同じ。)の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

2項

法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者 又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人 又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

· · · · ·