刑事施設の長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、法務省令で定めるところにより、賞金 又は賞品の授与 その他の方法により褒賞を行うことができる。
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
第十二節 賞罰
第八十二条第一項に規定する応急の用務に服して、功労があったとき。
前二号に掲げるもののほか、賞揚に値する行為をしたとき。
刑事施設の長は、被収容者が、遵守事項 若しくは第九十六条第四項(第百六条の二第二項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項を遵守せず、又は第七十四条第三項の規定に基づき刑事施設の職員が行った指示に従わなかった場合には、その被収容者に懲罰を科することができる。
懲罰を科するに当たっては、懲罰を科せられるべき行為(以下この節において「反則行為」という。)をした被収容者の年齢、心身の状態 及び行状、反則行為の性質、軽重、動機 及び刑事施設の運営に及ぼした影響、反則行為後におけるその被収容者の態度、受刑者にあっては懲罰がその者の改善更生に及ぼす影響 その他の事情を考慮しなければならない。
懲罰は、反則行為を抑制するのに必要な限度を超えてはならない。
受刑者に科する懲罰の種類は、次のとおりとする。
第九十三条の規定による作業の十日以内の停止
第四十一条第一項の規定による自弁の物品の使用 又は摂取の一部 又は全部の十五日以内の停止
書籍等(被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められるものを除く。第三項第三号 及び次条第一項第三号において同じ。)の閲覧の一部 又は全部の三十日以内の停止
報奨金計算額の三分の一以内の削減
三十日以内(懲罰を科する時に二十歳以上の者について、特に情状が重い場合には、六十日以内)の閉居
前項第二号から第五号までの懲罰にあっては二種類以上を併せて、同項第六号の懲罰(以下この節において「閉居罰」という。)にあっては同項第五号の懲罰と併せて科することができる。
受刑者以外の被収容者に科する懲罰の種類は、次のとおりとする。
第四十一条第二項の規定による自弁の物品の使用 又は摂取の一部 又は全部の十五日以内の停止
書籍等の閲覧の一部 又は全部の三十日以内の停止
前項第二号 及び第三号の懲罰は、併せて科することができる。
閉居罰においては、次に掲げる行為を停止し、法務省令で定めるところにより、居室内において謹慎させる。
第四十一条の規定により自弁の物品(刑事施設の長が指定する物品を除く。)を使用し、又は摂取すること。
宗教上の儀式行事に参加し、又は他の被収容者と共に宗教上の教誨を受けること。
面会すること(弁護人等と面会する場合 及び被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く。)。
信書を発受すること(弁護人等との間で信書を発受する場合 及び被告人 若しくは被疑者としての権利の保護 又は訴訟の準備 その他の権利の保護に必要と認められる場合を除く。)。
閉居罰を科されている被収容者については、第五十七条の規定にかかわらず、その健康の保持に支障を生じない限度において、法務省令で定める基準に従い、運動を制限する。
閉居罰を科されている受刑者には、謹慎の趣旨に反しない限度において、矯正処遇等を行うものとする。
刑事施設の長は、懲罰を科する場合において、刑事施設の規律 及び秩序を維持するため必要があるときは、次に掲げる物を国庫に帰属させることができる。
ただし、反則行為をした被収容者以外の者に属する物については、この限りでない。
反則行為の用に供し、又は供しようとした物
反則行為によって生じ、若しくはこれによって得た物 又は反則行為の報酬として得た物
前号に掲げる物の対価として得た物
刑事施設の長は、被収容者が反則行為をした疑いがあると思料する場合には、反則行為の有無 及び第百五十条第二項の規定により考慮すべき事情 並びに前条の規定による処分の要件の有無について、できる限り速やかに調査を行わなければならない。
刑事施設の長は、前項の調査をするため必要があるときは、刑務官に、被収容者の身体、着衣、所持品 及び居室を検査させ、並びにその所持品を取り上げて一時保管させることができる。
第三十四条第二項の規定は、前項の規定による女子の被収容者の身体 及び着衣の検査について準用する。
刑事施設の長は、受刑者について、反則行為をした疑いがあると思料する場合において、必要があるときは、法務省令で定めるところにより、他の被収容者から隔離することができる。
この場合においては、その者の処遇は、運動、入浴 又は面会の場合 その他の法務省令で定める場合を除き、昼夜、居室において行う。
前項の規定による隔離の期間は、二週間とする。
ただし、刑事施設の長は、やむを得ない事由があると認めるときは、二週間に限り、その期間を延長することができる。
刑事施設の長は、前項の期間中であっても、隔離の必要がなくなったときは、直ちにその隔離を中止しなければならない。
刑事施設の長は、被収容者に懲罰を科そうとする場合には、法務省令で定めるところにより、その聴取をする三人以上の職員を指名した上、その被収容者に対し、弁解の機会を与えなければならない。
この場合においては、その被収容者に対し、あらかじめ、書面で、弁解をすべき日時 又は期限 及び懲罰(第百五十三条の規定による処分を含む。次項 及び次条において同じ。)の原因となる事実の要旨を通知するとともに、被収容者を補佐すべき者を刑事施設の職員のうちから指名しなければならない。
前項前段の規定による指名を受けた職員は、懲罰を科することの適否 及び科すべき懲罰の内容について協議し、これらの事項についての意見 及び被収容者の弁解の内容を記載した報告書を刑事施設の長に提出しなければならない。
刑事施設の長は、懲罰を科するときは、被収容者に対し、懲罰の内容 及び懲罰の原因として認定した事実の要旨を告知した上、直ちにその執行をするものとする。
ただし、反省の情が著しい場合 その他相当の理由がある場合には、その執行を延期し、又はその全部 若しくは一部の執行を免除することができる。
刑事施設の長は、閉居罰の執行に当たっては、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。