日本国憲法の改正手続に関する法律 抄

# 平成十九年法律第五十一号 #

第七節 国民投票運動

分類 法律
カテゴリ   憲法
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 08月20日 09時46分


1項

この節 及び次節の規定の適用に当たっては、表現の自由、学問の自由 及び政治活動の自由 その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

1項

公務員(日本銀行の役員(日本銀行法平成九年法律第八十九号第二十六条第一項に規定する役員をいう。)を含み、第百二条各号に掲げる者を除く。以下この条において同じ。)は、公務員の政治的目的をもって行われる政治的行為 又は積極的な政治運動 若しくは政治活動 その他の行為(以下この条において単に「政治的行為」という。)を禁止する他の法令の規定(以下この条において「政治的行為禁止規定」という。)にかかわらず、国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日までの間、国民投票運動(憲法改正案に対し賛成 又は反対の投票をし 又はしないよう勧誘する行為をいう。以下同じ。)及び憲法改正に関する意見の表明をすることができる。


ただし、政治的行為禁止規定により禁止されている他の政治的行為を伴う場合は、この限りでない。

1項

投票管理者、開票管理者、国民投票分会長 及び国民投票長は、在職中、その関係区域内において、国民投票運動をすることができない

2項

第六十一条の規定による投票に関し、不在者投票管理者は、その者の業務上の地位を利用して国民投票運動をすることができない

1項

次に掲げる者は、在職中、国民投票運動をすることができない

一 号

中央選挙管理会の委員 及び中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員 並びに選挙管理委員会の委員 及び職員

二 号

国民投票広報協議会事務局の職員

三 号

裁判官

四 号

検察官

五 号

国家公安委員会 又は都道府県公安委員会 若しくは方面公安委員会の委員

六 号

警察官

1項

国 若しくは地方公共団体の公務員 若しくは行政執行法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。第百十一条において同じ。)若しくは特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。第百十一条において同じ。)の役員 若しくは職員 又は公職選挙法第百三十六条の二第一項第二号に規定する公庫の役職員は、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力 又は便益を利用して、国民投票運動をすることができない

2項

教育者(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校 及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律平成十八年法律第七十七号)に規定する幼保連携型認定こども園の長 及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒 及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力 又は便益を利用して、国民投票運動をすることができない

1項

放送事業者(放送法昭和二十五年法律第百三十二号第二条第二十六号に規定する放送事業者をいい、日本放送協会 及び放送大学学園(放送大学学園法(平成十四年法律第百五十六号)第三条に規定する放送大学学園をいう。第百六条第一項において同じ。)を除く次条において同じ。)は、国民投票に関する放送については、放送法第四条第一項の規定の趣旨に留意するものとする。

1項

何人も、国民投票の期日前 十四日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、次条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。

1項

国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、日本放送協会 及び基幹放送事業者(放送法第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者をいい、日本放送協会 及び放送大学学園を除く第四項 及び第八項において同じ。)のラジオ放送 又はテレビジョン放送(同条第十六号に規定する中波放送 又は同条第十八号に規定するテレビジョン放送をいう。)の放送設備により、憲法改正案の広報のための放送をするものとする。

2項

前項の放送は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案 及びその要旨 その他参考となるべき事項の広報 並びに憲法改正案に対する賛成の政党等(一人以上の衆議院議員 又は参議院議員が所属する政党 その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう。以下この条 及び次条において同じ。)及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。

3項

第一項の放送において、国民投票広報協議会は、憲法改正案 及びその要旨 その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。

4項

第一項の放送において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成 又は反対の意見を無料で放送することができる。


この場合において、日本放送協会 及び基幹放送事業者は、政党等が録音し、又は録画した意見をそのまま放送しなければならない。

5項

政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、両議院の議長が協議して定める額の範囲内で、前項の意見の放送のための録音 又は録画を無料ですることができる。

6項

第一項の放送に関しては、憲法改正案に対する賛成の政党等 及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数 及び同等の時間帯を与える等同等の利便を提供しなければならない。

7項

第一項の放送において意見の放送をすることができる政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、当該放送の一部を、その指名する団体に行わせることができる。

8項

第一項の放送の回数 及び日時は、国民投票広報協議会が日本放送協会 及び当該放送を行う基幹放送事業者と協議の上、定める。

1項

国民投票広報協議会は、両議院の議長が協議して定めるところにより、新聞に、憲法改正案の広報のための広告をするものとする。

2項

前項の広告は、国民投票広報協議会が行う憲法改正案 及びその要旨 その他参考となるべき事項の広報 並びに憲法改正案に対する賛成の政党等 及び反対の政党等が行う意見の広告からなるものとする。

3項

第一項の広告において、国民投票広報協議会は、憲法改正案 及びその要旨 その他参考となるべき事項の広報を客観的かつ中立的に行うものとする。

4項

第一項の広告において、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、無料で、憲法改正案に対する賛成 又は反対の意見の広告をすることができる。

5項

第一項の広告に関しては、憲法改正案に対する賛成の政党等 及び反対の政党等の双方に対して同一の寸法 及び回数を与える等同等の利便を提供しなければならない。

6項

第一項の広告において意見の広告をすることができる政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、当該広告の一部を、その指名する団体に行わせることができる。

1項

公職選挙法第二百一条の五から第二百一条の九までの規定は、これらの条に掲げる選挙が行われる場合において、政党 その他の政治活動を行う団体が、国民投票運動を行うことを妨げるものではない。