手形による金銭の支払の請求 及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理 及び裁判を求めることができる。
民事訴訟法
第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則
手形訴訟による審理 及び裁判を求める旨の申述は、訴状に記載してしなければならない。
手形訴訟においては、反訴を提起することができない。
手形訴訟においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
文書の提出の命令 又は送付の嘱託は、することができない。
対照の用に供すべき筆跡 又は印影を備える物件の提出の命令 又は送付の嘱託についても、同様とする。
文書の成立の真否 又は手形の提示に関する事実については、申立てにより、当事者本人を尋問することができる。
証拠調べの嘱託は、することができない。
第百八十六条の規定による調査の嘱託についても、同様とする。
前各項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
前項の場合には、裁判所は、直ちに、訴訟が通常の手続に移行した旨を記載した書面を被告に送付しなければならない。
ただし、第一項の申述が被告の出頭した期日において口頭でされたものであるときは、その送付をすることを要しない。
第二項の場合には、手形訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
裁判所は、被告が口頭弁論において原告が主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合には、前条第三項の規定による書面の送付前であっても、口頭弁論を終結することができる。
請求の全部 又は一部が手形訴訟による審理 及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部 又は一部を却下することができる。
前項の場合において、原告が判決書の送達を受けた日から二週間以内に同項の請求について通常の手続により訴えを提起したときは、第百四十七条の規定の適用については、その訴えの提起は、前の訴えの提起の時にしたものとみなす。
手形訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。
ただし、前条第一項の判決を除き、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、判決書 又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。
ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
異議を申し立てる権利は、その申立て前に限り、放棄することができる。
異議が不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、異議を却下することができる。
異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
異議の取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
第二百六十一条第三項から第五項まで、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条の規定は、異議の取下げについて準用する。
適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。
この場合においては、通常の手続によりその審理 及び裁判をする。
前条の規定によってすべき判決が手形訴訟の判決と符合するときは、裁判所は、手形訴訟の判決を認可しなければならない。
ただし、手形訴訟の判決の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
前項の規定により手形訴訟の判決を認可する場合を除き、前条の規定によってすべき判決においては、手形訴訟の判決を取り消さなければならない。
異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。
第二百五十八条第四項の規定は、手形訴訟の判決に対し適法な異議の申立てがあった場合について準用する。
控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。
ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理 及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければならない。
第三百九十五条 又は第三百九十八条第一項(第四百二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理 及び裁判を求める旨の申述は、支払督促の申立ての際にしなければならない。
第三百九十一条第一項の規定による仮執行の宣言があったときは、前項の申述は、なかったものとみなす。
小切手による金銭の支払の請求 及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、小切手訴訟による審理 及び裁判を求めることができる。
第三百五十条第二項 及び第三百五十一条から前条までの規定は、小切手訴訟に関して準用する。