民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第二款 賃貸借の効力

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 21時20分

1項

不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者 その他の第三者に対抗することができる。

1項

前条借地借家法平成三年法律第九十号第十条 又は第三十一条 その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2項

前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人 及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨 及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。


この場合において、譲渡人と譲受人 又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人 又はその承継人に移転する。

3項

第一項 又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない

4項

第一項 又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人 又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務 及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人 又はその承継人が承継する。

1項

不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。


この場合においては、前条第三項 及び第四項の規定を準用する。

1項

不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。

一 号

その不動産の占有を第三者が妨害しているとき

その第三者に対する妨害の停止の請求

二 号

その不動産を第三者が占有しているとき

その第三者に対する返還の請求

1項

賃貸人は、賃貸物の使用 及び収益に必要な修繕をする義務を負う。


ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

2項

賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない

1項

賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

1項

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。

一 号

賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

二 号

急迫の事情があるとき。

1項

賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

2項

賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。


ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

1項

耕作 又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。

1項

前条の場合において、同条の賃借人は、不可抗力によって引き続き二年以上賃料より少ない収益を得たときは、契約の解除をすることができる。

1項

賃借物の一部が滅失 その他の事由により使用 及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用 及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

2項

賃借物の一部が滅失 その他の事由により使用 及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

1項

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない

2項

賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用 又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

1項

賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。


この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない

2項

前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

3項

賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない


ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

1項

賃料は、動産、建物 及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。


ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

1項

賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なく その旨を賃貸人に通知しなければならない。


ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

1項

第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。