都道府県警察は、その管轄区域における犯罪の捜査につき、他の都道府県警察に対して緊急の措置を依頼する必要があるときは、緊急事件手配書(犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号。以下「規範」という。)別記様式第一号)により、必要な措置を求めるものとする。
都道府県警察は、他の都道府県警察に対し、容疑者 及び捜査資料 その他参考事項について通報を求める場合には、事件の概要 及び通報を求める事項を明らかにして、事件手配を行うものとする。
逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する場合には、指名手配書(規範別記様式第二号)により、指名手配を行うものとする。
急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、前項に規定する指名手配書により手配した後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報するものとする。
第五条の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。
この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第一項に規定する手続をとるものとする。
前条に規定する指名手配を行うに当たつては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。
第一種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。)
第二種手配(身柄を引取りに行く場合の手配をいう。)
指名手配は、原則として第一種手配によるものとする。
第二種手配は、逮捕地において捜査する必要がある等特別の事情がある場合であつて、逮捕後身柄を引取りに行つても事件処理に余裕があるときに限り、これを行うことができる。
第二種手配があつた被疑者を逮捕した都道府県警察は、手配をした都道府県警察が遠隔であるため、通常の方法による身柄の引取りを待つならば、明らかに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三条の規定による時間の制限を超えると認められる場合には、これを第一種手配として取り扱うことができる。
この場合においては、その旨を速やかに手配をした都道府県警察に通告するものとする。
指名手配があつた被疑者を逮捕した都道府県警察(以下「逮捕警察」という。)は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き被疑者の身柄をその指名手配をした都道府県警察(以下「手配警察」という。)に引き渡さなければならない。
逮捕警察が、手配を受けた犯罪より法定刑が重い別の犯罪をその管轄区域において犯した被疑者を逮捕したとき。
逮捕警察が、手配を受けた犯罪と法定刑が同等以上の別の犯罪で手配をしていた被疑者を逮捕したとき。
逮捕警察が、手配被疑者に関連する犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕しているとき。
同一被疑者について、二以上の手配警察がある場合には、次の各号に定める手配警察にその身柄を引き渡さなければならない。
手配を受けた犯罪について、その法定刑に軽重があるとき(次号に規定する場合に該当する場合を除く。)は、重い犯罪を手配した警察
前二号に規定する場合のほかは、先に手配をした警察
前二項に規定する身柄引渡しの原則により難い事情があるときは、逮捕警察と手配警察 又は手配警察相互間の協議により決するものとする。
前項の協議が整わないときは、警察庁 又は管区警察局の決するところによるものとする。
逮捕警察は、手配警察に、指名手配のあつた被疑者を逮捕した旨を速やかに通告しなければならない。
この場合において、逮捕警察が身柄を必要とするときは、その理由を併せて通告するものとする。
他の都道府県警察に対し、身柄の引渡しを求めない被疑者について、その事件の処理をゆだねる旨の手配は、指名通報書(規範別記様式第二号)により行うものとする。
前項に規定する指名通報は、被疑者の氏名等が明らかであり、かつ、犯罪事実が確実なものについてのみ行うものとする。
第一項の指名通報があつた事件については、あらかじめ、通報を発した都道府県警察に、逮捕状の有無、容疑事実の内容、関係書類 その他捜査資料の有無等を照会して処理するものとする。
指名通報を行つた被疑者については、事件処理に必要な証拠資料、関係書類等を完全に整備しておき、被疑者を発見した警察から要求のあつたときは、速やかに事件引継書(規範別記様式第五号)とともに、証拠資料、関係書類等をその警察に送付しなければならない。