こども基本法

# 令和四年法律第七十七号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
最終編集日 : 2024年 04月27日 22時57分


1項

この法律は、日本国憲法 及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、社会全体としてこども施策に取り組むことができるよう、こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びこども施策の基本となる事項を定めるとともに、こども政策推進会議を設置すること等により、こども施策を総合的に推進することを目的とする。

1項

この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。

2項

この法律において「こども施策」とは、次に掲げる施策 その他のこどもに関する施策 及びこれと一体的に講ずべき施策をいう。

一 号
新生児期、乳幼児期、学童期 及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援
二 号
子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に資するため、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援
三 号
家庭における養育環境 その他のこどもの養育環境の整備
1項

こども施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 号

全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。

二 号

全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長 及び発達 並びにその自立が図られること その他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法平成十八年法律第百二十号)の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。

三 号
全てのこどもについて、その年齢 及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会 及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
四 号
全てのこどもについて、その年齢 及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
五 号
こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母 その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること。
六 号
家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。
1項

国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、こども施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、こども施策に関し、国 及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内におけるこどもの状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項
事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者の職業生活 及び家庭生活の充実が図られるよう、必要な雇用環境の整備に努めるものとする。
1項
国民は、基本理念にのっとり、こども施策について関心と理解を深めるとともに、国 又は地方公共団体が実施するこども施策に協力するよう努めるものとする。
1項

政府は、毎年、国会に、我が国におけるこどもをめぐる状況 及び政府が講じたこども施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。

2項

前項の報告は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。

一 号

少子化社会対策基本法平成十五年法律第百三十三号第九条第一項に規定する少子化の状況 及び少子化に対処するために講じた施策の概況

二 号

子ども・若者育成支援推進法平成二十一年法律第七十一号第六条第一項に規定する我が国における子ども・若者の状況 及び政府が講じた子ども・若者育成支援施策の実施の状況

三 号

子どもの貧困対策の推進に関する法律平成二十五年法律第六十四号第七条第一項に規定する子どもの貧困の状況 及び子どもの貧困対策の実施の状況