人事訴訟法

# 平成十五年法律第百九号 #
略称 : 人訴法 

第二節 裁判所

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月19日 20時09分


第一款 日本の裁判所の管轄権

1項

人事に関する訴えは、次の各号いずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。

一 号

身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当該当事者の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 号

身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方 又は双方の住所(住所がない場合 又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 号

身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

四 号

身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方 又は双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

五 号

身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方 又は双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む。)。

六 号

日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、当該身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

七 号

日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないとき その他の日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

1項

一の訴えで人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求(当該人事訴訟における当事者の一方から他の一方に対するものに限る)とをする場合においては、日本の裁判所が当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有するときに限り、日本の裁判所にその訴えを提起することができる。

1項

裁判所は、日本の裁判所が婚姻の取消し 又は離婚の訴えについて管轄権を有するときは、第三十二条第一項の子の監護者の指定 その他の子の監護に関する処分についての裁判 及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件について、管轄権を有する。

2項

裁判所は、日本の裁判所が婚姻の取消し 又は離婚の訴えについて管轄権を有する場合において、家事事件手続法平成二十三年法律第五十二号第三条の十二各号いずれかに該当するときは、第三十二条第一項の財産の分与に関する処分についての裁判に係る事件について、管轄権を有する。

1項

裁判所は、訴えについて日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合においても、事案の性質、応訴による被告の負担の程度、証拠の所在地、当該訴えに係る身分関係の当事者間の成年に達しない子の利益 その他の事情を考慮して、日本の裁判所が審理 及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し、又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情があると認めるときは、その訴えの全部 又は一部を却下することができる。

第二款 管轄

1項

人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地 又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。

2項

前項の規定による管轄裁判所が定まらないときは、人事に関する訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。

1項

数人からの 又は数人に対するの人事に関する訴えで数個の身分関係の形成 又は存否の確認を目的とする数個の請求をする場合には、前条の規定にかかわらず同条の規定により一の請求について管轄権を有する家庭裁判所にその訴えを提起することができる。


ただし民事訴訟法第三十八条前段に定める場合に限る

1項

家庭裁判所は、人事訴訟の全部 又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法第二百五十七条第一項の規定により申し立てられた調停に係る事件がその家庭裁判所に係属していたときであって、調停の経過、当事者の意見 その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、民事訴訟法第十六条第一項の規定にかかわらず、申立てにより 又は職権で、当該人事訴訟の全部 又は一部について自ら審理 及び裁判をすることができる。

1項

家庭裁判所は、人事訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者 及び尋問を受けるべき証人の住所 その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該人事訴訟の全部 又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

1項

家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。


この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理 及び裁判をすることができる。

2項

前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件 及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。

第三款 参与員

1項

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、参与員を審理 又は和解の試みに立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。

2項

参与員の員数は、各事件について一人以上とする。

3項

参与員は、毎年あらかじめ家庭裁判所の選任した者の中から、事件ごとに家庭裁判所が指定する。

4項

前項の規定により選任される者の資格、員数 その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

5項

参与員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当 及び宿泊料を支給する。

1項

民事訴訟法第二十三条から第二十五条までの規定は、参与員について準用する。

2項

参与員について除斥 又は忌避の申立てがあったときは、参与員は、その申立てについての決定が確定するまでその申立てがあった事件に関与することができない

1項

参与員 又は参与員であった者が正当な理由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。