会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下 この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
会社法
第一章 総則
社債権者が第六百九十八条の規定による請求の全部 又は一部をすることができないこととするときは、その旨
社債管理者を定めないこととするときは、その旨
社債管理者が社債権者集会の決議によらずに第七百六条第一項第二号に掲げる行為をすることができることとするときは、その旨
社債管理補助者を定めることとするときは、その旨
各募集社債の払込金額(各募集社債と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下 この章において同じ。)若しくはその最低金額 又はこれらの算定方法
募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日
一定の日までに募集社債の総額について割当てを受ける者を定めていない場合において、募集社債の全部を発行しないこととするときは、その旨 及びその一定の日
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
会社は、前条の募集に応じて募集社債の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
当該募集に係る前条各号に掲げる事項
前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
前条の募集に応じて募集社債の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を会社に交付しなければならない。
申込みをする者の氏名 又は名称 及び住所
引き受けようとする募集社債の金額 及び金額ごとの数
会社が前条第九号の最低金額を定めたときは、希望する払込金額
前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
第一項の規定は、会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合 その他募集社債の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨 及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下 この章において「申込者」という。)に通知しなければならない。
会社が申込者に対してする通知 又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
会社は、申込者の中から募集社債の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集社債の金額 及び金額ごとの数を定めなければならない。
この場合において、会社は、当該申込者に割り当てる募集社債の金額ごとの数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
会社は、第六百七十六条第十号の期日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集社債の金額 及び金額ごとの数を通知しなければならない。
前二条の規定は、募集社債を引き受けようとする者がその総額の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集社債の社債権者となる。
申込者
会社の割り当てた募集社債
前条の契約により募集社債の総額を引き受けた者
その者が引き受けた募集社債
会社は、社債を発行した日以後遅滞なく、社債原簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下 この章において「社債原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
第六百七十六条第三号から第八号の二までに掲げる事項 その他の社債の内容を特定するものとして法務省令で定める事項(以下 この編において「種類」という。)
種類ごとの社債の総額 及び各社債の金額
各社債と引換えに払い込まれた金銭の額 及び払込みの日
社債権者(無記名社債(無記名式の社債券が発行されている社債をいう。以下 この編において同じ。)の社債権者を除く。)の氏名 又は名称 及び住所
前号の社債権者が各社債を取得した日
社債券を発行したときは、社債券の番号、発行の日、社債券が記名式か、又は無記名式かの別 及び無記名式の社債券の数
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
社債権者(無記名社債の社債権者を除く。)は、社債を発行した会社(以下 この編において「社債発行会社」という。)に対し、当該社債権者についての社債原簿に記載され、若しくは記録された社債原簿記載事項を記載した書面の交付 又は当該社債原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、社債発行会社の代表者が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、社債発行会社の代表者が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、当該社債について社債券を発行する旨の定めがある場合には、適用しない。
会社は、社債原簿管理人(会社に代わって社債原簿の作成 及び備置きその他の社債原簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を定め、当該事務を行うことを委託することができる。
社債発行会社は、社債原簿をその本店(社債原簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
社債権者 その他の法務省令で定める者は、社債発行会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
社債原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
社債原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
社債発行会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
当該請求を行う者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
当該請求を行う者が社債原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
当該請求を行う者が、過去二年以内において、社債原簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
社債発行会社が株式会社である場合には、当該社債発行会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該社債発行会社の社債原簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに 規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
社債発行会社が社債権者に対してする通知 又は催告は、社債原簿に記載し、又は記録した当該社債権者の住所(当該社債権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該社債発行会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
社債が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、社債発行会社が社債権者に対してする通知 又は催告を受領する者一人を定め、当該社債発行会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければならない。
この場合においては、その者を社債権者とみなして、前二項の規定を適用する。
前項の規定による共有者の通知がない場合には、社債発行会社が社債の共有者に対してする通知 又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
前各項の規定は、第七百二十条第一項の通知に際して社債権者に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。
この場合において、
第二項中
「到達したもの」とあるのは、
「当該書面の交付 又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と
読み替えるものとする。
社債が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該社債についての権利を行使する者一人を定め、会社に対し、その者の氏名 又は名称を通知しなければ、当該社債についての権利を行使することができない。
ただし、会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
社債券を発行する旨の定めがある社債の譲渡は、当該社債に係る社債券を交付しなければ、その効力を生じない。
社債の譲渡は、その社債を取得した者の氏名 又は名称 及び住所を社債原簿に記載し、又は記録しなければ、社債発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
当該社債について社債券を発行する旨の定めがある場合における前項の規定の適用については、
同項中
「社債発行会社 その他の第三者」とあるのは、
「社債発行会社」と
する。
前二項の規定は、無記名社債については、適用しない。
社債券の占有者は、当該社債券に係る社債についての権利を適法に有するものと推定する。
社債券の交付を受けた者は、当該社債券に係る社債についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
社債発行会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の社債の社債権者に係る社債原簿記載事項を社債原簿に記載し、又は記録しなければならない。
当該社債発行会社の社債を取得した場合
当該社債発行会社が有する自己の社債を処分した場合
前項の規定は、無記名社債については、適用しない。
社債を社債発行会社以外の者から取得した者(当該社債発行会社を除く。)は、当該社債発行会社に対し、当該社債に係る社債原簿記載事項を社債原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した社債の社債権者として社債原簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
前二項の規定は、無記名社債については、適用しない。
社債券を発行する旨の定めがある社債の質入れは、当該社債に係る社債券を交付しなければ、その効力を生じない。
社債の質入れは、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を社債原簿に記載し、又は記録しなければ、社債発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
前項の規定にかかわらず、社債券を発行する旨の定めがある社債の質権者は、継続して当該社債に係る社債券を占有しなければ、その質権をもって社債発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
社債に質権を設定した者は、社債発行会社に対し、次に掲げる事項を社債原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定は、社債券を発行する旨の定めがある場合には、適用しない。
前条第一項各号に掲げる事項が社債原簿に記載され、又は記録された質権者は、社債発行会社に対し、当該質権者についての社債原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付 又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、社債発行会社の代表者が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、社債発行会社の代表者が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
社債については、当該社債が信託財産に属する旨を社債原簿に記載し、又は記録しなければ、当該社債が信託財産に属することを社債発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
第六百八十一条第四号の社債権者は、その有する社債が信託財産に属するときは、社債発行会社に対し、その旨を社債原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
社債原簿に前項の規定による記載 又は記録がされた場合における第六百八十二条第一項 及び第六百九十条第一項の規定の適用については、
第六百八十二条第一項中
「記録された社債原簿記載事項」とあるのは「記録された社債原簿記載事項(当該社債権者の有する社債が信託財産に属する旨を含む。)」と、
第六百九十条第一項中
「社債原簿記載事項」とあるのは「社債原簿記載事項(当該社債権者の有する社債が信託財産に属する旨を含む。)」と
する。
前三項の規定は、社債券を発行する旨の定めがある社債については、適用しない。
社債発行会社は、社債券を発行する旨の定めがある社債を発行した日以後遅滞なく、当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
社債券には、次に掲げる事項 及び その番号を記載し、社債発行会社の代表者がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
社債券には、利札を付することができる。
社債券が発行されている社債の社債権者は、第六百七十六条第七号に掲げる事項についての定めによりすることができないこととされている場合を除き、いつでも、その記名式の社債券を無記名式とし、又はその無記名式の社債券を記名式とすることを請求することができる。
社債券は、非訟事件手続法第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
社債券を喪失した者は、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。
社債発行会社は、社債券が発行されている社債をその償還の期限前に償還する場合において、これに付された利札が欠けているときは、当該利札に表示される社債の利息の請求権の額を償還額から控除しなければならない。
ただし、当該請求権が弁済期にある場合は、この限りでない。
前項の利札の所持人は、いつでも、社債発行会社に対し、これと引換えに同項の規定により控除しなければならない額の支払を請求することができる。
社債の償還請求権は、これを行使することができる時から十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
社債の利息の請求権 及び前条第二項の規定による請求権は、これらを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。