刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第四節 証拠

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月12日 02時50分


1項
事実の認定は、証拠による。
1項

証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。

1項

強制、拷問 又は脅迫による自白、不当に長く抑留 又は拘禁された後の自白 その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない

○2項

被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。

○3項

前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

1項

第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない

○2項

第二百九十一条の二の決定があつた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない


但し、検察官、被告人 又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。

1項

被告人以外の者が作成した供述書 又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名 若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。

一 号

裁判官の面前(第百五十七条の六第一項 及び第二項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神 若しくは身体の故障、所在不明 若しくは国外にいるため公判準備 若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備 若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。

二 号

検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神 若しくは身体の故障、所在不明 若しくは国外にいるため公判準備 若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備 若しくは公判期日において前の供述と相反するか 若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。


ただし、公判準備 又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る

三 号

前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神 若しくは身体の故障、所在不明 又は国外にいるため公判準備 又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。


ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る

○2項

被告人以外の者の公判準備 若しくは公判期日における供述を録取した書面 又は裁判所 若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。

○3項

検察官、検察事務官 又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。

○4項

鑑定の経過 及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。

1項

被告事件の公判準備 若しくは公判期日における手続以外の刑事手続 又は他の事件の刑事手続において第百五十七条の六第一項 又は第二項に規定する方法によりされた証人の尋問 及び供述 並びにその状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、前条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。


この場合において、裁判所は、その調書を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。

○2項

前項の規定により調書を取り調べる場合においては、第三百五条第五項ただし書の規定は、適用しない。

○3項

第一項の規定により取り調べられた調書に記録された証人の供述は、第二百九十五条第一項前段 並びに前条第一項第一号 及び第二号の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。

1項

第一号に掲げる者の供述 及びその状況を録音 及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体(その供述がされた聴取の開始から終了に至るまでの間における供述 及びその状況を記録したものに限る)は、その供述が第二号に掲げる措置が特に採られた情況の下にされたものであると認める場合であつて、聴取に至るまでの情況 その他の事情を考慮し相当と認めるときは、第三百二十一条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。


この場合において、裁判所は、その記録媒体を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。

一 号
次に掲げる者

刑法第百七十六条第百七十七条第百七十九条第百八十一条 若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条 若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ 又は結婚の目的に係る部分に限る。以下このにおいて同じ。)、同法第二百二十七条第一項同法第二百二十五条 又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る)若しくは第三項わいせつの目的に係る部分に限る)の罪 若しくは同法第二百四十一条第一項 若しくは第三項の罪 又はこれらの罪の未遂罪の被害者

児童福祉法第六十条第一項の罪 若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪 又は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第二条から第六条までの罪の被害者

及びに掲げる者のほか、犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態、被告人との関係 その他の事情により、更に公判準備 又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

二 号
次に掲げる措置

供述者の年齢、心身の状態 その他の特性に応じ、供述者の不安 又は緊張を緩和すること その他の供述者が十分な供述をするために必要な措置

供述者の年齢、心身の状態 その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けること その他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置
2項

前項の規定により取り調べられた記録媒体に記録された供述者の供述は、第二百九十五条第一項前段の規定の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。

1項

被告人が作成した供述書 又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名 若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる


但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない

○2項

被告人の公判準備 又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる

1項

第三百二十一条から前条までに掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。

一 号

戸籍謄本、公正証書謄本 その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面

二 号

商業帳簿、航海日誌 その他業務の通常の過程において作成された書面

三 号

前二号に掲げるもののほか特に信用すべき情況の下に作成された書面

1項

被告人以外の者の公判準備 又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。

○2項

被告人以外の者の公判準備 又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の規定を準用する。

1項

裁判所は、第三百二十一条から前条までの規定により証拠とすることができる書面 又は供述であつても、あらかじめ、その書面に記載された供述 又は公判準備 若しくは公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない

1項

検察官 及び被告人が証拠とすることに同意した書面 又は供述は、その書面が作成され 又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる

○2項

被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。


但し、代理人 又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。

1項

裁判所は、検察官 及び被告人 又は弁護人が合意の上、文書の内容 又は公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容を書面に記載して提出したときは、その文書 又は供述すべき者を取り調べないでも、その書面を証拠とすることができる。


この場合においても、その書面の証明力を争うことを妨げない。

1項

第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により証拠とすることができない書面 又は供述であつても、公判準備 又は公判期日における被告人、証人 その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。