この法律は、国税についての基本的な事項 及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もつて国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。
国税通則法
第一章 総則
第一節 通則
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
国税
国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税 及び特別法人事業税以外のものをいう。
源泉徴収等による国税
源泉徴収に係る所得税 及び国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)第二条第一項第七号(定義)に規定する特別徴収に係る国際観光旅客税(これらの税に係る附帯税を除く。)をいう。
消費税等
消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税 及び石油石炭税をいう。
附帯税
国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税 及び重加算税をいう。
納税者
国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者 及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
納税申告書
申告納税方式による国税に関し国税に関する法律の規定により次に掲げるいずれかの事項 その他当該事項に関し必要な事項を記載した申告書をいい、国税に関する法律の規定による国税の還付金(以下「還付金」という。)の還付を受けるための申告書でこれらのいずれかの事項を記載したものを含むものとする。
課税標準(国税に関する法律に課税標準額 又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額 又は課税標準数量。以下同じ。)
課税標準から控除する金額
次に掲げる金額(以下「純損失等の金額」という。)
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する純損失の金額 又は雑損失の金額でその年以前において生じたもののうち、同法の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)に規定する欠損金額でその事業年度以前において生じたもの(同法第五十七条第二項(欠損金の繰越し)の規定により欠損金額とみなされたものを含む。)のうち、同法の規定により翌事業年度以後の事業年度分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前事業年度以前の事業年度分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十一条の十二(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)の規定により同条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合における当該金額の合計額を二千五百万円から控除した残額
還付金の額に相当する税額
ニの税額の計算上控除する金額 又は還付金の額の計算の基礎となる税額
法定申告期限
国税に関する法律の規定により納税申告書を提出すべき期限をいう。
法定納期限
国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる国税については、それぞれ次に定める期限 又は日)をいう。
第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税
その国税の額をその国税に係る期限内申告書に記載された納付すべき税額とみなして国税に関する法律の規定を適用した場合におけるその国税を納付すべき期限
国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限とされている日後に納税の告知がされた国税(ハ 又はニに掲げる国税に該当するものを除く。)
当該期限
国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税
当該事実が生じた日
附帯税
その納付 又は徴収の基因となる国税を納付すべき期限(当該国税がイからハまでに掲げる国税に該当する場合には、それぞれ当該国税に係るイからハまでに掲げる期限(地価税に係る過少申告加算税、無申告加算税 及び第三十五条第三項に規定する重加算税については、先に到来する期限)又は日)
課税期間
国税に関する法律の規定により国税の課税標準の計算の基礎となる期間(課税資産の譲渡等(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号(定義)に規定する課税資産の譲渡等をいい、同項第八号の二に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第十五条第二項第七号(納税義務の成立 及びその納付すべき税額の確定)において同じ。)及び特定課税仕入れ(同法第五条第一項(納税義務者)に規定する特定課税仕入れをいう。同号において同じ。)に課される消費税(以下「課税資産の譲渡等に係る消費税」という。)については、同法第十九条(課税期間)に規定する課税期間)をいう。
強制換価手続
滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続 及び破産手続をいう。
法人でない社団 又は財団で代表者 又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。
この法律に規定する事項で他の国税に関する法律に別段の定めがあるものは、その定めるところによる。
第二節 国税の納付義務の承継等
相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。次章、第三章第一節(国税の納付)、第六章(附帯税)、第七章第一節(国税の更正、決定等の期間制限)、第七章の二(国税の調査)及び第十一章(犯則事件の調査 及び処分)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。
この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。
前項前段の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第九百条から第九百二条まで(法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定)の規定によるその相続分により按分して計算した額とする。
前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額を超える者があるときは、その相続人は、その超える価額を限度として、他の相続人が前二項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる。
法人が合併した場合には、合併後存続する法人 又は合併により設立した法人は、合併により消滅した法人(以下「被合併法人」という。)に課されるべき、又は被合併法人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。
法人が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括して承継した場合には、その法人は、その人格のない社団等に課されるべき、又はその人格のない社団等が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その承継が権利義務の一部についてされたときは、その国税の額にその承継の時における人格のない社団等の財産のうちにその法人が承継した財産の占める割合を乗じて計算した額の国税)を納める義務を承継する。
信託法(平成十八年法律第百八号)第五十六条第一項各号(受託者の任務の終了事由)に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新たな受託者(以下この項 及び第六項において「新受託者」という。)が就任したときは、当該新受託者は当該受託者に課されるべき、又は当該受託者が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その納める義務が信託財産責任負担債務(同法第二条第九項(定義)に規定する信託財産責任負担債務をいう。第三十八条第一項(繰上請求)及び第五十七条第一項(充当)において同じ。)となるものに限る。以下この条において同じ。)を納める義務を承継する。
受託者が二人以上ある信託において、その一人の任務が信託法第五十六条第一項各号に掲げる事由により終了した場合には、前項の規定にかかわらず、他の受託者のうち、当該任務が終了した受託者(以下この項 及び第五項において「任務終了受託者」という。)から信託事務の引継ぎを受けた受託者は、当該任務終了受託者に課されるべき、又は当該任務終了受託者が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。
信託法第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、同法第七十四条第一項(受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等)に規定する法人は、当該受託者に課されるべき、又は当該受託者が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。
受託者である法人が分割をした場合における分割により受託者としての権利義務を承継した法人は、当該分割をした受託者である法人に課されるべき、又は当該分割をした受託者である法人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。
第一項 又は第二項の規定により国税を納める義務が承継された場合にも、第一項の受託者 又は任務終了受託者は、自己の固有財産をもつて、その承継された国税を納める義務を履行する責任を負う。
ただし、当該国税を納める義務について、信託法第二十一条第二項(信託財産責任負担債務の範囲)の規定により、信託財産に属する財産のみをもつてその履行の責任を負うときは、この限りでない。
新受託者は、第一項の規定により国税を納める義務を承継した場合には、信託財産に属する財産のみをもつて、その承継された国税を納める義務を履行する責任を負う。
国税に関する法律の規定により国税を連帯して納付する義務については、民法第四百三十六条、第四百三十七条 及び第四百四十一条から第四百四十五条まで(連帯債務の効力等)の規定を準用する。
共有物、共同事業 又は当該事業に属する財産に係る国税は、その納税者が連帯して納付する義務を負う。
合併 又は分割(以下この条において「合併等」という。)を無効とする判決が確定した場合には、当該合併等をした法人は、合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人 又は分割により事業を承継した法人の当該合併等の日以後に納税義務(第十五条第一項(納税義務の成立 及びその納付すべき税額の確定)に規定する納税義務をいう。次条において同じ。)の成立した国税(その附帯税を含む。)について、連帯して納付する義務を負う。
法人が分割(法人税法第二条第十二号の十(定義)に規定する分社型分割を除く。以下この条において同じ。)をした場合には、当該分割により事業を承継した法人は、当該分割をした法人の次に掲げる国税(その附帯税を含み、その納める義務が第七条の二第四項(信託に係る国税の納付義務の承継)の規定により受託者としての権利義務を承継した法人に承継されたもの 及びその納める義務が信託財産限定責任負担債務(信託法第百五十四条(信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等)に規定する信託財産限定責任負担債務をいう。第五十七条第一項(充当)において同じ。)となるものを除く。)について、連帯納付の責めに任ずる。
ただし、当該分割をした法人から承継した財産(当該分割をした法人から承継した信託財産に属する財産を除く。)の価額を限度とする。
分割の日前に納税義務の成立した国税(消費税等のうち保税地域(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。以下同じ。)からの引取りに係る消費税等 及び課税資産の譲渡等に係る消費税以外のもの(次号において「移出に係る酒税等」という。)並びに航空機燃料税を除く。)
分割の日の属する月の前月末日までに納税義務の成立した移出に係る酒税等 及び航空機燃料税
第三節 期間及び期限
国税に関する法律において日、月 又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。
期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
期間を定めるのに月 又は年をもつてしたときは、暦に従う。
前号の場合において、月 又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月 又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出 その他書類の提出、通知、納付 又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限 その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日 その他一般の休日 又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。
国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長 又は税関長は、災害 その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出 その他書類の提出、納付 又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。
第四節 送達
国税に関する法律の規定に基づいて税務署長 その他の行政機関の長 又はその職員が発する書類は、郵便 若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項(定義)に規定する一般信書便事業者 若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)による送達 又は交付送達により、その送達を受けるべき者の住所 又は居所(事務所 及び事業所を含む。以下同じ。)に送達する。
ただし、その送達を受けるべき者に納税管理人があるときは、その住所 又は居所に送達する。
通常の取扱いによる郵便 又は信書便によつて前項に規定する書類を発送した場合には、その郵便物 又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第三項(定義)に規定する信書便物(以下「信書便物」という。)は、通常到達すべきであつた時に送達があつたものと推定する。
税務署長 その他の行政機関の長は、前項に規定する場合には、その書類の名称、その送達を受けるべき者(第一項ただし書の場合にあつては、納税管理人。以下この節において同じ。)の氏名(法人については、名称。第十四条第二項(公示送達)において同じ。)、あて先 及び発送の年月日を確認するに足りる記録を作成して置かなければならない。
交付送達は、当該行政機関の職員が、第一項の規定により送達すべき場所において、その送達を受けるべき者に書類を交付して行なう。
ただし、その者に異議がないときは、その他の場所において交付することができる。
次の各号の一に掲げる場合には、交付送達は、前項の規定による交付に代え、当該各号に掲げる行為により行なうことができる。
送達すべき場所において書類の送達を受けるべき者に出会わない場合
その使用人 その他の従業者 又は同居の者で書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付すること。
書類の送達を受けるべき者 その他前号に規定する者が送達すべき場所にいない場合 又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合
送達すべき場所に書類を差し置くこと。
相続があつた場合において、相続人が二人以上あるときは、これらの相続人は、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長 その他の行政機関の長(国税審判官を含む。)が発する書類(滞納処分(その例による処分を含む。)に関するものを除く。)で被相続人の国税に関するものを受領する代表者をその相続人のうちから指定することができる。
この場合において、その指定に係る相続人は、その旨を当該税務署長 その他の行政機関の長(国税審判官の発する書類については、国税不服審判所長)に届け出なければならない。
前項前段の場合において、相続人のうちにその氏名が明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に同項後段の届出がないときは、同項後段の税務署長 その他の行政機関の長は、相続人の一人を指定し、その者を同項に規定する代表者とすることができる。
この場合において、その指定をした税務署長 その他の行政機関の長は、その旨をその指定に係る相続人に通知しなければならない。
前二項に定めるもののほか、第一項に規定する代表者の指定に関し必要な事項は、政令で定める。
被相続人の国税につき、その者の死亡後 その死亡を知らないでその者の名義でした国税に関する法律に基づく処分で書類の送達を要するものは、その相続人の一人にその書類が送達された場合には、当該国税につきすべての相続人に対してされたものとみなす。
第十二条(書類の送達)の規定により送達すべき書類について、その送達を受けるべき者の住所 及び居所が明らかでない場合 又は外国においてすべき送達につき困難な事情があると認められる場合には、税務署長 その他の行政機関の長は、その送達に代えて公示送達をすることができる。
公示送達は、送達すべき書類の名称、その送達を受けるべき者の氏名 及び税務署長 その他の行政機関の長がその書類をいつでも送達を受けるべき者に交付する旨を当該行政機関の掲示場に掲示して行なう。
前項の場合において、掲示を始めた日から起算して七日を経過したときは、書類の送達があつたものとみなす。