国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律

# 平成二十五年法律第四十八号 #
略称 : ハーグ条約実施法 

第三款 不服申立て

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分

第一目 終局決定に対する即時抗告

1項
当事者は、終局決定に対し、即時抗告をすることができる。
2項
子は、子の返還を命ずる終局決定に対し、即時抗告をすることができる。
3項

手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。

1項

終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

2項
当事者 又は手続に参加した子による即時抗告の期間は、即時抗告をする者が終局決定の告知を受けた日から進行する。
3項

子(手続に参加した子を除く)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。

1項

即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。

2項

抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
当事者 及び法定代理人
二 号
原決定の表示 及びその決定に対して即時抗告をする旨
3項

即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。

4項

前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

6項

及びの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及びの規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。

1項

終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者 及び手続に参加した子(抗告人を除く)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。

2項

裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。

1項

抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く)の陳述を聴かなければならない。

1項

抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。


ただしにおいて準用する 又はの規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。

1項

終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除きの規定( 及び 及び 並びに除く)を準用する。

2項

抗告裁判所は、の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用するの規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。

3項

及びの規定は、終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、


「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
」と、


「第六条第一項各号」とあるのは
」と、


「第百八十九条」とあるのは
」と

読み替えるものとする。

第二目 終局決定に対する特別抗告

1項
高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2項

前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。

1項

特別抗告は、執行停止の効力を有しない。


ただしの抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。

2項

前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。

3項

及びの規定は、前項の担保について準用する。

1項

及び 及び除く)、 並びにの規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。

2項

に係る部分に限る)、前段、後段 及び 並びにの規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、


「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する」と、


「前二条」とあるのは
の規定 及びにおいて準用する」と、

前段 及び
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
」と、

後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、


「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。

第三目 終局決定に対する許可抗告

1項

高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く)に対しては、の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

2項

前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。

3項

前項の申立てにおいては、に規定する事由を理由とすることはできない。

4項

第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条 及びにおいて「許可抗告」という。)があったものとみなす。

5項

許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。

6項
許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。
1項

及び 及び除く)、 並びにの規定は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

及び 及び 並びに
「即時抗告」とあり、

「即時抗告の提起」とあり、
並びに本文中
「特別抗告」とあるのは
の申立て」と、

及び 並びに
「抗告状」とあるのは
の規定による許可の申立書」と、


「即時抗告」とあり、
及びただし書中
「特別抗告」とあるのは
に規定する許可抗告」と

読み替えるものとする。

2項

及びの規定はの申立てについて、の規定はの規定による許可をする場合について、後段、前段、後段 及び 並びにの規定はの規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。


この場合において、

後段中
「第三百二十条」とあるのは
」と、


「前二条」とあるのは
の規定 及びにおいて準用する」と、

前段 及び
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
」と、

後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、


「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。

第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て

1項
終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
1項

受命裁判官 又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。


ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る

2項
前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
1項

終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

2項

前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。


ただし、抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。

3項

及びの規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託 及び担保について準用する。

4項

原裁判をした裁判所、裁判官 又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。

1項

前三目の規定( 及び 並びに 及びこれらの規定をにおいて準用する場合を含む。)並びにの規定を除く)は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。


この場合において、


「高等裁判所の終局決定」とあるのは
「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの 及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、


「できる」とあるのは
「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と

読み替えるものとする。

2項

及び 並びにの規定は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、


「及び第五項」とあるのは、
「から第六項まで」と

読み替えるものとする。

3項

除く)、前段、後段 及び 並びにの規定は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、


「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する」と、


「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、


「前二条」とあるのは
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用するの規定 及び同法第百十六条第三項において準用する」と、

前段 及び
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する」と、

後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、


「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。