国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
第三款 不服申立て
⤏ 第一目 終局決定に対する即時抗告
手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
子(手続に参加した子を除く。)による即時抗告の期間は、当事者が終局決定の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
第七十条第四項 及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。
終局決定に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者 及び手続に参加した子(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。
裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。
抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、自ら裁判をしなければならない。
ただし、次条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条 又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。
終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前款の規定(第七十条第六項、第七十二条第二項 及び第五項、第九十三条第三項 及び第四項、第九十五条第三項から第五項まで 並びに第九十八条第五項を除く。)を準用する。
抗告裁判所は、第百四条第一項の規定による抗告状の写しの送付をすることを要しないときは、前項において準用する第八十九条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。
民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条、第三百二条、第三百三条 及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第二百九十二条第二項中
「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第九十九条第四項」と、
同法第二百九十九条第二項中
「第六条第一項各号」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第三十二条第一項各号」と、
同法第三百三条第五項中
「第百八十九条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百五十条」と
読み替えるものとする。
⤏ 第二目 終局決定に対する特別抗告
前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
特別抗告は、執行停止の効力を有しない。
ただし、前条第二項の抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。
前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
第百二条第二項 及び第三項、第百三条(第四項 及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条 並びに第百七条の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項、第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十条第一項において準用する同法第百三条第六項」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第二項の規定 及び同法第百十条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百八条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三目 終局決定に対する許可抗告
高等裁判所の終局決定(次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第百八条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
前項の申立てにおいては、第百八条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下この条 及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
第百二条第二項 及び第三項、第百三条(第四項 及び第五項を除く。)、第百四条、第百五条、第百七条 並びに第百九条の規定は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
第百二条第二項 及び第三項、第百三条第一項、第二項第二号 及び第三項、第百四条第一項 並びに第百五条中
「即時抗告」とあり、
第百三条第六項中
「即時抗告の提起」とあり、
並びに第百九条第一項本文中
「特別抗告」とあるのは
「第百十一条第二項の申立て」と、
第百三条第一項、第二項 及び第六項、第百四条 並びに第百七条第二項中
「抗告状」とあるのは
「第百十一条第二項の規定による許可の申立書」と、
同条中
「即時抗告」とあり、
及び第百九条第一項ただし書中
「特別抗告」とあるのは
「第百十一条第四項に規定する許可抗告」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十五条 及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について、それぞれ準用する。
この場合において、
同法第三百十八条第四項後段中
「第三百二十条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第五項の規定 及び同法第百十二条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十一条第二項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第四目 終局決定以外の裁判に対する不服申立て
受命裁判官 又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、子の返還申立事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。
ただし、その裁判が家庭裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
前項の即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。
ただし、抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。
第百九条第二項 及び第三項の規定は、前項ただし書の規定により担保を立てる場合における供託 及び担保について準用する。
原裁判をした裁判所、裁判官 又は裁判長は、即時抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない。
前三目の規定(第百一条第一項 及び第二項、第百二条第一項 並びに同条第三項、第百四条 及び第百五条(これらの規定を第百十二条第一項において準用する場合を含む。)並びに第百十条の規定を除く。)は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。
この場合において、
第百八条第一項中
「高等裁判所の終局決定」とあるのは
「家庭裁判所の終局決定以外の裁判で不服を申し立てることができないもの 及び高等裁判所の終局決定以外の裁判」と、
第百十一条第一項中
「できる」とあるのは
「できる。ただし、その決定が家庭裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る」と
読み替えるものとする。
第百二条第二項 及び第三項、第百三条 並びに第百七条の規定は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
第百三条第六項中
「及び第五項」とあるのは、
「から第六項まで」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項、第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第二項において読み替えて準用する同法第百三条第六項」と、
同法第三百十六条第二項中
「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において準用する同法第百八条第二項の規定 及び同法第百十六条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百十六条第一項において読み替えて準用する同法第百八条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。