土地改良法

# 昭和二十四年法律第百九十五号 #

第一款 土地改良区の設立

分類 法律
カテゴリ   農業
@ 施行日 : 令和四年八月二十日 ( 2022年 8月20日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十四号による改正
最終編集日 : 2023年 02月04日 11時19分

1項

第三条に規定する資格を有する十五人以上の者は、その資格に係る土地を含む一定の地域を定め、その地域に係る土地改良事業(第二条第二項第六号に掲げるものを除く。以下第十五条の規定を除きこの章において同じ。)の施行を目的として、都道府県知事の認可を受け、その地域について土地改良区を設立することができる。


この場合において、二以上の土地改良事業の施行を目的としての土地改良区を設立することができるのは、これらの事業相互間に相当の関連性がある場合に限るものとし、その場合における当該一定の地域は、その各土地改良事業の施行に係る地域のすべてを合わせた地域とする。

2項

前項の者は、同項の認可の申請をするには、あらかじめ、農林水産省令の定めるところにより、同項の土地改良事業の計画の概要(二以上の土地改良事業の施行を目的とする場合には、その各土地改良事業に係る計画の概要 及び農林水産省令で定めるときにあつては全体構成。次項において同じ。)、定款作成の基本となるべき事項、同項の一定の地域内にある土地につき第三条に規定する資格を有する者で当該土地改良事業の計画 及び定款の作成に当たるべきものの選任方法 その他必要な事項を公告して、同項の一定の地域内にある土地につき同条に規定する資格を有する者の三分の二二以上の土地改良事業の施行を目的とする場合には、その各土地改良事業につき、その施行に係る地域内にある土地につき同条に規定する資格を有する者の三分の二)以上の同意を得なければならない。

3項

第一項の者は、同項の認可の申請をするには、前項の規定による公告をする前に、農林水産省令の定めるところにより、同項の土地改良事業の計画の概要につき市町村長と協議しなければならない。

4項

第二条第二項第三号に掲げる事業 又は当該事業と 他の事業とを一体とした同項第一号に掲げる事業(以下「農用地造成事業等」と総称する。)の施行を目的とし、又は目的の一部に含む土地改良区を設立する場合において、第一項の認可を申請するには、同項の者は、第二項三分の二以上の同意のほか、その同条第二項第三号に掲げる事業の施行に係る地域(以下「農用地造成地域」という。)内にある土地につき第三条に規定する資格を有する者で同条第一項第三号 又は第四号に該当するもの(以下「農用地外資格者」という。)についてその全員の同意を得なければならない。

5項

前項に規定する土地改良区を設立する場合には、当該農用地造成事業等については、農用地外資格者は、その者の当該資格に係る土地につき所有権以外の権原に基づき使用 及び収益をする者が他に存するときは、第二項 及び前項の同意について同意 又は不同意を第一項の者に表示する前において、農林水産省令の定めるところにより、その農用地造成事業等の施行につき、その使用 及び収益をする者の意見を聴かなければならない。

6項

国有地 又は国 若しくは地方公共団体が公用 若しくは公共の用に供している土地を含めて第一項の一定の地域を定めるには、その土地を管理する行政庁 又は地方公共団体の承認がなければならない。

7項

建築物の敷地、墓地、境内地 その他の農用地以外の土地(前項に規定する土地を除く)で政令で定めるものを含めて第一項の一定の地域を定めるには、その土地につき所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利 又は その他の使用 及び収益を目的とする権利を有する者の全員の同意がなければならない。

1項

前条第四項に規定する土地改良区を設立する場合には、当該農用地造成事業等については、これにつき同条第二項三分の二以上の同意があつたときにおいても、その農用地造成事業等に係る農用地造成地域内にある土地についての農用地外資格者のうちになお同意をしない者があるときは、同条第一項の者は、農林水産省令の定めるところにより、その同意をしない者に対し必要な資料、情報等の提供 及び勧奨をするほか、その同意をしない者のその農用地造成事業等に参加する資格の交替 又は その同意をしない者の第三条に規定する資格に係る土地についての所有権 若しくは その他の使用 及び収益を目的とする権利の移転、設定、変更 若しくは消滅に関し、その者 及び その交替をしようとする者 又は その権利の移転、設定 若しくは変更を受けようとする者と協議し、その他 当該農用地外資格者の全員の同意を得るために必要な措置をとるものとする。

2項

前項の規定により必要な措置をとつた場合においても、なお当該農用地外資格者の全員の同意を得るに至らないときは、前条第一項の者は、その全員の同意を得るため、その農用地外資格者のうちなお同意をしない者の当該農用地造成事業等に参加する資格の交替 又は その同意をしない者の第三条に規定する資格に係る土地についての所有権 若しくは その他の使用 及び収益を目的とする権利の移転、設定、変更 若しくは消滅に関し、その交替をしようとする者 又は その権利の移転、設定 若しくは変更を受けようとする者の委託を受けて、都道府県知事に対し、必要なあつせん 又は調停をなすべき旨の申請をすることができる。

3項

都道府県知事は、前項の申請があつた場合には、すみやかに、あつせん 又は調停を行なうものとする。

4項

都道府県知事は、前項の調停を行なう場合には、第二項の同意をしない者 その他農林水産省令で定める者の意見をきくとともに、関係農業委員会に対し助言、資料の提示 その他必要な協力を求めて、調停案を作成しなければならない。

5項

都道府県知事は、前項の規定により調停案を作成したときは、これを当該調停の当事者に示してその受諾を勧告するものとする。

1項

第五条第二項三分の二以上の同意(同条第四項に規定する土地改良区の設立については、同条第二項三分の二以上の同意のほか、その農用地造成事業等に係る農用地造成地域内にある土地についての農用地外資格者についてその全員の同意)があつたときは、同条第一項の者は、農林水産省令の定めるところにより、土地改良事業計画、定款 その他必要な事項を定め、同項の認可を申請することができる。

2項

前項の土地改良事業計画 及び定款は、第五条第二項の規定により同意を得た選任方法によつて選任された者によつて、同項の規定により同意を得た土地改良事業の計画の概要 及び定款作成の基本となるべき事項に基いて作成されたものでなければならない。

3項

土地改良事業計画においては、農林水産省令の定めるところにより、当該土地改良事業につき、目的、その施行に係る地域、工事 又は管理に関する事項(換地計画を定める土地改良事業にあつては、工事に関する事項のほか、当該換地計画の概要)、事業費に関する事項、効果に関する事項 その他農林水産省令で定める事項を定めるものとする。

4項

前項の工事に関する事項は、換地計画を定める土地改良事業でその施行に係る地域のうちに農用地以外の用に供する土地(その土地改良事業によつて生ずる土地改良施設の用に供する土地を除く)として工事を施行する土地を含むものについては、その工事を施行する土地の区域(以下「非農用地区域」という。)と その他の土地の区域を分けて、そのそれぞれにつき定めなければならない。

5項

第一項の規定により申請をする者は、土地改良事業計画 及び定款を定めるため、都道府県に農用地の改良、開発、保全 又は集団化に関し専門的知識を有する職員の援助を求めることができる。

6項

都道府県は、正当の事由がある場合を除いて前項の規定による請求を拒んではならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項の規定による申請があつたときは、当該土地改良事業計画 及び定款につき詳細な審査を行つてその適否を決定し、その旨を当該申請人に通知しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の審査に当つては、農林水産省令の定めるところにより、農用地の改良、開発、保全 又は集団化に関し専門的知識を有する技術者が調査して提出する報告に基かなければならない。

3項

前項の調査は、当該土地改良事業のすべての効用と費用とについての調査を含むものでなければならない。

4項

都道府県知事は、前条第一項の規定による申請について、次の各号の一に該当する場合 及び次項の規定に該当する場合を除き第一項の規定により適当とする旨の決定をしなければならない。

一 号

申請に係る土地改良事業が、第一条に規定する目的 及び原則を基礎として政令で定める土地改良事業の施行に関する基本的な要件に適合するものでないとき。

二 号

申請の手続 又は定款 若しくは土地改良事業の計画の決定手続 若しくは内容が法令 又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反しているとき。

三 号

申請に係る土地改良区が、申請に係る土地改良事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎 又は技術的能力を欠く等土地改良事業の遂行のための基礎的な要件として政令で定める要件を欠くと認められるとき。

5項

都道府県知事は、前条第四項に規定する土地改良事業に係る同条第一項の規定による申請については、当該土地改良事業計画において定められた非農用地区域が次に掲げる要件に適合する場合でなければ、第一項の規定により適当とする旨の決定をしてはならない。

一 号

当該土地改良事業の施行に係る地域に特定用途用地 その他農用地以外の土地で引き続き農用地として利用されないことが確実であると見込まれるものが含まれる場合には、当該地域内における農用地の集団化 その他農業構造の改善に資する見地からみて、当該非農用地区域がこれらの土地に代わるべき土地の区域として適切な位置にあり、かつ、妥当な規模をこえないものであること。

二 号

当該土地改良事業の施行に係る地域内で農業を営む者の生活上 若しくは農業経営上必要な施設(その土地改良事業によつて生ずる土地改良施設を除く)の用に供する土地 又は国 若しくは地方公共団体の計画からみて当該土地改良事業の施行に係る地域内に近く設置することが確実と見込まれる公用 若しくは公共の用に供する施設(その土地改良事業によつて生ずる土地改良施設を除く)の用に供するための土地が新たに必要な場合には、当該非農用地区域が当該施設の用に供する土地の区域として適切な位置にあり、かつ、妥当な規模をこえないものであること。

三 号

前号に掲げる場合のほか、当該土地改良事業の施行に係る地域の自然的経済的社会的諸条件からみて当該地域内にある農用地の一部がその施行後において農用地以外の用途に供されることが見通される場合には、当該地域内において引き続き農用地として利用されるべき土地の効率的な利用を確保する見地からみて、当該非農用地区域がその農用地以外の用途に供することを予定する土地の区域として適切な位置にあり、かつ、妥当な規模をこえないものであること。

6項

都道府県知事は、第一項の規定により当該申請を適当とする旨の決定をしたときは、遅滞なく その旨を公告し、二十日以上の相当の期間を定めてその決定に係る土地改良事業計画書 及び定款の写を縦覧に供しなければならない。

1項

当該土地改良事業に関係のある土地 又は その土地に定着する物件の所有者、当該土地改良事業に関係のある水面につき漁業権 又は入漁権を有する者 その他 これらの土地、物件 又は権利に関し権利を有する者(以下「利害関係人」という。)は、前条第六項の規定による公告に係る決定に対して異議があるときは、同項に規定する縦覧期間満了の日の翌日から起算して十五日以内に都道府県知事にこれを申し出ることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による異議の申出を受けたときは、前条第二項に掲げる技術者の意見をきいて、同条第六項に規定する縦覧期間満了後六十日以内にこれを決定しなければならない。

3項

第一項の異議の申出には、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号)中審査請求に関する規定(同法第十八条第一項 及び第二項 並びに第四十三条除く)を準用する。

4項

都道府県知事は、第二項の規定による決定が第七条第一項の規定による申請に係る土地改良事業計画 又は定款に矛盾するものであるときは、同項の規定による申請を却下しなければならない。

5項

第二項の規定による決定 及び前項の規定による却下 又は これらの不作為については、*審査請求をすることができない

1項

都道府県知事は、前条第一項の異議の申出がないとき、又は異議の申出があつた場合においてそのすべてについて同条第二項の規定による決定があつたときは、同条第四項の場合を除いて土地改良区の設立の認可をしなければならない。

2項

土地改良区は、前項の規定による認可により、第五条第一項の一定の地域を地区として成立する。

3項

都道府県知事は、土地改良区が成立したときは、遅滞なく その旨を公告しなければならない。

4項

土地改良区の成立は、前項の規定による公告があるまでは、これをもつて組合員 その他の第三者に対抗することができない

5項

第一項の規定による認可 及び その認可に係る土地改良事業計画による事業の施行については、審査請求をすることができない

1項

土地改良区の地区内にある土地につき第三条に規定する資格を有する者は、その土地改良区の組合員とする。

1項

土地改良区の設立に関する費用は、その土地改良区の負担とする。


但し、土地改良区が成立しなかつた場合には、その費用は、その設立を申請した者の負担とする。

1項
土地改良区は、法人とする。
1項
土地改良区は、その名称中に土地改良区という文字を用いなければならない。
2項
土地改良区でないものは、その名称中に土地改良区という文字を用いてはならない。
1項
土地改良区は、その地区内の土地改良事業を行うものとする。
2項

土地改良区は、前項の土地改良事業に附帯する事業(第五十七条の四第一項に規定する事業を含む。以下同じ。)を行うことができる。

1項

土地改良区は、定款で定めるところにより、当該土地改良区の地区内にある土地の所有者 又は当該土地につき所有権以外の権原に基づき使用 及び収益をする者であつて、第三条に規定する資格を有しないものを准組合員たる資格を有する者とすることができる。

2項

土地改良施設の管理(委託を受けて行う管理を含む。)を行う土地改良区にあつては、定款で定めるところにより、当該土地改良区の地区の周辺の地域内に住所を有する者が主たる構成員となつている団体であつて土地改良施設の管理に関連する活動を行うものを施設管理准組合員たる資格を有する者とすることができる。

1項

准組合員 又は施設管理准組合員(以下「准組合員等」という。)たる資格を有する者が土地改良区に加入しようとするときは、土地改良区は、正当な理由がないのにその加入を拒んではならない。

1項

准組合員等は、六十日前までに予告して脱退することができる。

2項
准組合員等は、次に掲げる事由によつて脱退する。
一 号
准組合員等たる資格の喪失
二 号
死亡 又は解散
三 号
除名
3項

除名は、次のいずれかに該当する准組合員等につき、総会の議決によつてこれをすることができる。


この場合において、土地改良区は、その総会の会日から十日前までに当該准組合員等に対しその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

一 号

経費の支払 又は土地改良施設の管理への協力 その他土地改良区に対する義務を怠つた准組合員等

二 号
その他定款で定める行為をした准組合員等
4項

前項の除名は、除名した准組合員等にその旨を通知しなければ、これをもつて当該准組合員等に対抗することができない

1項

土地改良区は、その地区内にある農用地につき耕作 又は養畜の業務を営む者の土地改良事業への参加の促進を図るため、土地改良施設の管理 その他の土地改良事業に関する情報の提供に努めるものとする。

2項

国 及び地方公共団体は、前項の情報の提供が円滑に実施されるよう、土地改良区に対し、必要な指導、助言 その他の援助を行うように努めるものとする。