地方独立行政法人法
第四章 財務及び会計
地方独立行政法人の最初の事業年度は、前項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年の三月三十一日(一月一日から三月三十一日までの間に成立した地方独立行政法人にあっては、その年の三月三十一日)に終わるものとする。
地方独立行政法人は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分 又は損失の処理に関する書類 その他設立団体の規則で定める書類 及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に設立団体の長に提出し、その承認を受けなければならない。
地方独立行政法人は、前項の規定により財務諸表を設立団体の長に提出するときは、当該財務諸表に設立団体の規則で定めるところにより作成した当該事業年度の事業報告書 及び予算の区分に従い作成した決算報告書 並びに財務諸表 及び決算報告書に関する監査報告(次条第一項の規定により会計監査人の監査を受けなければならない地方独立行政法人にあっては、監査報告 及び会計監査報告。以下同じ。)を添付しなければならない。
地方独立行政法人は、第一項の規定による設立団体の長の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を公告し、かつ、財務諸表 並びに前項の事業報告書、決算報告書 及び監査報告を、各事務所に備え置き、設立団体の規則で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
地方独立行政法人(その資本の額 その他の経営の規模が政令で定める基準に達しない地方独立行政法人を除く。以下この条において同じ。)は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
この場合において、会計監査人は、設立団体の規則で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をし、又は役員(監事を除く。)及び職員に対し、会計に関する報告を求めることができる。
会計帳簿 又はこれに関する資料が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を総務省令で定める方法により表示したもの
前項の子法人は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。
会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次の各号のいずれかに該当する者を使用してはならない。
第三十七条第三項第一号 又は第二号に掲げる者
第三十六条の規定により自己が会計監査人に選任されている地方独立行政法人 又はその子法人の役員 又は職員
第三十六条の規定により自己が会計監査人に選任されている地方独立行政法人 又はその子法人から公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。第三十七条第一項 及び第三項第二号において同じ。)又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者
会計監査人は、その職務を行うに際して役員(監事を除く。)の職務の執行に関し不正の行為 又はこの法律、他の法令、設立団体の条例 若しくは規則 若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監事に報告しなければならない。
監事は、その職務を行うため必要があると認めるときは、会計監査人に対し、その監査に関する報告を求めることができる。
会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを地方独立行政法人に通知しなければならない。
この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
公認会計士法の規定により、財務諸表について監査することができない者
監査の対象となる地方独立行政法人の子法人 若しくはその役員から公認会計士 若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者 又はその配偶者
監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの
設立団体の長は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
地方独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
ただし、第三項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。
地方独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
地方独立行政法人は、毎事業年度、第一項に規定する残余があるときは、設立団体の長の承認を受けて、その残余の額の全部 又は一部を翌事業年度に係る認可中期計画の第二十六条第二項第六号の剰余金の使途に充てることができる。
地方独立行政法人は、中期目標の期間の最後の事業年度に係る第一項 又は第二項の規定による整理を行った後、第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち設立団体の長の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る認可中期計画の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における業務の財源に充てることができる。
地方独立行政法人は、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を設立団体に納付しなければならない。
前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続 その他積立金の処分に関し必要な事項は、設立団体の規則で定める。
地方独立行政法人は、認可中期計画の第二十六条第二項第四号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。
ただし、やむを得ない事由があるものとして設立団体の長の認可を受けた場合には、当該限度額を超えて短期借入金をすることができる。
前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。
ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、設立団体の長の認可を受けて、これを借り換えることができる。
前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
地方独立行政法人は、長期借入金 及び債券発行をすることができない。
ただし、設立団体からの長期借入金については、この限りでない。
地方独立行政法人は、その業務の運営に当たっては、前項の規定による交付金について、住民から徴収された税金 その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意し、この法律、他の法令、設立団体の条例 及び規則、定款 並びに認可中期計画に従って適切かつ効率的に使用するよう努めなければならない。
地方独立行政法人は、出資等に係る不要財産については、遅滞なく、設立団体の長の認可を受けて、これを当該出資等に係る不要財産に係る地方公共団体(次項から第四項までにおいて「出資等団体」という。)に納付するものとする。
地方独立行政法人は、前項の規定による出資等に係る不要財産(金銭を除く。以下この項 及び次項において同じ。)の出資等団体への納付に代えて、設立団体の長の認可を受けて、出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入の額(当該財産の帳簿価額を超える額(次項において「簿価超過額」という。)がある場合には、その額を除く。)の範囲内で総務大臣が定める基準により算定した金額を当該出資等団体に納付することができる。
地方独立行政法人は、前項の場合において、出資等に係る不要財産の譲渡により生じた簿価超過額があるときは、遅滞なく、これを出資等団体に納付するものとする。
ただし、その全部 又は一部の金額について出資等団体に納付しないことについて設立団体の長の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。
地方独立行政法人が第一項 又は第二項の規定による出資等団体への納付をした場合において、当該納付に係る出資等に係る不要財産が出資等団体からの出資に係るものであるときは、当該地方独立行政法人の資本金のうち当該納付に係る出資等に係る不要財産に係る部分として設立団体の長が定める金額については、当該地方独立行政法人に対する当該出資等団体からの出資はなかったものとし、当該地方独立行政法人は、その額により資本金を減少するものとする。
設立団体の長は、第一項 又は第二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
前各項に定めるもののほか、出資等に係る不要財産の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
地方独立行政法人(第二十一条第二号に掲げる業務を行うものを除く。)は、その業務の遂行に支障のない範囲内で、その対価を当該業務の質の一層の向上を図るために必要な費用に充てるため、設立団体の長の認可を受けて、当該地方独立行政法人の所有に属する土地、建物 その他の土地の定着物 及びその建物に附属する工作物であって、当該業務のために、現に使用されておらず、かつ、当面使用されることが予定されていないものを貸し付けることができる。
地方独立行政法人は、次に掲げる方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
国債、地方債、政府保証債(その元本の償還 及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他総務省令で定める有価証券の取得
信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。以下同じ。)への金銭信託
地方独立行政法人は、条例で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、設立団体の長の認可を受けなければならない。
ただし、第四十二条の二の規定により当該財産を処分するときは、この限りでない。
設立団体の長は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
地方独立行政法人は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを設立団体の長に届け出なければならない。
これを変更したときも、同様とする。
この法律 及びこれに基づく政令に規定するもののほか、地方独立行政法人の財務 及び会計に関し必要な事項は、設立団体の規則で定める。