地方自治法

# 昭和二十二年法律第六十七号 #
略称 : 地自法 

第五款 監査委員

分類 法律
カテゴリ   地方自治
@ 施行日 : 令和六年六月二十六日 ( 2024年 6月26日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第六十五号による改正
最終編集日 : 2024年 11月07日 11時44分

1項

普通地方公共団体に監査委員を置く。

○2項

監査委員の定数は、都道府県 及び政令で定める市にあつては四人とし、その他の市 及び町村にあつては二人とする。


ただし、条例でその定数を増加することができる。

1項

監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理 その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。以下 この款において「識見を有する者」という。)及び議員のうちから、これを選任する。


ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。

○2項

識見を有する者のうちから選任される監査委員の数が二人以上である普通地方公共団体にあつては、少なくとも その数からを減じた人数以上は、当該普通地方公共団体の職員で政令で定めるものでなかつた者でなければならない。

○3項

監査委員は、地方公共団体の常勤の職員 及び短時間勤務職員と兼ねることができない

○4項

識見を有する者のうちから選任される監査委員は、常勤とすることができる。

○5項

都道府県 及び政令で定める市にあつては、識見を有する者のうちから選任される監査委員のうち少なくとも一人以上は、常勤としなければならない。

○6項

議員のうちから選任される監査委員の数は、都道府県 及び前条第二項の政令で定める市にあつては二人 又は一人、その他の市 及び町村にあつては一人とする。

1項

監査委員の任期は、識見を有する者のうちから選任される者にあつては四年とし、議員のうちから選任される者にあつては議員の任期による。


ただし、後任者が選任されるまでの間は、その職務を行うことを妨げない。

1項

普通地方公共団体の長は、監査委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は監査委員に職務上の義務違反 その他監査委員たるに適しない非行があると認めるときは、議会の同意を得て、これを罷免することができる。


この場合においては、議会の常任委員会 又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。

○2項

監査委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。

1項

監査委員は、退職しようとするときは、普通地方公共団体の長の承認を得なければならない。

1項

普通地方公共団体の長 又は副知事 若しくは副市町村長と親子、夫婦 又は兄弟姉妹の関係にある者は、監査委員となることができない

○2項

監査委員は、前項に規定する関係が生じたときは、その職を失う。

1項

監査委員は、その職務を遂行するに当たつては、法令に特別の定めがある場合を除くほか、監査基準(法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査 その他の行為(以下 この項において「監査等」という。)の適切かつ有効な実施を図るための基準をいう。次条において同じ。)に従い、常に公正不偏の態度を保持して、監査等をしなければならない。

○2項

監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。


その職を退いた後も、同様とする。

1項

監査基準は、監査委員が定めるものとする。

○2項

前項の規定による監査基準の策定は、監査委員の合議によるものとする。

○3項

監査委員は、監査基準を定めたときは、直ちに、これを普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 又は公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 及び委員に通知するとともに、これを公表しなければならない。

○4項

前二項の規定は、監査基準の変更について準用する。

○5項

総務大臣は、普通地方公共団体に対し、監査基準の策定 又は変更について、指針を示すとともに、必要な助言を行うものとする。

1項

監査委員は、普通地方公共団体の財務に関する事務の執行 及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査する。

○2項

監査委員は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会 及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあること その他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く)の執行について監査をすることができる。


この場合において、当該監査の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

○3項

監査委員は、第一項 又は前項の規定による監査をするに当たつては、当該普通地方公共団体の財務に関する事務の執行 及び当該普通地方公共団体の経営に係る事業の管理 又は同項に規定する事務の執行が第二条第十四項 及び第十五項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかについて、特に、意を用いなければならない。

○4項

監査委員は、毎会計年度少なくとも一回以上期日を定めて第一項の規定による監査をしなければならない。

○5項

監査委員は、前項に定める場合のほか、必要があると認めるときは、いつでも第一項の規定による監査をすることができる。

○6項

監査委員は、当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があつたときは、その要求に係る事項について監査をしなければならない。

○7項

監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、当該普通地方公共団体が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給 その他の財政的援助を与えているものの出納 その他の事務の執行で当該財政的援助に係るものを監査することができる。


当該普通地方公共団体が出資しているもので政令で定めるもの、当該普通地方公共団体が借入金の元金 又は利子の支払を保証しているもの、当該普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受託者 及び当該普通地方公共団体が第二百四十四条の二第三項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものについても、同様とする。

○8項

監査委員は、監査のため必要があると認めるときは、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、若しくは関係人に対し帳簿、書類 その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。

○9項

監査委員は、第九十八条第二項の請求 若しくは第六項の要求に係る事項についての監査 又は第一項第二項 若しくは第七項の規定による監査について、監査の結果に関する報告を決定し、これを普通地方公共団体の議会 及び長 並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員に提出するとともに、これを公表しなければならない。

○10項

監査委員は、監査の結果に基づいて必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の組織 及び運営の合理化に資するため、第七十五条第三項 又は前項の規定による監査の結果に関する報告に添えてその意見を提出することができる。


この場合において、監査委員は、当該意見の内容を公表しなければならない。

○11項

監査委員は、第七十五条第三項の規定 又は第九項の規定による監査の結果に関する報告のうち、普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員において特に措置を講ずる必要があると認める事項については、その者に対し、理由を付して、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。


この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を公表しなければならない。

○12項

第九項の規定による監査の結果に関する報告の決定、第十項の規定による意見の決定 又は前項の規定による勧告の決定は、監査委員の合議によるものとする。

○13項

監査委員は、第九項の規定による監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨 及び当該事項についての各監査委員の意見を普通地方公共団体の議会 及び長 並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員に提出するとともに、これらを公表しなければならない。

○14項

監査委員から第七十五条第三項の規定 又は第九項の規定による監査の結果に関する報告の提出があつた場合において、当該監査の結果に関する報告の提出を受けた普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員は、当該監査の結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として措置(次項に規定する措置を除く。以下 この項において同じ。)を講じたときは、当該措置の内容を監査委員に通知しなければならない。


この場合において、監査委員は、当該措置の内容を公表しなければならない。

○15項

監査委員から第十一項の規定による勧告を受けた普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員は、当該勧告に基づき必要な措置を講ずるとともに、当該措置の内容を監査委員に通知しなければならない。


この場合において、監査委員は、当該措置の内容を公表しなければならない。

1項

監査委員は、自己 若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫 若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件 又は自己 若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない

1項

監査委員は、識見を有する者のうちから選任される監査委員の一人監査委員の定数が二人の場合において、そのうち一人が議員のうちから選任される監査委員であるときは、識見を有する者のうちから選任される監査委員)を代表監査委員としなければならない。

○2項

代表監査委員は、監査委員に関する庶務 及び次項 又は第二百四十二条の三第五項に規定する訴訟に関する事務を処理する。

○3項

代表監査委員 又は監査委員の処分 又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。

○4項

代表監査委員に事故があるとき、又は代表監査委員が欠けたときは、監査委員の定数が三人以上の場合には代表監査委員の指定する監査委員が、二人の場合には他の監査委員がその職務を代理する。

1項

都道府県の監査委員に事務局を置く。

○2項

市町村の監査委員に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。

○3項

事務局に事務局長、書記 その他の職員を置く。

○4項

事務局を置かない市町村の監査委員の事務を補助させるため書記 その他の職員を置く。

○5項

事務局長、書記 その他の職員は、代表監査委員がこれを任免する。

○6項

事務局長、書記 その他の常勤の職員の定数は、条例でこれを定める。


ただし、臨時の職については、この限りでない。

○7項

事務局長は監査委員の命を受け、書記 その他の職員 又は第百八十条の三の規定による職員は上司の指揮を受け、それぞれ監査委員に関する事務に従事する。

1項

監査委員に常設 又は臨時の監査専門委員を置くことができる。

○2項

監査専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から、代表監査委員が、代表監査委員以外の監査委員の意見を聴いて、これを選任する。

○3項

監査専門委員は、監査委員の委託を受け、その権限に属する事務に関し必要な事項を調査する。

○4項

監査専門委員は、非常勤とする。

1項

第百四十一条第一項第百五十四条第百五十九条第百六十四条 及び第百六十六条第一項の規定は監査委員に、第百五十三条第一項の規定は代表監査委員に、第百七十二条第四項の規定は監査委員の事務局長、書記 その他の職員にこれを準用する。

1項

法令に特別の定めがあるものを除くほか、監査委員に関し必要な事項は、条例でこれを定める。