外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令

昭和二十四年政令第三百十一号
分類 政令
カテゴリ   外事
最終編集日 : 2023年 01月24日 09時11分

制定に関する表明

内閣は、

ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、

この政令を制定する。

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1項

この政令は、外国政府の日本における不動産に関する権利の公正な取得を確保するため、これに関する取引を調整することを目的とする。

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1項

この政令において「外国政府」とは、財務大臣の指定した国の政府 又は政府機関をいう。

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1項

外国政府が土地、建物の全部 若しくは一部又はこれらに附属する設備(以下「不動産」という。)を取得(地上権の設定を含む。以下同じ。)し、又は賃借(使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。)しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。

2項

前項の規定による承認は、当該不動産の取得 若しくは賃借 又は当該不動産の使用 若しくは改良のため必要な物資 若しくは用役の取得について他の法令の規定により必要とされる認可、許可 その他の処分を排除するものではない。

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1項

外国政府による不動産の取得 又は賃借は、前条第一項の承認のないときは、効力を生じない。

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1項

外国政府が不動産(日本国政府の所有に係るものを除く)を取得し、又は賃借しようとする場合においては、当該不動産の所有者 その他の権利者は、当該外国政府と直接に当該取得 又は賃借を目的とする契約を締結することができない

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1項

外国政府は、不動産(日本国政府の所有に係るものを除く)を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者 その他の権利者と取得代金 又は賃借料 その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得し、又は賃借することを委託しなければならない。

2項

外国政府は、日本国政府の所有に係る不動産を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ財務大臣(当該不動産が普通財産として財務大臣に引き継ぐことを要しないものである場合には、当該不動産を所管する各省各庁の長(国有財産法昭和二十三年法律第七十三号)に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)とする。)と 取得代金 又は賃借料 その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し当該不動産の取得 又は賃借の申込をしなければならない。

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1項

外国政府が不動産(日本国政府の所有に係るものを除く)を取得し、又は賃借しようとする場合には、財務省令の定めるところにより、委託の申込 及び承認の申請に関する書類を財務大臣に提出しなければならない。

2項

外国政府が日本国政府の所有に係る不動産を取得し、又は賃借しようとする場合には、財務省令の定めるところにより、取得 又は賃借の申込 及び承認の申請に関する書類を財務大臣に提出しなければならない。

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1項

前条第一項 又は第二項の場合においては、外国政府は、財務省令の定めるところにより、同条第一項 又は第二項に規定する書類において、当該不動産の取得 又は賃借が左に掲げる事項に該当するかどうかを明らかにしなければならない。

一 号

目的が明らかであり、且つ、正常な活動のため必要であること。

二 号

不動産の需給状況等に照らし不当でないこと。

三 号

取引が公正であり、且つ、詐欺、強迫 又は不当の圧迫によるものでないこと。

四 号

対価が日本国政府の認める外国通貨を交換した邦貨(小切手を含む。)又は物資 若しくは用役をもつて支払われること。

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1項

財務大臣は、第三条第一項の承認をしたときは、遅滞なく、外国政府のために不動産を第六条第一項の協議により定められた条件で取得し、又は賃借し、且つ、当該外国政府に当該不動産 又は これに関する権利を同一条件で譲渡し、又は転貸するものとする。

2項

財務大臣は、第三条第一項の承認をしたときは、遅滞なく、第六条第二項の協議により定められた条件で外国政府に不動産を譲渡し、若しくは賃貸し、又は不動産に関する権利を与えるものとする。


この場合において、当該不動産が普通財産として財務大臣に引き継ぐことを要しないものであるときは、財務大臣は、当該不動産を所管する各省各庁の長の委託を受けて、これらの行為をするものとする。

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1項

財務大臣は、外国政府から不動産の取得 又は賃借について、第六条第一項の委託 又は同条第二項の申込があつたときは、当該不動産の取得代金又は賃借料に充てるべき当該外国政府の資金を出納保管してその目的に充てることができる。

2項

財務大臣は、外国政府から不動産の取得 又は賃借について、第六条第一項の委託 又は同条第二項の申込があつたときは、当該外国政府が貿易特別会計に対し有していた債権で同特別会計の廃止に伴い一般会計に対する債権となつたものを取り立て、当該不動産の取得代金 又は賃借料に充てることができる。

3項

財務大臣は、外国政府から不動産の取得 又は賃借について、第六条第一項の委託 又は同条第二項の申込があつたときは、当該外国政府の提供する物資 又は用役をもつて、当該不動産の取得代金 又は賃借料に充てることができる。

4項

財務大臣は、第一項に規定する外国政府の資金、外国政府が日本国政府に支払う対価 及び日本国政府が当該不動産の所有者 その他の権利者に支払う対価の出納保管等については、財政法昭和二十二年法律第三十四号)、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)及び これらの規定に基く命令の規定にかかわらず、財務省令の定めるところにより、歳入歳出外として経理しなければならない。

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1項

財務大臣は、この政令の規定によりその権限に属せしめられた事務の処理を、財務局長 又は財務支局長に委任して行わせることができる。

2項

この政令の規定により財務大臣の権限に属せしめられた事務の処理について必要な事項は、財務省令で定める。

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1項

この政令の規定は、外国政府が連合国財産の返還等に関する政令(昭和二十六年政令第六号)又は連合国財産上の家屋等の譲渡等に関する政令(昭和二十三年政令第二百九十八号)に基き不動産の返還 又は譲渡を受ける場合には適用しない

2項

国有財産法の規定は、第八条の二第一項の規定により国が取得し、若しくは賃借し、又は譲渡し、若しくは転貸する不動産 又はこれに関する権利には適用しない

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1項

財務大臣は、左に掲げる場合においては、第三条第一項の規定によりその取得 又は賃借につき承認を受けなければならない不動産について、外国政府、当該不動産の所有者 その他の利害関係人から 報告を徴し、又は当該職員をして必要な場所に立ち入り、当該不動産の状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

一 号

第三条第一項の規定による承認の申請があつた場合において、調査の必要があるとき。

二 号

第三条第一項に該当する不動産の取得 又は賃借が、同項の承認を受けないで行われ、又は行われようとしていると認める相当な理由があるとき。

2項

前項の規定により当該職員が、立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、請求により提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

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