ばい煙に係る排出基準は、ばい煙発生施設において発生するばい煙について、環境省令で定める。
大気汚染防止法
第二章 ばい煙の排出の規制等
前項の排出基準は、前条第一項第一号のいおう酸化物(以下単に「いおう酸化物」という。)にあつては第一号、同項第二号のばいじん(以下単に「ばいじん」という。)にあつては第二号、同項第三号に規定する物質(以下「有害物質」という。)にあつては第三号 又は第四号に掲げる許容限度とする。
いおう酸化物に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出されるいおう酸化物の量について、政令で定める地域の区分ごとに排出口の高さ(環境省令で定める方法により補正を加えたものをいう。以下同じ。)に応じて定める許容限度
ばいじんに係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれるばいじんの量について、施設の種類 及び規模ごとに定める許容限度
有害物質(次号の特定有害物質を除く。)に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれる有害物質の量について、有害物質の種類 及び施設の種類ごとに定める許容限度
燃料 その他の物の燃焼に伴い発生する有害物質で環境大臣が定めるもの(以下「特定有害物質」という。)に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される特定有害物質の量について、特定有害物質の種類ごとに排出口の高さに応じて定める許容限度
環境大臣は、施設集合地域(いおう酸化物、ばいじん 又は特定有害物質に係るばい煙発生施設が集合して設置されている地域をいう。)の全部 又は一部の区域における当該ばい煙発生施設において発生し、大気中に排出されるこれらの物質により政令で定める限度をこえる大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、環境省令で、当該全部 又は一部の区域を限り、その区域に新たに設置される当該ばい煙発生施設について、第一項の排出基準(次条第一項の規定により排出基準が定められた場合にあつては、その排出基準)にかえて適用すべき特別の排出基準を定めることができる。
第二項(同項第三号を除く。)の規定は、前項の排出基準について準用する。
環境大臣は、第一項の規定によりいおう酸化物に係る排出基準を定め、又は第三項の規定により排出基準を定めようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、ばいじん 又は有害物質に係る前条第一項 又は第三項の排出基準によつては、人の健康を保護し、又は生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域におけるばい煙発生施設において発生するこれらの物質について、政令で定めるところにより、条例で、同条第一項の排出基準にかえて適用すべき同項の排出基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定める排出基準を定めることができる。
前項の条例においては、あわせて当該区域の範囲を明らかにしなければならない。
都道府県が第一項の規定により排出基準を定める場合には、当該都道府県知事は、あらかじめ、環境大臣に通知しなければならない。
環境大臣は、大気の汚染の防止のため特に必要があると認めるときは、都道府県に対し、前条第一項の規定により排出基準を定め、又は同項の規定により定められた排出基準を変更すべきことを勧告することができる。
都道府県知事は、工場 又は事業場が集合している地域で、第三条第一項 若しくは第三項 又は第四条第一項の排出基準のみによつては環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準(次条第一項第三号において「大気環境基準」という。)の確保が困難であると認められる地域としていおう酸化物 その他の政令で定めるばい煙(以下「指定ばい煙」という。)ごとに政令で定める地域(以下「指定地域」という。)にあつては、当該指定地域において当該指定ばい煙を排出する工場 又は事業場で環境省令で定める基準に従い都道府県知事が定める規模以上のもの(以下「特定工場等」という。)において発生する当該指定ばい煙について、指定ばい煙総量削減計画を作成し、これに基づき、環境省令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならない。
都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該指定地域を二以上の区域に区分し、それらの区域ごとに前項の総量規制基準を定めることができる。
都道府県知事は、新たにばい煙発生施設が設置された特定工場等(工場 又は事業場で、ばい煙発生施設の設置 又は構造等の変更により新たに特定工場等となつたものを含む。)及び新たに設置された特定工場等について、第一項の指定ばい煙総量削減計画に基づき、環境省令で定めるところにより、それぞれ同項の総量規制基準に代えて適用すべき特別の総量規制基準を定めることができる。
第一項 又は前項の総量規制基準は、特定工場等につき当該特定工場等に設置されているすべてのばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される当該指定ばい煙の合計量について定める許容限度とする。
都道府県知事は、第一項の政令で定める地域の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、同項の地域を定める政令の立案について、環境大臣に対し、その旨の申出をすることができる。
環境大臣は、第一項の地域を定める政令の制定 又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第一項 又は第三項の総量規制基準を定めるときは、公示しなければならない。
これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
前条第一項の指定ばい煙総量削減計画は、当該指定地域について、第一号に掲げる総量を第三号に掲げる総量までに削減させることを目途として、第一号に掲げる総量に占める第二号に掲げる総量の割合、工場 又は事業場の規模、工場 又は事業場における使用原料 又は燃料の見通し、特定工場等以外の指定ばい煙の発生源における指定ばい煙の排出状況の推移等を勘案し、政令で定めるところにより、第四号から第六号までに掲げる事項を定めるものとする。
の場合において、当該指定地域における大気の汚染 及び工場 又は事業場の分布の状況により計画の達成上当該指定地域を二以上の区域に区分する必要があるときは、第一号から第三号までに掲げる総量は、区分される区域ごとのそれぞれの当該指定ばい煙の総量とする。
当該指定地域におけるすべての特定工場等に設置されているばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される当該指定ばい煙の総量
第二号の総量についての削減目標量(中間目標としての削減目標量を定める場合にあつては、その削減目標量を含む。)
都道府県知事は、前条第一項の指定ばい煙総量削減計画を定めようとするときは、環境基本法第四十三条の規定により置かれる審議会 その他の合議制の機関 及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の指定ばい煙総量削減計画を定めようとするときは、あらかじめ、第一項第四号 及び第五号に係る部分について、環境大臣に協議しなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の指定ばい煙総量削減計画を定めたときは、第一項各号に掲げる事項を公表するよう努めなければならない。
都道府県知事は、当該指定地域における大気の汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、前条第一項の指定ばい煙総量削減計画を変更することができる。
第二項から第四項までの規定は、前項の規定による計画の変更について準用する。
前項の規定による届出には、ばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出されるいおう酸化物 若しくは特定有害物質の量(以下「ばい煙量」という。)又はばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれるばいじん 若しくは有害物質(特定有害物質を除く。)の量(以下「ばい煙濃度」という。)及びばい煙の排出の方法 その他の環境省令で定める事項を記載した書類を添附しなければならない。
一の施設がばい煙発生施設となつた際 現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)であつてばい煙を大気中に排出するものは、当該施設がばい煙発生施設となつた日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
前条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
第六条第一項 又は前条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第六条第一項第四号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第六条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
都道府県知事は、第六条第一項 又は前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係るばい煙発生施設に係るばい煙量 又はばい煙濃度がそのばい煙発生施設に係る排出基準(第三条第一項の排出基準(同条第三項 又は第四条第一項の規定により排出基準が定められた場合にあつては、その排出基準を含む。)をいう。以下この章において「排出基準」という。)に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係るばい煙発生施設の構造 若しくは使用の方法 若しくはばい煙の処理の方法に関する計画の変更(前条第一項の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は第六条第一項の規定による届出に係るばい煙発生施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。
都道府県知事は、第六条第一項 又は第八条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係るばい煙発生施設が設置される特定工場等(工場 又は事業場で、当該ばい煙発生施設の設置 又は構造等の変更により新たに特定工場等となるものを含む。以下 この項において同じ。)について、当該特定工場等に設置されるすべてのばい煙発生施設に係る当該指定ばい煙の合計量が総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、当該特定工場等の設置者に対し、当該特定工場等における指定ばい煙の処理の方法の改善、使用燃料の変更 その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
第六条第一項の規定による届出をした者 又は第八条第一項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、それぞれ、その届出に係るばい煙発生施設を設置し、又はその届出に係るばい煙発生施設の構造 若しくは使用の方法 若しくはばい煙の処理の方法の変更をしてはならない。
都道府県知事は、第六条第一項 又は第八条第一項の規定による届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
第六条第一項 又は第七条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第六条第一項第一号 若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又はその届出に係るばい煙発生施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第六条第一項 又は第七条第一項の規定による届出をした者からその届出に係るばい煙発生施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該ばい煙発生施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
第六条第一項 又は第七条第一項の規定による届出をした者について相続、合併 又は分割(その届出に係るばい煙発生施設を承継させるものに限る。)があつたときは、相続人、合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人 又は分割により当該ばい煙発生施設を承継した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
前二項の規定により第六条第一項 又は第七条第一項の規定による届出をした者の地位を承継した者は、その承継があつた日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
工場 又は事業場に設置されるすべてのばい煙発生施設について、第一項 又は第二項の規定により届出をした者の地位を承継した者は、第九条の二、第十四条第三項 又は第十五条の二第一項 若しくは第二項の規定の適用については、工場 又は事業場の設置者の地位を承継するものとする。
ばい煙発生施設において発生するばい煙を大気中に排出する者(以下「ばい煙排出者」という。)は、そのばい煙量 又はばい煙濃度が当該ばい煙発生施設の排出口において排出基準に適合しないばい煙を排出してはならない。
前項の規定は、一の施設がばい煙発生施設となつた際 現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設において発生し、大気中に排出されるばい煙については、当該施設がばい煙発生施設となつた日から六月間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。
ただし、その者に適用されている地方公共団体の条例の規定で同項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
特定工場等に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙に係るばい煙排出者は、当該特定工場等に設置されているすべてのばい煙発生施設の排出口から大気中に排出される当該指定ばい煙の合計量が総量規制基準に適合しない指定ばい煙を排出してはならない。
前項の規定は、第二条第二項の政令の改正、第五条の二第一項の地域を定める政令の改正 又は同項の都道府県知事が定める規模の変更により新たに特定工場等となつた工場 又は事業場に設置されているばい煙発生施設において発生する指定ばい煙に係るばい煙排出者については、当該工場 又は事業場が特定工場等となつた日から六月間は、適用しない。
都道府県知事は、ばい煙排出者が、そのばい煙量 又はばい煙濃度が排出口において排出基準に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該ばい煙発生施設の構造 若しくは使用の方法 若しくは当該ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命じ、又は当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができる。
第十三条第二項の規定は、前項の規定による命令について準用する。
前項の規定は、第二条第二項の政令の改正、第五条の二第一項の地域を定める政令の改正 又は同項の都道府県知事が定める規模の変更により新たに特定工場等となつた工場 又は事業場については、当該工場 又は事業場が特定工場等となつた日から六月間は、適用しない。
都道府県知事は、いおう酸化物に係るばい煙発生施設で季節により燃料の使用量に著しい変動があるものが密集して設置されている地域として政令で定める地域に係るいおう酸化物による著しい大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、当該地域におけるいおう酸化物に係るばい煙発生施設において発生するいおう酸化物を大気中に排出する者が、当該ばい煙発生施設で燃料使用基準に適合しない燃料の使用をしていると認めるときは、その者に対し、期間を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができる。
都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかつたときは、期間を定めて、当該燃料使用基準に従うべきことを命ずることができる。
第一項の燃料使用基準は、環境省令で定める燃料の種類について、環境大臣が定める基準に従い、同項の政令で定める地域ごとに都道府県知事が定める。
環境大臣は、第一項の政令の制定 又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
都道府県知事は、第三項の規定により燃料使用基準を定めるときは、公示しなければならない。
これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
都道府県知事は、いおう酸化物に係る指定地域において、特定工場等以外の工場 又は事業場における燃料の使用が燃料使用基準に適合しないと認めるときは、当該工場 又は事業場の設置者に対し、期限を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告することができる。
都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかつたときは、期限を定めて、当該燃料使用基準に従うべきことを命ずることができる。
第一項の燃料使用基準は、いおう酸化物に係るばい煙発生施設が設置されている特定工場等以外の工場 又は事業場について定める基準とし、環境省令で定める燃料の種類について、指定ばい煙の総量の削減に関し環境大臣が定める基準に従い、いおう酸化物に係る指定地域ごとに都道府県知事が定める。
都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該指定地域を二以上の区域に区分し、それらの区域ごとに第一項の燃料使用基準を定めることができる。
前条第五項の規定は、第一項の燃料使用基準について準用する。
ばい煙排出者は、環境省令で定めるところにより、当該ばい煙発生施設に係るばい煙量 又はばい煙濃度を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
ばい煙発生施設を設置している者 又は物の合成、分解 その他の化学的処理に伴い発生する物質のうち人の健康 若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの(以下「特定物質」という。)を発生する施設(ばい煙発生施設を除く。以下「特定施設」という。)を工場 若しくは事業場に設置している者は、ばい煙発生施設 又は特定施設について故障、破損 その他の事故が発生し、ばい煙 又は特定物質が大気中に多量に排出されたときは、直ちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧するように努めなければならない。
前項の場合においては、同項に規定する者は、直ちに、その事故の状況を都道府県知事に通報しなければならない。
ただし、石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二十三条第一項の規定による通報をした場合は、この限りでない。
都道府県知事は、第一項に規定する事故が発生した場合において、当該事故に係る工場 又は事業場の周辺の区域における人の健康が損なわれ、又は損なわれるおそれがあると認めるときは、その事故に係る同項に規定する者に対し、その事故の拡大 又は再発の防止のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
事業者は、この章に規定するばい煙の排出の規制等に関する措置のほか、その事業活動に伴うばい煙の大気中への排出の状況を把握するとともに、当該排出を抑制するために必要な措置を講ずるようにしなければならない。