少年鑑別所法
第五節 保健衛生及び医療
在所者には、日曜日 その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健全な心身の成長を図るため適切な運動を行う機会を与えなければならない。
ただし、審判期日 又は公判期日への出頭 その他の事情により少年鑑別所の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。
在所者は、身体、着衣 及び所持品 並びに居室 その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
少年鑑別所の長は、在所者に対し、その少年鑑別所への入所後速やかに、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。
少年鑑別所における保健衛生上必要があるときも、同様とする。
在所者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。
この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影 その他の医学的処置を拒むことはできない。
少年鑑別所の長は、在所者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、少年鑑別所の職員である医師等(医師 又は歯科医師をいう。以下 この項 及び次条において同じ。)又は少年鑑別所の長が委嘱する医師等による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。
ただし、第一号に該当する場合において、その者の心身に著しい障害が生じ、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。
少年鑑別所の長は、前項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ在所者を少年鑑別所の外の病院 又は診療所に通院させ、やむを得ないときは在所者を少年鑑別所の外の病院 又は診療所に入院させることができる。
少年鑑別所の長は、負傷し、又は疾病にかかっている在所者について、その者 又はその親権を行う者 若しくは未成年後見人(以下「親権を行う者等」という。)が、医師等(少年鑑別所の職員である医師等 及び少年鑑別所の長が委嘱する医師等を除く。)を指名して、その在所者がその診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類 及び程度、入所前にその医師等による診療を受けていたこと その他の事情に照らして、その在所者の医療上適当であると認めるときは、少年鑑別所内において、その在所者が自弁によりその診療を受けることを許すことができる。
少年鑑別所の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその在所者に対して少年鑑別所において診療を行うため必要があるときは、少年鑑別所の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写しその他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。
指名医は、その診療に際し、少年鑑別所の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。
少年鑑別所の長は、第一項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第二項の規定により少年鑑別所の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により少年鑑別所の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。
少年鑑別所の長は、負傷し、又は疾病にかかっている在所者が重態となり、又はそのおそれがあると認めるときは、直ちに、その旨をその保護者 その他相当と認める者に通知しなければならない。
少年鑑別所の長は、前項の規定により通知を受けた者から同項の在所者を看護したい旨の申出があった場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、その在所者に対し、その看護を受けることを許すことができる。
少年鑑別所の長は、少年鑑別所内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、在所者に対し、第三十五条の規定による健康診断 又は第三十六条の規定による診療 その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離 その他法務省令で定める措置を執るものとする。
少年鑑別所の長は、在所者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、少年鑑別所の外の病院、診療所 又は助産所に入院させるものとする。