少年院法

# 平成二十六年法律第五十八号 #

第七章 保健衛生及び医療

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和五年十二月一日 ( 2023年 12月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十七号による改正
最終編集日 : 2024年 04月16日 09時45分


1項
少年院においては、在院者の心身の状況を把握することに努めるとともに、在院者の健全な心身の成長を図り、及び少年院内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生 及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。
1項

在院者には、日曜日 その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健全な心身の成長を図るため適切な運動を行う機会を与えなければならない。


ただし、審判期日 又は公判期日への出頭 その他の事情により少年院の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。

1項
在院者は、身体、着衣 及び所持品 並びに居室 その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
1項
在院者には、法務省令で定めるところにより、少年院における保健衛生上適切な入浴を行わせる。
1項

在院者には、法務省令で定めるところにより、調髪 及びひげそりを行わせる。

2項
少年院の長は、在院者が自弁により調髪を行いたい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、これを許すことができる。
1項

少年院の長は、在院者に対し、その少年院への入院後速やかに、及びおおむね六月に一回以上定期的に、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。少年院における保健衛生上必要があるときも、同様とする。

2項

在院者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。


この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影 その他の医学的処置を拒むことはできない

1項

少年院の長は、在院者が次の各号いずれかに該当する場合には、速やかに、少年院の職員である医師等(医師 又は歯科医師をいう。以下この項 及び次条において同じ。)又は少年院の長が委嘱する医師等による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。


ただし第一号に該当する場合において、その者の心身に著しい障害が生じ、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る

一 号
負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。
二 号
飲食物を摂取しない場合において、その心身に著しい障害が生ずるおそれがあるとき。
2項

少年院の長は、前項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ在院者を少年院の外の病院 又は診療所に通院させ、やむを得ないときは在院者を少年院の外の病院 又は診療所に入院させることができる。

1項

少年院の長は、負傷し、又は疾病にかかっている在院者について、その者 又はその親権を行う者 若しくは未成年後見人(以下「親権を行う者等」という。)が、医師等(少年院の職員である医師等 及び少年院の長が委嘱する医師等を除く)を指名して、その在院者がその診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類 及び程度、入院前にその医師等による診療を受けていたこと その他の事情に照らして、その在院者の医療上適当であると認めるときは、少年院内において、その在院者が自弁によりその診療を受けることを許すことができる。

2項

少年院の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその在院者に対して少年院において診療を行うため必要があるときは、少年院の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写しその他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。

3項

指名医は、その診療に際し、少年院の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。

4項

少年院の長は、第一項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第二項の規定により少年院の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により少年院の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。

1項

少年院の長は、負傷し、又は疾病にかかっている在院者が重態となり、又はそのおそれがあると認めるときは、直ちに、その旨をその保護者 その他相当と認める者に通知しなければならない。

2項

少年院の長は、前項の規定により通知を受けた者から同項の在院者を看護したい旨の申出があった場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、その在院者に対し、その看護を受けることを許すことができる。

1項

少年院の長は、少年院内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、在院者に対し、第五十三条の規定による健康診断 又は第五十四条の規定による診療 その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離 その他法務省令で定める措置を執るものとする。

1項
少年院の長は、妊産婦、身体虚弱者 その他の養護を必要とする在院者について、その養護を必要とする事情に応じ、傷病者のための措置に準じた措置を執るものとする。
2項

少年院の長は、在院者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、少年院の外の病院、診療所 又は助産所に入院させるものとする。

1項

少年院の長は、女子の在院者がその子を少年院内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。

2項

少年院の長は、在院者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて少年院内で養育したい旨の申出をした場合において、その在院者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。

3項

在院者が前二項の規定により子を養育している場合には、その子の養育に必要な物品を貸与し、又は支給する。

4項

前項に規定する場合において、在院者が、その子の養育に必要な物品について、自弁のものを使用し、若しくは摂取し、又はその子に使用させ、若しくは摂取させたい旨の申出をした場合には、少年院の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。

5項

在院者が第一項 又は第二項の規定により養育している子については、在院者の例により、健康診断、診療 その他の必要な措置を執るものとする。