日本郵政株式会社(以下「会社」という。)は、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有し、日本郵便株式会社の経営管理を行うこと 及び日本郵便株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とする。
日本郵政株式会社法
第一章 総則
政府は、常時、会社の発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。以下この条において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。
会社でない者は、その商号中に日本郵政株式会社という文字を使用してはならない。
第二章 業務等
会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとする。
日本郵便株式会社が発行する株式の引受け 及び保有
日本郵便株式会社の経営の基本方針の策定 及び その実施の確保
前二号に掲げるもののほか、日本郵便株式会社の株主としての権利の行使
前三号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前項に規定する業務のほか、総務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができる。
会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金 及び債権債務の決済の役務 並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。
前項の「生命保険」又は「郵便局」とは、それぞれ日本郵便株式会社法(平成十七年法律第百号)第二条第三項 又は第四項に規定する生命保険 又は郵便局をいう。
会社は、常時、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。
会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
会社は、会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式(第二十一条第三号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換 若しくは株式交付に際して株式 若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
会社は、新株予約権の行使により株式を交付した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
会社の取締役の選任 及び解任 並びに監査役の選任 及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
会社の定款の変更、剰余金の配当 その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割 及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書 及び事業報告書 その他会社の財産、損益 又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。
第三章 雑則
会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上 必要な命令をすることができる。
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又は その職員に、会社の営業所、事務所 その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
総務大臣は、第八条第一項、第十条 又は第十一条(定款の変更の決議に係るものにあっては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
会社は、その株式が金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項第一号に規定する有価証券に該当しないときは、同号に規定する有価証券の発行者が同法第二十五条第二項の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。
会社は、前項に定めるもののほか、第四条第二項、第九条 又は第十条の規定による認可を受けたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
第四章 罰則
会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役 又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又は その要求 若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。
これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。
その全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
前条第一項の賄賂を供与し、又は その申込み 若しくは約束をした者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第十七条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
前条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
第十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役 又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与 若しくは その職務を行うべき社員 又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
第四条第二項の規定に違反して、業務を行ったとき。
第六条の規定に違反して、日本郵便株式会社の株式を処分したとき。
第八条第一項の規定に違反して、募集株式 若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換 若しくは株式交付に際して株式 若しくは新株予約権を交付したとき。
第八条第二項の規定に違反して、株式を交付した旨の届出を行わなかったとき。
第十条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
第十二条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書 若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載 若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
第十三条第二項の規定による命令に違反したとき。
第十六条第一項 又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
第三条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。