この法律は、口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」という。)の推進に関し、基本理念を定め、並びに国 及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し、もって国民保健の向上に寄与することを目的とする。
国は、前条の基本理念(次項において「基本理念」という。)にのっとり、歯科口腔保健の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士 その他の歯科医療 又は保健指導に係る業務(以下 この条 及び第十五条第二項において「歯科医療等業務」という。)に従事する者は、歯科口腔保健(歯の機能の回復によるものを含む。)に資するよう、医師 その他歯科医療等業務に関連する業務に従事する者との緊密な連携を図りつつ、適切にその業務を行うとともに、国 及び地方公共団体が歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。
国民は、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科に係る検診(健康診査 及び健康診断を含む。第八条において同じ。)を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
国 及び地方公共団体は、国民が定期的に歯科に係る検診を受けること 及び必要に応じて歯科保健指導を受けること(以下 この条 及び次条において「定期的に歯科検診を受けること等」という。)を促進するため、定期的に歯科検診を受けること等の勧奨 その他の必要な施策を講ずるものとする。
前三条に規定するもののほか、国 及び地方公共団体は、個別的に又は公衆衛生の見地から行う歯科疾患の効果的な予防のための措置 その他の歯科口腔保健のための措置に関する施策を講ずるものとする。
厚生労働大臣は、第七条から前条までの規定により講ぜられる施策につき、それらの総合的な実施のための方針、目標、計画 その他の基本的事項を定めるものとする。
前項の基本的事項は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第七条第一項に規定する基本方針、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第四条第一項に規定する基本指針 その他の法律の規定による方針 又は指針であって保健、医療 又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
厚生労働大臣は、第一項の基本的事項を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。
厚生労働大臣は、第一項の基本的事項を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
都道府県は、前条第一項の基本的事項を勘案して、かつ、地域の状況に応じて、当該都道府県において第七条から第十一条までの規定により講ぜられる施策につき、それらの総合的な実施のための方針、目標、計画 その他の基本的事項を定めるよう努めなければならない。
前項の基本的事項は、健康増進法第八条第一項に規定する都道府県健康増進計画 その他の法律の規定による計画であって保健、医療 又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
都道府県、保健所を設置する市 及び特別区は、口腔保健支援センターを設けることができる。
口腔保健支援センターは、第七条から第十一条までに規定する施策の実施のため、歯科医療等業務に従事する者等に対する情報の提供、研修の実施 その他の支援を行う機関とする。