死因究明等推進基本法

# 令和元年法律第三十三号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   厚生
最終編集日 : 2023年 01月17日 18時15分


1項

この法律は、死因究明等に関する施策に関し、基本理念を定め、国 及び地方公共団体等の責務を明らかにし、死因究明等に関する施策の基本となる事項を定め、 並びに死因究明等に関する施策に関する推進計画の策定について定めるとともに、死因究明等推進本部を設置すること等により、死因究明等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって安全で安心して暮らせる社会 及び生命が尊重され 個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「死因究明」とは、死亡に係る診断 若しくは死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)の検案 若しくは解剖 又は その検視 その他の方法によりその死亡の原因、推定年月日時 及び場所等を明らかにすることをいう。

2項

この法律において「身元確認」とは、死体の身元を明らかにすることをいう。

3項

この法律において「死因究明等」とは、死因究明 及び身元確認をいう。

1項

死因究明等の推進は、次に掲げる死因究明等に関する基本的認識の下に、死因究明等が地域にかかわらず等しく適切に行われるよう、死因究明等の到達すべき水準を目指し、死因究明等に関する施策について達成すべき目標を定めて、行われるものとする。

一 号

死因究明が死者の生存していた最後の時点における状況を明らかにするものであることに鑑み、死者 及び その遺族等の権利利益を踏まえてこれを適切に行うことが、生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであること。

二 号

死因究明の適切な実施が、遺族等の理解を得ること等を通じて人の死亡に起因する紛争を未然に防止し得るものであること。

三 号

身元確認の適切な実施が、遺族等に死亡の事実を知らせること等を通じて生命の尊重と個人の尊厳の保持につながるものであるとともに、国民生活の安定 及び公共の秩序の維持に資するものであること。

四 号

死因究明等が、医学、歯学等に関する専門的科学的知見に基づいて、診療において得られた情報も活用しつつ、客観的かつ中立公正に行われなければならないものであること。

2項

死因究明の推進は、高齢化の進展、子どもを取り巻く環境の変化等の社会情勢の変化を踏まえつつ、死因究明により得られた知見が疾病の予防 及び治療をはじめとする公衆衛生の向上 及び増進に資する情報として広く活用されることとなるよう、行われるものとする。

3項

死因究明の推進は、災害、事故、犯罪、虐待 その他の市民生活に危害を及ぼす事象が発生した場合における死因究明がその被害の拡大 及び予防可能な死亡である場合における再発の防止 その他 適切な措置の実施に寄与することとなるよう、行われるものとする。

1項

国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、死因究明等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、死因究明等に関する施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

大学は、基本理念にのっとり、大学における死因究明等に関する人材の育成 及び研究を自主的かつ積極的に行うよう努めるものとする。

1項

国、地方公共団体、大学、医療機関、関係団体、医師、歯科医師 その他の死因究明等に関係する者は、死因究明等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

1項

政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。

1項

政府は、毎年、国会に、政府が講じた死因究明等に関する施策について報告しなければならない。